真夜中だけが僕たちの救い〜卑屈なボクっ娘サブカル女、真夜〜 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック1:『出会い、深夜、散歩』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;タイトルコール ;SE:足音(自分) ;SE:重なってくる足音(真夜) ;ボイス位置:4 後ろ側から 【真夜】 「ねえ、そこのお兄さん。暇してないすか?」 【真夜】 「……あれっ、無視っすか? おーい。もしもーし?」 ;ボイス位置:3 隣で歩きながら話す ここでは基本的に、近くてこしょこしょ寄りの声 【真夜】 「ふふふ……ども。良い夜っすね」 【真夜】 「寒くもなく、暑くもない。一年中このくらいでいて欲しいと思うくらいの気温」 【真夜】 「耳を澄ませば虫の声が聞こえて、澄まさなければ宇宙の営みを感じる」 【真夜】 「ボクも、こんな真夜中に一人、物思いにふけりながら散歩っすよ」 【真夜】 「好きな音楽を聴いても、深夜アニメを見ても、SNSで呟いても……なんだか消化しきれない感情ってあるじゃないすか」 【真夜】 「そんな感情を、心地のいい夜風(よかぜ)と、穏やかな夜の闇が溶かしてくれる」 【真夜】 「でも、いつも一人でいると……さすがに寂しさに襲われる事、ありませんか?」 【真夜】 「たとえ、自分は一人で生きていくと決めていたとしても。どうしても人が恋しくなる瞬間ってあると思うんすわ」 【真夜】 「そう。今のボクのように」 ;ボイス位置:2 少し近づいて顔を覗き込むように 【真夜】 「お兄さんはどうすか?」 【真夜】 「もしお兄さんが、ボクの言った事を理解出来なかった、あるいは今夜は一人でいたいと思うなら……3秒数える間に、ここから逃げ出した方が良いかもしれません」 ;ボイス位置:2 ゆっくりと言いながらさらに近づいていく 【真夜】 「さーん、にーい、いーち」 【真夜】 「はい。身柄確保」 ;ボイス位置:3 囁き 【真夜】 「捕まっちゃいましたね、お兄さん」 【真夜】 「じゃあ……今夜はボクと、夜を明かすという事で」 ;ボイス位置:3 普段の感じで 【真夜】 「ああ、そうそう。ボクの事は真夜(まよ)って呼んでください。本名か偽名かは想像にお任せします」 【真夜】 「では、よろしくお願いしますね。お兄さん」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック2:『コンビニ、買い物、金欠』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;SE:コンビニ入店音と自動ドアの音 ;ボイス位置:1 【真夜】 「あー……コンビニ来たけど、金がねぇ」 【真夜】 「まあ、口座にあるっちゃあるんすけど、真夜中にお金を下ろすと220円かかるじゃないすか」 【真夜】 「220円あったら何が出来ますか。そう、1本10円の駄菓子の棒が22本買えるんすよ」 【真夜】 「駄菓子の棒22本もあったら、男の人でも1食分くらいはしのげますよね? だから220円は尊い……」 【真夜】 「なので、たかります。お兄さんに」 ;ボイス位置:7 猫なで声で囁く 【真夜】 「お兄さん。お金ちょーだい」 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「へへへ……ほら、ジャンプしてみてくださいよ。チャリンチャリン」 【真夜】 「では、カゴにおやつを入れていくんで、これ以上はってなったら止めてください」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「ご安心ください。"お礼"はちゃんとしますから」 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「それじゃあいっちょやっちゃいますかぁ」 【真夜】 「まずはこれ、誰でも知ってる10円のお菓子。人呼んでデリシャスバー」 【真夜】 「お、納豆味あるじゃないっすか。これが結構美味しいんすよねー」 【真夜】 「悪い女の子なので、匂いを気にせず3本入れちゃいます。匂いよりも食べたいものを食べる方が大事なので」 【真夜】 「そして他の味も、2本ずつどーん!」 ;SE:10円の駄菓子を同時に複数本カゴに入れる音 【真夜】 「ほらほら、お兄さんも好きなやつを入れちゃってくださいよ」 【真夜】 「このイカのシートとかおすすめっすよ。これを噛みながら宿題をすると捗るんすわ」 【真夜】 「そういや、お兄さんは学生? 社会人? どっちにも見えますけど、作業のお供にどっすか」 【真夜】 「まあ騙されたと思って食ってみてくださいよ」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「飛びますよ……ふふふ……」 ;ボイス位置:7 普段の感じ 【真夜】 「さらにここに、翼を授けそうなドリンクを加えたら宇宙にいけますね。きっと」 【真夜】 「まあ、そこまで飛んでしまったら、もう作業どころではないでしょうけどね。はっはっは」 【真夜】 「あとはー、キャベツの名前が入っているのに、原材料名にキャベツが入っていない駄菓子とー」 ;SE:袋菓子をカゴに入れる音 【真夜】 「あとは林檎が食いたいっすね。最近のコンビニは林檎とか野菜も買えるから神」 ;SE:パック入りの林檎をカゴに入れる音 【真夜】 「ていうか、カット済みのリンゴをパックに入れて売れるようになったのって、何気にすごくないっすか?」 【真夜】 「普通、切った林檎って茶色くなっていくじゃないっすか。それがずっと綺麗なまま! 人類の進化を感じますねぇ……」 【真夜】 「あ、汁っけも欲しいっすね。缶コーヒー買って、レシートは捨てましょう」 【真夜】 「それとボクは人間の姿をした悲しい魔物のようなものなので、魔物の名を冠したエナジードリンクを入れます。カフェイン万歳。カフェインを信じろ」 【真夜】 「あとは歯ブラシを買っておきましょう。どんな時も歯は綺麗にしておいた方がいいっすからね!」 【真夜】 「では、お会計はお願いします! ごちでーす!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック3:『公園、駄弁り、駄菓子』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 同じベンチの隣に座っている 【真夜】 「たかりって、正面からやっても案外上手くいくもんすね」 【真夜】 「それともお兄さんがとてつもないお人よしなんすか?」 【真夜】 「まあ人が良さそうだから声をかけたんすけどね」 【真夜】 「今日会ったばかりなのに分かるのか、なんて思ってないすか?」 【真夜】 「分かりますよ。あなただって、夜中に外を出歩くのは初めてじゃあないでしょう?」 【真夜】 「そういうの、見てたらすぐにわかるんです。そういう事でございますよ」 【真夜】 「このまま駄弁るだけの時間を続けるのも悪くないっすけど、ぬるいエナドリは好みじゃないんで、先に頂いちゃいますねー」 ;SE:エナドリをビニール袋から出す音 ;SE:エナドリを開栓する音 【真夜】 「ごくっ……ごくっ……ごくっ」 【真夜】 「うめ〜〜っ。エナドリを飲んでいる時が、生きている事を一番実感する」 【真夜】 「こうやって、夜風に当たりながら、月を見上げてエナドリを傾けて……」 【真夜】 「深々とした夜の闇に、心を休める」 【真夜】 「昼はあまりにも騒がしくて、ボクらには眩しすぎる」 【真夜】 「だからボクたちは、真夜中に生きるしかない……」 【真夜】 「お兄さんもそうは思いませんか?」 【真夜】 「まあ、どの道。昼間にまともな人間のフリをしなければ、ボクたちは生きていけないんですけどね」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「お兄さんも、そうでしょう?」 ;SE:10円の駄菓子を取り出す音 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「この納豆味の駄菓子だってそう。みんなといる時は、定番のめんたい味やコーンポタージュ味を選ばざるを得ない」 ;SE:サクサクとふた口、駄菓子を食べる音 【真夜】 「食感は良い感じに粘り気があって、味は醤油とからしの混ざったような臨場感があって、こんなに美味しいのに」 【真夜】 「でも……人は、味よりも見た目や匂いを選ぶんすよね」 【真夜】 「そして同じ情報を食べて、同じ情報を共有する」 【真夜】 「作品もそう。みんなが大好きな作品をみんなが愛する」 【真夜】 「たとえ自分の口に合わなかったとしても、それを口には出さない」 【真夜】 「それが"まとも"な人間だから」 【真夜】 「だから深夜だけは、暗闇で自分の中の獣を自由に散歩させている、という訳です」 【真夜】 「まあ、あまりにも倫理から外れすぎると、檻に入れられてしまいますけどね」 【真夜】 「んくっ……授かった翼はほどほどに伸ばしましょう」 【真夜】 「今飲んでいるのは違うエナドリですが。ふふっ」 ;SE:10円の駄菓子を食べる音を流しながら(台詞の末などにサクッ) 【真夜】 「まあでも、結局めんたい味も普通に美味いんすけどねー」 【真夜】 「ささやかな辛さとしょっぱさと甘さが、上手いこと同居している良い例だと思うんすよ」 【真夜】 「一言で言えば、満足度が半端ない」 【真夜】 「10円でこの満足度は奇跡的じゃないすか?」 【真夜】 「遠足なら30本持っていけますよ? やばくない?」 【真夜】 「まあ、ボクが実際に持って行ったのは、今はもう売ってないヒモ状のグミでしたけどね」 【真夜】 「あれ結構好きで普通に買ってたんすけどねぇ……」 【真夜】 「諸行無常、盛者必衰……」 【真夜】 「(一分ほどただ食べたり、袋の音などを立てる時間)」 【真夜】 「そういえば、この美味しい棒の駄菓子、どの味が一番人気かご存知すか?」 【真夜】 「企業の公式サイトでは、他の駄菓子も含めたランキングで1位がコーンポタージュ味なんすよね」 【真夜】 「意外にも、めんたい味は5位。結構おいしいと思うんすけどねー」 【真夜】 「でも、コーンポタージュとめんたい味の間に、同じ駄菓子のもう一つの味がランクインしてるんすよ」 【真夜】 「何味だと思います?」 ;SE:カウントダウンをするようにサクサク食べる音 【真夜】 「正解は……チーズ味です」 【真夜】 「結構意外じゃないすか? コンビニによってはめんたい味とコンポタ味があっても、チーズだけ置いてなかったりするじゃないすか」 【真夜】 「もしかしたら、そのコンビニの店長の好みかもしんないすけど」 【真夜】 「まあボクも嫌いじゃあないんすよ。ちゃんとチーズの香りがあって美味しいですし」 【真夜】 「ワインとチーズはよく合うって聞きますし、もしかしたらワインを飲めるようになったら、評価が変わるのかもしれないっすね。大人になっても飲めるとは限らないっすけど」 【真夜】 「ちなみに6位はやさいサラダ味の駄菓子棒、7位はカツっぽいシートの駄菓子っす」 【真夜】 「やさいサラダ味、ここら辺で見たことあります? 自分は無いっすね……」 【真夜】 「カツっぽいシートの駄菓子は美味いっすよねぇ……お財布が超極限状態の時は、むしろこっちをよく食べてますわ」 【真夜】 「そうそう。順番が滅茶苦茶ですけど、2位3位の話をしましょうか」 【真夜】 「2位は魚のかば焼きをイメージしたシートっす。あれはあれで結構美味いっすよねぇ。よくべたつくんで、自分はあんまり食わないんすけど、嫌いじゃないっす」 【真夜】 「3位はですね……実は……」 ;SE:ビニール袋から 【真夜】 「さっき買った、このキャベツ。原材料名にキャベツが入っていないでおなじみの、この駄菓子なんすよ」 ;SE:お菓子の袋を開ける 【真夜】 「うーん! ソースの良い匂いっすねぇ」 ;SE:キャベ○太郎を食べる音 以降食べながら話す感じで 【真夜】 「名前の由来は、消費者の想像にお任せするスタイルらしいっすわ」 【真夜】 「名前も不思議ですけど、パッケージのキャラクターがカエルのおまわりさんなのも不思議っすよね」 【真夜】 「ほら、動物でおまわりさんって言えば犬じゃないっすか。警察犬とかもいるし番犬もいるし。まあキャベツとは結びつかないっすけど」 【真夜】 「オッケー、検索。『キャベツ 駄菓子 カエル なぜ』……」 【真夜】 「ほー……ほぉほぉ……」 【真夜】 「どうやらカエルは、キャベツの天敵を倒してくれる上に、キャベツを食べないかららしいっすねー」 【真夜】 「この感じだと、家族は家に置いて通勤してる形なんすかね?」 【真夜】 「名前とかの設定も無いみたいなので、結婚しているかどうかも分からないんすけどね」 【真夜】 「考察するなら、彼は適性で就職先を選んだタイプだと思うんすよ。だからわりと堅実なライフスタイルを選択しているんじゃないかなって。公務員ですしね」 【真夜】 「ただその反面。生来(せいらい)の真面目さから、いくつかの出会いを見落として、恋愛を経験できないまま仕事先と家を往復している日々を送っているのかもしれません」 【真夜】 「この場合は、仕事先でパートナーを見つけるか、上司の紹介で巡り合うか、お見合いをするか、なんすかねぇ……」 【真夜】 「一応、マッチングアプリっていう選択肢もありますけど、彼の性格からすると使わなさそうなんすよ。使ったら解釈違いという事で」 【真夜】 「まあ、彼にもいい出会いがあると良いっすね」 【真夜】 「ボクもフリーなのでえらそうな事は言えないんすけどね。がはは」 ;SE:パックを開け林檎をかじる音 【真夜】 「甘酸っぱさは、林檎か、創作物から摂取するだけで十分なんすよ」 【真夜】 「ほろ苦さは……」 ;SE:缶コーヒーを開栓する音 【真夜】 「ごくっ……ごくっ……ごくっ」 【真夜】 「缶コーヒーで妥協しましょう」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック4:『耳かき、右耳、膝枕』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 【真夜】 「あそこのマンション……ひとつ、またひとつと、明かりが消えていきますね」 【真夜】 「あそこにも生きた人間がいるんだなって実感するんすわ」 【真夜】 「まあ夜明けになっても、電気を点けっぱなしの所も結構あるんすけどね」 【真夜】 「電気を点けたまま寝ちゃったのか、点いていないと寝れない人なのか、それとも遊んでいるのか……」 【真夜】 「なんにせよ、みんな今は、思い思いに疲れを癒してるみたいっすね」 【真夜】 「お兄さんも、ちゃんと息抜きはしてくださいね」 【真夜】 「ほら、お礼をしますから、ボクの膝に頭を預けてください」 ;SE:頭を膝に置く音 ;ボイス位置:3 【真夜】 「……へへへ。お兄さん、無防備っすねー」 ;ボイス位置:3 囁き 【真夜】 「素直すぎると、いつか悪い女に騙されちゃいますよ?」 ;ボイス位置:3 普段の感じで 【真夜】 「まあボクがその悪い女かもしれないっすけどね」 【真夜】 「でも今日のボクは優しいので、悪い事をせずに良き事をしちゃいます」 【真夜】 「よかったですね。優しいボクは排出率1%のSSRですよ?」 ;SE:ポーチから耳かきを取り出す音 【真夜】 「ちなみにー、SRボクが好きなものを語るボクで、Rのボクが日陰にいるボク、Nのボクは……†闇†(ダガー、やみ、ダガー)っす」 【真夜】 「じゃあ、引き当てたSSRのボクをじっくりとご堪能くださいね」 ;SE:耳かきの音 浅め 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「お兄さん、人に耳かきされるの怖くないんすか?」 【真夜】 「それも出会ったばっかのボク相手に……ビッグな器っすね」 【真夜】 「そんなお兄さんのことは、ビッグブラザーって呼んだ方がいいっすかね?」 【真夜】 「じゃあビッグブラザー。耳かきをもう少し、深淵に近づけていきますね〜」 ;SE:耳かきの音 深め 【真夜】 「痛かったら言ってください。これは拷問ではなく」 ;ボイス位置:3 囁き 【真夜】 「良きことの為の行動なので」 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 ;ボイス位置:3 普段の感じで 【真夜】 「気持ちよさそうな顔。なんだかこっちも安心してしまいそうですわ」 ;SE:耳の下の方をぞりぞりとする音 【真夜】 「ここすか、ここがええんすか?」 【真夜】 「じゃあここを重点的にやってあげますね。はっ……もしかしてこれが、奉仕精神?」 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「お兄さんの顔、だんだんと溶けていって……あれっ? し、死んでる!?」 【真夜】 「良いお兄さんでした……今日会ったばっかだけど」 ;SE:もぞもぞ動く音 【真夜】 「あれ、生きてる? ああ、良かった〜」 【真夜】 「相当疲れてるんすね。あれだったらこのまま寝ちゃっても良いっすよ」 【真夜】 「まあ、寝てても話しかけ続けるので、夢の中に出てくるかもしれないすけど、そこはご了承ください」 【真夜】 「朝日が昇るころには起こしてあげますから」 【真夜】 「ほいじゃあ、また耳をかいていきますね」 ;SE:耳かきの音 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「こうしていると、なんだか青春(セイシュン)っぽいっすよね」 【真夜】 「まあ、今だと青春の訓読みをカタカナにした、『アオハル』という言葉が広まりつつありますけど」 【真夜】 「でもこの状況はあまりアオハルっぽくないなって思うんすよ」 【真夜】 「個人的なイメージでは……青春は範囲が広いですけど、アオハルは昼間から夕方なのかなって」 【真夜】 「あるいは、青春よりももっと熱い感情のことを、アオハルと呼ぶのかもしれません。若者文化難しい……ボクも若者ですが」 【真夜】 「まあ、ボクたちはボクたちでマイペースに生きましょう」 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック5:『耳かき、左耳、月明かり』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【真夜】 「じゃあ、ぼちぼち反対側を掃除しますか」 【真夜】 「動かしますね。どっこらせっと」 ;SE:頭を動かす音 ;SE:顔に手でぴたっと触れる音 ;ボイス位置:7 【真夜】 「ふふ。あったかい」 【真夜】 「お兄さんも生きた人間なんすねぇ……」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「美味しそう」 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「ははっ、冗談っすよ。あまりにも無警戒すぎるからからかってみただけっす。食べたりしませんて」 【真夜】 「ほら、肩の力を抜いてください。すー、はー。すー、はー」 【真夜】 「じゃあ、耳かき、始めますね」 ;SE:耳かきの音 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「うん、蒸れてすくいやすくなってますね」 【真夜】 「さっきよりも早く終わっちゃいそうなので、もう少しゆっくりやりましょうか」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「お兄さんも、じっくり楽しみたいでしょう?」 ;SE:耳かきの音 ゆっくりめ 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「お兄さんは、月が綺麗って言われて何を思い浮かべますか」 【真夜】 「やっぱり、愛の告白とかになっちゃいますよね」 【真夜】 「でも、考えてみて欲しいんすよ」 【真夜】 「月ってもともと綺麗じゃないっすか」 【真夜】 「なのに、同意を求めただけで愛の告白になるって、滅茶苦茶不便じゃないっすか」 【真夜】 「変えたいですけど、もう大衆がそうだと認識したものはどうしようもないんすよね。人間はちっぽけだから」 【真夜】 「はぁ。世界を変える力が欲しいっすわ」 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「今度は内側の方をぞりぞりしていきましょう」 【真夜】 「こっちもゆっくり目にね」 ;SE:耳かきの音 ゆっくりめ 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「耳垢が月明かりに照らされて綺麗……でもないっすね。耳垢は耳垢でした」 【真夜】 「まあ、好きな人からもらう塩は甘いみたいな言葉もありますし、綺麗だと思うようになってしまう事もあるかもしれませんが」 【真夜】 「そう考えると、恋は盲目というのもあながち間違いではないんでしょうね」 【真夜】 「多分、語られていないだけで、盲目以外にも色々な症状が出ているにちげぇねぇっすわ」 【真夜】 「ボクはまだ実感した事が無いっすけどね」 【真夜】 「人が人を愛するという事が、ボクにはまだ理解できないんすよ」 【真夜】 「恋愛系の創作物を摂取するのは好きなんすけどね」 【真夜】 「だから、今お兄さんの耳かきをしているのは、お礼であると同時に、実験でもあるという事なんすよ」 【真夜】 「知り合いなら尾を引くし、見ず知らずの人間だとどうなるか分からない」 【真夜】 「その点、お兄さんの事は前からよく見ていたので、大丈夫そうだなと」 【真夜】 「お兄さんもボクの事、コンビニで何回か見たりしてたでしょ? 気づいてなかったかもしれないっすけどね」 【真夜】 「まあ、お兄さんさえよければ、この夜の間は付き合ってください」 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「んー、耳垢だいぶ取れてきましたね」 【真夜】 「月明かり程度じゃ耳の奥までは見れないんで、まだ残っているかわかんないすけど……」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「お兄さんがもうちょっとやって欲しそうだから、サービス、しちゃいますね」 ;SE:耳かきの音 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「よし。こんなもんすかね」 【真夜】 「お疲れさまでした」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック6:『耳吹き、左耳、こそばゆい』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 【真夜】 「ああ、耳かきは終わりましたけど、このままで良いっすよ」 【真夜】 「この重量感、猫が乗ってるみたいで嫌いじゃないですし」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「にゃーにゃー……なんてね」 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「ウッ……自分でにゃーにゃー言うのは結構キツイっすね、あとになって反動が……」 【真夜】 「はぁ……夜風が気持ちいいっすねぇ……」 【真夜】 「ん……そうだ。いい事を思いつきました」 ;ボイス位置:7 耳に直接 【真夜】 「ふーーーーーーーーーーっ」 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「多分、風です」 【真夜】 「まあ吐息なんですけどね」 【真夜】 「最近、巷(ちまた)のカップルで密かなブームらしいっすよ。知らんけど」 【真夜】 「もしお兄さんがこのまま頭を預けるなら、同意とみなして」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「悪戯、しちゃいますね」 【真夜】 「ふーっ、ふーっ」 【真夜】 「ふふ。こそばゆいっすか?」 【真夜】 「こうやって悪戯をするの、思ったよりも楽しいっすね……」 【真夜】 「お兄さんも逃げそうにないですし、続けちゃいます」 【真夜】 「ふっふっふっふっ、ふーっ、ふーっ。すぅぅ……ふぅぅぅぅぅぅぅぅ」 【真夜】 「お兄さんはどれがお好みっすか?」 【真夜】 「この感じだと……全部っぽいっすね」 【真夜】 「じゃあ、まんべんなくやっちゃいますか」 【真夜】 「ふっふっふっふっ」 【真夜】 「(一分ほど上の感じで耳吹き 段々弱くなっていく)」 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「ぜぇ……ぜぇ……腹筋が……思ったよりも……ギヅい……」 【真夜】 「ボク、基本……家と学校の往復と、深夜に散歩するくらいしかしてないんで……貧弱、なんですわ……」 【真夜】 「へへ……ハードディスクは、破壊して、くだ……さい……バタンッ!」 【真夜】 「真夜……良い奴だった……」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「良い奴だった……良い奴だった……」 【真夜】 「ちら……ちらちらっ」 【真夜】 「よし。刷り込みは完了しましたね……ふふっ」 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「休憩はこのくらいにしておいて、再開しましょうか」 【真夜】 「今度は少し長めに。……ふーっ、ふーっ」 【真夜】 「(一分ほど上の感じで耳吹き)」 【真夜】 「ふぅ。このくらいなら疲れづらいっすねー」 【真夜】 「良い奴だった。かっこ、刷り込み、かっことじ」 【真夜】 「では、最後に、長めのやつ……いっちゃいますか」 【真夜】 「ふーーーーーーーーーーーーっ、ふーーーーーーーーーーーーっ」 【真夜】 「(一分ほど上の感じで耳吹き 時折息を吸う音 ゆっくりと吐く息が短くなっていく)」 【真夜】 「はぁ、はぁ……巷のカップルって……すごいっすね……」 【真夜】 「幸せになるコツは、肺活量なのかもしれない……」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック7:『耳吹き、右耳、夜風』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 【真夜】 「ほんじゃ、今度は反対側いっちゃいましょうか」 ;SE:頭を動かす音 ;ボイス位置:3 【真夜】 「あぁ〜夜風が気持ち〜」 【真夜】 「夜風を日中に出してくれるエアコンとか扇風機とか、発売されないっすかね」 【真夜】 「まあ、学生の金銭事情では買えないっすけどね」 【真夜】 「もういっそのこと、一日中真夜中だったら良いんですけど」 【真夜】 「それはそれで大変そうだなぁなんて思ったりします」 【真夜】 「太陽じゃ無ければ、照らせないものもありますからね」 【真夜】 「月じゃ無ければ照らせないボクらのように……」 【真夜】 「さて。こちら側もぼちぼち始めましょうか」 【真夜】 「必然性も必要性も無い、ただやりたいからやる」 【真夜】 「そんな夜も悪くないでしょう?」 【真夜】 「ふーっ、ふーっ」 【真夜】 「(一分ほど上の感じで耳吹き)」 【真夜】 「小刻みは肺が死ぬので、一番楽なパターンからやってみました」 【真夜】 「ちょっと変化をつけてみましょうか」 【真夜】 「ふっふっ、ふーっ、ふっふっ、ふーっ」 【真夜】 「(一分ほど上の感じで耳吹き)」 【真夜】 「これは正解かもしれないっすね。"答え"を得てしまったかもしれない」 【真夜】 「じゃあ最後は……」 【真夜】 「ふーーーーーーーーっ、ふっふっ、ふーーーーーーーっ」 【真夜】 「(一分ほど上の感じで耳吹き)」 【真夜】 「耳を吹くのはこのくらいにしておきましょうか」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック8:『マッサージ、両耳、オイル』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【真夜】 「ね、もう少し自分に付き合ってもらっても良いっすか?」 【真夜】 「これでも結構お兄さんの事を気に入ってきたんすよ」 【真夜】 「お人よしだし、いたずらしても怒らないどころか嬉しそうだし」 【真夜】 「あれ……もしかして、ご職業は聖人でいらっしゃる?」 ;ボイス位置:3 囁き 【真夜】 「今くらいは肩の力を抜いても良いんですよ」 【真夜】 「ここにはボクとお兄さんだけしかいませんからね」 【真夜】 「だから。……おっこいせ」 ;SE:起き上がる音 ;SE:ポーチからベビーオイルを取り出す音 ;ボイス位置:1 【真夜】 「このベビーオイルで、耳をマッサージしてあげますね」 ;SE:ベビーオイルを手に垂らす音 ;SE:オイルを手に馴染ませていく音 【真夜】 「これで耳をマッサージすると、結構良いんすよ。やっている間は気持ちーし、終わった後は頭がすっきりして」 【真夜】 「有り体に言えば、キマります」 【真夜】 「まあ百聞は一見に如かず、物は試し、世は全てこともなし」 【真夜】 「やってみて合わないなって思ったら遠慮なく言ってください」 【真夜】 「自分の好きなものを共有出来ないのは少し悲しいですけど、それは仕方の無い事です」 【真夜】 「では始めますね」 ;SE:両耳に指が入ってくる音 【真夜】 「まあ、まずは軽めに」 ;SE:指が動いていく音 浅くゆっくり 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「どうすか? 今んところ、不快感は無い?」 【真夜】 「次の五択からお答えください。『はい、いいえ、分からない、多分そう部分的にそう、多分違うそうでもない』」 【真夜】 「ん、どうやら大丈夫そうっすね」 【真夜】 「じゃあもうちょっとディープな感じにしちゃいますか」 ;SE:指が動いていく音 深くゆっくり 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「おめでとうございます。あなたは適合者に選ばれました」 【真夜】 「じゃあ、ここからは普段ボクがやってるように、お耳をマッサージしていきますね」 ;SE:指を入れながら耳全体を揉むようにマッサージする音 先ほどよりも少し早めに 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「耳には色々神経が通ってるんすよね」 【真夜】 「だからここをマッサージする事で、色々な効果が期待できるんすよ」 【真夜】 「お兄さんに関係ありそうな効果は……ストレス軽減と、眼精疲労をやわらげる効果とか?」 【真夜】 「あと、あれっすね。安眠効果もあるみたいっすよ」 【真夜】 「ボクも寝る前によくやってます。まあ、散歩してからじゃないとあんまり効果を感じないっすけど。話半分に聞いといてください」 【真夜】 「もう少し強めにやるんで、痛かったらアレで」 ;SE:マッサージをする音 強め 力を込めるようにゆっくり 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「ん、マッサージはこんなもんすかね」 【真夜】 「まだ少し物足りないっすか? じゃあ最後にもうちょっとだけ……」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「お耳を気持ちよくするだけのマッサージ、しちゃいますね」 ;SE:指が動いていく音 浅め深めを繰り返す ゆっくりめ 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 ;ボイス位置:1 普段の感じで 【真夜】 「やりすぎると体に良くないですからね、この辺りで終わりにしておきましょう」 ;ボイス位置:3 囁き 【真夜】 「機会があったら、またやらせてくださいね?」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック9:『水飲み場、歯磨き、二人羽織』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:1 【真夜】 「ふう。一服一服」 【真夜】 「お兄さん眠そうですし、そろそろ寝ます?」 【真夜】 「じゃあ寝る前に、歯磨きしましょうか」 【真夜】 「歯磨きもボクに任せてくださいよ」 ;SE:公園の蛇口をひねる音 ;ト書き:少し間を置いてから 【真夜】 「よし、このくらい出したら新しい水に替わってますよね」 【真夜】 「お口をゆすいでくださいね」 ;SE:口をゆすぐ音 ;SE:上が終わってから歯ブラシを水に通す音 【真夜】 「ほいじゃ、始めますわ」 ;ボイス位置:1→3→5 移動しながら 【真夜】 「後ろに回って〜〜〜……こんな感じで」 ;SE:歯を磨く音 左奥歯 【真夜】 「こうして後ろから歯を磨いてると、二人羽織(ににんばおり)みたいっすね」 【真夜】 「まあ。自分、器用ですから、ご安心ください」 ;ボイス位置:5 後半は乾いた笑い 【真夜】 「人間としては不器用ですけどね、はっはっは。あはは……」 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「ちょっと、頭に頭を乗せますね」 【真夜】 「ふう。落ち着く……じゃなくて、こんくらい近い方がやっぱり磨きやすいっすね」 【真夜】 「傍から見たら、あいつら何やってんだみたいになりそうですけど。まあ気にしないでください」 ;SE:歯を磨く音 右奥歯 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「いきなりですけど、サイボーグの定義って知ってますか?」 【真夜】 「広い意味で言うと、生物の身体に人工物を埋め込んだりすると、サイボーグって言うらしいっすよ」 【真夜】 「だから、銀歯がある人はサイボーグって事になりますね」 【真夜】 「コンタクトレンズの人もおそらくサイボーグですね」 【真夜】 「眼鏡の人は……どっちなんでしょうね」 【真夜】 「まあ、そんな感じの豆知識でした」 ;SE:前歯を磨く音 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「歯を磨く時って、どうしても今日一日あった事を考えちゃいますよね」 【真夜】 「お兄さんはどんな一日でした? ボクは……まあいつも通りでしたわ」 【真夜】 「サブスクで好きな曲を聞いて、サブスクで今期のアニメを見て、サブスクでテキトーに漫画を読んでましたわ」 【真夜】 「どうも、生活をサブスクサービスに支配された人間です」 【真夜】 「最近はご飯を配達してくれるサービスも流行ってますし、たった10年で時代は大きく変わるもんすねぇ……」 【真夜】 「今から10年後はどうなるんでしょうね。生きてんのかな」 【真夜】 「もしかしたら、家の中だけで全部完結する時代が来るようになるかもしれません」 【真夜】 「学校も仕事も食事も娯楽も、何もかも」 【真夜】 「そうなったら平安時代みたいに、顔を見たことのない相手に手紙を送って、婚活したりするようになったりするんすかね?」 【真夜】 「今だと手紙よりは、趣味が合う人とSNSのメッセージで〜、ってのがよくありそうですけど」 【真夜】 「まあ、ボクは結婚する気無いんで、あんまり関係ないかな」 【真夜】 「でも……創作物の恋愛は、なんだかんだこれまでの感じであって欲しいとも思ってます」 【真夜】 「さらに10年20年経てば、現代の恋愛模様はファンタジーのような扱いになってしまうかもしれませんけどね」 【真夜】 「10年後、ボクは……好きなものを好きなままでいれるでしょうか」 【真夜】 「好きなままで、いれるといいな」 【真夜】 「閑話休題。そろそろお口をリフレッシュしましょう」 ;SE:口をゆすぐ音 【真夜】 「あとは裏側をシュッシュしないといけませんねぇ」 【真夜】 「自分で磨くのも結構大変な部分ですけど、まあぼちぼち頑張ってみますよ」 ;SE:裏側の歯全体を磨く音 【真夜】 「(二分ほど息遣い)」 【真夜】 「ふう……苦しい戦いだった」 【真夜】 「お兄さんもお疲れさまでした」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック10:『朝焼け、睡眠、頭撫で』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:5 【真夜】 「じゃあ、ぼちぼち寝るとしましょうか」 ;SE:ベンチに座る音 ;ボイス位置:9 【真夜】 「ほら、ボクの膝使って良いっすよ」 【真夜】 「ご心配なく、ボクはエナドリと缶コーヒーで目がギンギンに覚めているので、寝られないんすよ」 【真夜】 「客観的に見てアホかもしれません……でも、カフェインをキメている瞬間だけが、"生きてる"って感じられるので」 【真夜】 「だから、ボクの分も眠ってください。ボクは星空を見上げながらぼーっとしておきますから」 ;SE:頭を膝に乗せる音 ;ボイス位置:3 【真夜】 「お兄さん。ボクの膝、枕としてどうっすかね」 【真夜】 「一応体形にはそこそこ気をつかってるんすよ。深夜に散歩しておやつ食う事もそこそこありますからね」 【真夜】 「まあ腹筋が割れるほどは頑張ってないっすけど」 【真夜】 「そこそこの柔らかさであれば、まあ良いかなって思います」 【真夜】 「気に入ったら買い取っても良いっすよ。1日2000円で」 【真夜】 「いや……このまま8時間、膝の上で寝られる事を考えると……時給1000円に、深夜料金をプラスした方がいいかも……?」 【真夜】 「1250、かける8……10000円になりまーす!」 【真夜】 「あれ? もしかしてこの仕事って、一か月で30万稼げる……? 天才的な仕事では?」 【真夜】 「お兄さんの専属枕に就職しちゃうかぁ〜」 【真夜】 「ああ、すみません、こんなに騒いでたら寝れないっすよね」 【真夜】 「冗談ですのでご心配なく。起きたら財布の中身が無いなんて事も無いっすよ」 【真夜】 「あれだったら、ガッコも住んでるとこも近所なんで、すぐに特定できちゃいますし?」 【真夜】 「というわけなので、背中はお任せください」 【真夜】 「子守歌は歌えませんけど、代わりにたわいのない話をして」 ;SE:頭を撫でる音 継続 【真夜】 「眠りにつくまで、頭を撫で続けてあげますから」 【真夜】 「ふぅーむ。さて、眠りのお供に、なんの話をいたしましょうか」 【真夜】 「お兄さん、今日はぐっすり眠れそうっすか?」 【真夜】 「本当は……お兄さんに声をかけるつもりは、あんまり無かったんすよ」 【真夜】 「でもなんか……いつも見かけるより少し暗かったので、気になって」 【真夜】 「何があったかは言わなくて大丈夫っす」 【真夜】 「生きていれば、辛い事の一つや二つあると思うんで」 【真夜】 「雨の無い人生なんて無いっすからね。ボクみたいなのはいつも曇り空をキープしてますけど」 【真夜】 「そりゃあね、個人差はどうしても出てきますよ。同じ人間はいませんから」 【真夜】 「この世界はやはり、どうしても理不尽であるって事を受け入れないと、生きていけないと思うんすよ」 【真夜】 「ボクはそんなに人生経験があるわけじゃないですけど、大人だろうと子供だろうと、理不尽が降りかかる事はある」 【真夜】 「かくいうボクも、子供なりに色々ありました」 【真夜】 「大人になったら忘れてしまうかもしれませんけどね」 【真夜】 「忘れられるのなら、まだ幸せなのかも」 【真夜】 「ささやかなきっかけや、ふとした拍子に、過去の理不尽がトラウマとして蘇る事もあるかもしれません」 【真夜】 「でも……こうして夜風に当たりながら、物思いにふけっている間は、そういういろんな事、全部忘れられるんです」 【真夜】 「お兄さんは、忘れる事が出来ましたか?」 【真夜】 「もしそうであるなら、幸いです」 【真夜】 「こうして知り合ったわけですし、また真夜中にお会いしたらお話でもしましょう」 【真夜】 「お望みなら、耳をかく事も、耳を吹く事も、耳をマッサージする事もしてあげますから」 【真夜】 「その際はもちろん、コンビニで駄菓子とか奢ってもらっちゃいますけどね」 ;ボイス位置:3 囁き 【真夜】 「期待、しててください」 【真夜】 「また会える日を心待ちにしていますよ」 【真夜】 「案外、すぐの事かもしれませんけど。それはそれで」 【真夜】 「ふふ……だんだん身体の力が抜けてきましたね」 【真夜】 「はい。おやすみなさい。夢でまた会いましょう」 【真夜】 「(三分ほど息遣い)」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック11:『おまけ。後日談、耳かき、左耳』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;SE:玄関の扉が閉まる音 ;ボイス位置:1 【真夜】 「ちゃーす、どうも〜」 ;SE:歩く音 ;SE:蛇口で手を洗う音 【真夜】 「いや〜。まさかお兄さんとボクが、ここまで仲良くなれるとは思ってませんでしたよ」 【真夜】 「世の中どうなるか分からないもんすねぇ……」 【真夜】 「がらがら〜、がらがら〜、ぺっ」 【真夜】 「ふー……もしかすると、来年にはもっと深〜い関係になってるかもしんないすね」 【真夜】 「ま、そいつは神のみぞ知る、といったところっすかね」 ;SE:冷蔵庫を開ける音 【真夜】 「お。今日もごちそうがたくさん。ありがてぇ……」 ;SE:冷蔵庫を閉じる音 【真夜】 「ふう。にしてもまったく、変な関係になったもんすわ」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「ってことで……今日も耳かき、しましょうか」 ;SE:ソファに座る音 ;SE:膝に頭を預ける音 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「声をかけた夜よりも、さらに無警戒になりましたね、お兄さん」 【真夜】 「あれから結構経ちましたけど……いつまでもそんなんだと、変な女に引っかかっちゃいますよ」 【真夜】 「ボクが一番変というのは否定できないすけどね。がはは。誰が変な女じゃい」 【真夜】 「ああ、そういえば。『星が綺麗ですね』っていうのも、他の意味を含んでるらしいっすよ。この間調べて知りました」 【真夜】 「まあ、意味はサイトとかによって違うんで、こじつけかもしんないんすけどね」 【真夜】 「伝わるか分からないような言葉を使うなら、ストレートに言った方がよっぽど響くんじゃないかなぁと思うんすけどね」 【真夜】 「奥ゆかしいんだか、臆病なんだか」 【真夜】 「最近は臆病になる気持ちも、わからなくも無いんすけど」 【真夜】 「あーあーあー、なんでもないっす。喋ってばっかじゃなんですし、行きますよ」 ;SE:耳かきの音 浅め 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「もうこうやって耳かきするのもすっかり慣れましたね」 【真夜】 「じゃ、いつものように、奥の方いっちゃいますよ」 ;SE:耳かきの音 深め 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「何度もやっている内に、お兄さんが好きなツボが段々分かってきましたよ」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「お兄さんが好きな所、思いっきりぞりぞりしちゃいますね」 ;SE:耳かきの音 最深部をぞりぞり 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 ;ボイス位置:7 普段の感じで 【真夜】 「ほいじゃ、こっちはこのくらいで」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック12:『おまけ。後日談、耳かき、右耳』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 【真夜】 「反対側やりますよー、ごろんとしてくださーい」 ;SE:頭を動かす音 ;ボイス位置:3 【真夜】 「あーい。どもども」 【真夜】 「んじゃ、始めます」 ;SE:耳かきの音 浅め 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「幸せそうな顔してますねぇ……」 【真夜】 「ボクもそんな顔が出来るようになると良いんすけどね」 【真夜】 「いや、まあ。……顔は仏頂面でも、今の状況は案外気に入ってるんすよ?」 【真夜】 「可愛い笑い方を忘れた悲しい生き物なので」 【真夜】 「まあいつかお兄さんに可愛い笑顔を見せてやりますよ。なんかの機会にね」 【真夜】 「じゃーもう少し深めの所ほじりますね」 ;SE:耳かきの音 深め 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「ん、耳も綺麗になりましたね」 【真夜】 「あとはちょっとだけ、サービスっす」 ;SE:耳かきの音 最深部をぞりぞり 【真夜】 「(一分ほど息遣い)」 【真夜】 「うい。これでおーしまいっ」 【真夜】 「やりすぎは身体に毒っすからねぇ」 【真夜】 「また今度耳かきしましょう」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック13:『おまけ。後日談、耳吹き、右耳』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【真夜】 「耳かきついでに、耳をふーふーしちゃいます」 【真夜】 「これで顧客満足度ナンバーワンっすね!」 【真夜】 「まあシェア率はお兄さんオンリーなので、業界最下位ですけども」 【真夜】 「専属の耳吹き師としては、負けられない戦いがそこにあるんすよ」 【真夜】 「誰と戦うのかって? んー……自分自身っすかね?」 【真夜】 「まあ実際、あれから腹筋も五億分割、かっこ嘘かっことじ、するくらいには鍛えたんで、前みたいに息切れする事は無いっすよ」 【真夜】 「ものは試し、やってみましょう」 【真夜】 「ふっふっふっふっふっふっふっ」 【真夜】 「(一分ほど上のような耳吹き)」 【真夜】 「ふっ……どうっすかこの感じ。完璧超人では?」 【真夜】 「今度は新技のお披露目といきましょうか……いきますよ」 【真夜】 「ふぅ〜、ふっ、ふふふっふふ、ふー、ふっふっふー」 【真夜】 「(一分ほど上のような耳吹き 不規則であれば大丈夫です)」 【真夜】 「いかがっすか〜? ボクは今もなお、進化を続けているという訳ですよ」 【真夜】 「これはいわば、戦いの中で成長するのと同じ……!!」 【真夜】 「自分の底知れないポテンシャルが恐ろしい……ッ!!」 【真夜】 「じゃあトドメは、こんな感じで……」 【真夜】 「ふーーーーーーーーー。ふーーーーーーー!! ふーーーーーー」 【真夜】 「(一分ほど強弱をつけた一息長めのふーーーーーーー)」 【真夜】 「ふふふん。対戦ありがとうございました」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック14:『おまけ。後日談、耳吹き、左耳』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【真夜】 「では次の対戦にいきましょう。お相手は〜」 ;SE:頭を動かす音 ;ボイス位置:7 【真夜】 「はい、お兄さんの左側ですね」 【真夜】 「あー、いい耳してますね。これは大変な闘いになりそうです」 【真夜】 「こちらは先発長め、次鋒に小刻み、最後に優しげでいきましょうか」 【真夜】 「では、対戦よろしくお願いします」 【真夜】 「ふーーーーーーーーーっ、ふーーーーーーーーっ」 【真夜】 「(一分ほど上のような耳吹き)」 【真夜】 「ところで……この対戦なんですが、どうすればボクの勝ちなんでしょうね?」 【真夜】 「ボクから対戦しかけておいてあれなんですけど」 【真夜】 「まあ、お兄さんが気持ち良かったらボクの勝ちという事で……気が向いた時に、高級レストランのディナーでも奢ってください」 【真夜】 「ボクが負けた場合は……今度手料理を振る舞いますよ」 【真夜】 「お菓子ばっか食ってますけど、これでも一応オムライスとかには自信があるので」 【真夜】 「まあ勝ち負け関係なく、お兄さんが望むなら作ってあげないこともないですけどね」 【真夜】 「では、対戦を再開していきましょう」 【真夜】 「ふっふっふっふっふっふっふっふっふっ」 【真夜】 「(一分ほど上のような耳吹き)」 【真夜】 「うーん、いい反応。次鋒は結構いい仕事したんじゃないですか?」 【真夜】 「じゃあ、畳みかけていきますよ」 【真夜】 「ふぅぅぅぅぅぅぅぅ……ふぅぅぅぅぅぅぅ……」 【真夜】 「これまで強かった耳吹きから一転、くすぐったく感じるくらいに優しい吐息……」 【真夜】 「これでお兄さんをノックダウンというわけなんですわ」 【真夜】 「(一分ほど二個上のような耳吹き)」 【真夜】 「ふぅぅぅ……。対戦ありがとうございました」 【真夜】 「まあ勝ち負け関係なく、今度レストランにはいきましょうね」 【真夜】 「あなたが負けたと思ったんなら、豪華なディナーにしてくださいよ?」 ;ボイス位置:7 囁き 【真夜】 「楽しみにしてますよ。お兄さん」