・タイトル:美少女吸血鬼は眷属のあなたを癒したい。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■トラック1「目覚め――まずはほこりを落としてやろう」(耳かき//耳吹き) ―――――――――――――――――――――――――――――― //心配そうに //ボイス位置:1(くぐもった声で) 【あやめ】 「……い、おい、聞こえているか?」 //音がクリアになって、 【あやめ】 「おっ、どうやら目が覚めたようだね」 【あやめ】 「おっと、そのまま。まだ身体を上手く動かせないだろうから、その体勢のままで聞いてくれ。そう、仰向けで寝ているままでだ」 //芝居がかった感じで、 【あやめ】 「(咳払い)……さて、おそらく気付いていないだろうが、君は一度死んだ。死因は……まぁ、三文小説でお決まりの交通事故だとでも思ってくれたまえ」 【あやめ】 「そして、それを僕が蘇生させた。もっとも、以前と同じように人間としてではない」 【あやめ】 「そう、いわゆる吸血鬼の眷属、というやつだよ」 //ボイス位置:2 【あやめ】 「っと、自己紹介が遅れたね。僕はあやめ、伏見あやめ。吸血鬼だ」 【あやめ】 「僕は物心ついたときから吸血鬼でね、一人で夜の街をずっと生きてきた」 【あやめ】 「ところが昨晩、偶然にも死にたてほやほやの君と出くわしてね」 //少し申し訳なさそうに 【あやめ】 「つい出来心で、思わず眷属にしてしまったんだ。すまない」 【あやめ】 「その代わりと言ってはなんだが、これから主人として君の世話をしていくつもりだ。慣れない眷属生活、ちゃんと君が一人前の吸血鬼になれるまで、面倒を見ていこうと思う」 【あやめ】 「どうだい、まだ身体が重いだろう? 僕の力に馴染んでいないんだ。でも安心してくれていい。動けないあいだは僕に任せておくれ」 【あやめ】 「君の身体はとても汚れている。さっき言っただろう? 事故で命を落としてしまった、と。だから、まずは身を清めてあげないとね」 【あやめ】 「おっと、その前に……やらなくちゃいけないことがあるんだった」 //芝居がかった感じで、 【あやめ】 「なぁに、簡単なことだよ。主人に力を与えると同時に、その繋がりを保持するための、血液を対価とする魂の契約……分かりやすく言えば吸血行為だ」 【あやめ】 「なんだか不思議そうな顔をしているが、何も難しい話じゃない」 【あやめ】 「まだ君は生き返ったばかりで、その身体は吸血鬼でも人間でもない中途半端な存在だ」 【あやめ】 「そんな君の面倒を見るために、僕自身が力をつける必要があるわけだが……そのために吸血鬼は血を吸わなくちゃならない」 //芝居がかった感じで、 【あやめ】 「でも、そこら辺にいる奴の血を吸ったら、僕は人殺しになってしまうだろう?」 【あやめ】 「いくら吸血鬼といえども、ご覧の通り見てくれは人間、この世の中に溶け込んで暮らさなきゃいけない身だからね。余計なトラブルは起こしたくないんだ」 【あやめ】 「だから僕は君の血を吸う。眷属である君の血なら、いくら吸っても問題はないからね」 【あやめ】 「身勝手な言い分で申し訳ないが……君ももう一度死んでしまうのは避けたいだろう? そのためにも、君の血を吸わせてほしい……いいかな?」 【あやめ】 「……ふふ、ありがとう。君が物分かりの良い眷属で助かったよ」 【あやめ】 「それで、だ。血を吸うと言っても、色々と方法がある。というわけで……まずは君の耳を使わせてほしい」 【あやめ】 「普通こういうのは、首筋がセオリーじゃないのか?と君も思うだろうが、あいにく君はまだ蘇生したばかりだ」 【あやめ】 「今は身体の末端、比較的負担の少ない場所から血を吸うのが、君を傷付けないための最善策だと思ってね」 【あやめ】 「話は理解できたかな? では下準備に、君の耳掃除から始めよう」 //ボイス位置:3 【あやめ】 「まずは、右耳からだ。耳かき棒を入れるから動くんじゃないぞ? 動いたら怪我をしてしまうかもしれないからな」 //SE:耳かき音(30秒ほどオンリーで聞かせてから、セリフを被せる) //楽し気に、 【あやめ】 「……ん……ふふ、どんどん汚れが取れていくぞ。生前の君は、あまりこまめに耳かきをしないタイプだったのかな? これならもっと念入りにやらなくてはならないな」 //SE:耳かき音(外側からより中へ、15秒ほど聞かせてからセリフIN) 【あやめ】 「ふぅ……ふふふ。こんなに掃除のし甲斐がある耳は初めてだ。……いや、そもそも人の耳掃除なんて、ほとんどしたことないのだけどね」 【あやめ】 「ここ百年は一人で過ごしていたから……こうやって誰かと話すこと自体、本当に久しぶりだ」 【あやめ】 「こうして……おいしそうな耳を、指先でくりくりといじるのもね」 【あやめ】 「ああ。早くこの、やわらかそうな耳たぶを噛ませてもらいたいなぁ……どんな味がするのだろう? とても楽しみだよ……ふふふ」 //SE:耳かき音(ここまで) 【あやめ】 「さて、そろそろいい頃合いかな。そのまま動くんじゃないぞ? 仕上げに梵天で……」 //SE:梵天(20秒ほど) //ボイス位置:3(至近距離に寄って) 【あやめ】 「……うん、いいだろう。そして最後に……」 【あやめ】 「(吐息)」 //ボイス位置:3(元の位置に) 【あやめ】 「ふふ、どうだい? 耳掃除の後は息を当てるのが相場だと聞いていたからね。これでさらに綺麗になっただろう」 【あやめ】 「それでは、反対の耳に移ろうか」 //SE:移動する音 //ボイス位置:7 【あやめ】 「おお。こちらの耳もなかなかだね……。君は代謝が良いのかな? 細胞の移り変わりが激しいから、耳もどんどん汚れていってしまうのだろう」 【あやめ】 「安心してくれ。僕が責任を持って綺麗にするさ。じゃあ、始めることにしよう」 //SE:耳かき音(30秒ほどオンリーで、その後セリフIN) 【あやめ】 「今さらだが、君は耳かき棒と綿棒、どちらが好みなのかな?」 【あやめ】 「してほしいことがあったらなんでも言ってくれよ。僕は君のご主人様だからね。眷属の望みを叶えるのは、主人である僕の役目だ」 //SE:耳かき音、徐々に中に入っていく(15秒ほどオンリーで、その後にセリフIN) 【あやめ】 「まぁ今のところ、満足してくれているようでよかった。耳かき棒のカリカリとした感覚、とても気持ちがいいだろう?」 【あやめ】 「君にストレスをかけないためには、これを使うのが正解のようだ。ストレスが過度にかかってしまうと、血の質も落ちてしまうからね」 【あやめ】 「うん……よし。これで耳掃除は終わりだ」 //ボイス位置:7(至近距離) 【あやめ】 「では、仕上げに梵天で……」 //SE:梵天(20秒ほど) //恍惚とした感じで、 【あやめ】 「ふふふ……気持ちいいかい? では、僕の息もプレゼントしてあげよう」 【あやめ】 「(吐息)」 【あやめ】 「よし、これで綺麗になったな」 【あやめ】 「それでは……お待ちかねの血を吸わせてもらうとしよう。今日はこちらの耳たぶから……」 //少しあどけない感じで、 【あやめ】 「いただきます」 【あやめ】 「(甘噛み)」 //甘噛み、20秒ほど続けて、満足したかのように終わる //ボイス位置:7(元の位置に戻って) 【あやめ】 「ごちそうさま」 //満足した感じで、 【あやめ】 「君の血、とても美味しかったよ。身体中を駆け巡って気持ちがいい……君が僕の一部になったことを、改めて実感するね」 【あやめ】 「……うん、顔色もどうやら問題なさそうだ。これからも時折、こうして血を吸わせてもらうよ」 【あやめ】 「そういうわけで。これからよろしくな、眷属くん」 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■トラック2「施術――君の身体をほぐしてあげよう」(全身マッサージ) ―――――――――――――――――――――――――――――― //優しめに、 //ボイス位置:1 【あやめ】 「おはよう、眷属くん。調子はどうだい?」 【あやめ】 「君が第二の生を得て早数日が経ったが……もうちゃんと目は開いているし、身体も徐々に動かせるようになってきたみたいだね」 【あやめ】 「おっと、まだ無理をしてはいけないよ。まだ精神も肉体も、僕の力に慣れていないのだから」 【あやめ】 「……おや。どういうことか分からない、という表情をしているね? いい機会だから、改めて説明しよう」 【あやめ】 「最初にも言ったように。眷属というのは、吸血鬼と人間の中間に位置する存在だ」 【あやめ】 「吸血鬼の僕は人の血を吸えるが、今の君にはまだできない。もちろん、眷属を作ることもね」 【あやめ】 「しかし、君もいずれは吸血鬼として、立派に独り立ちする日が来るだろう」 【あやめ】 「そのためには、君自身がもっと僕の力に慣れなくちゃならない。君が一人前の吸血鬼になるためには、まだまだ僕の世話が必要だということだ……わかったかい?」 【あやめ】 「それに、君は一回死んだ。固まってしまった体をほぐしてやらなきゃいけないんだ。つまり、生きている人間が眷属になるよりも、一つ手順が多いというわけさ」 【あやめ】 「だから、今日も僕が直々に、君の身体をマッサージしてあげよう」 //優し気に、 【あやめ】 「ふふ、恥ずかしがらなくても大丈夫だよ。僕に全て任せるといい。ではまず、うつ伏せになってくれるかい?」 //SE:ソファの上にうつぶせになる //ボイス位置:5 【あやめ】 「最初は、背中のマッサージからしていくよ」 //SE:オイルボトルを空けて、手のひらにオイルを出す 【あやめ】 「マッサージ用のオイルを、こうして手のひらに馴染ませて……」 【あやめ】 「腕の付け根から、肩甲骨周り。背骨の両サイドから腰の方に向かって、ゆっくりと筋肉をほぐしていこう」 //SE:背中を手でほぐしていく(20秒ほどオンリーで、その後セリフIN) //恍惚とした感じで、 【あやめ】 「ふふっ、気持ちいいかい? 見ているこちらも思わずにやけてしまうくらい、とろけた表情(かお)をしているよ」 【あやめ】 「痛かったらすぐに言いなよ。やり過ぎは良くないけれど、こうやって両手で念入りにほぐしてやらないと、上手く身体が動かないからね」 //ここまで、背中の施術 【あやめ】 「よし、と。……次に、肩と首を指先で押していくよ」 //SE:首の指圧(15秒ほどオンリー、その後セリフIN) //少ししんどそうに、 【あやめ】 「ん……これは、相当に厄介なコリだね。なかなかの強敵だ……」 【あやめ】 「仕方ない、こっている部分を一ヶ所ずつ指圧してから揉んでいくことにしよう」 //SE:肩の指圧 【あやめ】 「いち、に、さん、よん……いち、に、さん、よん……」 【あやめ】 「今度はもう少し下のところを……いち、に、さん、よん……いち、に、さん、よん……」 //指圧はここまで、 【あやめ】 「これでどうかな? じゃあ、肩と首を揉んでいくよ」 【あやめ】 「まずは肩から」 //SE:肩もみ(15秒ほどオンリー、その後セリフIN) //甘ったるい感じで、 【あやめ】 「どうだい? 痛くないかい……?」 【あやめ】 「君の肩、とてもこっているね……これは念入りにやらないと……」 【あやめ】 「いち、に……いち、に……いち、に……いち、に……」 //肩もみここまで 【あやめ】 「これでよし。次は首を揉んでいこう」 //SE:首もみ(15秒ほどオンリー、その後セリフIN) 【あやめ】 「知ってるかい? 首の付け根の部分は、とてもこりやすいところなんだ。こうやって入念に揉んであげることで、血流が良くなって、君の血も美味しくなるというわけだ」 //柔らかい感じで、 【あやめ】 「ほら。僕が揉んでいるところ、だんだん温かくなってこないかい? 僕の指にも、君の体温がじんわりと伝わってくるよ」 【あやめ】 「首の付け根が終わったら、今度は首筋も……」 【あやめ】 「肩の方から頭の方に向かって、ゆっくりと丁寧に」 //首もみここまで 【あやめ】 「……よし、こんなものかな」 【あやめ】 「肌にうっすらと赤みがさしてきたね。血の巡りが良くなって、気分も明るくなってきたんじゃないかな?」 【あやめ】 「じゃあ、次は頭皮をマッサージしよう。こっちも念入りにやっていくよ」 【あやめ】 「また追加でオイルをつけて……」 //SE:ボトルを開けて、手のひらにオイルを付ける 【あやめ】 「はじめるね」 //SE:頭皮マッサージをはじめる(20秒ほどオンリー、その後セリフIN) //少し声色を変えて、 【あやめ】 「気持ちいいですか? 痒いところがあったら仰ってくださいね?」 【あやめ】 「……って、よく美容師さんが言うけどさ。的確にどこですって言うの、大変だと思わないかい? もうちょっと右とか、もっと左のほうとか、アバウトな言葉になってしまいがちだよね、どうしても」 //10秒ほど間を空けて、 【あやめ】 「……お。この辺かい? それともこっち? あはは、やっぱりアバウトだ。とりあえず、全体を重点的に指圧していくね」 //SE:10秒ほどオンリーで聞かせてから、頭皮マッサージ終わり 【あやめ】 「よし……これでマッサージはおしまいだ。あと少ししたら、君の体も思うように動かせるようになるだろう」 【あやめ】 「君の回復を祈っているよ、眷属くん。今日はゆっくりおやすみ」 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■トラック3「混浴――一緒にお風呂に入るとしよう」(混浴) ―――――――――――――――――――――――――――――― //ボイス位置:2 【あやめ】 「眷属くんもようやく、満足に身体を動かせるようになってきたみたいだね。どうやら予想以上に、僕と君の相性は良かったみたいだ」 【あやめ】 「食欲も出てきたみたいだし……これなら外を出歩いても問題なさそうかな。うんうん、よろしい。君はもう、立派な僕の眷属だ」 【あやめ】 「ところで、よくよく考えてみれば……君は生き返ってから、まだ一度も湯浴みをしていないね」 【あやめ】 「もっとも、これまで身体を動かすのにも何かと不自由していたから、無理のないことなんだが」 【あやめ】 「よし、今日は一緒にお風呂に入ろう。僕としても、清潔な身体から血を吸う方が気分がいいからね」 【あやめ】 「お湯はもう溜めてあるから、先にシャワーを浴びていてくれたまえ。僕は準備をしてから行くから、それまで待っているんだよ? ふふ……」 //SE:歩く音 //SE:シャワーの音(30秒ほどオンリーで、その後セリフIN) //SE:ノック音 //ボイス位置:9 【あやめ】 「お待たせ眷属くん、入らせてもらうよ」 //SE:ドアを開ける音 //にやにやとした表情で、 【あやめ】 「……おや。随分と顔が赤いね? シャワーだけでのぼせてしまったのかい? それとももしかして……僕を見て興奮してしまったのかな?」 【あやめ】 「ふふ。自惚れるわけではないが……一般的な美醜の観点から見ても、僕の容姿はそれなりに優れているほうだろう?」 //からかうような感じで、 【あやめ】 「……沈黙もまた答えなり、というところかな? ……ふふ、悪い悪い。君の反応が可愛らしくて、つい意地の悪いことを言ってしまったよ。すまないね」 //優し気に、 【あやめ】 「うん。ちゃんとシャワーを浴びていたみたいだね、偉い偉い。じゃあ今から、君の全身の汚れを落としてあげよう」 //ボイス位置:1 【あやめ】 「最初は、頭から洗っていくよ」 【あやめ】 「シャンプーを手に取って……両手でよーく、泡立てていくね」 //SE:濡れた手を擦る音 【あやめ】 「……よし。頭をこっちに傾けてくれるかい?」 //SE:洗髪音(20秒ほどオンリー) 【あやめ】 「どうだい? 気持ちいいかい?」 【あやめ】 「痒いところがあれば、遠慮なく言うんだよ?」 //少し子供っぽい感じで、 【あやめ】 「……うーん、久しく洗ってなかったからか、なかなか泡立たないね。仕方ない。一度シャワーで流して、もう一度シャンプーをつけよう」 //SE:シャワー音(20秒ほど) 【あやめ】 「ちゃんと洗い落とせたね。じゃあ、もう一度シャンプーを手に取って、両手でよーく泡立てて……」 //SE:濡れた手を擦る音 【あやめ】 「洗っていくよ、眷属くん」 //SE:洗髪音(20秒ほどオンリー) 【あやめ】 「うん、今度はちゃんと泡立つね」 //少し子供っぽい感じで、 【あやめ】 「横の生え際から、頭のてっぺんに向かって。爪を立てないように優しく、しゃかしゃか……しゃかしゃか……」 【あやめ】 「ふふ。さっきより触り心地が滑らかになってきたね」 【あやめ】 「よし、こんなものかな。シャワーで泡を洗い流そう」 //SE:シャワー音(20秒ほど) //優し気に、 【あやめ】 「髪の毛がキラキラしているね。ちゃんと綺麗になったご褒美に、頭を撫でてあげよう。よしよし……なでなで……」 【あやめ】 「さて、次は背中だ。ボディタオルを濡らして、ボディソープをつけて、泡立てていくよ」 //SE:タオルを擦り合わせる音 【あやめ】 「うん、泡立ってきた。背中を僕の方に向けておくれ」 //SE:後ろを向く音 //ボイス位置:5 【あやめ】 「痛くないよう、最初はゆっくりと擦っていくね」 //SE:タオルで擦る音(20秒ほどオンリー) 【あやめ】 「肩から、腰の方に向かって、ごしごし……ごしごし……どう? 痛くないかい?」 【あやめ】 「ふぅ、擦れば擦るほど、垢が出てくるね。身体が眷属であることに適合して、代謝も良くなってきた証拠だ」 【あやめ】 「背中はこれで終わり。次は首から肩周りを擦っていくよ」 【あやめ】 「マッサージのときもそうだったけど、首や肩をこうやって刺激してあげると、血の流れが良くなって、味も深みが増すんだ」 //SE:タオルを擦る音(20秒ほど) 【あやめ】 「うん、首も肩周りも、すっかり綺麗になったね」 【あやめ】 「じゃあ、シャワーで泡を流していくね」 //SE:シャワー音(20秒ほど) 【あやめ】 「お湯は熱くないかい? 身体の汚れと一緒に、全身に溜まった疲れも、綺麗さっぱり流れ落ちていくだろう」 //SE:シャワー音(10秒ほど) //SE:蛇口を閉める音 【あやめ】 「うん、すっかり綺麗になったね、眷属くん。肌の色も明るくなったし、つやつやしている」 【あやめ】 「全身洗い終えたことだし、そろそろ湯船に浸かろうか」 //SE:湯船からお湯が溢れ出る音 //ボイス位置:3 【あやめ】 「おっと、凄い勢いでお湯が溢れてしまった。まるでプールみたいだ」 //からかうような感じで、 【あやめ】 「僕はこの通り華奢だから、一人でお湯に浸かってもこんなには溢れないんだけど……ふふ、眷属くんも、なんだかんだ男の子だなって思うよ」 //SE:蛇口から水が「ピチョン」と垂れる音 【あやめ】 「ふぅ……君と一緒に温まるのは気持ちいいな。誰かと一緒にいるのも、なかなか悪くないね」 【あやめ】 「おや、どうしたの? その顔は……他に一緒に入った男がいるのか、とでも聞きたいのかな? それについては……ふふ、ご想像にお任せするよ」 【あやめ】 「ただ、一つだけ……」 //真面目な口調で、 【あやめ】 「この世界に生まれ落ちてから、それなりの年月が経ったけれど。僕はこれまで、誰も眷属にしたことがなかった」 【あやめ】 「僕の人生……いや、吸血鬼生かな? ともあれ、僕が生きてきた中で眷属にしたのは、君が初めてだよ」 //恍惚とした感じで、 【あやめ】 「……また顔が赤くなっているね? お湯が熱くて、血の巡りがよくなりすぎたのかな。仕方ない……眷属を落ち着かせるのも、主人の役目だ」 【あやめ】 「ほら。首筋を、こちらの方に向けたまえ」 //艶めかしい感じで、 //ボイス位置:3(至近距離になって) 【あやめ】 「綺麗に洗った首筋……つやつやして、まるで林檎のように赤くなっているね……」 【あやめ】 「(首筋を舐める、15秒ほど)」 【あやめ】 「ふふ……それじゃ、いただきます」 【あやめ】 「(噛みつき、荒っぽいけれど優しさもある感じで、20秒ほど)」 【あやめ】 「ふぅ……どうだい? 少しは熱が冷めたかな?」 //からかうような感じで、 【あやめ】 「おや。血を吸ったばかりだというのに、まだ顔が赤いね。……ふふ、少し意地悪が過ぎたかな、ごめんごめん」 【あやめ】 「さて、綺麗になったことだし、湯冷めしないうちに上がろうか」 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■トラック4「囁き――二人でお話しようじゃないか」(耳元でお話) ―――――――――――――――――――――――――――――― //寂し気に、 //ボイス位置:1 【あやめ】 「ねぇ、眷属くん。突然だけど、昔話に付き合ってくれないかな?」 【あやめ】 「いやなに、ふと喋りたくなってね。ほら、窓の向こうを見てごらん。月がとても綺麗だろう?」 【あやめ】 「こういう空気が冷たい夜は、お酒でも飲みながら話をしたいと思ってね」 【あやめ】 「どうだい? 主人のお願いを、聞き入れてはくれないかな?」 //優しい声で、 【あやめ】 「……ふふ、ありがとう。じゃあ、用意をするから待っていてくれ」 //SE:歩いていく音 //SE:扉を開ける音 //SE:戻ってくる音 //ボイス位置:3 【あやめ】 「お待たせ。お隣、失礼するね」 【あやめ】 「今日は赤ワインにしたよ。と言っても、どこにでも売っているようなテーブルワインだけどね」 【あやめ】 「じゃあ、開けようか。最近のワインの栓はスクリューキャップだから、コルクと違って開けやすくていいね」 【あやめ】 「もっとも、コルクが綺麗に抜けたときのキュポンって音も好きなんだけど」 //SE:スクリューキャップを開ける音 【あやめ】 「ほら、グラスを持ちたまえ。今日は僕が誘ったのだから、僕から酌をさせてくれ」 //SE:グラスにワインが注がれる音 【あやめ】 「お? 今度は眷属くんがお酌してくれるのかい? ありがとう、それじゃあ遠慮なく」 //SE:グラスにワインが注がれる音 【あやめ】 「よし。では、乾杯」 //SE:乾杯音 【あやめ】 「ふぅ……美味い。決して高いボトルではないけれど、なかなかいけるだろ?」 【あやめ】 「……ふふ、眷属くんも美味しそうに飲んでいるね。気に入ってくれたみたいで何よりだ」 【あやめ】 「じゃあそろそろ……本題の昔話をしようか」 //以下、昔話パートは全体的に落ち着いた感じで //5秒ほど間を置いて開始 //少しかしこまった感じで、 【あやめ】 「昔々、一人の吸血鬼の女の子がいました」 【あやめ】 「物心ついたときから、女の子は独りぼっちでしたが……特に辛いと思ったことはなく、毎日それなりに楽しく暮らしていました」 【あやめ】 「ある冬の夜、女の子は山の中を歩いていました。たまには人気(ひとけ)のないところを散歩するのもいいかと思い、気まぐれで山にやってきたのです」 //SE:少し強い風の音 【あやめ】 「人の手の入っていない山の中は真っ暗で、明かり一つ見えません。木々は鬱蒼(うっそう)と生い茂り、冬の冷たい風に吹かれ、木の葉がカサカサと音を立てています」 //SE:木の葉のカサカサ音 【あやめ】 「時々、強い風がビューッと通り過ぎ、そのたびに辺りはシーンと静まり返ります。そのままじっとしていると、フクロウの鳴く声が辺りにこだまします」 //SE:遠くの方からフクロウの鳴き声 【あやめ】 「何時間ほど歩いたでしょうか……そろそろ帰ろうかと思い、女の子は元来た道を戻り始めました。しかし、なかなか森を抜けることができません」 【あやめ】 「そのうちひらけた場所に出るだろう。そう思ってしばらく歩いていると、遠くからうっすらと甘い匂いが漂ってきます」 【あやめ】 「この匂いはなんだろう? 女の子は鼻をくんくんさせながら、匂いのする方へと歩いていきました」 【あやめ】 「さらに歩くと、向こうがぼんやりと明るくなってきました。女の子の足取りは次第に早くなり、甘い匂いもだんだん強くなっていきました」 【あやめ】 「そうして辛抱強く歩いているうちに、女の子はとうとう、鬱蒼とした森を抜けました」 //明るくも落ち着いた感じで、 【あやめ】 「森を抜けると、そこには花畑が広がっていました。雪が降りそうな寒い日なのに、色とりどりの花が咲き誇り、甘い匂いを漂わせていたのです」 【あやめ】  「ふと女の子が空を見上げると、冬の澄み切った空に、大きなお月様が浮かんでいました」 //楽し気に、 【あやめ】 「お月様に照らされて、花畑は美しく光り輝いていました。お月様の光が、薄い花びらの一枚一枚に降り注ぎ、まるで花びら自体がピカピカと光っているようでした」 【あやめ】 「なんて綺麗なんだろう。女の子はそこに座り、しばらくその景色を眺めていました」 //悲しそうに、 【あやめ】 「ですが、どうしてでしょう。その美しい景色を見ているうちに、女の子はなぜだか、とても寂しいと感じました」 【あやめ】 「自分はこのままずっと独りぼっちなのだろうか。そんな考えが頭をよぎると、女の子はとても悲しくなり、生まれて初めて、大きな声を上げて泣きました」 【あやめ】 「そしてひとしきり泣いたあと、泣き疲れてしまった女の子は、そのまま眠りに落ちました」 【あやめ】 「女の子は、夢を見ました。ずっと独りぼっちだった女の子の元に、ある日突然、眷属ができる夢です」 【あやめ】 「一緒に他愛もない話をしたり、食事をしたり、散歩をしたりと、何気ない日常の出来事の一つ一つが、とても楽しいと思える夢でした」 //淡々とした感じで 【あやめ】 「しばらくして女の子が目を覚ますと、相変わらず大きなお月様が空に浮かんでいましたが、美しい花畑は消え、枯れ草に覆われた地面が広がっていました」 【あやめ】 「沢山泣いたからでしょうか、不思議と女の子の心は軽くなっていました。そして夢での出来事を思い返すたびに、とても暖かい気持ちになりました」 【あやめ】 「それから長い年月が経って……女の子はある冬の夜、ひとりの若い男を見つけました。彼は人気(ひとけ)のない道路で、血を流して倒れていたのです」 【あやめ】 「不幸な事故にあったのでしょう。男は既に事切れていました。顔を覗こうとふと目をやると、女の子はとても驚きました」 【あやめ】 「男は昔見た夢に出てきた、あの眷属にそっくりだったのです」 【あやめ】 「女の子は、男に自分の力を分け与え……暗い夜の闇へと消えていきました。その様子を見ていたのは、澄み切った空に浮かぶ、大きなお月様だけでした」 【あやめ】 「そして、吸血鬼の女の子と眷属になった男は、それからいつまでも仲睦まじく、幸せに暮らしましたとさ、おしまい」 //昔話パートここまで、ここからいつもの口調に //5秒ほど間を置いて 【あやめ】 「……ん? ふふ……お酒が回って、眠っちゃったか」 【あやめ】 「(首筋にキス音)」 //愛おしそうに、 【あやめ】 「おやすみ、眷属くん」 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■トラック5「食事――夜のおやつタイム」(咀嚼音) ―――――――――――――――――――――――――――――― //ボイス位置:7 【あやめ】 「調子はどうだい? 君が眷属になってそれなりの日数が経ったけれど……マッサージをして、お風呂にも入って。僕のそばにいるのもだいぶ慣れてきたんじゃないかな?」 【あやめ】 「っと、眷属くん。ちょっと顔を僕の方に向けてごらん」 //ボイス位置:1 【あやめ】 「……うん、とても元気そうだ。君が元気だと、僕もとても嬉しいよ」 【あやめ】 「ところで。これまでは君から血をもらうたびに、僕の力を分け与えてきたけれど……そろそろ自力で栄養を摂取してもいい頃合いだ」 【あやめ】 「眷属である君は、普通の人間のように飢えて死ぬことはまずない。それでもお腹は空くし、自然と食べ物を欲するようになるだろう」 //SE:腹の虫 //愉快な感じ+愛おしそうに、 【あやめ】 「ぷっ、あはは! 食事の話をした途端に、お腹の虫が鳴き出すなんて! ふふ、正直でよろしい。そんな素直な眷属くんが、僕は大好きだよ」 【あやめ】 「はは、恥ずかしがることはない。吸血鬼の僕も、眷属である君も、人間と同じく生き物であることに変わりはない。空腹を満たしたいと思うのは、ごく普通の、自然の理(ことわり)だよ」 【あやめ】 「そんなわけで、今から一緒に食事をしようじゃないか。あちらのテーブルに色々と用意していてね。さあ行こう」 //SE:歩く音 //ボイス位置:3 【あやめ】 「どうだい? 君が好きそうなもの、たくさん集めてみたよ」 【あやめ】 「ちょっとした昔馴染みのツテでね。買い出しとか準備とか、いろいろ手伝ってもらったんだ」 【あやめ】 「……っと、勘違いする前に言っておくが、昔馴染みと言っても恋仲ではないよ。長い間生きていると、それなりに知り合いもいてね」 【あやめ】 「僕は日の光を浴びても灰になったりしないが、死なないだけで決して好きではない」 【あやめ】 「で、世の中には僕と似たような存在もいて、そうしたご同輩に、時々こうやって頼らせてもらっているのさ」 【あやめ】 「それに吸血鬼とて食事はする。血液が一番のご馳走であることは事実だけども、それだけを食べなければいけない決まりはないからね」 【あやめ】 「世の中には様々な食べ物があって、それぞれに独特の味わいがある。もちろん人間の血液も千差万別だ。そうした違いを楽しむことが、長い生を楽しむちょっとしたコツなんだよ」 【あやめ】 「……おっと、長話が過ぎたかな。そろそろ食事を始めるとしよう。まずはトマトジュースから……」 【あやめ】 「……なんだいその目は? いかにも吸血鬼らしいものを出してきたな、みたいな顔をするんじゃない。別にいいだろ? 単純に味が好きなんだ」 【あやめ】 「いただきます」 //SE:トマトジュースを飲む //しみじみと美味しさを味わいながら、 【あやめ】 「……ん〜っ、やっぱり美味いな、トマトジュースは……! みずみずしくて、口の中にトマトの酸味と香りが広がっていく……」 【あやめ】 「これじゃあすぐに飲み終わってしまいそうだ。ボトルがなくなる前に、ちゃんと食べ物も食べないとな」 //SE:ビニール袋をがさごそと漁る 【あやめ】 「じゃーん。野菜スティックだ。にんじんと大根、きゅうりが入っているよ」 【あやめ】 「けっこう好きなんだ、生野菜。最初は血に似てるトマトを食べたところから始まって……いつしか毎日、野菜をポリポリと食べるのが習慣になってきてね」 【あやめ】 「それに最近は、野菜スティックなる便利なものも出てきた! 本当にコンビニエンスストアというのは偉大な発明だよ。吸血鬼でも気軽に入れるんだからな」 【あやめ】 「ただ、コンビニの難点は……君みたいに美味しそうな人間がうようよといることだ。自制心のない吸血鬼だったら、つい誘惑に駆られて血を吸ってしまうだろう」 【あやめ】 「その点、僕は分別(ふんべつ)があるからね。見ず知らずの人を襲うなんてことは絶対にしない。高貴なる吸血鬼、伏見あやめの名にかけて誓うよ」 【あやめ】 「……と言いつつ、死にかけだった君の血を吸って眷属にしたりはするけれど。まあそれはほら、事情あってのことだし……君の命も助かったわけだし、ウィンウィンってことで……ね?」 【あやめ】 「さあ、気を取り直して、まずはにんじんからだ。味噌マヨネーズをつけて……」 //SE:にんじんスティックを食べる音(10秒ほど) 【あやめ】 「ん〜……このポリポリって食感、とても好きなんだ。味も好きだけど、火が通ってしなしなのやつはあまり好みじゃない。僕はこの食感込みでにんじんが好物でね」 【あやめ】 「もう一本いただこう。あーん……」 //SE:にんじんスティックを食べる音(10秒ほど) 【あやめ】 「うん、美味しかった。次は大根を味わうとしよう。これも味噌マヨネーズで……」 //SE:大根スティックを食べる音(10秒ほど) 【あやめ】 「ん、いける。にんじんよりも水分が多いわりに、なかなか歯応えがあって好みだな」 【あやめ】 「個人的には糠漬けなんかも好きだけど、こうやって生野菜として食べるのも悪くない。もう一本……」 //SE:大根スティックを食べる音(10秒ほど) 【あやめ】 「ふう……さて、最後はきゅうりだ。これは味噌マヨネーズも美味いが、僕は塩を振った方が好みかな」 【あやめ】 「こうしてパラパラっと……ん、ちょうどいい量だ。いただきます」 //SE:きゅうりスティックを食べる音(10秒ほど) 【あやめ】 「ふふふ。やっぱりきゅうりはこのシャキシャキ感がたまらないな。塩との相性も抜群だ」 【あやめ】 「もう一本食べることにしよう。あーん……」 //SE:きゅうりスティックを食べる音(10秒ほど) 【あやめ】 「ごちそうさまでした」 【あやめ】 「ん? あぁ、問題ないよ。ごはんの量はこれくらいがいいんだ」 【あやめ】 「今の君にも言えることだが、そもそも吸血鬼ってものは、人間とは身体の作りが異なるからね。これだけでもお腹は十分に満たされる」 【あやめ】 「それに、少しくらい空かしておいた方が、君の血を吸うときに都合が良いだろう?」 //楽し気に、 【あやめ】 「……ふふ、冗談さ。誰かと一緒に食べるご飯、久しぶりで美味しかったよ。ありがとう、眷属くん」 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■トラック6「睡眠――僕と一緒に寝ないか?」(添い寝) ―――――――――――――――――――――――――――――― //SE:ドアを開ける音 //ボイス位置:1 【あやめ】 「ただいま、眷属くん。お留守番は上手にできたかな?」 //心配そうに、 【あやめ】 「……どうしたんだい? ずいぶん怖い顔をして」 //探り探りに、 【あやめ】 「あー……もしかしてあれかな。君を眷属にしてから、一度も外に出していないこと……違うかい?」 【あやめ】 「確かに僕は、君をかごの中の鳥のように扱ってしまっていたからね。それについては申し訳なく思っているよ……だが、君もまだ本調子ではないし、主人としてはどうしても心配で……」 【あやめ】 「え、違う? それじゃあなぜ……?」 【あやめ】 「あ……もしかして、僕が日の光で死なないかと心配していたのかな? はぁ……自分の鈍(にぶ)さが嫌になるよ」 【あやめ】 「眷属くん、こっちにおいで」 //SE:抱き寄せる //ボイス位置:3(接近して) 【あやめ】 「心配をかけてしまったね。本当に、ごめんなさい」 【あやめ】 「僕なら大丈夫だよ。この前も言っただろう? 太陽は得意じゃないだけで、日の光を浴びても灰になったりしないって」 //優しくも強い感じで、 【あやめ】 「僕は君を残して、どこかに消え去ったりはしないよ。約束する」 //ボイス位置:1(元の位置) 【あやめ】 「あと、ずっと部屋に閉じ込めていることも申し訳ないと思っている」 【あやめ】 「ただ断っておきたいんだけど、別に君を監禁したかったわけじゃない」 【あやめ】 「今は冬だろう? これだけ寒いと、どうしても人間の気分は暗くなりがちだ。そんな人々の陰気(いんき)を狙って悪さをする奴が多くてね」 【あやめ】 「最近は眷属くんとずっと一緒にいて、しばらく外出していなかっただろ? だから今日は、久々に夜の街に繰り出してみたんだ」 【あやめ】 「そしたら案の定、そういう連中が人間のフリをして堂々と歩いていてね……。僕ひとりなら平気だけれど、君がいたらと思うとさすがに震えたよ」 【あやめ】 「君に何かあったら、僕は悔やんでも悔やみ切れない。だから君には黙って外出したわけだ」 //申し訳なさそうに、 【あやめ】 「でも……結果的に心配をかけてしまったね。本当に、申し訳ないと思っている」 //甘えるような感じで、 【あやめ】 「……許してくれるのかい? ふふ……眷属くんは優しいね、ありがとう。それじゃあ、そんな優しい眷属くんに、ひとつ甘えてもいいかな?」 【あやめ】 「さっきも言ったように、今は外がとても危ない。だから神経を張り巡らせていたわけだけど、おかげでとても疲れたんだ」 【あやめ】 「だから今日は、僕と一緒の布団で寝てほしいな」 【あやめ】 「断っておくけど、君に何かしようとか、寝ている最中にこっそり血を吸おうだとか、そんなことは考えていないよ」 【あやめ】 「ただ、僕と添い寝してほしいんだ……一緒の布団で、君と一緒に眠りに落ちたい。ただそれだけさ」 //嬉しそうに、 【あやめ】 「……ありがとう。それじゃ、寝間着に着替えてくるよ。ちょっと待っていてくれ」 //SE:歩いていく音 //SE:衣擦れ音(遠くで、10秒ほど) //SE:戻ってくる音 //恥ずかしそうに、 【あやめ】 「……ど、どうかな? 流石に寝間着を見せるのは初めてだからね。百歳をゆうに超えている吸血鬼が、年甲斐もない恰好をしている自覚はあるけれど……どう、だろう?」 //照れた感じで、 【あやめ】 「ボーッとこっちを見つめているけど……そ、そんなに変かい?」 //愛おしそうに、 【あやめ】 「もしかして……見とれているの? あはは……君は本当に可愛いなぁ。言葉より先に、思っていることが顔に出てしまうのだから」 【あやめ】 「でも、見とれてくれるのはありがたいが……僕だって女なんだぞ? こういうときは、ちゃんと言葉で可愛いって言って欲しいんだ。いい機会だから、是非とも覚えてくれたまえ」 【あやめ】 「じゃあ、僕の部屋に行こうか」 【あやめ】 「体が冷えないうちに布団に入ろう。僕が明かりを消すから、君は先に布団に入っていてくれ。いいかい?」 //愛おしそうに、 【あやめ】 「ん、いい子だ。なでなで……」 //SE:歩く音 //SE:布団に入る音 //ボイス位置:15 【あやめ】 「では、明かりを消すよ」 //SE:明かりを消す音 【あやめ】 「それじゃあ、僕も失礼して……」 //SE:布団に入る音 //気持ち良さそうに、 //ボイス位置:7 【あやめ】 「ふぅ……ふふ、あったかい。この時期は布団に入っても、温もりを感じるまで少しかかるが……眷属くんがいるおかげで、最初からポカポカだ」 【あやめ】 「うん? じっと見つめてどうしたんだい?」 【あやめ】 「……え? あ、赤くなってる? 僕が?」 //恥ずかしそうに、 【あやめ】 「そ、そうか……いやなに、照れているわけではないんだが……」 【あやめ】 「いざこうやって、君と添い寝をしてみると、なんだかこそばゆくてね……」 【あやめ】 「おっと。だからといって、別々に寝ようなんて言わないでくれよ? 主人がこうして頼んでいるのだから、今日は僕が目覚めるまで一緒にいておくれ」 【あやめ】 「さぁ、寝よう。もう少しで朝日が昇ってくる。僕は大丈夫だけど、眷属になったばかりの君には少々毒だからね」 【あやめ】 「毛布を被って。目を閉じて、また次の夜が来るまで眠ろう」 //SE:毛布を深く被る //抱き寄せて耳元で //ボイス位置:7(更に近づいて) 【あやめ】 「おやすみ、眷属くん」 //20秒ほど無音 //60秒ほど、 //ボイス位置:7(元に戻って) 【あやめ】 「(寝息)」 【あやめ】 「……寝てくれたか? ……よかった」 【あやめ】 「(深呼吸、1回)」 //落ち着いた感じで、 【あやめ】 「これはただの独り言だから、もし起きていても聞き流してほしい」 【あやめ】 「僕には……吸血鬼になる前の記憶がないんだ。元は人間だったかもしれないし、あるいは、最初から吸血鬼だったのかもしれない」 //楽しい思い出を振り返る感じで、 【あやめ】 「いずれにせよ、僕は物心ついた頃には既に吸血鬼だった。なぜか太陽の下でも平気で……昔は人間と同じように、晴れた日に外を散歩するのがとても好きだった」 【あやめ】 「そんな時、たまたま出会った吸血鬼の女の子がいた」 【あやめ】 「もうずいぶん昔のことで、その子の名前も何だったか覚えていないんだが、彼女とは不思議と馬が合って、夜な夜な一緒に遊んでいたんだ」 //淡々と、 【あやめ】 「けれどある日、すっかり時間を忘れて、二人で朝を迎えてしまって……彼女の身体は突然燃え上がり、あっという間に灰になってしまった」 【あやめ】 「それ以来、僕は日の光の当たる場所には、めったに行かなくなったんだ」 //物悲しそうに、 【あやめ】 「僕は……怖かった。太陽がとても恐ろしかった。どうして自分は、太陽の下にいても平気なのだろう? 昨日も今日も平気だった、明日もきっと……だけど、ある日突然そうじゃなくなったら? 明日目が覚めて、窓から差し込む光を浴びた途端、体が灰になってしまったら? ……そう思うと、怖くて眠れなくなった」 【あやめ】 「きっと君も、あの時の僕と同じような思いで、僕の帰りを待っていたんだろう? だからあんなにも不安そうな顔で……本当に、すまなかった」 //落ち着いた感じで、 【あやめ】 「でも、今はもう大丈夫だ。僕には君がいるし、君には僕がいる。だから僕らは安心して眠ることができる」 //愛おしそうに、 【あやめ】 「共に眠ろう。そして共に、次の夜を迎えよう。何も心配することはない。僕たちはもう離れられない。ずっと一緒だよ……ふふっ」 //ささやきで、 【あやめ】 「……おやすみ、眷属くん……また明日……」 //2分ほど、 【あやめ】 「(寝息)」 ―――――――――――――――――――――――――――――― ■トラック7「散歩――夜のピクニック」(散歩) ―――――――――――――――――――――――――――――― //SE:扉が開く //SE:あやめが歩いてきて、 //ボイス位置:9 【あやめ】 「どうだい眷属くん? 君が僕の眷属になってしばらく経ったけれど、何か不自由はないかな?」 //SE:コーヒーカップを机に置く //ボイス位置:1 【あやめ】 「はい、コーヒー。インスタントで申し訳ない。自分で豆を挽くのも好きなんだけれど、飲まない日が続いてるうちに湿気って(しけって)しまったんだ」 【あやめ】 「まあ悪くない味だよ。体もあったまるし……ん、いい具合だ」 //SE:あやめがコーヒーを啜る 【あやめ】 「そうそう、不自由と言えば……君は眷属になってからずっと、この部屋から出ていないよね」 【あやめ】 「まだ万全ではないという理由で、君を外に出していなかったわけだけど……そろそろ君も、眷属として一人前になりつつある」 //芝居がかった感じで、 【あやめ】 「なので、今夜は夜桜を見物しに、散歩にでも出かけようじゃないか」 【あやめ】 「うんうん、そうと決まれば善は急げだ。夜が深いうちに行くとしよう」 //SE:歩く音 //SE:扉を開けて //ボイス位置:3 【あやめ】 「(はーっと息を吐いて)……うーん、寒いね。息が白くなっちゃうや」 //SE:以下、外を歩きながら 【あやめ】 「君に出会ったのは、年が明ける前だったね。もう桜の季節になったとは……時が経つのは早いものだ」 //無邪気な感じで、 【あやめ】 「おっと、水溜まりだ、えい!」 //SE:水溜まりに飛び込んで、水が撥ねる //おどけたような感じで、 【あやめ】 「あはは、ごめんごめん! 年甲斐もないことをしてしまった。初めて君と外を歩いているからかな? つい調子に乗っちゃっているのかもしれないね」 //20秒ほど足音オンリーで、そこからあやめのセリフIN 【あやめ】 「ふふ……今の僕たち、周りからどういう目で見られているのかな?」 【あやめ】 「年の離れた兄弟か、家族か……それとも恋人? 夫婦? ふふふ……」 【あやめ】 「まぁ、実際は御主人様とその眷属なわけだけれども」 【あやめ】 「周りにいる人々も、本当はどんな関係なのか、僕たちには知るよしもない」 【あやめ】 「いますれ違っている人の中にも、僕らと同じ関係の人がいるかもしれないね。なんなら、僕らを狙う吸血鬼ハンターがいたっておかしくない」 【あやめ】 「まぁ、お仲間とその敵は、だいたい匂いで分かるものだけどね。君もそのうち鼻がきくようになるだろう。楽しみだね、ふふっ」 //SE:虫と木々の音が聞こえ始める //ボイス位置:1 【あやめ】 「お……ようやく着いたね、公園に。夜桜がライトアップされていて、風情があるな」 【あやめ】 「向こうのほうでは酒盛りもしているようだ。あれも春らしい光景というやつかな。ふふっ」 //SE:あやめがベンチに座る //ボイス位置:16 【あやめ】 「ほら、こっち。僕の隣に座って」 //SE:自分も腰掛ける //30秒ほど虫と木々オンリーで、 //ボイス位置:3 【あやめ】 「……桜というものは、どうしてこんなに人の心を揺さぶるんだろうね」 【あやめ】 「言ってしまえば、桜もそこらの雑草と同じ、植物の一種でしかない。それでも、咲いたときにはどうしようもなく嬉しい気持ちになる」 【あやめ】 「考えてみれば、雑草にだってみんな名前がある。それぞれ一生懸命生きている。それでも、桜がひとたび咲き誇れば、誰もがその美しさに魅せられて、周りには目もくれなくなる……本当に不思議なものだ」 //SE:水筒を空けて、コーヒーを飲む 【あやめ】 「(宙に息を吐くように)はぁ……」 【あやめ】 「ねぇ。ちょっと感傷的な話をしていいかな。なんてことない独り言だよ」 【あやめ】 「こんなこと、生まれてはじめてなんだけれど……君を見ていると、胸が痛くなるんだ」 【あやめ】 「今まで一度もこんなことはなかった。街を歩くどんな人間も、僕の目に留まりはしなかった。誰ひとり僕の心を揺さぶることはなかった。だけど……」 【あやめ】 「ようやく見つけたんだ。ずっと共にいたいと思える、たったひとりの存在を」 【あやめ】 「僕は……君と離れたくないと思ってしまっているんだ」 【あやめ】 「桜の花は時が経てば散ってしまう。どんなに綺麗でも、鮮やかでも……等しく平等に、僕らの前から姿を消す」 【あやめ】 「……僕は君に、そうなってほしくない。ずっと僕の隣で、咲き誇ったままでいてほしいんだ」 //5秒ほど間を置いて 【あやめ】 「君を眷属にしたのは、その場の成り行きで……ちゃんとした心構えがあったわけじゃない。かつて夢に見た風景が現実になって、心が高ぶってしまった。ただそれだけの理由でしかない」 【あやめ】 「それでも思うんだ。あの日、君を眷属にしてよかったと。君があの日のことをどう思っているかはわからない。正直言ってとても不安だ。だけど」 //真剣に、 【あやめ】 「君が許してくれるなら……僕は君に、ずっと一緒にいてほしい」 【あやめ】 「……うん。答えは言わなくていいよ。そろそろ帰ることにしよう」 //感慨深そうに、 【あやめ】 「桜が、綺麗だな……。行こうか」 //SE:大きな風が吹いて木々が揺れる ―――――――――――――――――――――――――――――― ■トラック8「吸血――思う存分、血を吸わせてくれ」(吸血) ―――――――――――――――――――――――――――――― //SE:ドアをノックする //ボイス位置:9 【あやめ】 「……入ってくれ」 //SE:扉を開けて、入室 //優し気に、 //ボイス位置:1 【あやめ】 「すまない、突然部屋に呼び出したりして」 【あやめ】 「うん。君もずいぶん立派になったね。吸血鬼としての力も、だんだん宿りはじめているようだ」 【あやめ】 「といっても、肉体的にはまだ人間混じり……といったところかな?」 【あやめ】 「君が完全に吸血鬼になるには、人の血を吸わなければならない。ひとたび吸えば、君の中に残る人間らしさはすべて消え失せてしまうだろう」 【あやめ】 「そうなれば君も、一人前の吸血鬼になれるだろうね。君がどう考えているかは知らないが……いつかは僕のもとを去り、自分の眷属を迎える日だって訪れるかもしれない」 //改まった感じで、 【あやめ】 「(咳払い)、そこで君にはひとつ相談があるんだ」 //思いっきり甘えて、 【あやめ】 「今日は、思う存分、君の血を吸わせてくれないか?」 【あやめ】 「……わ、笑わないでくれよ。僕だって恥ずかしいんだぞ、こんなことを頼むなんて」 【あやめ】 「この前、話しただろう? 僕は君と別れたくない。一緒に寝たり、ご飯を食べたり、お散歩に行ったり。そんな当たり前の日常を、もうぜったい手放したくないと思っているんだ」 //寂し気に、 【あやめ】 「でもいつか……僕のもとを去りたいと思う瞬間が、君にも来るかもしれない。そう考えただけで寂しくてたまらなくなる。だからそれまでに……君の存在を僕の中に残すためにも、君の血を吸わせてほしいんだ」 【あやめ】 「……いいのかい? ありがとう。じゃあ……失礼するね」 //ボイス位置:3 【あやめ】 「こうやって顔を近付けていると、君の体温が伝わってくるね。吸血鬼は冷たいなんて言うやつもいるが……あんなのはでたらめだな。君は誰よりも温かくて、そばにいるとすごくぽかぽかするよ」 //ボイス位置:3(接近して) 【あやめ】 「それじゃあ……君の血を、いただきます」 //25秒ほど、 【あやめ】 「(優しく噛むイメージで)はむ……はむ……はむ……はむ……はむ……はむ……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「はむ……はむ……はむ……はむ……はむ……はむ……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……」 //恍惚とした感じで、 【あやめ】 「ん〜……いいね。ほんのり塩気のある耳から、芳醇な血の香りが漂って……とても美味しいよ」 //理性を若干失った感じで 【あやめ】 「ねえ。もっと強く噛んでもいいかい?」 【あやめ】 「ありがとう……いただきます……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「(強く噛むイメージで)がむ……がむ……がむ……がむ……がむ……がむ……」 【あやめ】 「あぁ、美味しい……病みつきになる味だ……まだだ、まだ飲んでいたい……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「がむ……がむ……がむ……がむ……がむ……がむ……」 【あやめ】 「……ぷはっ。んん……ごちそうさまでした……」 //冷静さを失って、 【あやめ】 「えっと、その……すまない。逆側も吸っていいか?」 【あやめ】 「頼む。君の血を吸いたい思いが、もう抑えられそうにないんだよ……」 //SE:移動する音 //待ちわびたかのように、 //ボイス位置:7(接近して) 【あやめ】 「はぁっ……いただきます……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「(優しくかみつくイメージで)はむ……はむ……はむ……はむ……はむ……はむ……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「はむ……はむ……はむ……はむ……はむ……はむ……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……かぷ……」 【あやめ】 「はぁ、たまらない……ずっと吸っていたいくらい、美味しい血だ……」 //10秒ほど、 【あやめ】 「くんくん……くんくん……」 【あやめ】 「……はぁ……ふふふ、とっても好きな匂いがする……君の匂いだ……ふふ……」 【あやめ】 「ねぇ、もっと強くするよ……? いいよね……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「(ガッツいて)がむ……がむ……がむ……がむ……がむ……がむ……」 //恍惚とした感じで、 【あやめ】 「あぁ……ははっ。美味しすぎるよ……もう、ダメだ……」 //25秒ほど、 【あやめ】 「がむ……がむ……がむ……がむ……がむ……がむ……」 【あやめ】 「……こくっ。ふう……ごちそうさま……」 //ようやく素に戻った感じで、 //ボイス位置:1 【あやめ】 「すまない、取り乱してしまって。もっと優しくするつもりだったんだが……痛くはないかい?」 【あやめ】 「それと……さっきの話は忘れてくれ。つい寂しくなって、あんなことを言ってしまっただけなんだ」 //すねた感じで、 【あやめ】 「忘れられない? なんでだ、主人に歯向かうっていうのか? まったく……力がついてきたからって、生意気になられちゃたまらないぞ」 【あやめ】 「でも……ふふっ。君のそういうところも、僕は大好きだよ」 【あやめ】 「あの時は聞けなかったけれど……今なら君の答えを受け止められる気がする。もう一度だけ、聞いてもいいかな?」 //真剣な声で、 【あやめ】 「僕は君と、ずっと一緒にいたい。……僕のこの手をとってくれるかい?」 //手を取る眷属に喜んで、 【あやめ】 「……あははっ。うん……ありがとう。それじゃあ……」 //ほっぺたにキスをする //ボイス位置:2 【あやめ】 「(キス音)」 //愛おしそうに、 【あやめ】 「誓いのキス、というやつだ。愛しているよ、眷属くん」