エピローグ「星空のもとに誓う、祈り」 あっ、こんばんは♪…こっちですよ。 約束通りにちゃんと来てくれたのですね。ほら、見てください…今夜は空がとても綺麗です。 夜の教会は妙に静かで、ちょっと怖いですけど…窓から射し込む月明かりがすごく幻想的で、お星様だってあんなに… そんなところに立っていないで、私の隣に…ええ、来てください。 んっ、こうやって体を寄せ合っていると、人肌って温かいんだなって…思いませんか?人恋しくなりませんか? 私はなります…人の温もりを、手を伸ばして、深くまで求めたくなってしまうのです。 私って、変でしょうか?……ふふっ、ありがとうございます。 優しいのですね、あなたって。 昨日、あなたをこの手で射精させたその夜に…私は他の男性と体を重ねました。セックスをしました。 避妊具をつけずに…お互いの体を求めあい、舌を絡める口付けだって何度もして…激しく突かれて、最後は…私の中に出されました。 でも、その時も…ぽっかりと空いた心の寂しさを埋めることはできませんでした。 何故なのでしょうか?この繰り返しです…今までも、ずっと…でも、最近になって、私は微かな希望に出逢えました。 それを『相性』と表現すると陳腐に聞こえてしまいそうで…その、私の過去に似たような…… あっ、ごめんなさい。少し重たい話になってしまいましたね…ええ、そうです。 夜の教会に射し込む月明かりと、窓を通して広がる星空を…あなたに見せたかったのです。 やっぱり、私って変でしょうか? …少し外の空気を浴びましょう。ついてきてください。 あぁ、涼しい夜風です。 外で見上げる夜空も…すごく美しくて、吸い込まれそうです。 そのまま…そのままで、私の言葉を受け取ってください。 あなたが想う、私の言葉を… (お願い、今夜だけは……) 「あの……わ、私は、あなたと……!」 それから暫くして、私たちは遠くの大陸の小さな村へと移り、二人でつつましく暮らしました。 慣れない土地で苦労もたくさんありますが、村の方々も優しくて…私は、幸せです。 だって、心に空いた穴を埋めてくれる…大切な人と、一緒にいられるのですから。 「はーい、今行きますから…ちょっと待っていてください」 夫が呼んでいます。私を呼んでいます。 こんな日がいつまでも続くようにと… 私は今日も、祈ります。