XX24年 1月1日(月) 王子様、あけましておめでとうございます。 今日は両親と近所の神社へ初詣に行きました。 元旦の清々しい空気が気持ちよかったです。 王子様、あなたはどんなお正月をお過ごしでしょうか? 1月3日(水) 昨日は家でのんびりと過ごしました。 おせちを食べたり、家族みんなでゲームをしたり。 家族揃ってのんびりできるので、 私はお正月が大好きです。 今日は両親と、親戚の集まりにでかけました。 いとことも久しぶりに会えて嬉しかったです。 1月9日(火) 今日から三学期。 またあなたと二人きりで、 小説を書く日々が始まると思うと、 幸せな気持ちでいっぱいになります。 1月10日(水) 好き。 すき。 王子様、すきです。 1月11日(木) 私に魔法が使えたらいいのに。 王子様が愛川るなのことを好きになる魔法だよ。 そんな魔法があればいいのに。 1月15日(月) 今日は頑張って、 部活中に王子様に話しかけられても冷静なフリをしました。 内心はドキドキしてキュンってして大変なことになっているのですが、 それを悟られないように努めました。 うん。 少しは上手にやれた気がします。 話しかけられる度に挙動不審になる私なんて、 王子様に嫌われてしまうかもしれませんから、 この調子で頑張りますね。 1月18日(木) 新しく小説を書き始めました。 ジャンルは恋愛小説。 主人公は高校1年生の女の子。 恋愛対象は1つ上の先輩という設定です。 1月20日(土) 不覚にも風邪をひいてしまい、1日中寝ていました。 熱で朦朧としながら、 明日のバイトは出られるかな、とか、 王子様がお見舞いに来てくださらないかな、とか 色々なことをベッドの中でぼんやり考えていました。 1月21日(日) 昨日1日中寝ていたおかげで、熱も下がって元気になり、 予定通りバイトに行くことが出来ました。 でも、店長が心配してくださって、1時間早くあがらせてくれました。 私の周りには優しい方ばかりいて、恵まれているなあ、と感じました。 2月2日(金) 小説の中で、主人公の気持ちが盛り上がる場面に突入しました。 その場面はまるで、私自身の気持ちをそのまま書いているようで、 書くまでは、自分のことを書くようで恥ずかしいと思っていましたが、 実際に書いてみると、気持ちいいほどスラスラと進みます。 誰にも打ち明けられなかった私の思いが、 自然に、ただひたすらに言語化されている。 そんな印象を抱きました。 2月9日(金) ああ、王子様♡ あなたは何故そんなにも私を幸せにしてくださるのでしょうか。 今日の部活中、 王子様が私の小説を読んでみたいと仰いましたのでお見せしたところ 「心理描写とか、細かいところが上手だね」 と褒めてくださりましたね。 あああ♡ 心理描写は私こだわっていた部分ですので、 そこを褒められると、しかも王子様に褒められると、 この上なく幸せな気分になります。 王子様、私の文章を認めてくださって、褒めてくださってありがとうございます♡ 大好きです。 2月14日(水) 今日はバレンタインデーでしたね。 本当は手作りの本命チョコをお渡ししたかったのですが、 そんな勇気を私は持てず、 「先輩、これどうぞ」 とだけ言って、日曜日のバイト終わりに ショッピングモールで選びに選び抜いたチョコをお渡ししました。 もし私からもらうの嫌だったらどうしようとか、 そもそもチョコが嫌いだったらどうしようとか、 そんなことを考えて、渡すときはすごくドキドキしていましたが、 あなたは笑って受け取ってくださいましたね。 受け取ってくださった瞬間、私は平静を装っていましたが、 本当は飛び跳ねたいほど嬉しかったんですよ。 王子様、ありがとうございます。 大好きです。 2月15日(木) 告白したい。 私の思いを、王子様にお伝えしたいです。 でも、断られたときのことを考えると恐ろしくて出来ません。 私に勇気があれば……。 2月17日(土) 最近、執筆が少し行き詰まっています。 というのも、私はまだ男の人とお付き合いをしたことがないので、 デートのシーンがうまく書けないのです。 頭の中でなら、王子様と何度もデートしていますけれど、 それはあくまでも私の中の妄想。 リアルな部分が書けないので、 どうしても薄っぺらくなってしまう気がしています。 今まで書いていた部分は、 主人公が片思いだったから、今の私の状態そのものだから、 気持ちの表現ができました。 でも、物語の中で大きな盛り上がりを迎えるこれからの展開は、 私自身が経験したことのない出来事を描くため、 どうやって表現していけばいいのかと、悩んでいます。 片思いの場面がリアルなのに、肝心の部分が薄っぺらくなってしまうと、 全体のバランスがおかしくなってしまう……。 片思いパートである前半はすごく力が入っているのに、 両思いパートの後半が軽く、薄くなってしまうことは、私としては許されざることです。 どうしましょう……。 2月27日(火) 小説は書き進めていますが、 やはり今までに比べると、遅筆になってしまっています。 ひとまず、とりあえずで書いて、 あとで内容を膨らませばいいかなと考えていますが、 そもそも、誰ともお付き合いしたことのない、 男性のことを何も知らない私にそれが出来るのかどうか……。 2月28日(水) 王子様、私と付き合ってください。 心の中で何度も何度も思ったその言葉を伝えられない 私の勇気のなさが嫌になります。 恐ろしいのです。 あなたに嫌われてしまうことが。 3月4日(月) 期末テスト三日目。 小説の執筆がうまくいっていないせいで、 テストにもいまいち身が入りません。 何だか居ても立ってもいられなくて、 この気持ちを日記に吐き出しています。 王子様、最近こんな日記ばかり書いて申し訳ありません。 でも、あなたにだけは、 私の駄目な部分も知ってほしくて、こうして記しています。 なんて、これはただの甘え。 王子様に、私のどうしようもない部分ですら見て欲しい、 そして慰めて欲しいという甘え。 ああ、こんな情けない私で本当に申し訳ありません。 3月7日(木) 今日は卒業式でした。 文芸部の3年生の先輩方も、ご卒業です。 部長以外の先輩とはめったに顔を合わせなかったけど、 部長には色々とお世話になりました。 本当にありがとうございました。 3月8日(金) 作品のため、王子様に私の彼氏役をして欲しいとお願いすれば、 王子様は応えてくださるでしょうか。 恋人ごっこ、とでも言うべきそれを考えている私は、 卑怯で恥ずかしい女だと思います。 でも、本心を打ち明けて付き合って欲しいと言って、 それを断られたら、私は生きていくことが出来ません。 それだけ、王子様を好きになってしまっているのです。 あなたなしでは生きていけないほどに。 好きで好きで仕方がなくて、でもそれを伝えるのが怖いから、 作品のために、恋人役という体裁をとって欲しい。 最低。 私は最低です。 でも……。 3月9日(土) ごっこ遊びでもいい。 役でもいい。 仮初であっても王子様とそういう関係になれるのであれば。 3月10日(日) 王子様、 私は決心をしました。 明日、あなたと私しかいない部室で、私は……。 3月11日(月) 王子様、罪深い私をお許しください。 私はあなたに嘘をつきました。 これが、昨日日記に書いた、決心でした。 「自作の恋愛小説のため、良い表現をするために  キスの経験がない私とキスをして欲しい」 私は、冷静を装って、あくまで作品のためであることを強調して 王子様にそう提案しました。 本心は、私自身のためでした。 優しい優しい私の王子様は、それに応えてくださって、 私たちはキスをしました。 王子様の唇はとても柔らかくて、唇を重ねたとき、 幸せ過ぎて意識が遠のいていきそうでした。 その後、舌を絡ませる情熱的なキスもしました。 はしたないのですが、私は興奮してしまいました。 そして、その、王子様の股間も、膨らんでいるように見えました。 ああ、王子様……。 もしかして、私とのキスで、王子様の男の部分が反応してくださったのですか? 今日はドキドキして眠れそうにありません。 3月12日(火) 今日も、王子様とキスをしました。 今日はキスだけではなく、 その、王子様の男性の部分を見せてもらって、 私が手でご奉仕しました。 男の人のものを見るのは初めてでした。 とても逞しいそれを、私が手で愛すると、 王子様は体を震わせていました。 その時の王子様の表情、息遣いが、すごく可愛くて、 あんなにかっこいい王子様が、こんなにも可愛い表情を見せてくださるなんて、 と、キュンとしてしまいました。 王子様、私は今日、ますますあなたのことが好きになってしまいましたよ。 終わった後に、今週末にお茶をする約束をしました。 そこで、恋人ごっこのことを話すつもりです。 3月16日(土) 今日は、私にとって忘れられない日になるでしょう。 今日、私と王子様で喫茶店へ出かけて、 私は王子様へ恋人ごっこの話を持ち掛けました。 作品のために私の彼氏役をして欲しい、と。 優しい王子様は、それを快諾してくださって、 私たちの歪な関係が始まりました。 関係が決まった後、王子様のお部屋に行って、 私たちはセックスをしました。 彼と一つになれた時の悦びは、きっと一生忘れないと思います。 幸せと快楽で、おかしくなってしまいそうでした。 性行為に依存する人がいるというのも頷ける気がします。 今思い出しただけで、 体が熱くなってまた欲しくなっているのですから。 欲しい。 欲しい。 もっとしたい。 もっともっと王子様とセックスがしたい。 もっともっともっと王子様のものが欲しい。 王子様、あなたがこの日記を見る日が来た時、 きっと不快に思うことでしょう。 申し訳ありません。 嘘をついて、安全圏からあなたの愛を傍受する立場に立った卑怯な私を、 どうかお許しください。 3月19日(火) 快楽に溺れている。 というのは、今の私のような状態を指すのでしょう。 今日は、図書室でセックスをしました。 先輩とセックスをしてから、私の小説にはそういうシーンが増えました。 恥ずかしいのですが、図書室でしているという背徳感が、 より一層興奮をかきたてました。 王子様も興奮しているようでした。 好き。 大好き。 3月22日(水) 終業式。 明日から春休みです。 王子様と私は恋人ごっこをしていますから それを理由に逢うことが出来ます。 ああ、休みの間にも逢えるなんて、何て幸せなのでしょう。 王子様、大好きです。 3月26日(火) 王子様、記録として、この間のことを記しますね。 3月25日の夜、私の部屋で、私と王子様はセックスをしました。 途中で、好きという気持ちが抑えられなくなり、 私は王子様に、恋人ごっこではなく、 本当の恋人として付き合って欲しいと伝えました。 今思い返しても、 何故あのタイミングであんなことを言ってしまったのか謎ですし、 恥ずかしさを覚えます。 ですが、王子様はそれを笑うこともせず、かと言って怒るわけでもなく、 優しく「いいよ」と言ってくださいました。 王子様、あの時私、本当に嬉しかったです。 恋人ごっこなんて最低なことをした私を 優しく受け止めて下さるあなたに、 私は私の全てを捧げようと心に決めました。 大好きです。 これまでもこれからもずっと、お慕い申し上げております。 私の最愛の王子様。 3月31日(日) バイトの帰りに公園に寄ってみたら、桜が満開でした。 そう言えば、去年の今頃は、王子様と一緒に桜を見れたら嬉しいなって思っていました。 あれから一年が経ち、私は最愛の王子様と出逢い、恋人同士になることが出来ました。 だから、その時の願望を今なら叶えることが出来ます。 王子様、桜が満開のうちに、一緒に見に行きましょうね。 4月7日(日) 今日は、王子様と公園デート。 最愛の王子様と一緒に桜を見ることができて、 私はとてもとても幸せでした。 写真を何枚も撮ったり、 ベンチで私の手作りのサンドイッチを一緒に食べたり、 子どものように拗ねたフリをしてみたり。 どの瞬間もあなたは優しくて、私は幸せで、 すごく素敵な一日でした。 王子様、私はときおり思うのです。 私はあなたに出逢うために生まれて来たのだと。 私と出逢ってくださって、受け入れてくださって、 生まれて来た意味を教えてくださって、 本当に、本当にありがとうございます。 これからもずっと、私を傍においてくださいね。 愛しています、王子様。