■Chapter_2 目覚めるとそこは秘湯だった ■CM:音声左側 あっ…動いたっ! 今、このニンゲン動いたよねーっ? ほーら、生きてるならもっともっと動いてみせてっ、頑張れー、フレーフレーっ♪ うんうん、大丈夫みたいだねー♪ 本当に良かったよー♪ ニンゲン…あ、いや、お兄ちゃんに死なれちゃったら、この後がいろいろ面倒…いや、とっても悲しいって思ってたから♪ あっ、ここはどこでうちが誰かってまだ話してなかったよねっ? うちは大隅月乃(おおすみ つきの)っていうんだよー? えへへ、可愛い名前でしょ♪ おばあちゃんがつけてくれたんだー♪ それでね、ここはなんと、うちの住んでる温泉小屋なんだよ♪ いいところだよねー♪ すっごいひきょーのひとーってやつで、うちが住んでから、他のニンゲンが来た試しがないし、うちも人里への帰り方わからないんだー♪ だからすっごくゆっくりできるよ♪ よかったねー♪ あれあれ、どうしたのー? なんかすっごく青ざめてるけど。 電話を貸してって言われても…電話って何のことかなぁ〜? スマホ…ってなに? お兄ちゃんの持ってた荷物はここに持ってきたけど、すっごく美味しかったお菓子しか入ってなかったよ?  ん…なんでうちのこと不思議そうに見てるのかなぁ? もしかして…お兄ちゃん、うちのこと気になるのっ? うちのこと食べたくなっちゃったとかなぁ…? 鍋に入れたり、頭からガジガジかじったり… もしかして、最初からそういう目的があって、うちのことをこの山に探しに来てたとか…うわーっ、これは大変だよーっ! 他の動物とか、山に来て食べてたのー? ちょっと確かめさせてねーっ! くんくん、くんくんっ… うーん…他の動物の匂いはしないなぁ… あははっ、疑ってごめんねーっ♪ じゃあ、早速だけど、体を見たいから、このお服、脱いでくれるかなー? えー、なんで服を脱ぐのが恥ずかしいの? 服なんて着てても着てなくても同じでしょー? 脱いでくれないなら、脱がせてあげちゃうからねー? えっと、この金属の部分を、つまんで下に動かせばいいのかな? ■CM:ファスナーを下ろす音 あ、脱げた! はーい、脱ぎ脱ぎしようねーっ♪ ■CM:衣擦れの音3秒 うわー、やっぱり傷がいっぱいだー ぶつけた時にお腹の中まで痛めてないかな? ちょんちょん、ちょんちょんっ、つんつん、つんつんっ おー、けっこう柔らかいんだね♪お兄ちゃんって。 ニンゲンのオスって、これぐらいの硬さなんだー、おもしろーい♪ あ、どうしたの? なんだか、お兄ちゃんったら身体がゾクゾクしてきてるし、うちと目を合わせないようにしてるよね? 大丈夫だよー♪いくら柔らかくて歯ざわり良さそうでも、うちはお兄ちゃん食べたりしないからっ♪ でも、うちじゃ治せないような大怪我してなくて本当に良かったー♪ばんざーい、ばんざーいっ♪ ご飯ならうちがしっかり食べさせてあげるし、ここには傷の治りが早くなる温泉もあるんだからーっ♪ だから、傷が治るまでゆっくりしていってねーっ♪ いつまでも、ここにいてくれていいんだからねっ♪くふふっ♪