(※本小説は【妹魔女のくすぐり受難~逆襲の暗殺少女~】の前日譚ですが、視聴前・視聴後どちらのタイミングで読んでも問題ないストーリーとなっております) *** この屋敷には幾人もの少女が軟禁されている。 彼女たちはその柔肌をまさぐられ、くすぐられ、蹂躙される日々を送っている。 しかし、その中でもリーベという少女はくすぐられることに性的快感を覚え、屋敷の主に対し完全な忠誠を誓っている。 そんな彼女を今日もまた…… (お姉様に呼ばれて来ましたが……一体何でしょうか) 屋敷の主−−リーベがお姉様と呼ぶ人物が呼びつけてくる理由は主に2つだ。 1つは、気になる子がどこどこにいるから行って捕まえて来て欲しいといった何かしらの頼み事。 (もしかして、わたくしにご褒美を与えてくださるとか……? 先日の件もございますし……) そしてもう1つは、フィリアのくすぐり相手になること。 なんとなくの暇つぶしや手慰みであったり、時には労いやご褒美の意味を込めて。 どちらであってもリーベは主の役に立てることに喜びを感じているが、できれば後者であることを強く望んでいた。 愛する人間に体を触ってもらえる。その機会はあればあるほど良い。 期待を胸にリーベは部屋のドアをノックした。 中から「入っていいよー」といつも通りの明るい声色の声がかかる。 それを聞いて扉を開けると同時に挨拶をするべく口を開いた瞬間だった…… むぎゅっ……!!!!っと突然背中に柔らかい感触が伝わった。 「……!?」 何がなんだかわからず、リーベは思わず目を見開いた。 しかしそれも一瞬のことだ。このようなイタズラめいたことをする人物は一人しか思い当たらなかった。 「やっほー、リーベちゃん。待ってたよぉ♪」 屋敷の主、魔女を自称する女性。そしてリーベがお姉様と呼び慕い敬愛する、フィリア・ルティックその人だ。どうやら、ドアのすぐ横に隠れていたらしい。柔らかい感触は、彼女の豊満な乳房によるものであった。 彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべながら、リーベを抱きしめていた両腕をゆっくりと解いて、リーべに見せつけるように前方に突き出した。 「あ……」 きめ細やかでスベスベした布地で作られた白い手袋に包まれた手が、リーベの目の前に現れた。 ただ現れただけではない。わきわき、わきわきとその指がうごめいている。 空気を揉むように、見えない何かをこちょこちょとくすぐるように。 その動きを見ているだけで、リーベは顔を紅潮させこれから自身の身に起こる出来事を想起してしまう。 そうして見つめるうちに自然と視線がその手に吸い寄せられていく。 「うふふふふ……」 両手がジワジワと距離を詰めてくる。そしてそれはピタリとお腹の前で静止した。 触れるか触れないか。いや、僅かにリーベの体に触れないあたりでフィリアの手は止まった。 あとほんの数センチ近づけば彼女の細い指が触れる。しかし、いくら待てどもそこで止まったまま動いてくれない。まるで焦らすかのように…… 「お姉、様……?」 困惑気味に問いかけるが返事はない。ただニコニコとした笑顔のままこちらの様子を眺めているだけだ。 それでもなお動かないことに疑問を覚えたリーベだったが、「あっ……」と思い出したかのような素振りを見せた後、おもむろに自分の服に手をかけた。 自身の胸元へ手をやり、ツートンカラーなブラウスのボタンを一つ一つ外していく。はやる心を抑えきれないせいか、いつものように上手く外せない。全て外し終えると、そのままの勢いで白いキャミソールの肩紐ごとブラウスを横へずらしていく。 生地が重力に従ってずるずると落ちていく。リーベの細い肩や白い背中、そして控えめな大きさの乳房が露わになった。 スカートのウェスト部分はコルセット状になっているため、これを外さないことには下半身も晒すことができない。ええい、なんと面倒な服なんだと思いながら四苦八苦。コルセットスカートの ボタンと格闘しながら下方向に引っ張って無理やり床へ落としていく。 そんなリーベのいじらしい様子をじっと見守るフィリアの顔はとても楽しそうだった。 やがて、大切な部分を守るショーツだけを残した姿になったところで手が止まった。 恥ずかしさから顔が真っ赤に染まる。俯いているが決して目を逸らそうとしないところを見ると、やはりこの行為を望んでいるようだ。 (ああぁ……早く……) 早く触って欲しい。もっと気持ち良くしてほしい…… そんな想いがリーベの中で渦巻いていた時であった。 不意打ちのようなタイミングで腋の下から腋窩にかけて人差し指がツツーッ……っとなぞったのだ! (ひゃうぅん……!?) ビクンっ……! たったそれだけの刺激なのに、全身が痺れるような感覚が駆け巡っていく。 待ち望んだ快感がようやく与えられたことで体が歓喜に打ち震えた。 しかしまだ始まったばかりだ。今度は先程よりも強く、そして素早く同じ場所を攻め立ててきた。 「きゃ、はっ、ぁふふふっ……! お姉様……そこっ、ぁ、あはっ……あはははっ……!」 指でなぞる速度が徐々に速くなっていく。また、体が刺激に慣れないようにとフィリアは動きにも変化を与えていく。 つんつん……つんつん……と突っつくような動き。 「くーるくる……くーるくるくる〜♪」 円を描くようにしてなぞる動き。 「あはっ……!? ひゃ、は、あはっ……! ひ、ひっ、ひひひひ……ぃ……!!」 爪を立ててカリカリッと引っ掻く動作も追加された。 「っ……!や……ふぁ、ひゃ……ゃん……! んぅ、ふ、んふふふふっ……!」 1秒たりとも休むことなく様々なパターンでのくすぐり責めが繰り返される。 その度にリーベは体を震わせ、可愛らしくも艶やかな笑い声を上げてしまう。 普段からフィリアに愛撫されていることもあり敏感な箇所ではあるが、今回は特に反応が良い気がするのは気のせいではあるまい。 ここ数日、フィリアは用事があって屋敷を留守にしていた。 その帰りを楽しみに、何日もずっと我慢していた分だけリーベの中で溜まっていたものが一気に噴き出しているということもある。だが、それ以上に大きな要因があるだろうことは明白だった。 それは、フィリアが身につけている手袋である。 「可愛いなぁ、可愛いなぁ……ほーんと、リーベちゃんってば可愛い……」 サテン生地でできた手袋は肌の上でも滑りが良い。くすぐり方次第では素手でくすぐるよりも遥かにくすぐったさを強く与えることが可能であった。 しかも、フィリアが身に着けているのは普通のものではない。こだわりをこだわりを重ねて作り出した、よりくすぐったさを与えるための特別製だ。 その効果は絶大で…… 「はははっ、あっ、はははははっ……!」 全身から力が抜け膝から崩れ落ちそうなリーベを見て、フィリアはクスリと笑みを浮かべると同時に、指の動きを徐々に減速させていき…… 「はーい、ストップ〜♪」 そして止まった。 「は、ぁ……ぁ、はは……は……」 「まずは挨拶代わりということで。どう? 気持ち良かった?」 「はぁ、はぁ……は、はい……とても……」 荒くなった呼吸を整えながら、リーベが答える。倒れそうになったところで、フィリアがリーベの体を腕で支えた。またしても背中や後頭部に柔らかい感触と温もりが伝わる。 「素直でよろしい。でも、今日はまだまだ終わりじゃないよ〜? なにせ今日は、リーベちゃんにご褒美を与える日だからねぇ」 ご褒美。その言葉にリーベの胸が高鳴る。 「あの暗殺者の子……えーっと、名前なんだったっけ。まぁいいや。あの子の脱走を阻止してくれたんだもんねぇ。しかもお耳や体の調教までしてくれちゃって。下ごしらえしてくれたお陰で、またあの子に会いに行く時にいっぱい楽しめそうだよ〜」 フィリアの命によりリーベは、誘拐され屋敷に住まわされている少女の監視やくすぐり調教を任される立場にいる。 フィリアが捕らえた少女たちの感度を高める下ごしらえや、脱走等を企てたりしないよう反抗の芽を摘むためであった。 魔法で拘束し、無抵抗な状態の少女をくすぐりで悶えさせいたぶり続ける。 リーベはその行為に対しても楽しみを見出す、サディストな気質の強い一面を持つ少女でもあった。 「ええ……わたくしも、あの方をくすぐり悶えさせるのはとても楽しゅうございました」 そのため、この言葉は本心だ。しかし、それと同時に気の多いフィリアから好意を向けられる少女たちに対し嫉妬の念を隠せなかった。 あの方たちはお姉様からのご寵愛を受けくすぐられているというのに、何故それを拒むのか。その分だけ、自分をくすぐってくれればいいのに。そのような思いに苛まれることもあった。 もっと自分を見て欲しい。もっと自分に構って欲しい。捕らえた少女のことについて楽しそうに話すフィリアと接する際、リーベは時折そのようなことを思ってしまう。 「あー、リーベちゃんが拗ねてる〜! 私が他の子の話するから拗ねてるんでしょ〜?」 そんな想いが声色に混じっていたせいか、フィリアにあっさりと見透かされてしまった。 申し訳ございません、と。素直に非を認めるリーベの頭をフィリアはよしよしと手のひらで撫でた、 「そういうところも可愛いんだからぁ。ところで……」 そう言ってもう片方の手でポケットから取り出したのは何やら黒い布切れのようなもの。 「ご褒美ついでに、今日はちょっと試したいことがあるんだけど……」 それをリーべに見せつけるように広げてみせる。 「……目隠し、ですか?」 それを見た瞬間、これから何をされるのかがすぐに理解できた。 「正解。これで何も見えなくなるけど、その代わりリーベちゃんの体は今まで以上に敏感になるはずだよぉ……どうかな?」 確かにそれは、リーベにとって魅力的な提案ではあった。今でさえ十分すぎるほど体が昂っているというのにも関わらず、これ以上に快楽を与えられてしまうというのは一体どれほどのものなのか。想像しただけでゾクッとした。 「それが、お姉様の望みならば」 「……違うでしょ?」 耳に吐息が当たる。本音を建前で覆い隠した返答を諌めるように。 ずるい。本当にこの人は、どこまでもわたくしのことをわかっていてくれる。わたくしのことを理解し尽くしている。そのことが嬉しくもあり恥ずかしくもあり、リーベは赤面しながら俯いた。 「わたくしの望むことはただ一つです……お姉様……わたくしを目隠ししてくすぐってくださいませ……」 消え入りそうな声で、懇願するように言った。その言葉を待っていたと言わんばかりにフィリアは満面の笑みを浮かべる。 「よく言えたねぇ〜! じゃあさっそく、始めよっか」 *** 「……………………」 どきどき、どきどき。 リーベは心臓の鼓動が早まるのを感じている。 視界が消失したことによる不安のせいではない。 むしろ楽しみ? 期待? 興奮? 様々な感情がごちゃ混ぜになっていた。 何も見えなくなると、お姫様だっこでフィリアに運ばれているのを感じ取った。 そしてどこかに自分の体を横たわらせたようだ。 ギシギシとスプリングの軋む音が耳元で響く。ベッドの上であろうか。 そしていつの間にか顔は天井に向けたまま、両腕両脚は広げたまま動かせなくなっていた。フィリアが拘束魔法をかけたためだ。 その方が好都合だとリーベは思った。強い意志をもって暴れないようするつもりではあったが、万が一のことがあってはいけない。 「うふふふ……」 フィリアの声が耳に入る。きっと、妖しい微笑みを浮かべているのだろう。見えないことでより一層聴覚が研ぎ澄まされている気がする。 いや、聴覚のせいではなく物理的に近−− 「……ふぅうぅぅぅぅぅぅ〜♪」 「ひぁあぁぁぁっ……!?」 そう判断した瞬間。リーベの耳にフィリアの吐息が注ぎ込まれた。 「ふっ、ふっ……ふううぅぅぅぅ〜♪」 思わず背筋が跳ねる。耳孔内を通過する風圧が、鼓膜を通して脳へと響き渡るたびにくすぐったさで全身が震えた。 視覚を奪われているせいで、普段の何倍もくすぐったがり屋になっているような気さえする。 「ぁ、んぁあ……! お姉様、っ……! くふふ……待って、くださっ……」 制止の言葉を口にしようとした途端にフィリアの手が動いた。 こちょこちょ、さわさわ…… まずは右の脇腹をなぞるようにくすぐる。指先が肌に触れるたびにびくん、っとリーベの身体が小さく反応を示した。 「んっ……!? ふふ、ふっ……! ぁ、ひゃ……やぁん……!」  待ち望んでいた刺激に頭が真っ白になり、思考が吹き飛ぶ。 乳房、その周りやあばら骨のある脇腹。それらを引っ掻くように指先でこちょこちょとくすぐり続ける。 「ぃああ……! だめ、だめぇえへっへへへへへっ……! おねえさま……それ、ダメぇあっあああぁぁぁっはっはははははは……!!」 「だめ? だめなの? じゃあ止めちゃおっかな〜?」 はーはーと荒くなった呼吸を整えながらリーベは大きく首を横に振って否定の意思を示す。 強がるリーベを見てフィリアはニヤリと口元を緩めた。 「それでこそ私の妹分だねえ」 時折お腹をくすぐったりと刺激に慣れさせないようにしながらフィリアは続ける。今度は太ももの付け根辺りに手を伸ばしてゆっくりと焦らすように撫で回す。爪を立ててカリカリッと引っ掻き、円を描くようにして手を移動させていく。 「きゃうぅんっ……! そ、それっ、んふふふっ……! きもちいいで……ひゃ、ぁあん……! ふぁ、はははは……! ゃ、ふあぁああぁぁ……!」 性感帯を責められているわけではない。しかしそれでも、視界が奪われていることによる緊張感や恐怖心などが相まって、リーベの感度を何倍にも高めていた。 また、くちゅ…… 小さな水音が鳴る。 リーベの秘所からは愛液が流れ出しており下着に大きな染みの輪を作っていたのだ。 「気持ちいいんだぁ?」 「これは……ぁ、ははは……」 ただでさえ火照っていた顔にさらに熱が集まる。恥ずかしさと緊張が入り混じっているせいか、いつも以上に感じてしまっている自分に戸惑いを覚えると同時に興奮していた。 「こーいう風にぃ、わき腹あたりをこちょこちょこちょ〜ってされると、くすぐったくて気持ちいいんだよねぇ?」 親指があばら骨に触れた瞬間、リーベの体が大きく跳ねた。 「ひゃはっ、ひゃっ、やぁあぁっはっははははは……! そこっそこはあぁぁああっはっははははははははっ!」 そして、残りの指で揉みほぐすようにすると更に反応が激しくなる。我慢できずにはしたない声を上げてしまう。 コチョコチョと細かく動かすだけでなく、大きな動きでは左右を同時に激しく動かしたりなど緩急をつけてくる。 視覚を奪われている上に敏感になった状態なのでどこから何をされるかわからないというだけでゾクッとした感覚に襲われる。 「ゃ、ぁああぁあはははははははっ! おねえさまそれくすぐったあぁあぁ〜っはっはっははははっ……!」 僅かに動かせる胴体が左右にくねくねと動いたり弓なりに上下に跳ねたり。 とにかくくすぐったくてたまらないと表現するばかりだ。 「嬉しいくせにぃ」 フィリアの両手がリーベの体をまさぐり続ける。脇腹から昇り、次は腋の下に重点的に狙いを定める。全ての指を使ってわしゃわしゃと大きく広げるような動きでくすぐったさを注ぎ続ける。 「んんんんぅう……!?  やっ……! はあぁんんっ……! んっ……んふふふ……ふふふふふぁあぁあっはっはははははははっ!」 反射的に我慢できたのもほんの数秒だけ。巧みに動くその手でたちまち笑ってしまう。 大雑把な触られ方ではない。一つ一つの動きがくっきり鮮明に伝わるほど繊細なタッチだった。 この調子なら数分もしないうちに全身が汗まみれになるだろう。そう確信できるほどのテクニックがそこにはあった。 「ひっ……!?」 人差し指と中指を揃えて二の腕の柔らかい部分をこちょこちょとくすぐる動きが加わる。ただそれだけのことで頭が真っ白になってしまう。 弱点でもないようなそんな場所へのくすぐりでも、不意打ち的にやられるととても効果的だった。 「なーんにも見えないもんだから、どこ触られてもくすぐったいんだぁ?」 「んんぁああぁははっ!? んふ、ふぁあんっ……! そぉこだめぇええぇへへへっへへへっ! ひゃめっ……ゃぁああぁあ……!」 フィリアの言葉通り、リーベは何も見えていない。暗闇の中を彷徨っている。 どこをくすぐられているのか。その認識が遅れるばかりで、場所を特定できる頃にはまた別の場所に指を添えられる。 ゆえに予測がつかず、笑い声を抑えるための我慢ができなかった。 必死になって唇を噛み締めようとしてもくすぐったさのせいですぐに決壊してしまう。 「我慢しちゃだ〜め。ほぉら、もっと笑って? リーベちゃんの可愛い声をもっと聞かせて?」 こうなればもう完全にフィリアの手中だった。妖しく躍動する10本の指が刺激を与える度、リーベの細い身体はビクンと跳ね上がり痙攣するだけだった。 「お姉様っそれっ……それやめてくださぁああぁあっははははははあぁぁっ!」 「やめてやめてって、本当は好きなんでしょ〜? くすぐられるの大好きだもんねぇ〜? こうやって可愛がりながらいじめてもらうことしか考えられなかったんだよね〜? だから私はリーベちゃんの期待に応えてあげる♡ こんな風に♪︎」 「きゃああああぁあっははははっははははは!?」 腋の下をカリカリッとくすぐっていた手を止め、今度は胸の周りや首筋などをなぞるようにして責め立てる。 もちろんその間もう片方の手で腋をこちょこちょといじることを忘れない。 異なる場所を異なるくすぐり方で責める。これこそがフィリアの得意技であり、同時にリーベがいつも耐えられない攻撃パターンでもあった。 「ひゃ、ひゃは、ひゃははははっ! やぁ、やだ、やぁあぁあぁっはっはははっ!!」 「やだって言ってても体は正直だよねぇ。こことか弱いんじゃなぁ〜いっ?」 「ひゃわぁああぁっ!? ひゃ、ゃははははははっ……! そこ、そこだけはぁあぁあぁああっはっはははははははははっ!」 くすぐりに反応すればするほど体から力が抜けていく。そして抵抗できないまま、無防備な状態でくすぐりを受け続けてしまう。 「おねえさまおねえさまおねえさまぁああああ! んひゃ、ひゃひゃひゃっ! ひゃふ、ふ……ふゃあぁぁぁっ!?」 ただでさえ敏感になった体に、さらに敏感になる箇所へと集中的なくすぐりが加えられていく。 耐えきれるはずもない。絶頂を迎えるように体が跳ね上がる。 しかし、それでもまだくすぐる手を休めないのがフィリアという魔女なのだ。 *** 「はぁ……はぁ……」 ようやく解放された時、リーベは既に息絶えだえになっていた。慌てて酸素を取り込むべく激しく息を吸う。 フィリアが両手を引っ込めたのだとすぐにわかった。 だが、リーべにとってそれは終わりを意味していなかった。むしろ始まりに過ぎなかった。これからが本番だと言わんばかりに、リーベからは見えていないがフィリアは次の行動へと移っていく。 真横でベッドのギシギシ音がしている。 (何をするつもりですか……?) まさにその時だった――― 「んんぅうう!?」 突如として襲ってきた感覚は、今までのものとは全く違うものだった。 生暖かい感触。それが何なのかは考えるまでもなかった。 「はむ……ちゅぷっ……! ふふっ、どうしたのかな〜? ぁむっ……!」 「ひっ……!?」 耳元で囁かれる甘い吐息混じりの声。その正体は言うまでもないだろうがあえて言おう。 フィリアがリーベの耳に舌を這わせていたのだ。 「んん……っ!? んはっ、ゃ……! みみ、ぃ……!?」 「れろ……んん、ふふっ……! はぁ、んん……! ぴちゃ……くふふっ……!」 「んんあぁっ!? んんんんんんっ!!!」 ゾクゾクとした快感と恥ずかしさが一気にこみ上げてくる。 このうえなく淫靡な音と刺激だ。それらを受け入れようと、リーベは思わず耳へと意識を集中した。 すると、その瞬間を待っていたかのようにフィリアはリーベの弱点である脇腹をくすぐった。 「ひぁああぁあぁあぁああっ!?」 たったそれだけのことなのに頭が真っ白になりそうなほどの衝撃が走る。一瞬にして思考能力が奪われる。 「ふふふ、可愛い声出しちゃって……やっぱりリーベちゃんはくすぐられるの大好きだよね〜」 そう言いながら再び指を動かす。今度は先程よりも少しだけ強く押し込んだり、優しく撫でたりしてみる。 同時に耳を舐める舌の動きも止めない。 リーベはすっかりと蕩けてしまっている。もう完全にくすぐられることに夢中だ。 そんな彼女を見て、フィリアはより一層笑みを深めていった。 ゆっくりと指を下ろす。そしてそのまま指先でリーベの秘所に触れた。 「っ…………!」 「はぁ……リーベちゃんのここ、すっごく濡れてる……どうしてだろうねぇ……?」 「ぁひ、ひ……! そっ、それ、はぁ……」 口ごもりながらも顔を赤くするリーベ。 彼女はフィリアに責められるたびに無意識のうちに愛液を流してしまっていたようだ。 それを指摘され、羞恥心からか余計に顔が赤くなる。 しかしそれもほんの数秒のことだった。次の言葉を紡ぐ前に、フィリアがもう片方の手でリーベの胸元に触れた。 「っ!? ぁ……」 指先が乳首を掠める。 電流のような刺激がよぎると同時にリーベの口から小さな悲鳴が漏れた。 その反応が好ましくて、フィリアは指の腹で先端を優しく撫で始める。 「おねえ、さま……ゃ、ひゃ……! ん、んっ……くぅ……!」 ただでさえ敏感な部分への突然の攻撃に、耐えきれずに体を震わせる。 「ひぁう……!?」 人差し指で乳首を軽く弾かれると、それに呼応するようにリーベの悲鳴が鮮明になっていく。 何度も繰り返されるうちに、くすぐったいような気持ちがいいような感覚がもどかしくなり、リーベは膝同士をこすり合わせてもじもじする。 その際にぷっくりと秘所が突き出される。そこにもフィリアの指が添えられる。 すっ、すっ…… すり、すり…… 下着越しであってもその刺激はとても甘美であった。 割れ目をなぞるように動く細い指がくちゅくちゅという水音を鳴らす度に腰が小さく跳ねてしまうほどに。 「んん……! は、んん……!」 自分で慰めることはあっても、ここまで強いものではなかった。他者から、それも愛する者から触れられている。そのことがリーベの快感をより一層強めていた。 「はぁ、は……ふゃあぁ……!?」 「はー……むっ……ん、ちゅぷっ……! んふぅ……っ」 フィリアの顔が近くに寄る。耳への責めが再開された。 舌が、吐息が、リーベの耳に触れる。 右手の指がリーベの乳首に触れる。 左手の指がリーベの秘所に触れる。 三箇所を同時に攻められることで、堪えきれない疼きにも似た震えが全身を襲う。 今まで経験した以上の、快楽の波に飲み込まれそうになる。息をすることすらままならない。頭の中を支配するものはフィリアの存在だけで―― 「んぁ、は……はひ、ひぃ……! んっ、んふ……ふ、ふふふふ……!」 「ちゅぱっ……ぁあんむっ……! はむんんっ」 何も考えられなくなってしまっているのにも関わらず、体だけは素直に反応し悦びの声を上げるものだ。こんな状況でも自然と笑顔になってしまっていた。 くすぐったい、気持ちいい。 もっと、ずっとこうしていてほしい。そう思ってしまうほどの心地よい時間だった。このままいつまでも続くのではないかと思ってしまうほどだった。 「ぁひ!? ひ、ひひゃあぁっ……!」 けれど、そんな時間は唐突に終わりを告げた。同時に体がビクッとはね上がるくらいに強い衝撃が襲った。 「こちょ、こちょ……こちょこちょこちょこちょ〜♪」 フィリアはそう囁きながら両手でリーベのわき腹を素早くくすぐり始めたのだ。 「ぁは……!? ひゃ、んはっ、あっはっはははは……! おねえさまっいきなりっ……くぅっ、くぁ、あっはははははははは……!?」 その動きに合わせてリーベの口からは先ほどまでの艶やかな喘ぎ声ではなくくすぐったがる嬌声が色濃くなっていく。 「だっだめ……んはっ、ひゃ……だ……ひゃめてぇ……!」 急転直下。 これまで感じ続けていた刺激が消え去り、思わず制止の言葉をかける。 だが、そんな懇願が届くはずもなく、フィリアは無慈悲なまでに愛しい妹に襲いかかり続ける。 わき腹から昇り降りを繰り返しながら、時々腋のくぼみへ手を滑り込ませて指先でコチョコチョとくすぐっていく。 「ひっ、ぃひひひひ……! ぁはっあっはははははははっ!!」 あまりの大笑いに呼吸すらまともに出来ない。リーベは限界まで口を開けっぱなしにしてなんとか空気を取り込もうとするが、それは上手くいかない。 体が息を吸うことよりも、反射的に笑い声を出してしまっている以上、体内に入る酸素の絶対量が減り続ける一方だ。 「くぁっ、ああははっ! んんっ! くくぅぅ……っ!! っあ、ぅああぁあっはははははは……!」 イジワルだ。お姉様は本当にイジワルだ。イけそうだったのにイかせてくれないなんて。 リーベは心の中で非難するが、その責めに抗うことは一切しない。 これがリーベの望んでいた結果の一つだったからだ。 あの優しい手つきで気持ちよくされている時も幸せだったが、今のこの激しくも的確な攻めもまたたまらない。 むしろ不意打ち的にくすぐられることで、いつも以上のくすぐったさを味わうことができたのだから。 リーベにとっては、フィリアの意地悪さすらも愛らしいものであった。 「こしょこしょ、こ〜しょこしょこしょ〜♪」 フィリアは再び耳元へと近づき、わざと吐息が耳に当たるよう楽しげに囁く。それだけのことなのに、体中を駆け巡るくすぐったさがより一層強く感じられた。 「んひゃあぁぁ……! んひゅ、ひゅ……ひゅふふふふ……! それずるぃひひひひひはははははっ……!」 ただでさえ我慢ならないほど全身がくすぐったくてたまらなかったのにも関わらず、その状態のまま今度は左の耳にフィリアの舌が侵入してきた。 「れるっ……んんーちゅっ、ちゅぱっ……!ちゅぷん……っんはむっ……はぁん……! んーっちゅぷん、んぷちゅ……」 舌が耳の穴に入り込んでくる。 ぬめる感触とピチャッピチュッという淫らな水音が鼓膜を直接震わせるような感覚に襲われる。脳天にまで響く恥ずかしい音から逃げようにも、フィリアの拘束魔法のせいで首を動かすことができない。 「やぁんん、ひはっ! はぁふふふ……! みみっだめっひひひぃぃっ!」 「こちょこちょ……♪ んれろっ……こちょこちょこちょこちょ……♪」 「ふぁ、はんん……! はぁあんっ……! んふふっふふふっ! んんんぅうん…………!!」 腋や脇腹を指で責められることによるくすぐったさと、耳を舐められることよる気持ちの良さ。今度は二種類の刺激を同時に注ぎ込まれる。これらの波状攻撃は非常に耐えがたいものであった。 「おねぇひゃまぁぁ……っ!? そ、そこぉっ……きゃひっ、あっははははははは……!! もっ……もぅ、だ、めぇえ……!」 もはや体力の限界……リーベは笑い声混じりで必死で訴え始める。 そんなリーベの切迫した様子を察してくれたのか、フィリアの手がわき腹から離れていく。 体に伝わる刺激が軽減され余裕が生まれたリーべはその隙に思い切り息を吸い込む。 「あは……ひゃ、は……はぁ……はぁぁぁ……!」 大笑いしたことで涙目になった瞳を大きく見開きながら必死に呼吸を繰り返す。 しかしホッとしたのも束の間、 「は〜い、休憩終了〜♪」 すぐさま無防備な両わき腹を揉みほぐすようなくすぐりが再開され、ゾワッとしたくすぐったさで一瞬にして背中が反り返った。 「ひゃうううぅんっ……!?」 意識が逸れていたリーベにとってはまたしても意地の悪い不意打ち。体をビクビク跳ね上げ悶えるのみであった。 「ぁひ、ひ、ひひひいいぃぃっ……! ひゃはっ、は……あははははっ!! おねっ、さまっ、ははっくしゅぐるならっ……ちゃん、と言ってくだしゃあひいっ……!! くひゃひゃひゃっ ……!」 「だってぇ、すごーく必死なんだもん。可愛いからついついイタズラしたくなっちゃった」 「そんなあぁぁあっはっはははは……! はひ、ひ……ひひひひ……!」 「わかったわかった。じゃあ次はきちんと予告するから。『どこどこをこちょこちょする』って、今から言ってあげるから……それでもいい?」 もちろんこんな状態でまともに返事など出来るはずもなく、リーベはただ口の端にヨダレの糸を引きつつなすがままにするしかなかった。 「今からお腹へ……いくよ〜? そ〜れっ、こちょこちょこちょこちょ〜!」 宣言通り、わき腹から移動しながらフィリアの指はおへその下辺りまで渡り歩いて刺激していく。 「んひゅ、ひゅ、ひゅふふふふ……! ふふふふふ……ふぁ、はっ、ひゃっ、ぁははははは……!」 場所とタイミングを予告されていることもあり、今までよりも微弱な感覚のように思えた。 これなら我慢できる。しかし、何故そんな優しい責め方に変えたのだろう。 笑い悶えながら疑問符を浮かべるが、これが単なる優しさでないことにすぐ気づいた。 「んふふ♪ 今度は……お腹から横に移動して腰のあたりをこしょこしょこしょこしょ〜?」 「んぁ、んひゃああぁあっはっはははははははは!? はっ……ちがっ、ちがっひゃひゃひゃひゃひゃははははははははぁぁっ!?」 先程までの穏やかさがまるで嘘だったかのような激しい笑い声があがった。 「あっはは! おっ、おねぇっ、ひゃまっ! そこはぁあっははっ……! そこ腰じゃなっ、ぁあっはははははははは!?」 フィリアが狙いすましたのは宣告した腰……ではなく、太ももや脚の付け根。場所としてはそう離れてはいないが、予測していた場所ではないためまたもや不意打ちされたようなものであった。 「きゃはははっはははっ! はひ、ふぁ、あはっ! あははは!!」 弱点であるわき腹や腋の下には及ばないまでも、確実にいつもの何倍もくすぐったく感じる。何も見えない上に予測も役に立たない。そんな恐怖感にも似た感情が芽生え始めていた。 「次はぁ……わき腹、かな〜?」 「ひゃ、やめっ……! やっ……! んひっ!? ひひひひっ! ゃひひひぃいいっ……!?」 下半身への刺激に気を取られていたリーベが、慌てて次にされたくすぐり場所に意識を向けるも、またもや異なる場所をくすぐられる。 「やっぱりここが一番弱いんだもんねぇ〜? 反応が大き〜い♪」 しかし、触れられた箇所は足の裏。 上半身、それも自身の弱点部位を宣告されれば嫌でも警戒を強めざるを得ない。 それゆえ、同じ手でくるとわかっていても引っかかってしまう。 「次は腋……」 触れられた箇所は膝。さわさわ、さわさわと手のひらで撫でるように。時折、爪を立ててかりかりと。 「わ・き・ば・ら♪」 今度は言葉通りの箇所。しかし何度も騙され続けたせいで、言葉通り受け止めることができず、見当違いのところを意識してしまい笑い転げてしまう。 「もう一回、腋ぃ……♪ ……ふううぅぅぅぅ〜♪」 もはや手すら使っていない。耳にふーっ……と息をかけられビクッと全身が震え上がった。 「わーきー……こちょこちょこちょこちょ〜♪ なーんて、ね。あはははっ、ほんっと素直だねぇ」 くすぐるフリ。今度は肌どころか耳にも何もされなかった。それにも関わらず、錯覚から反射的に笑い声が突いて出てしまった。一人で勝手に笑い悶えてしまった恥ずかしさでリーベは思わず赤面した。 「うぅぅ……」 耳を塞いでしまいたい。何も聞こえない方がどれだけいいか。 視界のきかない中で聴覚に与えられた情報がかえって悪い方向に作用してしまう。暗闇の中に差す一筋の光に向かって歩き出していたら足元に落とし穴があった。まさしくそんな気分だった。 そしてようやくリーベは悟った。この遊びの本質を理解できた。 いくら手を尽くしても、必ず何かの形で弄ばれることになってしまうのだ。 全て事前通告されてしまうが故に思考を誘導され、常にその逆を突かれて永遠に相手の行動を見抜くことができなくなる恐ろしい手法なのだこれは。 「と、こういう責め方もあるってこと。勉強になったかな?」 「はい……」 どうやらこれまでのくすぐりは、単に悦ばせるためだけではなく、くすぐりのレパートリーを増やし、調教の仕事に更に磨きをかけさせるべく体に教えこむ。そういう意図もあったようだった。 ニタリとした笑みを浮かべたままフィリアは続ける。 「もちろん、まだまだあるよぉ……? ふふふ、楽しみにしててね、これからも。リーベちゃんに教えたいこといっぱいあるんだから……」 じゃあお話はこれくらいにしちゃおっか。と言いながら、フィリアはリーベの目隠しを外した。 しばらくぶりに開かれた視界はぼんやりとしていながら少し眩しくて、思わず目を細めてしまう。 徐々にフィリアの顔はっきりと見えるようになってくると、彼女と目が合うと同時に、自分の姿を思い出してしまった。 「あっ……」 好きな人に裸同然の姿を見られるのは何回経験しても慣れないものであった。今日もずっと見られっぱなしであるのだが、顔が見えるようになると恥ずかしさが強まってしまう。 目隠しと同時に拘束魔法も解除されていたようで、リーベはゴロンと寝返りを打って体を隠した。 「うふふ……お話は終わったけど、もう少しだけベッドにいてもらうよ?」 と、言いながらフィリアはリーベのすぐ横に寝転がった。一緒に添い寝するような体勢になり、背中側から抱きついてきたフィリアが、リーベの胸の先端やお腹まわりなどを優しく撫で始めた。 「ひゃっ……!?」 今までの笑い声を強制的に引き出してくるような撫で方ではなかった。 「んっ、はふ……っ、ぁう……」 ゆっくり、それはもうゆっくりと。慈しむような動きだ。 ゾワリとする感覚ではなく、むしろ心地よい安らぎを感じる。まるで母親が幼い子を抱える様に柔らかく温かい抱擁。柔らかくて、温かい。 「よしよーし……よしよーし……いつも、私のためを思ってくれて、偉いなぁ……」 フィリアの手つきはどこまでも丁寧であった。撫でられている箇所全てが心地よい。 体の力が抜けていき、疲れもあり身を委ねていると眠ってしまいそうになるほどの安心感すらある。 「いい子、いい子ぉ……」 フィリアはお臍の周りを中心に円を描くように指を動かし始めた。ずっと強い刺激を浴びせられつづけたせいか、気持ちがいいけど何だか物足りないという感じがしてくる。もっと、別の場所の方にも触れて欲しいという思いさえ浮かんできていた時だった。 「んはっ……!?」 ふっ……と耳に息を吹きかけられ、体がピクッと震え上がった。 それを皮切りにフィリアからの愛おしげな手の動きと共にふぅっ……と吐息が様々な箇所を撫で回していく。 「ゃ……!? は、ひぁ……! は、ひゃうっ……」 首筋、うなじ、背中……吐息が掠めていくたび、気持ちの良さそうな悲鳴がリーベの口から止まらなくなる。 「これ……好き?」 お腹を撫で回していた左手がゆっくりと登っていき、喉や顎といったなかなか触れられる機会の少ない場所を優しくこちょこちょと撫でていく。これもまた心地よくて気持ちがいい。 「はひ、ひ、ぃん……! すき、ですぅ……でもぉ……」 こうも焦らされるような微弱なくすぐったさが続くと、全身から溢れた快感が腰の辺りへと集まり、ムズムズと痒くなっていく。疼く股間部分から太腿のあたりを何とかして欲しいという思いが出始める。 「うふふ……でも、何?」 しかし。そんな思いに気が付いていてもフィリアはそれをする気は無いらしい。 リーベの首筋や胸の横に手を添え、撫で回す速さを維持したまま焦らし続ける。時折、耳元に口を近づけて、ふーっ……と吐息を送り込み次の言葉を催促する。 「んあ、ぁ、はひっ……! えっと、ふっ、くひぃっ、あの……して欲しいかな、って……ぅん……! ところ、がぁ……」 「……どこを?」 「………………」 「……聞こえないなぁ」 「…………こ」 「こ……?」 ハッキリと口に出すのは恥ずかしい。それでも言わないと、これ以上先には進んでくれない。それがわかっているから。 「し……下のお、おまんこ……をぉっ……いじってほしい……です……!」 顔を真っ赤にして、懇願した。そしてフィリアはその答えを待っていましたと言わんばかりにリーベの秘裂に触れる。 「きゃうぅっ……!?」 先ほどは途中まで与えられたものの、強烈なくすぐったさで上書きされたままだった。それゆえにリーベの中で心残りがあったのだ。 待ち望んでいた刺激だったが、それをフィリアに与えられているということは羞恥を倍増させていた。 割れ目の上部に位置する突起物を指が探り当てると、そこの周りをクニクニと弄りだす。 「くひゃぅっ!? あっ、ああぁっ、ひゃあんっ……!」 思わず下腹部に力が籠るほどの強い刺激が走った後、クリクリ、カリカリと言った具合に強弱をつけて刺激され始める。 「ひゃんっ! あああっ……んやぁっ! ひゃうっ……!」 やすやすと我慢出来る代物ではない。発情した獣のような鳴き声が喉を突いて止まらない。 リーベは襲ってくる快楽の波を受け止めるだけで精一杯で、もう口を閉じることさえできないようだ。 フィリアから与えられる感覚がどんどんと甘美になってくる。 「はむ……ぺろ……」 「はひんっ……! あっ、ぁあ……はぁあぁぁ……だめぇ……」 時折、舌を這わせながら耳を舐め回す。 その度に体がビクビクと震えて反応してしまう。耳から入った水音が内壁から染み入り、脳を犯されているように錯覚する。 「ふーっ……」 「んぁぅぅっっ……ぅ……」 「ふー…… んちゅっ、ちゅぷっ……」 「……っ!」 もはや全身が性感帯になったかのようだった。 お腹をそっと撫でられたり、背中を撫で回されたり……そんなささやかな快感でさえ頭の中をかき乱される。 全身からあふれ出した汗がシーツの上に大きな水滴の絨毯を作り出すと、体が熱くなると共に思考が蕩けだす。 「ん、ふぅっ、んん……っ……」 フィリアは責めの手を休めることもせずに、何度も耳元に吐息を送り込んでは言葉にならない声を聞き、愛おしそうに手の内のリーベの反応を確かめる。 愛撫の気持ちよさに腰がくねりと動き始めてきたころに、リーベの体に異変が起きた。 「くちゅ……ぺろっ……ちゅっ……」 股間に何かが擦れるような刺激を感じて目を向ける。 フィリアがリーベの秘裂をなぞる手を止めずに、もう片方の手の人差し指を挿入してきたのだった。 ゆっくりと沈んでいく指先は熱くとろんと絡みつく肉ひだに触れ、リーベ自身の最も鋭敏な部分を探り当てていく。 「だっ、だめっ……! あぁ……はんっ……だめ、で、でちゃうぅっ!」 この上なく恥ずかしいことを頼んだ上に、あまつさえそれに対する拒絶の言葉を漏らすなんて。自分の行動とは言え、信じられなくてリーベは泣き出す。 しかしフィリアの手は一切止まることを知らない。 「やぁんっ! はうん、あっ、あんっ……! やっ、ああぁあぁーー!!」 フィリアは少しの間、探るような指の動きを行った後、Gスポットを捉えて、的確にその弱点を狙い撃ちにした。 次の瞬間、今まで以上に大きな悲鳴を上げながら、透明な液体が勢いよく噴き出しはじめ、ベッドのシーツを汚していく。 「んっ……ふふ、たくさん出ちゃったねぇ」 フィリアは満足げに微笑むと、リーベが潮を吹いた後にも何度か敏感なスポットから指を抜き差しさせて、余韻を十分に残す。 「ひゃぅ……」 絶頂を迎えた感覚から降りて来られず、全身を弛緩させながらリーベはただ声にならない呼吸を繰り返すことしか出来ない。 全身はびりびりと痺れて、頭の中は真っ白になっている。 意識だけが宙へ浮いているみたいな感覚だった。 リーベの体の震えが収まったのを見計らってからフィリアはやっと秘所から手を離した。 リーベはくたりと倒れ込み、虚空を見つめたまま荒い息を繰り返している。 その顔は羞恥と快楽によって、涙でぐしゃぐしゃになっていた。 「リーベちゃん、満足できたぁ?」 フィリアは笑いかけると指先についた愛液を舐め取ってご満悦といった表情を浮かべた。 「ひっく、えぐっ……」 リーベは嗚咽を漏らしながら小さく首を縦に振った。 「良かったぁ。いっぱい頑張って、えらいえらーい」 なでなで。 フィリアの手のひらがリーベの頭を撫でる。汗まみれの体だが、そんなことはお構いなしと言った様子だ。 やがてリーベが落ち着くと、フィリアはその身を優しく抱きかかえた。再び、お姫様だっこ。ベッドから立ち上がり、 「あとはお風呂に入って、体をキレイにしたら今日はゆっくり休もうね〜?」 と、満面の笑みを向けた。その声にリーベはゆっくりと首肯し、身を任せた。 「………………」 安心感からか、リーベはゆっくりと目を閉じていく。 「あらあら、寝るのは入ってからにしないと駄目だよ〜?」 眠ってしまいそうな様子を見つけたのか、フィリアが声を掛ける。 リーベは慌てた様子でこくりと首を振るが、瞼は下がりかけており、なかなか覚醒する様子はなかった。 「ふふっ、今日はそのまま寝ちゃおうか? 明日の朝、一緒に入ろう」 その言葉を聞いて安心したように、意識を手放した。すやすやと眠るリーベをベットに横たえると、フィリアは部屋の電気を消しに行った。 * 「んっひゃひゃひゃひゃひゃっ……! あっ、あっ、あう~~っ!」 屋敷の地下にある拷問室の中にけたたましい少女の笑い声が響き渡る。 「どうしたんですか? もう降参なのですか? こちょこちょ……こ〜ちょこちょこちょ……!」 くすぐり責めを受けているのはリーベではない。リーベと同じか少し年上のように見える少女だった。 少女の両手両足には魔法で作られた拘束輪が嵌められており自由を完全に奪われていた。 「はっあははぁあっ! ははっ、ぁあああっはははは!」 彼女の大きく見開かれた瞳から大粒の涙をこぼれる。視界を封じるべく当てがわれた目隠し布を塗らし、隙間から漏れ出していた。 「きゃうっ! ぁああぁぁっ……! ふふ、ふ……っ! ふゃああぁっ!?」 少女の全身をくまなくくすぐっているのは、部屋の中にいるもう一人の人物……リーベであった。 その小さく幼い体からは想像できないような器用さで指を踊らせ、少女から笑い声を引き出し続けている。 「ほらほら、次はあなたの苦手で苦手で仕方のないわき腹……ですよぉ?」 「ひぁっ、あは、はっ……んはぁあああぁっ!? うそっ、うそつきうそつきぃぃっ! もぅむりぃっあははははは! もうやだぁぁあ……!」 「おやおや、嘘つきとは随分な口のきき方ですね。本当に反省しているのですか?」 あえて予告しておきながら、別の場所をくすぐる。先日、自身の体で学んだテクニックを早々に活かしている。 長時間にわたる調教で少女の苦手なポイントを把握しているからこそ出来る芸当だ。 「ひひひひっ……! ごめっ、ごめんなひゃひひいぃぃ! ひぃ、ひぁああっはははははは! もうっ、げん、かいぃ……!もうおわりにしてくださいぃいっ……!」 「んー、でもあなたは反省なんてしてないみたいですし。まだまだ続けるとしましょう♪」 「してますっ、反省、しましたからぁぁっ! だから、やめてぇええっ……! くすぐったすぎてこわいよぉぉ!」 「ふふ、では次からはもっと真面目に反省するように」 そう言ってリーベは指の動きを止めた。「……っ、は、はは……! はぁ、はぁ、はぁ……!」 少女が肩を激しく上下させる。足りない酸素を必死で肺に取り込み、新鮮な空気が体に染み渡っていく。 「では、今度こそ素直になれるように『反省』という言葉をゆっくりと10回唱えてください。心の中に染み込ませるように」 「ふっ、ぁ……は、はい……えっと……反省……反省……」 まともに言葉を紡げるまでに回復すると、少女は必死で言われた通りにする。 もうくすぐられたくない。脱走なんて考えるんじゃなかった。後悔と共に心の底から反省し、続けていく。 「反省……反省……はんせ、ぃひいいぃっ!?」 「言えておりませんよ? 反省しているなら、何をされてもできるはずですよ?」 再びリーベの指先が動き出す。 こちょこちょこちょ、と。少女の頑張りを邪魔するために。 「うぅっうぁああっはははは……! だって、くすぐったく、てぇえ! えぁあはっはははははは! いえるわけなぃいいっひひひひひはははははははぁぁぁあっ……!」 「今度は口答えですか。やれやれ。あなたは本当にどうしようもないですね。また気絶するまでお仕置き再開いたします」 「ひぃ、ひっ、いやぁぁぁあははははは! やめで、やめでぐだざ……! ひゃわぁぁああはっははっは!」 「残念ながらお許し致しかねます」 リーベがくすぐりを再開すると、少女は獣のような絶叫を上げた。 少女にとってリーベのくすぐり責めは終わりを知らない地獄に等しいだろう。 その後、くすぐりを再開してから数時間。少女が気絶してからも、リーベはくすぐり続けた。 *** 「うっわー……リーベちゃんってば容赦なぁい♪」 拷問室の様子を使い魔越しの映像で鑑賞しながら、フィリアは呟いた。 「まだまだ見ていたいけど、他の子も気になるし……録画したのを後で見よーっと」 まるで催し物でも見ているように、紅茶片手に椅子に座り楽しそうな表情であった。 この部屋はフィリアの私室だ。 拷問室と同じように、壁には四角く切り取られた映像が何枚も広がっていた。 リーベのくすぐりを受け続け笑い苦しみ続けている少女の姿以外にも、屋敷に住まわされている別の少女たちも映し出されていた。 ある少女は魔法で作られた浮遊する手にくすぐられて笑い声を上げ、ある少女はビクビクと何かに怯えながらきょろきょろしていた。 「ふふふー、みんな可愛いっ」 中にはこの暮らしを受け入れているのかリラックスして座り読書に励む者や、積極的に同室の少女をくすぐり倒しているような者もいた。 映像に映る少女達の様子を見て、フィリアが笑う。 少女達はどれもこれも美しい容姿をしていた。ある程度の幅はあれど、世間的に見れば幼いと形容される年頃の少女ばかりであった。 彼女たちには、全員がそうではないがよく見られる共通点があった。 「ここでずーっと、ずーっと幸せに暮らそうねぇ」 屋敷で暮らすより前、外の世界にいた頃に何かと不幸な目にあった少女ばかりであった。 食うにも困るほどのその日暮らしだった者、奴隷として売られていた者、両親と死別し引き取られた先の親戚から厄介者扱いされた者……などなど、枚挙にいとまがない。 そんな少女たちに対して衣食住を提供し、時間の止まった屋敷で美しい年齢のままでいさせるべく、保護して回る使命にフィリアは燃えていた。その見返りとして、趣味であるくすぐり行為を施して性的興奮を覚えているのだが。 初めは誰もが抵抗したが、そのうちに何も考えられなくなり、そしていつしか従順になっていく……中には、何度くすぐり調教をされても折れない心で反抗し続け時に脱走する勇敢な少女もいるが、その数は決して多くはない。 「さて、と。そろそろ新しい子を補充しに行こっかなぁ。この前の外出で目星もつけてきたし♪」 フィリアは楽しそうな顔で今日の予定を考え始めながら、再び拷問室の映像に目をやった。 「……あちゃー、やりすぎやりすぎ。あれじゃ壊れちゃうって。生かさず殺さず、上手くやらないと駄目だって何度も言ってるのに」 そこには、笑い苦しむこと以外を考えられない廃人になりかけている少女がいた。これでは楽しみようがなくなってしまう。 「リーベちゃん、あとでお説教だねぇ。いや、それとも屋敷の中の誰かにくすぐらせてみよっかな? リーベちゃん、私以外の子に体触られるの大嫌いだし」 呆れた様子で頭を押さえながらも、これぞ妙案とばかりにニヤリの口角を釣り上げた。 「よぉーし、決めた! 私の言うことを聞かない悪い子は、たとえ妹でも容赦しないぞ〜♪」 フィリアはそう結論を出し、リーベへのお仕置き内容を考え始めた。 「どんな反応するか楽しみだなぁ……誰にくすぐらせよっかな〜♪ あの子にしよっかな〜?」 フィリアのさじ加減で、少女たちは振り回されていく。 そんな屋敷の日常は、これからも永遠に続いていくのであった。