ふふ、この猛吹雪の中、よく寒さに気絶せずにここまで辿りつけたわね。 辿りついた、というよりは迷い込んだという言い方が適切かしら。 顔が真っ青ね、寒さで凍えているの? それともこの異常な状況に戸惑っているのかしら。 外は猛吹雪なのに、ここはしんと静まり返っているものね。 あなたをこの空間に迷い込ませたのは私。 何時間さまよっても家に帰れなかったのでしょう? この吹雪で外に出ようだなんてただの人間には無謀ね。 あなたの視界を雪で遮って、こちらの世界に誘導することなど私には簡単なこと。 私は、雪女なのだから。 この空間はね、あなたたち人間の世界とは別の世界なの。 雪で覆われた世界、私たち雪女の暮らす世界。 今さら焦っても無駄よ、一度こちらに足を踏み入れたのなら、もう二度と元の世界には帰れないのだから。 私が帰さない……。 ……無駄だと言ったでしょう、私の起こした細かな雪の膜が人間界との出入り口を塞いでしまっているのだもの。 無力な人間にどうこうできる代物ではないの。 こんな吹雪の中、外に出たあなたが悪いのよ、責めるなら自分を責めなさい。 昔から言うでしょう、吹雪の日は外に出てはいけないって。 ……台風だったかしら?まぁ、どちらでもいいわ。 後悔したところで、あなたが人間の世界に戻ることは叶わないのだから。 あなたには私とともに来てもらうわ。 何故?そんなの決まっているわ。 雪女には人間の精が必要なの。 人間の精が私たちの力の糧になる。 特に人間の男の精、つまり精子には強い力が宿っているわ。 ここまで説明したら、低能なあなたにも理解できるでしょう? あなたは気持ちの良い思いができ、私は力を手に入れられる……。 とても良い関係だと思わない? だからあなたの精をよこしなさい。 どうせ二度と今までの生活には戻れないのだから あなたの精子の使い道は一つしかないでしょう? この世界で生きている人間はあなたただ一人。 ふふ、せいぜい仲良くしましょう?ね?