；朝
；【都子】の台詞はモノローグです

「あ、勇太。お弁当は持ってないでしょ……ほら、これ。もう、まだまだそういうところが抜けてるんだから」

「忘れ物は大丈夫？　うん、良し。それじゃ、行ってらっしゃい。あ、それと母さん、後で学校に行くから……何でって、保護者会の代表に選ばれてるからよ。二学期も終わるし、二学期と三学期の統括を……」

「あー、難しい話は良いわね。別にあなたのところに行く訳じゃないし、そのまま帰っちゃうから安心して良いわよ。ふふ、母さんが声かけてきたら恥ずかしいとか思ってるんでしょう？　大丈夫よ、判ってるから。ただ、帰りは少し遅くなるかもしれないから、夕飯作っておくから。うん、父さんと食べておいてね」

【都子】
「私の名前は天城都子（あまぎ・みやこ）です。旦那と年頃の息子が一人、判りやすい現在の家庭に住んでいます。夫が仕事を頑張ってくれているから、今のご時世でもパートとかをしないで済んでいます」

【都子】
「夫は朝六時頃に家を出て、夜は八時くらいに帰ってきます。私の一日は旦那の朝食とお弁当を用意して見送り、その後に起きてくる息子のお弁当を用意。そして息子の見送りをするのが私の役割です」

【都子】
「夫と約束している事は、仕事が忙しい夫の分も私が息子の勇太の面倒を見ること。それもあって勇太が小さい頃から保護者会などの活動はしっかりと参加し、少しでも勇太が学校で悪いイメージを持たれないようにしてきました」

【都子】
「いわゆるモンスターペアレント、ではなく時には教職員の方の味方をしたり、時には保護者の味方をしたり、バランスが取れた様に活動をしてきているつもりです……実際、息子に先生や同級生達が私について何かを言うことも無いみたいなので、大丈夫なんだとは思います」

「はいはい、判ってるわよ。大丈夫、昔から母さん変な事してないでしょう？　安心して、行ってらっしゃい」

【都子】
「息子を見送ったら朝も一段落です。夫が出てから、息子が出るまでの間に家事も勧めているので、後は掃除と夕食の準備くらい、小さい頃や小学校の頃は息子が帰ってくるのも早かったから暇もあまり無かったですが、今くらいの年齢になると帰ってくるのも少し遅くなり、余計に暇があります」

「……さて、と。とりあえず掃除済ませちゃおうかしら」

【都子】
「当然保護者の活動なんて毎日ある訳じゃありません。今日はたまたまありますが、それも先生達を交えるから夕方から。たまに保護者の集まり……なんて言いながら、実際はお母さん達の暇潰しの集まりもありますが、そちらも毎日ある訳じゃありません。だから、私はボランティア活動をしています……今日も予定を入れていたので、とりあえずは家事を終わらせる事から始めます。待ち合わせは午前十時から、それまでに準備を済ませておきます」

；３～５秒