あなたに笑っていてほしかった。 あなたに生きていてほしかった。 ただそれだけのことが、どうしてこんなに難しいの。 本当は、最初から分かっていたのかも知れない。 私は何も持っていなかったんだってこと。 あなたが必要としているものは、何も。 あなたの吸う空気に。 あなたの飲む水に。 あなたの食べる肉に。 あなたの母に。友に。妻に。娘に。 あなたのすべてに。あなたの世界に。あなたの未来に。 私はなりたかった。 私はもう、魂の奥底まで汚れてしまったと思う。 けれど、あなたはどこまでも綺麗で、眩しいままで。 ぽっかりと空いた胸の中、あなたを好きな気持ちだけが、まるで灯火のように煌いて、私の命を燃やしている。