;学校と判るようにチャイムを ;ガララ、と横開きの音があれば 「あら……あなた、図書室で何してるの? まだ授業中でしょう? ……って、そうね、私も同じか……私は自習だから、こっちに来たの。教室は騒がしくてね、ゆっくりできそうになかったから……ふーん、そうなんだ」 「そうね、季節の変わり目だからか、体調を崩す人も多いみたいだし、先生だって例外じゃないわよね……でも、図書室に来るなんて本当に珍しいわね。あなたの事だから、自習だったら寝てたり、適当に過ごすものだと思ったけど」 「……そう、私の姿が見えたから、ねぇ……それで、何の用? 判ってると思うけど、あまり大きな声では話さないようにね……人、ほとんど居ないとはいえ居るんだから」 「……謝りたい、ね……まぁ、一応謝っては貰ってるんだし、許してない訳じゃ無いわよ? ……ただ、少しだけ機嫌が悪いだけでね」 「面倒な女だって思ってる? ……そうかもね、確かに私は面倒な女よね……でも、あのカップはそれだけ大切な物だったの。何でか判る? ……判らないなら、もうちょっと不機嫌が続くけど、それは自分でもどうしようも出来ないから諦めてちょうだい」 「そうね、意地の悪い言い方ね。でも、それだけ怒ってるの……私はあなたの彼女だけど、都合の良いお人形さんじゃないんだから起こる事くらいあるわ……ふふ、それにね……」 「……あなたのそういう、ちょっと怯えた様な、おどおどした表情って普段見られないから。それが楽しくてやってるのもあるわ……ええ、怒ってるのは当然だけど、怒るとあなたが本当に慌てて、その姿が愉快なの」 「……趣味が悪い、ね。確かにそうね……でも、それを楽しめるっていうのは……ふふ、やめておきましょう。いいえ、あなたを調子づかせるのは嫌だし、とりあえず今は言わない事にするわ」 「それで謝りたい、何でもするって言ってたけど具体的にはどんな事をしてくれるのかしら? ……まぁ、そうよね、簡単に言ったからそうじゃないかと思ってたけど、やっぱり何も考えて無いのね……あなたが少しでも真面目に考えてたら驚くけど、考えて無いとそれはそれで気分が悪いわね」 「…………ふふ、そうだ。それなら普段、あなたがどれだけの無茶をしているのか教えてあげようかしら……ええ、怒ってるのとは別問題だけどね、あなたの無茶には結構こっちも驚いたり、気が気じゃ無くなる時があるの……一言で言えば、笑えない状態、って事」 「どういう気持ちで私がそれを受け入れてるか、考えた事ある? ……ふふ、またおどおどしてる……安心して、今更それで怒ったり、なじったりするつもりはないわ。ただ、少しでもその気分を味わって欲しいだけよ」 「ふふ……駄目。あなたが何でもする、って言ったんだから付き合って貰うわよ? 自分で言った事くらい、きちんと責任取りなさい?」 ;3秒程度間を開けて