◆13 本番「騎乗位」  ワイシャツに袖を通し、上着を持って部屋を出る。  背広を着るのも随分久し振りだ。  ネクタイを手に、クローゼットの鏡の前でしばらく唸ったが……。  仕方ない、ここは優衣に頼もう。  …… 【優衣】 「あ。おはよう、兄さん」 【兄】 「おはよーさん」  ココアをかき混ぜる優衣と言葉を交わす。 【優衣】 「お、ワイシャツ。  今日はスーツだっけ?」 【兄】 「久し振りにな」  マグカップを置いて、物珍しそうな表情でとことこと寄ってくる。 【優衣】 「へえ。  ……うん、ワイシャツを着るとちょっぴり大人に見えるわね。  内面の幼さを幾分誤魔化せるわ」 【兄】 「朝からおい。モード全開だな」  冗談とばかりに含み笑いをする。 【優衣】 「……それで? ノーネクタイで行くの?」 【兄】 「まさか」  ネクタイを差し出す。 【優衣】 「……まさか」  同じ言葉を繰り返すが、意味合いは違う。  優衣は呆れた息を吐く。 【優衣】 「まだ自分で締めれないの?  兄さん……これから社会人になるっていうのにどうするのよ。  一人で締めれるようにならないと、今の世の中、苦労するわよ?」 【兄】 「その時はその時」 【優衣】 「……なあなあで済ましちゃって」 【優衣】 「もう……わかったわ。  ほら、じっとして」  俺からネクタイを受け取ると、襟を立たせてネクタイを通す。  制服姿の優衣は、すでに身支度が整った恰好だ。  髪も綺麗に梳かれているし、  ソファの横には通学鞄が掛けられている。  そういえば、優衣の寝癖を見たことがないような気がするな。  添い寝をするときも、いつも決まって先に起きてしまっているし。  ぼさぼさ頭の山姥、という姿を一度くらいお目に掛かりたいものだ。 【優衣】 「……懐かしい感じ」 【優衣】 「兄さんが高校生だった頃は、毎日のようにしてあげてたっけ」 【兄】 「あー……そうだったな」  懐かしい記憶だ。 【優衣】 「あの時は、私もまだ中学生で……。  なんだか、ネクタイってものに憧れを抱いていたのよね」 【優衣】 「大人の象徴……それが私にとってのネクタイってものだった」  試着して見せたときに、  執拗にネクタイの締め方をせがまれたな。  あの時の優衣はいま以上に何事にも興味津々で甘えたがりだった。 【優衣】 「去年までは詰襟を着ていた兄さんが、  突然大人になったように見えて……  遠くに行っちゃったように見えて……」 【優衣】 「手放したくなかったのかなあ……なーんて」 【優衣】 「クスッ……。  まあ、本当はネクタイってものを触ってみたかったんだと思うけど」  結び目をクイッと上げられる。 【優衣】 「はい、できた。  ……っと、待ってね。後ろの襟からネクタイが……」  後ろ手に回ると、ちょいちょいと言いながら襟をまさぐる。 【優衣】 「ん、オッケ」  最後に背中をぽんっと叩かれて終わり。  今に懐かしい、昔の習慣だ。  目の前に戻ると、仕上がりを確認するように  優衣は顎に指を添えて観察してくる。 【優衣】 「ふうむ……ちょっと右にズレてる……。  ん……。……あぁ、ちょっと傾いて……ん、ぅ…………っと。  うんっ、これでよし」 【優衣】 「はい、ホントのホントに完成。ばっちり決まってるわ」 【兄】 「サンキュー」 【優衣】 「ううん、いいのいいの。変な恰好で出て行かれて、  『お前のところの家はそんな恰好で誰も指摘せんのかー!』  とか言われでもしたら、いい迷惑よ。こっちが損するハメになるわ」 【兄】 「へいへい、そーかい」  始めは嫌そうな顔をしていたのに、  ネクタイを締める最中からどこか嬉しそうな顔をしていた。  最後には柔らかな笑みを湛えていたくらいだ。  まあ、最後にはいつも通りのぶっきらぼうさが出たが。 【優衣】 「今日は遅くなるの?」 【兄】 「どうかな。寄ってきたいところもあるし……連絡する」 【優衣】 「ん、わかった。なるべく早くに連絡ちょうだい。  夕飯の有無があるでしょう?」 【兄】 「あいわかった」 【優衣】 「うん。……それじゃ、さっさとご飯を食べちゃって。  ほら、食事をするときは、ネクタイは胸ポケットの中に」  言いながらネクタイを中に入れてくれる。 【優衣】 「今日の片づけは私がやっておくから、  兄さんは食べ終わったらすぐに向かっちゃって?」 【兄】 「いや、それは……」 【優衣】 「いいから。  電車を乗り継いで、初めての駅に向かうのよ?  乗り遅れたら最後なんだから、余裕を持って行かないと」 【優衣】 「私は気にしないで?  少々遅れたくらいで遅刻するような時間に登校してないわ」 【兄】 「いやー、あー」 【優衣】 「ほら、口を動かす前に箸を動かす。  何時までにここを出ないといけないの?  私を見てないで、時計を確認しなきゃ」 【兄】 「……助かる」 【優衣】 「……兄さん。今日一日、頑張ってね」  ―  ――  ―  一日中、喉を苦しめていたネクタイを緩める。  家路についている間に日は落ちていた。  軽い土産を手に、玄関の戸を押す。 【兄】 「ただいま」  家の灯りは点いていた。  奥からスリッパの軽い音が聞こえてくる。 【優衣】 「お帰りなさい、兄さん」  制服の上からエプロンを身に纏った優衣が出迎える。  今日は優衣が献立か。  しかし、妙に静かだな。 【優衣】 「今日も一日、お疲れさま」 【兄】 「あぁ」 【兄】 「これ。大したもんじゃないが、お土産」 【優衣】 「うん? お土産?  くす、どうせまたドーナツなんでしょー」 【兄】 「……どうしてバレた」 【優衣】 「兄さんの行動パターンなんて予測済みよ。  お出かけしたらドーナツをお土産に買ってくる……定石ね」 【兄】 「ま、まあ、遠出しないと食べられんものだし」 【優衣】 「うん、わかってる。だから別に責めたりしてないわ。  いつもの変わらない兄さんを見てるようで、ほっこりするから」 【優衣】 「でも、東京に行ったからって  『ばなな』ばかり買ってこられるのも、さすがに飽き飽きするわ。  他にも色々あるんだから、試しに買ってきてほしいかなあ、なんて」 【兄】 「……なるほど」  それは言い得て妙だ。 【兄】 「憶えておこう」 【優衣】 「んっ。次の機会に期待するわ」  ドーナツを優衣に手渡し、玄関を上がる。  すぐ左手のダイニングキッチンに入ると、ひと気がなかった。 【兄】 「母さんは?」 【優衣】 「あぁ、今日は二人で外食してくるって。  たまには、夫婦水入らずで、ね。  くすっ、子供たちが水なのかって話だけど」 【兄】 「優衣は行かなかったのか?」 【優衣】 「私? ……うん、行かなかった。  誘われはしたんだけど、断った」 【優衣】 「だって、私が連れ添ったら家には遅く帰ってくる兄さんだけ。  一体誰が兄さんの面倒を見るの?」 【兄】 「俺はご老体か」 【優衣】 「ふふっ、そんなつもりはないわ」 【優衣】 「これは兄さんを甘やかしてきた、私とお母さんのせい。  一人で料理も作れない残念な実家暮らしの男性にしてしまった、  私たち家族のせい。兄さんが悪いんじゃないわー」 【兄】 「皮肉屋め」 【優衣】 「もー、怒らないの。まったく、すぐに拗ねるんだから」  他愛もない会話をしながら上着を脱いでいく。  それを甲斐甲斐しく受け取る姿は、まるで新婚の妻のよう。 【優衣】 「お疲れの兄さんのために、お風呂を先に入れておいたわ。  ご飯も先にできてるけど……」  と言って、視線を脇に逸らせて考える顔をする。  それから柔らかな笑顔を作ると、首を傾げながら問うてきた。 【優衣】 「ご飯にする? ……お風呂にする?」 【兄】 「……」 【優衣】 「…………ふふ。……うん? なーに?」 【兄】 「いや……」 【優衣】 「ふうん?」  ……続きの言葉を待っていた、なんて言えない。  【優衣】 「……実は……兄さんだけの、特別な選択肢があるんだけど」 【兄】 「特別な選択肢?」 【優衣】 「うん、三つめの選択肢。……くす、秘密の選択肢」 【優衣】 「さ、……どれにする?」 【兄】 「……三つめで」 【優衣】 「『三つめ』? ……ん、わかった」 【優衣】 「それじゃ、三つめの選択肢……」  優衣が近づいてくる。  空いた手をそっと俺の胸に添えて、ちょいっと背伸びをする。 【優衣】 「……お帰りなさい、兄さん…………ちう」  唇と唇のキス。  遠慮がちな、頬へのキスではない。  兄妹ではしない、愛情のこもった口づけ。 【兄】 「……ただいま」  目と鼻の先にいる優衣に向けて、気恥ずかしさから挨拶を返す。  日常から突然に甘ったるい雰囲気に移行されても、  心が付いていかない。  そんな俺の気持ちを見透かしたように、優衣は小さく笑った。 【優衣】 「……『わ・た・し?』  クスッ……って、訊いてほしかった?」 【兄】 「まあ、多少なりとも、期待はしてた」 【優衣】 「ごめんなさい。……今日は、その……アレだから」 【兄】 「あー……えっと?」 【優衣】 「ん、つまり……。んと……赤ちゃんができちゃう」  『赤ちゃん』の言葉にどきりとした。 【優衣】 「もちろん、絶対じゃないけど……大丈夫とも言い難い」 【優衣】 「だから、今日はキスだけ。  ……せっかく二人っきりになれたけど、……仕方ないわよね」 【兄】 「まあ……そうだな」 【優衣】 「うん……」  仕方ないと言いつつ、身を引く気配はない。  そっと優しく腰に手を回す。  抱き寄せれば、優衣は胸に顔を埋めてくることはなく、  顎を上げて背伸びをして目を閉じた。 【優衣】 「……ぁ……、ん……ちゅ、ぅ……ちう……ン……ちゅ、フ……ぁ」  唇だけを使った啄むようなキス。  熱は込めず、甘ったるく口づけを交わす。 【優衣】 「ちう、……んフ……ぁ……にいさん……んっ、  ……ん……はぅ、む…………ん、ちゅ……ちゅっ……ちゅ、ぁ……」 【優衣】 「ちゅ、……ちゅっ……ん……ぁ……、ふふ……優しいキスだ……。  兄さんは、こんなキスもできるのねー……?」 【兄】 「……茶化すな」 【優衣】 「はふ……くす、別に茶化してなんかない……ちゅ、ちゅっ……  ……関心しただけ」  離れた顔がまた寄ってくる。 【優衣】 「ん……ちゅ、ぴ……ちゅっ……ンはぁ……、  ……はむ……ン……む、にゅむ……ん…………舌だして……?」 【優衣】 「はぁ……ぁ……くす、そうそう…………ちゅン、れぇぇ……るぅ」  薄く開いた唇からちょこんと舌が出てくる。  お互いがお互いを追いかけ回すような、  息の合わない動きで舌を絡める。 【優衣】 「ちゅぅ……ちゅ、ぴ……ン、ぇ……ぁ……る、れろ……。  ン……ちゅ、ちゅっ……んぅ、……は……  ……ふふっ、キスに熱中してると……ご飯が冷めちゃうわね」 【兄】 「やめるか?」 【優衣】 「はふ……は……、んぅ……いじわる。  ……兄さんだって、やめようって言ったってやめる気ないクセに」 【兄】 「もちろん」 【優衣】 「……もっと顔寄せて?  ……んン、ちゅ…………ちゅ、ちゅっ……ふ……ぁ……」 【優衣】 「ん、む……はぅむ……んみゅ……ン、れぅ……れりゅ……ぅ……、  んちゅ……ちう、ちう……ン……ちゅっ……ちゅぴ……はぁ……」  優衣の熱っぽい吐息。  上気した頬。  懸命に背伸びを続けてぷるぷると足を震わせているのも感じる。  健気な優衣の様子に、もう我慢できない。 【優衣】 「ん、ちゅぅ……れりゅ、……んむ……ちゅっ……む、んっ?  ン……はぁ……ふ……どうしたの?」  腰から抱きかかえるようにして優衣を引き寄せた。 【兄】 「もう、我慢できそうにない……」 【優衣】 「……がまんできない……?  ぁ、えっと、ご飯の後でも……あ」  小さく声を上げた。  野暮な聞き方をしたと思ったのだろう。 【優衣】 「……うん、わかった」 【優衣】 「じゃあ……、……ベッドに」  ――  自室に戻ると、優衣に胸を押されてベッドに倒れた。  前後してベッド上り、体を重ねてくる。 【優衣】 「兄さん……ちゅ、ぅ……ちゅっ……ん、ちゅぴ……ちゅっ……」  顔の角度を変えながら、唇の内から端まで吸い付いていく。  発情したような鼻息の荒さはなく、  愛しいという感情に導かれたような感じ。  慈しみを持った甘え、っていう感覚だ。 【優衣】 「ちゅ……ン、ふぁ……は……、  ん……あの、入れるのは駄目だけど……素股なら、いい……わよ?  私も……うん、気持ちいいし」 【兄】 「優衣のしたいようにすりゃいい」 【優衣】 「……ぅン、わかった」  言下で体を起こす。 【優衣】 「あ……。  私……まだ制服のまま……」 【兄】 「構わん」 【優衣】 「んン、私が構うのー……。  んんぅ……汚れちゃうでしょー……」 【兄】 「エプロンしてるし、大丈夫だろ」 【優衣】 「もう、ばか。  エプロンはそのためにしてるわけじゃないんだから……」 【優衣】 「んん……仕方ないわねー」  ずれ落ちていたエプロンの肩紐を直す優衣。 【優衣】 「汚さないように気をつけてよ……?」  ベルトを外して、ズボンを肌蹴させる。  手慣れた様子で下着をずらすと、硬直した逸物を手に取った。 【優衣】 「……随分と見慣れちゃったわね。  兄さんも触られ慣れた?」 【兄】 「慣れるってことはないが……新鮮さはなくなったかもな」 【優衣】 「くすっ、新鮮さまで求められたら困るわー?  記憶の操作が必要になっちゃうし」  膝を立てると、おもむろに下着を脱ぎ始めた。 【優衣】 「んっ……、……っ……っと」  足首に引っ掛かるのに苦労しながら脱ぎ終え、  ベッドの脇にポトリと置いた。 【優衣】 「……ふう」 【優衣】 「……あ、潤滑油代わりに唾を垂らすわね?  ……いい?」 【兄】 「いいぞ」  返事を受けて、優衣は口をもごもごと動かす。  充分に唾液が溜まると、  口を開けて舌を伸ばしながら唾液を垂らしていく。 【優衣】 「ぇう……ん、……んン……はぁ……。  ん、準備できた」  陰茎に感じる優衣の分泌液の生暖かさ。  その上から優衣の粘膜が重ねられる。 【優衣】 「ん、しょ……。はぁ……ふ……動くわね?  んン、っ……ん……ん…………フ…………ん……ぅ……」  汚れないようにと、優衣はエプロンの前掛けごとスカートを  軽く摘み上げる。  陰になってはっきりは見えないが、  接触部が見え隠れする摘まみ具合だ。 【優衣】 「ん…………ぅ……は……ぁ……なんか、いつもと違う感覚……」 【優衣】 「ふ……、ん……ぁ……ワイシャツに、ネクタイの兄さんが……  くすっ、兄さんじゃないみたい……」 【優衣】 「ふ……ん、顔は兄さんなんだけど……ふふっ、雰囲気が……ね。  親戚の社会人のお兄さんって感覚……」 【兄】 「他人ってことか? なんか嫌だな……」 【優衣】 「ん……ぅ……、くすっ……他人だなんて、そんなこと思ってない。  イメージの話……ちゃんと兄さんだって思ってしてる」 【優衣】 「ただ、こんな大人びた兄さんを……  この位置から見下ろすのは初めてだから……ふふっ、  新鮮だなあって……そういう話」 【優衣】 「ん……、ん……は…………私自身の恰好も、制服のままだし……。  しかも、エプロンをつけた状態で……」 【優衣】 「こんな恰好、学校帰りのキッチンでしか見せないものだもの……」 【優衣】 「兄さんと……するときは、パジャマ姿がほとんどでしょう?  ……だから、んん……イケないことしちゃってるって意識が……  ははは……いつも以上に強い……」  確かに、光景としては新鮮味がある。  制服にエプロン姿は台所に立っているイメージの強い恰好だ。  下着を脱いで俺の腰の上で踊っている姿とは結びつかない。  そういう意味では、間違いを犯しているような気分に晒される。 【兄】 「求めてた新鮮さはここにあったわけか」 【優衣】 「ん…………ふ……ん……、ん……?  ふふっ、新鮮? んン、は……なるほどね。視覚的な新鮮さなら、  恰好を変えるだけで簡単に得ることができる……」 【優衣】 「ふふっ、たまにはコスチュームプレイっていうのもアリかも?  ん、っ……ふ……はぁ…………ぅん……ん……」 【兄】 「ナース服でも着てくれるのか?」 【優衣】 「ん……、ん…………ナース服を着てほしい、って言われれば……  まあ、服があるなら……うん……。……変態性は疑うけど」 【兄】 「……マジか」  ……マジか。  買うか。 【優衣】 「ん……んん、変態性を疑うって言ってるのに、  なんで購入を検討するような顔をしてんのよー……」 【兄】 「好奇心?」  着ているところを見てみたい気持ちからくるものか。 【優衣】 「ん、む……。もうっ、コスプレの話はもういいっ。  ……想像するのも駄目」 【兄】 「無茶な!」 【優衣】 「いいから。……今は、現物の私に集中するのっ。  ……気持ちよく無いの?」 【兄】 「……気持ちいい」 【優衣】 「……ん。じゃあ、ちゃんと満足して……?  今はこれ以上できないんだから……」  一理ある。  今は優衣が懸命にしてくれているんだし、  黙って言うことに従っておこう。 【優衣】 「ん…………ん……ぅ……はぁ……ふぅ……ふっ…………ぁ、  っ……ん…………ン……ぅ、あ…………は……ふ、あ……」  比較的小さい吐息の中に甘いものが感じる。 【優衣】 「ん、……っ……ぅぁ……なんか、ヘン……」 【優衣】 「今日の兄さん……んン、すっごく凛々しく見えて……ぁ……、  すごい……かっこいい……」 【兄】 「え、あ……そう? 照れる……」 【優衣】 「ぅン、……は…………そのせいかしら、  ……なんか……いつも以上に……っ、  兄さんのおちんちんが、逞しく感じるー……」 【優衣】 「ん…………ん、ぁ……は……ぅ……。  ……自然に……腰が……ぁっ、は……動いちゃ、っぅ…………っ」  言葉通り、グラインドする腰の動きが段々と大胆になっている。  可動域が広がり、腰のいやらしいクネりと共に  逸物に心地いい感覚が広がる。  根元から先端までを優衣の絶妙な加減で押し潰されていく。 【優衣】 「んッ、ぅぁ…………はっ……ん、……ん……ン……ぅ……あ……。  ん……っ……、ッ……っん…………フ……ぁ……ぁぅ……っ」  腰の動きに合わせるように優衣の秘部からは愛液が分泌され、  熱を持った膣口は柔らかくほぐれてきた。  優衣が腰を突き出したと同時に逸物が大きく跳ねあがり、  膣口を持ち上げるように隆起したモノに向けて腰を引く。  先端がぬるりとしたものに包まれた。 【優衣】 「っ、っ……あっ……」 【兄】 「ぅ、あ……」  その感覚に気付いて、お互いに声を上げる。  優衣はピタリと動きを止めてしまった。 【優衣】 「っ、は……先端が……、っ……は…………ふ……」  一瞬の驚きのあと、優衣は落ち着いたように呼吸をする。  短く繋がってしまっている箇所を見下ろしていた瞳を、  おずおずと上げる。  困ったような、欲しがっているような、複雑な表情。  潤んだ目が印象的だった。 【優衣】 「はぁ……は……ん、ん……は……」  俺は優衣を跳ね除けることができない。  頭では駄目だとわかっている。  それでも、体は言う事を聞かない。  優衣の奥深くまで味わうことを望んで止まない。 【優衣】 「……兄さん……」  優衣に託すしかない。  冷静沈着な優衣が、正常な判断を下してくれるはず。 【優衣】 「……」  ひんやりとした手が後ろ手に逸物を掴む。  引き抜くように下に引かれる指につられて皮が下り、  優衣の入り口で亀頭がぷくっと膨れる感覚がした。 【優衣】 「っ、んぅ……っ」  優衣は根元に指を固定して、ゆっくりと腰を沈めていく。 【兄】 「っ、くあ……っ、……優衣っ」 【優衣】 「んっ、ぅ……ぁぅ……っあ……」  狭い入り口を通って、陰茎が窮屈で柔らかい粘膜の肉に包まれる。  膣口は優衣の腰の動きに合わせて逸物を咥え込み、  優衣が根元から指をどけると、そこを膣口が飲み込んでしまう。  逸物と下腹部の境目のほうまで咥え込まれ、陰唇を腰に感じる。  亀頭はちょうど優衣の最奥のしこりと口づけをしていた。 【優衣】 「ふ、はぁ……は……ぁぁ……♪ 入っちゃったぁあ……っ♪  根元まで、ズププぅってえ……っ……兄さんのおちんちん、  たーべちゃったあー……くす♪」 【兄】 「優衣、っ……どうしてっ?」 【優衣】 「ん……はぁ……はふ、ふふ……。  これは、今日一日がんばった……兄さんへのご褒美っ……。  くすっ、私の体で、たっぷりご奉仕してあげるわね……?」 【優衣】 「はぁ……ふ……安心して?  暴発しないように……ゆっくりしてあげるから……。  イきそうになったら……ふふ、ぁ……ちゃんと言って?」 【優衣】 「んフ、は……そのときは……。  ふは、ぁ…………ね?」 【兄】 「……わかった」 【優衣】 「ん」 【優衣】 「ふ……は……ふぅ……じゃあ……。  ……ん……っ、んっ……んっ……っ……は…………ふっ、っ……ん」  俺の胸に両手を突いてゆっくりと腰を上げる。  膣内の肉に押し出されるように引き抜かれ、  中程を過ぎたところでぬるるっと挿入される。  腰を落とすように挿入するから、ぺちんっていう性交の肉音が響く。 【優衣】 「ん……んっ……、はぁ……反り返ってっ……ふは、  ……すごっ、ン……もうビンビン……っ……ッ……っは、ぅ……  ん……んぅ、……生で挿入できたのがそんなに嬉しいの……?」 【兄】 「だって、期待してたしっ……」 【優衣】 「はぁ……ぁっ、っ……っ……んっ……ぁっ……っ……♪  根元まで捻じ込むと、『ちゅっ♪』って子宮とちゅーしてる……♪  は……ぁ……兄さんのおちんちんと私のおまんこ……  長さがぴったりー……♪  くすっ、まるで……二人でエッチするために作られたみたい……」 【優衣】 「きっと……兄妹だから……。  遺伝子が近いから、兄さんのおちんちんをぴったり迎え入れる  長さになってるんだ……。  くすっ、兄さんのほうも、私のおまんこの奥にちょうど捻じ込める  くらいの長さになってる……ふふっ、きっとそう……」 【優衣】 「太さもっ、ン……ふあっ……、ふ……精液を注ぎ込んで……  漏れ出さないように、ぴったり栓ができるようになってる……っ。  痛くない程度の、ちょうどいい太さ……ぁぁ、すごぉい……」  恍惚とした表情で腰を一定のリズムで動かしていく。  腰を俺に打ち付けるたびに行為を彩る肉音がする。 【優衣】 「っ、ン……ッ、ふ……あ……。  あふ、ぁ……ふ、どお? きもちっ?  優衣の妹まんこでぇ、兄さんの勃起チンポを……  ぬぽぬぽ♪ って……ほら、出たり入ったりしてるの見える……?」 【優衣】 「兄さんしか知らない、兄さんのおちんぽしか知らないおまんこ……  キツキツでしょ? 兄さんの味しか知らないから、  兄さんの形になっちゃったの……」 【優衣】 「んふふ、兄さんを気持ちよーくさせるためだけの  形になっちゃたー……♪」  独占欲をそそらせる言葉。  専用だとでも言わんばかりの内容に、  じんわりとした熱が胸に広がる。  優衣は俺を喜ばせ、興奮させる言葉を続ける。 【優衣】 「んぅう~、どぉーお? 優衣の妹まんこ……きもちー?  ぎゅぅ~、ぎゅぅ~って締め上げてえ……根元のほうから、  ぬるるっ、ぬるぅっちゅぅ♪ って、ふふっ、精子を搾り上げるの♪」 【優衣】 「はっ……ぁ……ふふ……兄さんを気持ちよくさせるために、  妹のおまんこはあるんだから……ね?  はぅ……は……妹まんこ使って、こうやって上下に動いてぇ、  『せーしちょーだい? せーしちょーだいっ?   ぴゅっぴゅちょーだいっ?』っておねだりしてるんだから……ね?  素直に、優衣のおまんこの気持ちよさを味わってー……♪」  まるで中出しをおねだりしているかのような説明だ。  実際、陰茎を根元から搾り上げる膣の動きは精液を欲してるようで、  絶頂を迎えても離さないくらい求められてる気がした。 【優衣】 「んッ、ふ……はぁ……、っ……ぁ…………っ……っは、ぅ……  ん……ん、は…………ぁっ……ぁッ……、ンっ……ぅ……♪」  体重を掛けて打ち付けられる度、  その衝撃が下腹部に甘い痺れとして広がる。  陰茎の快感に勝るとも劣らない気持ちよさが腰全体に広がっていく。  しばらく一定のリズムでピストンしていた優衣の体が、  ふいに止まる。 【優衣】 「ンっ……ふ、はぁ……。  はふ……胸、借りるね……?」  上体を倒して頭を肩口に預ける。  体の角度が変わったことにより膣内の向きも変わって、  中にとどまる逸物がさっきまでと違う刺激の加えられ方をする。 【優衣】 「んっ……ん……は……っ……っん……っ……」  優衣は頭を預けても休むことはなく、腰を動かし始めた。 【兄】 「っ、うあっ……」 【優衣】 「ん……ぅ……? くすくすっ、どう?  体の角度を変えると、おまんこの具合が変わるでしょう?  ンはぁ……ナカが動いて、兄さんの勃起チンポを……  キュッキュゥって締め付けるの……」 【優衣】 「んは……ぁ、イキたくて堪らなぁい敏感なおちんぽさんは、  優衣のおまんこのナカでギチギチぃってされて……あはっ。  ビクビクっ♪ って震えて悦んでるぅ……、ぅっ……はぁ……」 【優衣】 「っ、腰の打ち付け方もっ、ンは、腰を捻ってっ……こうっ、こうっ♪ くすっ、  くすっ、腰だけを使ったおまんこピストン……きもちっ?  んふ、にひーっ……腰を捻ってるから、奥まで挿入すると  おちんぽ全体が揉みくちゃにされる感じでしょ?  んフ、ふっ……奥までにゅぷにゅぷするの、好き?  ねえ、好き? にーさあん……ん、っ……ふっ……っ、ンはあ……」 【兄】 「ぅっ……あぁ、いい」 【優衣】 「はぁ……、あ……♪ ふふっ、うん、素直が一番っ。  っぁ……きもちぃーことを『きもちぃー』って言ってくれれば、  きもちぃーことを続けられるでしょー?  っ、ぁ……素直に言ってくれるからっ、こうしてっ……クスッ、  奥のほうを重点的にっ、味わわせてあげられる、っ……♪」 【兄】 「あッ、あ……! ぅ、ぁあっ!」  奥深くまで挿入されてから引き抜かれると、  奥に吸盤でも付いているみたいに吸い付いてくる。  入り口がキツくて排他的なのに、  膣内は逃がさないようにしっかりと締め付けてくる。  奥につれて狭さが違うのか、簡単に最奥まで入っていく。  今まで自分から腰を動かして優衣の膣内を味わっていたけど、  なんだこれっ……。  優衣に動かれると、優衣が自らおまんこを使って  俺を責めたてようとしているみたいで、滅茶苦茶クる……っ。 【優衣】 「っ、ふは……フ、ぁ……ぁっ……♪  柔らかいのに、窮屈で……っ、それでいてにゅるにゅると滑る……。  は、ぁ……ひと肌の温もりもあって……これ以上に、  兄さんを悦ばせてあげられるものなんて、ないわよねー……?」 【優衣】 「ん、ぁ……あは、兄さんに奥を突かれて、  子宮がどんどん柔らかくなってきちゃったぁ……。  ぐにぃ、ぐにぃって、兄さんのガチガチの勃起チンポの形に  簡単に変わっちゃう……。  兄さんのが欲しくて欲しくてっ、子宮がきゅぅって……  下に下りてきちゃったっ♪」 【優衣】 「は……ぁ……ぅン、っ……っ…………ッ……ぁ……。  もう、兄さんのしか入らない……兄さん専用の妹まんこ……。  これじゃ、もう……兄さんの赤ちゃんを孕むしかなくなる……」 【兄】 「っ……! な、なにを……」  優衣の突然の言葉に、肉棒に一気に血液が流れ込む。  腰も自然に浮いて、  打ち下ろす優衣の腰をタイミング良く打ち上げた。 【優衣】 「っン、ふぁあ……っ、ナカで膨らんで……♪ あはっ、嬉しかった?  孕ませようとしてっ、もっと大きく……ぅっ♪  ぁ、は……子宮口に『ちゅっちゅっ❤』ってえ……♪」 【優衣】 「んっ、っ……精液がたっぷり溜まった勃起チンポ……  精子を欲しがってる妹のおまんこに挿入してるんだもの……。  もう、あとはナカに注いで、子宮にごくごくって飲んでもらうだけ」 【優衣】 「妹としてる子作りエッチは……それでかんりょー♪  ……ね? したいでしょー、兄さぁん……」  今までずっと膣内出ししかしてきていない俺にとって、  それは当たり前の行為だ。  でも、わざわざ『赤ちゃん』の言葉を引用されながら、  受精の流れを説明されながら抽送されるのは初めてで……。 【兄】 「っ、駄目だっ……絶対駄目だ……!」  優衣は俺の言葉に全く耳を貸さない。 【優衣】 「ン、はぁ……妹の求愛まんこ……入り口はキュゥって窄んでて、  ナカのお肉は兄さんのおちんぽからせーしを搾り出すために、  きゅんきゅんしてるの……」 【優衣】 「兄さんのおちんぽが入ってきて、嬉しくって、  おまんこはきゅんきゅんしてるの……。  それで、その『きゅんっ♪』って動きが  兄さんのせーしを搾ろうとしちゃうの……」 【優衣】 「くす、……きゅんきゅんしてるの、わかる?  せーしを搾り出そうと、  必死に兄さんのおちんちんを締め上げてるの……くす、  わかるわよねー?」  説明されればされるほど、  優衣のナカの具合を事細かに感じ取ってしまう。  ぐにぐにとした動きや、ぴくっぴくっと収縮する動き。  ぐぐぐぅ……っ、とキツくまで締め上げてくるときもあって、  俺は慄くばかりだ。 【兄】 「ぅ、あっ……やめ……っ」 【優衣】 「あ……切なそうな顔……。  くすくすっ、なぁーに? もう赤ちゃん出ちゃいそう?」 【兄】 「っ、んっ……ホントっ、やばいから……っ!」  頭を胸の上で転がしながら、  何でもないような様子で腰を動かし続ける。 【優衣】 「ふ、っ……ぁ……は……ぁ……ふふっ、そっか。  うん、わかった……」  トントンと連続的に動いていた腰を緩慢にしていく。 【優衣】 「……ねえ、兄さん? ちゅーしながらイかせてほしい?  上でも下でも、たっくさん愛してもらいながら、ぴゅっぴゅしたい?」 【優衣】 「それとも……両手を繋いだまま、繋がってるところを見ながら……  膝を立てたおまんこピストン、味わいたい?  くす、こっちのほうが、奥のふかぁいところまで  おちんちんを挿入できるわよー?」 【兄】 「ぅ、え……えーっと……」 【優衣】 「んふ、どっちにする?」 【兄】 「あ……じゃあ……」