せんぱーい? あぁ、ここにいらっしゃった……。 お疲れ様です! はい、あっちはもう終わってます。 お店の鍵、かけて来ましたよ。あとは先輩の確認を残すのみです! わかりますよ。つい気になっちゃうんですよね。 お待ちしてますから、ゆっくり作業してください。 あ! それとも先にお家へ行って、お風呂を沸かしてきましょうか。 はい! じゃあ、待ってます。わたしも、先輩といたいです……。 ふふふ……。 あっ、終わりました? ほんとに早かった! では行きましょうか! ふう……今日も無事にお仕事終わって。良かったです。 久々のバイトだったので緊張しちゃいました。 テストですか? ばっちりです! このまま評定を落とさなければ、指定校推薦。もらえると思います。 無事推薦が決まれば……冬は、たくさん先輩と一緒に過ごせますよ。 先輩、受かったら旅行に連れてってくださるっておっしゃいましたよね。 わたし、ほんとに楽しみで……それを糧に頑張ってます! 後、いつものことなんですけど、うちの親がすごい盛り上がってて……。もう欲しいお土産リストとか渡してくるんですよ? もう『みちるは受かる。旅行に行ける』って前提で話してくるんです。 お母さんなんか『もし落ちたら、お母さんが先輩と旅行行くから』なんてプレッシャーかけてくるし! 絶対受かりますけど! そんなの断固、阻止です。 いえ、冗談じゃないと思います……。うちのお母さん、先輩ガチ勢だから。隙あらば先輩に会いたがるし。 先輩のこと、すでに自分の娘みたいに思ってるし……。 ……はい。先輩はもう羽鳥家の一員ですから。まだ手続きとかしてない、だけで。気持ちはとっくに、うちの両親の娘で。 それから。わたしのお嫁さん。ですよね! ふふふ。先輩はわたしのお嫁さん! はい、鍵はここに。どうぞ! お店から出てすぐがおうちって素晴らしいですよね。先輩の家の立地って最高! ……あの、先輩。お店を出たので、もう……。 あっ……。ふふっ。何でもないです。先輩の手、だーい好き。ふふふ。 あったかーい……。 着きましたねー! 先輩。今から明後日の夜まで、ずっと一緒ですね! はい……! おうちに帰るぎりぎりまで、いっぱい。いーっぱい、いちゃいちゃしましょうね? うふふ。お邪魔しまー……あっ! んっ……ちゅっ。あっ……ん。ふ……ぁ、ちゅるっ。 はぁ……はぁ……。先輩……。 『玄関で、映画みたいにふいうちでキスされる』 わたしがこの前渡した『してみたいことリスト』のひとつ。 覚えててくださったんですね……? だからわたしに『先に家に行かないで、一緒に帰ろう』……って? んぅ……。れろっ。ちゅっ。あぁ……嬉しいです。 はい。すごい。自然で……。ほんとに映画みたいだった……! めちゃくちゃドキドキ、しました。 先輩。わたしのあんな小さなお願いまで覚えてくださってるなんて、すごいです。 ……でも、先輩はいつもそうですよね。 初めてお話した日から、先輩はわたしのこと、本当によく見てくださってて。 小さなことでも。全部気づいて。 いい時は、褒めてくれて……悪い時は、必ず励ましてくれて。 嫌なことは、絶対しないし。好きなことは、みんな覚えてくれて。 して、くれる……。 だからわたし、勉強もバイトも、安心して頑張れるんです。いつでも先輩が見守っていてくださるって、わかるから……。 先輩、いつもありがとうございます。先輩と一緒にいられて、わたし本当に嬉しいです。 大好きです……。 ん……くちゅっ。 ふふ。あぁ、先輩のにおいだ……。 はい……ほんとは今日、出勤した時から、早く抱きつきたくてしょうがなかったんです。 はぁ……二週間ぶり。くんくん。すんすん。あぁ……。 はい。においフェチなので……。汗くさくないですよー。 わたしの大好きな。先輩のいいにおいがします。すんすん。 先輩。大好きです……。すう……はぁ……。 すみません。もうちょっとだけ…… ふふ。なでなで、気持ちいいです……。えへへ。 ……ぁ。あっ……!? あっ、せんぱ……。 あの、耳はだめ。耳はだめですっ……! どっ『どこならいいの?』とおっしゃいますと……。あっ! あ、ぁ、あっ、だめっ……。 あ。耳元で、そんなっ……。そんなことされたら、スイッチが入ってしまいます……。 あ。ん。ちゅっ。あ……はぁ……はぁ……はぁ……っ。 あぁ、だめです。だめです先輩っ……。それ以上は、ほんとっ……。 あ……ちゅっ。 あ……そうですよね……玄関じゃ、身体。冷えちゃいますもんね……。 はい。お邪魔しまーす……。 ……あ! リビング模様替えしてる! 可愛い! すごくいいですね! はい! 涼しげで夏っぽいです! あ、犬のぬいぐるみの方のみちるさんだ。 あの、先輩いつもおっしゃいますけど。似てます? わたしとフレンチブルドッグ。 わたしが立ち耳で離れ目だから? あー『目が真ん丸でうるうるしてるところが似てる』。ふーん……? 『何より、昔はいつも白か黒の服を着てたから』……あー! あの頃は、あれが格好いいと思ってたんです……。 先輩と知り合った頃。わたし、今よりもっさりしてて、ださかったから。 しかもオタクだから。おしゃれのこと全然わからなくて。 何か『モノトーンの服着てる人はおしゃれ』みたいな認識だったんですね? 芸能人とか『黒い服しか着ない』みたいに言うじゃないですか。モード系? みたいな。 だから、ちょっとでも見栄え良くなりたくて。白黒の服ばっかり選んで……。 そうか、それでフレブルって言われるんだ……。 そうですか? 思わずぬいぐるみ買っちゃうくらい、先輩フレブルお好きですか? なら、いいですけど。 でも何かずるいです! わたしが必死にテスト勉強してる間、ぬいぐるみのみちるは先輩と毎日いちゃいちゃして、添い寝してもらってたなんて。 ずるいぞー君! あ。ん……。ちゅ。……そっか。 うん。今からは、わたしの時間で……。 ぬいぐるみのみちるとは、交代で先輩のそばにいる……というなら良しとします。 あ……ふっ。んっ。先輩……好き。あ……! はい……。さっきの、続き。したい、ですっ……。 【2427文字】