……ご主人様。本日は、ありがとうございました。  奉仕のはずが、思いもかけず、ご主人様と素晴らしいお時間を過ごさせて頂きまして……。  カズハは本当に、心より嬉しく思っております。  このままゆっくり、お休み頂ければと思いますが……他に、なにかご希望はございますか?  ……え? 耳かきを、して欲しい……?  ……ぁ。……はい。  かしこまりました、ご主人様。  では、耳かき棒を用意しませんと。  少々、お待ちいただいてもよろしいでしょうか。すぐにお持ちいたしますので……。  ……はい? ベッドサイドの、小物入れでございますか……?  こちらに、なにか…………。  …………。  ……あ。  これ、昔使っていた……。  まだ、持っていて下さったのですね。  ……ありがとう、ございます。  ではご主人様。久しぶりに、お耳のお掃除をさせて頂きます。  まず、あちらを剥いて、右耳を上になさって下さいませ。  ……はい、ありがとうございます。  ……ん、このやり取り……久しぶりで、懐かしい思いが致しますね。  では、しばらくの間、なるべく動かぬようにお願いいたします。  …………。  ……ん、耳垢、溜まってしまっていますね。  ずいぶん、お掃除できなかったから……。  ………………。  ……ん、ご主人様、無防備なお顔……。  久しぶりですのに……またそうして、カズハにお耳を預けて下さるのですね……。  ……心地よいでしょうか、ご主人様。  腕がなまっていなければよいのですが。  本当に久しぶりで……とても嬉しく思います。  またこうして、ご主人様のお耳をお世話できる日が来るとは……思ってもみませんでした。  ご主人様がこうして、わたくしを心から信頼して下さって、お耳を預けて下さる……。  ……そうして、二人きりでゆったりとした時をご一緒させて頂けるこの時間が、わたくしにとってはこの上なく幸せなのです。  できなくなった時には正直、寂しい思いもいたしました。  ……あ、申し訳ございません。恨み節のつもりではないのです。  むしろ、カズハは本当に、幸せ者でございました。  あの日、坊ちゃまにお会いできた幸運に、感謝しなくてはいけません。  あの時の坊ちゃまの思い違い……わたくしがサンタさんからのプレゼントだなんて。  ……思い返すたびに、頬≪ほお≫が緩んでしまいます。  ただ……今でも時々、思うのですが。  もしあの時、坊ちゃまにお会いしていなければ……。  そうしたら、坊ちゃまは、他のお姉ちゃまを見つけていたのでしょうか……。  わたくしよりも、女性らしく、お姉ちゃまらしいお姉ちゃまを……。  その方が、坊ちゃまのためには良かったのかもしれない、と。  ……でも、もしもあの日をやり直す事ができたとしても……。  他の誰にも……坊ちゃまのお姉ちゃまを、譲りたくはないと、思ってしまうのです……。  ご主人様。本当に、こんなわたくしがお姉ちゃまで、ご主人様はよろしいのでしょうか?  わたくしがいい、と……カズハは母性的だ、と……仰って下さいますが……。  それは……本気にしても、よいのですか……?  …………ん。ありがとうございます。  でしたら、カズハはご主人様のお言葉を、信じることに致します。  正直な所、わたくしなどのどこが良いのかと、思ってしまいますが……。  でも、ご主人様が……ご主人様さえ、そう思って下さるのなら……。  カズハお姉ちゃまには……それだけで、十分なのですから。  ……はい、ご主人様。右耳はお掃除できました。  梵天で、細かいのを綺麗に致しますね。  ………………。  ……お疲れさまです。最後に、息をかけますね。  ……ふぅーっ。……ふぅーっ。……ふぅぅぅー……っ。  ……ん、ご主人様? いかがなさいましたか、身体が震えておりますが……。  そういえば、昔からお耳に息を吹きかけられると、随分くすぐったがっておられましたが……。  ……もしかしてご主人様は、お耳が、感じやすいのでしょうか?  もしかして、それが恥ずかしかった、とか……?  ……ん、そうだったのですね。  申し訳ございません。確かにあの頃のわたくしは、ご主人様を子供扱いしすぎていたのかもしれません。  ですが、もう心配なさらないで下さいませ。  ……お耳で気持ち良くなってしまわれたなら……カズハお姉ちゃまが、責任を取って差し上げるのですから。  さあ、ご主人様。今度は左のお耳を。  そのまま、寝返りを打って下さいませ。  …………。  ……はい。では、左耳さんのお掃除も、させて頂きますね。  …………。  ……ん、こうして、お腹が目の前に来るのも、恥ずかしかったのですか?  そうですよね、意識してしまわれるのも、仕方がございません。  ……でも、いいのですよ。  そのような事はお気になさらず、どうぞたくさん、カズハお姉ちゃまに甘えて下さいませね……坊ちゃま。  …………。  ……こちらも溜まってしまっていますね……。  カズハお姉ちゃまが、キレイに、キレイに、して差し上げます……。  坊ちゃまのお耳のお世話は、お姉ちゃまの大切なお仕事……。  どうぞ今後は、坊ちゃまのお耳のお世話を……カズハお姉ちゃまに、全てお任せ下さいませね。  坊ちゃまの可愛いお耳をお世話するのは……お姉ちゃまにとっても、一番幸せな時間なのです。  その……ですから、あの……もう、お姉ちゃまから、離れないで、下さいますか……?  ……ふふ、嬉しい。ありがとうございます、坊ちゃま。  ……まだまだ、甘やかすのは上手くありませんが……。  坊ちゃまがたくさん甘えて下さったおかげで、ほんの少しだけ、自信が持てたように思います。  ですから、これからもたくさん甘えて……。  カズハを立派なお姉ちゃまに、育てて下さいませ……。  その、お恥ずかしい話なのですが……。  坊ちゃまが甘えて下さる度に、もっともっと、甘えて頂きたい……。  坊ちゃまのお役に立ちたい……坊ちゃまに癒されて欲しい、と……。  カズハはそのように、思ってしまうのです……。。  ……え? そんな所が、母性的だと?  ……なっ……そ、そのような……だって、その……それは、全部、わたくしの欲でございますから……。  母性というのは、もっとこう、無償の好意、といいますか……。  ……あ、でも……相手のためになりたいということが、そのまま自分の欲に結びついているのですから、これもある意味では、無償の好意、なのでしょうか……?  うぅ……わ、分からなくなって参りましたが……。  ……でも。坊ちゃまは、そう思って下さって、おいでなのですね。  ……それなら、カズハは坊ちゃまに対する母性なら、誰にも負けるつもりはございません。  ですからこれからは、どうかご遠慮なさらず。  カズハお姉ちゃまに、たくさん甘えて下さいませね、坊ちゃま……。  …………。  ……ん、キレイになりましたね。  梵天で、仕上げを致します……。  …………。  ……ん。はい、できました。  では、お耳をふーふー致しますので、少々ご辛抱を……。  ……ふーっ……ふーっ……ふぅーっ…………。  ……、はい。お疲れさまでした、坊ちゃま。  本日のお耳のお掃除はおしまいです。  ちゃんとじっとしていられて、大変ご立派でした。  ……ん、坊ちゃま、おめめがとろんとして参りました。  眠たくなってしまわれましたか?  ……わたくしのお膝の上で、そんなにリラックスして下さったのですね。ありがとうございます。  このまま、お休みまで付き添わせて頂きたく思いますが……。  流石に、夜通し膝枕というのは、足がしびれてしまいます。  坊ちゃまさえよろしければ……その、添い寝を、させて頂いてもよろしいでしょうか?  ……はい、ありがとうございます。  では、坊ちゃま……お隣、失礼いたしますね。  …………。  ……ん。  膝枕でお昼寝、という事はございましたが……。  添い寝をさせて頂きますのは、初めてでございますね……。  ……少し、緊張いたします。  …………坊ちゃま、よろしければ、その……胸を、お吸いになられますか?  ……はい、構いません。  ……カズハママのお胸は、坊ちゃまのものでございますから。  腕枕をいたしますので、どうぞ、おしゃぶりになりながら、お休み下さい。  さあ、どうぞ……。  …………ん。  いかがですか坊ちゃま。  カズハママのお胸は、美味しい、ですか……?  ……ふふ、良かった。  お休みになるまで、このままずっと、添わせて頂きますので……。  どうぞ安心して、おくつろぎ下さいませ。  こうして……頭を撫でて、お背中をとんとん、って……。  寝かしつけて差し上げます……。  ですから、カズハママのおっぱいの事だけを考えて、お休みになって下さいね。  あ……、そんなに、身を寄せてきて……。  ……カズハママに甘えるの、お好きですか?  ……ありがとうございます、嬉しいです。  カズハママも、坊ちゃまに甘えてもらえるの、とても好きですから。  ……だから、いつでも。カズハがママになってさしあげますね。  お辛いとき、お疲れのとき、ふと寂しくなった時……。  ……そして、わけもなく、ただ甘えたくなってしまわれたときも……。  いつでも、カズハママが慰めてさしあげます。  ……このお胸は、坊ちゃまのものですから。  いつでも、坊ちゃまのために空けておきますので。  カズハママのお胸は、坊ちゃまの特等席です。  その……毎日でも、甘えて下さってよいのですよ。  ……ふふ。坊ちゃま……。坊ちゃま……。  ………………。  ……ん、坊ちゃま? そろそろ、本当にお休みになりますか……?  はい、ではどうぞぐっすりと、お休み下さいませ。  このままずーっと、ご一緒いたしますから。  おやすみなさいませ、坊ちゃま……。  …………。  ……ん、ちゅっ……。