--------------------------------------------- 「みどりのこえ」台本 --------------------------------------------- ■1-お迎え ……あら? こんな時間にお客様……? はい、少々お待ち下さいね、今開けます…… わわっ! どうなさいました!? 大変お疲れのようですが……分かりました、まずはお水を…… そして、暖かい食事をご用意致しましょう。 ささ、中へお入り下さい。うん、しょっ……んっ……んっ…… ……うふふ、そんなに美味しいですか? 大したものはお作り出来ていないのですが……ありがとうございます。 パンもシチューも沢山拵えましたから、存分に召し上がって下さいね。 ……それにしても、3日3晩森の中を彷徨っていらっしゃったなんて…… 疲弊した状態とはいえ、お迎え出来て何よりです。 お食事が終わりましたら、こちらのお召し物にお着替え下さいね。 ……お洋服、ボロボロでしょう? そんな状態では、私の方が辛いですから。 いいえ、お気になさらないで下さい。 どんな状況であれ、こんな森の奥に人が訪ねて来てくださったことが嬉しいのですよ。ふふっ お洋服、着丈は合っていますか? ……あはは、少し小さいですか。 申し訳ありません、男性をお迎えする準備というか、想定をしておりませんでしたので…… 明日にでも街に出て買って来ておきましょう。 迷いやすいですが、少し離れた場所に小さな街があるんですよ。 そこでしたら大抵のものは揃います。 お洋服のデザインまではお気に召していただけるかわかりませんが…… ……さて、今日はそこのベッドにお休み下さい。 お疲れでしたもの、遠慮なさらずに。 おやすみなさいませ……。 --------------------------------------------- ■2-翠の声 ……あ! おはようございますっ! お目覚めは如何ですか? お体の調子などは……? ああ、良かったです! 昨夜はベッドに入ってすぐにお休みになられましたものね。 朝食、すぐに用意致しますから、少々お待ち下さいね。 洗濯物を干したら、すぐに参りますから。 朝食は軽いものにしてみたんですけど、如何でしょうか? ……そうですか、良かったです。 トーストに美味しいバター……たったそれだけでも 上質なものを仕入れるだけで至福のひとときになるんですよね。 ベーコンエッグも適度な焼き加減を覚えると、 その薫りだけでお腹いっぱいになっちゃいそうです。 ……あ、一人で語ってしまい申し訳ありません! 朝のこの時間、好きなんです。 特に今日のような、快晴でお日様が心地いい日を、 食後の珈琲をお供にまったりとするの…… ……それに、今日は独りではなくて、貴方もいますし、ね。 いつもはこの家に独りきりですから、何だか賑やかです。 供にいてくれる鳥達も、何だか喜んでいるようで…… 大袈裟でしょうか……ふふ、それくらい嬉しいんですよ。 ……貴方が此処にたどり着いた理由は別として。 えっと……そういえば自己紹介していませんでしたね。 私の名前は翠(みどり)といいます。改めて、よろしくお願い致しますね。 貴方のお名前は? ……そうですか、素敵なお名前ですね。 ……うーん……名前以外に特に自己紹介になるようなことを話せるかどうか…… えーっと……そうですね……私はここに住んで10年余りになります。 森の奥のこの家はときに不便ですけれど、私にとってはとても居心地の良い場所で…… 鳥さんたちの声や花や木々の香り……色々なものが私を癒やしてくれます。 あと……絵本を描くのが好きです。 実際に絵を描くわけではないんですけれど……頭の中に描くんです。 ……幼い頃、お母様に色々な御本を読んでいただいたからでしょうか、 自分でもお話を考える程に好きになってしまって。 お料理も好きですね。美味しい食事は日々を潤してくれます。 食べ物を美味しいと感じられることって、幸せですよね。 ……えっと……こんな感じでしょうか。 余り自分のことを話すのが得意ではなくて……すみません。 もし何か聞きたいことがありましたら教えて下さい。 ……わかりました、必要になりましたら。貴方はやはりお優しい方ですね。 ……ん? 優しい方だと感じていたんですよ、最初から。 何となく、ですけどね。ふふふ。 --------------------------------------------- ■3-夜 もうこんな時間、ですね。今日はよく眠れそうですか? ……ですよね、何となく不安な顔をされてらっしゃるので……心配になりました。 少し、肌寒い気もしますね。夜だからでしょうか……? ……よしっ、さあさあ、お布団にくるまりましょう! こういうときは眠ってしまうのが一番です。 お布団の中で暖まって、ゆっくり眠ってください。 私なりに、お手伝い致しますから。 お手伝い、と言っても大したものではないのですが…… 絵本を読んで差し上げたいのです。 うふ、貴方を子供扱いする気はないのですよ? ただ、読み聞かせをすることで安心出来ることは間違いないようですから、 あまり気にせず聴き流していただければ幸いです。 少し悲しいお話になりますので…… では……どのお話にしましょうか…… --------------------------------------------- ■4-絵本「小石」 あるところに、小さな小さな石が転がっていました。 海のざざん、という音が心地いい砂浜に、ぽつん、とひとつ。 波の音が、小石の心を和らげます。 そんなところに、波が小さな石を運んできました。 とても綺麗な、透明に輝く石でした。 「あら! 貴方はなんて綺麗な姿をしているの」 小石はとても驚いて、透明な石に言葉をかけます。 「どうしてそんな姿になったの? 教えてほしいわ」 「僕はガラスの石なんだ。割れたガラスが丸くなってこんな姿になったのさ」 ガラスの石は何故だか悲しい声をしていました。 「ため息なんかついて、貴方の綺麗な体に似合わないわ。元気を出して」 「元気なんて出ないよ。僕はもう疲れたんだ」 「何故? ひと目見ただけで、私はこんなに貴方に惹かれているのに」 ただの小石は美しく輝くガラスの石に一目惚れをしたようで、 キラキラと輝くような声を上げました。 しかし、美しい石は物憂げで、落ち込んだ声色で話します。 「僕はね、最初はワインの瓶だったんだ。大層立派で誇らしかったよ。  それがとあるきっかけで幾つもに分かれてしまったんだ。  今ではこの様さ。ただのガラクタになってしまった」 「ガラクタだなんてとんでもないわ。貴方は本当に綺麗よ」 「いや、僕は醜い」 「それは私よ」 「そんなことはないさ」 ただの小石とガラスの小石は正反対のことを口にします。 醜い小石の綺麗な言葉と、綺麗なガラスの小石の醜い言葉。 それは大層おかしな光景でした。 「君は僕みたいになりたいのかもしれないけど、そうならないようにね。  ならないだろうと思うけど」 そう言うと、悲しく微笑みました。 「あ!キラキラした石がある!」 突然幼い子供の声がしました。 すると、その女の子はガラスの小石を拾い上げて嬉しそうに抱きしめます。 女の子に持ち帰られる間際に、ガラスは言いました。 「君は美しいよ。僕なんかより、ずっとね」 その言葉を小さな小石は忘れられないでしょう。 ぽつんと、小石は転がっています。 --------------------------------------------- ■5-「幽霊」 「私が幽霊だと言ったらどうする?」と女性は言いました。 小さな喫茶店で、ひとつも口をつけていないコーヒーを持って。 唐突な言葉に、男性は戸惑うばかりです。 「何でそんなこと訊くんだい」 「気になったからよ」 答えになってない答えに男性は困りました。 「そうだな、君が幽霊だったら僕には見えていないはずだよね。  だから君は幽霊じゃない」 「それだけ?」 「うん。一体どうしたんだい」 「そういう事が聞きたいんじゃないの」 不服そうな女性が話す言葉はよく分かりません。 「女性は難しいね。望んだ言葉を返さないとすぐにいじけてしまう。  君の望んだ答えを僕は口に出せないだろう」 「男性は難しいわ。結論しか口に出さない。  結論以外の言葉を望む女心を解ってほしいわ」 険悪な空気が流れ、痺れを切ったように女性が声を発します。 「私はね、貴方のことを愛しているの。  けれど、私は幽霊なの。貴方に本当の私が見えていない。  姿形が見えていても心が見えていないのでは居ないと同じだわ」 「また抽象的なことを言う。はっきりとものを言ってくれ」 「貴方に理解されなくて悲しいと言いたいのよ」 「なら最初からそう言ってくれ」 女性は俯き、涙が溢れそうになるのを堪えます。 自分自身を解ってもらえない悲しみを溢れさせないように。 「やっぱり私は幽霊だわ。消えても変わらない」 そう言って女性は立ち去りました。 「やれやれ、本当に女性というものは難しいね。  今夜は誰と過ごそうか」 男性も立ち去りました。 ふたりは居なくなりました。 --------------------------------------------- ■6-「愛情」 一輪の花の隣にいる綺麗な女性は、その花を愛していました。 「好き」なんて言葉では足りないくらいの愛情を、花に注いでいました。 その愛情は、毎日欠かさず与えている水に現れていました。 「ほら、今日もお水をあげようね」 花は喜んで水を飲み干します。土から水を吸い取り、成長していきました。 そして、凛と咲き誇る、素晴らしい花になりました。 美しい花に、今日も女性は水を与えます。 それはもうたっぷりと、溢れんばかりの愛情を注ぎました。 ある日のこと、花が首をかしげていて、少し元気をなくしたように見えました。 「あら、大変!」 女性は一刻も早く元気になるようにと、たっぷりと水を与えました。 その翌朝、花は更に具合が悪そうに見えました。 女性は水を与え続けます。 「早く元気になってね」 「たっぷりと水をあげようね」 「沢山の水を飲んで元気になろうね」 「……水を全然飲んでいない、何故かしら」 「ほら、こんなに零しちゃ駄目でしょう」 「沢山飲んでまた美しく咲いて頂戴」 いつの日か、花は完全に枯れてしまいました。 水の受け皿には、溢れんばかりの水が溜まっていました。 --------------------------------------------- ■7-羊数え あ! 羊を数えるというのも良いかもしれませんね。 眠りの定番と言いますか、よく眠れる気がします。 一緒に数えてあげますから、深い眠りにつきましょうね…… 羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、羊が4匹、羊が5匹 羊が6匹、羊が7匹、羊が8匹、羊が9匹、羊が10匹 羊が11匹、羊が12匹、羊が13匹、羊が14匹、羊が15匹 羊が16匹、羊が17匹、羊が18匹、羊が19匹、羊が20匹 羊が21匹、羊が22匹、羊が23匹、羊が24匹、羊が25匹 羊が26匹、羊が27匹、羊が28匹、羊が29匹、羊が30匹 羊が31匹、羊が32匹、羊が33匹、羊が34匹、羊が35匹 羊が36匹、羊が37匹、羊が38匹、羊が39匹、羊が40匹 羊が41匹、羊が42匹、羊が43匹、羊が44匹、羊が45匹 羊が46匹、羊が47匹、羊が48匹、羊が49匹、羊が50匹 ……ふぁ……私の方が、眠くなってきてしまいました…… このまま、おやすみなさい……すぅ……すぅ……すぅ…… --------------------------------------------- ■8-添い寝 【右前近く】 え? えぇっ!? 添い寝をご所望……です、か……? えっと……ベッドも狭いですし、その…… ……で、でも、添い寝が一番安心出来るのは確か、ですよね…… ……わかりました! 添い寝、させていただきます! ……ということで……えっと……失礼、します…… ……何だか……緊張、しますね…… でも、貴方の体温でお布団が暖かくなっていて、心地良い、です…… 貴方にもそう思っていただけるように、しっかり添い寝しますね! ふふ。 ……ふぁ、ふぁ〜ぁ……何だか……眠くなってきました…… ごめんなさい、先に寝てしまうかもしれません…… イタズラは……しないで、ください、ね……すぅ……すぅ……すぅ…… --------------------------------------------- ■9-子守唄 ……ん? 子守唄、ですか? えっと……歌には自信がないのですが…… 一応私のオリジナルの子守唄が、あります…… で、でも……歌うのは恥ずかしい、ですね…… 勿論誰にもお聞かせしたことがありませんから…… ……そうですね、折角の機会ですし、子守唄もしっかりとした形にしましょう。 では、行きますよ…… って、力んじゃ駄目ですね、うふふ。 ゆらゆら 揺らぐ まどろみの中 眠るいい子 ゆっくり ゆっくり 今はここで おやすみなさい 明日もきっと 素敵な日に 楽しい夢見て 夜明けを待ちましょう --------------------------------------------- ■10-マッサージ おはようございます!今日も良い朝ですね。 うーん……しょっ……背伸びすると心地良いです。 ほら、貴方も! うーん、しょっ。 ……あら? ボキボキって言いましたね……体がお疲れですか? そうだ!マッサージをして差し上げましょう。 上手くはないかもしれないですけど、少しでもリラックスしていただけたら…… そこの椅子に座ってください……ありがとうございます。 肩にタオル、おかけしますね…… んっ……しょっ……うわぁ、凄く硬い……凝り固まってるじゃないですか…… これは、しっかりマッサージしないといけませんね……んしょ、んしょっ…… この肩のところ、何か住んでますね……こんなものを抱えていたなんて…… 私がぐりぐりほぐしてあげます。 ん……んっ……んしょ……んしょっ…… ……うん、かなり柔らかくなってきました。 ご気分はいかがですか? ……ふふっ、良かったです。 じゃあ、仕上げに…… ふふ、マッサージ師さんの真似っ子です。 どうでしたか? お気に召しましたら、いつでも施術致しますよ。ふふっ。 --------------------------------------------- ■11-タップセラピー うーん……貴方、まだ顔色が悪いように思います…… ……そうですよね、あんな状態でしたし、 すぐに回復というわけにはいかないですよね…… 健康には、十分な睡眠、食事、運動……うーん、運動はまだきついと思いますので…… 内面をほぐして差し上げましょうか。……というと、難しいかもしれませんね。 簡単に言うと疲れに効くツボ押しです。凄く簡単なんですよ。 宜しければ今から試してみたいと思うのですが、ベッドに横になってもらえますか? 頭を私側に向ける感じで……はい、そんな感じです。 もしご自身でも出来るなと感じたら、試されてみるのもいいかと思います。 ……では、触らせてもらいますね……。 まず、左の鎖骨の下を……こうやって、グリグリ、グリグリと…… 心地いい強さで擦ってみてください。 疲れている人は、たったこれだけでも楽になったりするんですよ。 眉と眉の間。ここを、トン、トン、トン……軽い力でいいですよ。 次に、目の下……ここも、トン、トン、トン……気持ち良いようなら、 強めに押してみるのもいいかもしれません。 続いて、手の薬指と小指の付け根のくぼんでいるところ。 ここも、軽く押してあげましょう。 もみ、もみ、もみ……と。 最後に、耳の後ろの骨が出っ張っている部分…… ここは痛みが出やすいので見つけやすいですね。 ここも、トン、トン、トン……ここはリンパ線が 集まっている部分ですから、優しく押してあげましょうね。 ……はい、完了です。 とても簡単ですけれど、なんとなく気分がすっきりした気がしませんか? すぐに覚えられますので、お疲れのときには是非試してみてください。 --------------------------------------------- ■12-最後の朝 ……お目覚めですか? おはようございます。 今日はお別れの日ですね。すっかり元気になったようで本当に良かったです。 ふふ、まだ布団から出ないで下さい。お聞かせしたいことがあるんです。 えっと……絵本を読んで差し上げようと思って。 寝る前でもないのに、って思うでしょう? 私もです。 でも……どうしても聞いていただきたいんです。 ……目を、瞑って貰えますか……? すぅ……はぁ……こほん。 ……どこからどう見ても普通の少女は、色々なものを思い描くのが大好きでした。 見たこともない天空から見下ろす大草原や、海の底で上空に光が差す光景。 見たこともない色です。 少女は、盲目。目が見えませんでした。 想像も出来ない景色を創造するのが大好きでした。 そして、その景色は絵のない絵本になりました。 形のない絵本。少女の頭の中にだけある絵本です。 その絵本は語られることはなく、もしかしたら存在すらしなかったのかもしれません。 けれど、ある時からその絵本は呼吸を始めました。 予想外の客人を迎え入れたことで、毎夜絵本は姿を現したのです。 絵本を言葉に、声に出すことで、絵本は形になりました。 ……予想外の客人というのは……そう、貴方です。 ……私は……綺麗な景色を想像しても、何だか怖くて形には出来なくて…… 頭の中に思い描く物語はとても悲しいものばかりでした。 でも……貴方と過ごすことで、楽しい日々を過ごすことが出来て…… 物語が彩られていくような気がしたんです。 これから、私……愛に溢れた絵本を描くことが出来るような気がするんです。 そのお話が出来たら、また聴いてくれますか? ……嬉しいです。とっても…… じゃあ……お別れですね。 これからは、迷わないように…… この家に辿り着かないように、気をつけて下さいね。 でも、迷わず……ここに来てくれるのなら、またおもてなししたいです。 また、会いに来てくれますか……? ……はい。はい…… それでは……さようなら。 素敵な時間を本当にありがとうございました。 ずっと……忘れません。 本当に、本当に……ありがとう! --------------------------------------------- ■13-愛の絵本 盲目の少女の絵本のように、それは見えなくても確かに在りました。 「良く眠れていますか?」 「お疲れではありませんか?」 「そのときは、またシチューでも拵えておもてなし致しましょう」 客人を迎え入れたあの日から、少女の心は愛に溢れて暖かい。 「そういうものが貴方にも在ればいいな」 密かにそう願っています。 心が暖かくなる絵本を読みたいです。 未熟な声だけれど、形にしたい。 その為に、貴方を忘れることはないでしょう。 この声を聴いてくれて、本当にありがとう。 また、いつの日か、貴方に届きますように。 --------------------------------------------- 【おまけ】 --------------------------------------------- ■14-絵本「海」 眠りから覚めると、私は何故か海の底に沈んでいました。 沈んでいる、という表現は違う気もします。 海の底に、静かに佇んでいました。 「眠りから覚める夢」だったのだと、気づきました。 よくよく自分の体を見てみると、足には魚の鱗がついています。 寝床に居る私の周りには、沢山の魚が泳いでいました。 私は海の神様になったのです。 「さあ、姫様の為に踊りましょう」 大きな魚が先陣をきって、私の上空をくるくると回りだします。 その後を追うように、大勢の魚達が踊り始めました。 海底から空を眺めると、差し込む光。どこまでも続く魚達の舞。 それはそれは美しい光景でした。 その景色に癒され、私は魚の中心で眠りに尽きました。 とても深い眠りへと、導かれました。 --------------------------------------------- ■15-絵本「空」 気がつくと私は、一羽の小さな鳥になっていました。 恐らくここは夢の中。 夢の中ならどんな希みも叶うはず、そう思って私は空へと旅立ちます。 小鳥の私は大きく羽ばたいてみます。 上手く空を舞うことが出来ずにいると、一羽の鳥がやってきました。 「やあ、こんにちは。君は飛べないのかい?  いいかい、こうやって羽を動かすんだ」 そうやって、その小鳥は私に空の飛び方を教えてくれます。 しばらくそうしていると、空へ旅立つことが出来ました。 「上手く飛べたね!一緒に空の旅をしようよ」 小鳥はそう言って、私を導いてくれました。 大きな大きな空を、ふたりで飛び回ります。 見下ろした先には一面の緑と賑やかな町並み。それはとても綺麗な景色でした。 夢の中だからこそ、どこまでもはっきりと観ることが出来ます。 出会ったばかりの小鳥が、私を変えてくれた。 それは、どこかであったような話でした。 --------------------------------------------- ■16-羊数えのみ 羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、羊が4匹、羊が5匹 羊が6匹、羊が7匹、羊が8匹、羊が9匹、羊が10匹 羊が11匹、羊が12匹、羊が13匹、羊が14匹、羊が15匹 羊が16匹、羊が17匹、羊が18匹、羊が19匹、羊が20匹 羊が21匹、羊が22匹、羊が23匹、羊が24匹、羊が25匹 羊が26匹、羊が27匹、羊が28匹、羊が29匹、羊が30匹 羊が31匹、羊が32匹、羊が33匹、羊が34匹、羊が35匹 羊が36匹、羊が37匹、羊が38匹、羊が39匹、羊が40匹 羊が41匹、羊が42匹、羊が43匹、羊が44匹、羊が45匹 羊が46匹、羊が47匹、羊が48匹、羊が49匹、羊が50匹 --------------------------------------------- ■17-寝息のみ --------------------------------------------- ■18-子守唄のみ ゆらゆら 揺らぐ まどろみの中 眠るいい子 ゆっくり ゆっくり 今はここで おやすみなさい 明日もきっと 素敵な日に 楽しい夢見て 夜明けを待ちましょう --------------------------------------------- ■19-マッサージ音のみ ---------------------------------------------