;導入パート 「はい、残り5回だよー……よーん……さーん……にー……はい、姿勢が崩れてるのでやり直し。にーーー……そうそう、まだ出来るじゃん。ほらあと2回だよ、頑張って! もう無理?」 ;松岡修造ネタです 「頑張れ頑張れできるできる絶対できる頑張れもっとやれるって! やれる気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだ! そこで諦めるな絶対に頑張れ積極的にポジティブに頑張る頑張る !あたしは特に頑張ってないけど!」 「というわけで、いーーーーち……ほら、あと1回、もう1回! ぜーーーーーーーーー……ろ!」 「はい、お疲れー。って、そんな仰向けに寝ちゃってー、まだ1セット残ってるんだからあんまり休憩すると余計に後が辛いよ?」 「ていうか、ずいぶんリラックスしちゃって。ここ、一応スイミングスクールで、あたしはインストラクター、つまり先生なんだけど……う゛……ま、まぁね……人、居ないけどさ……し、仕方ないじゃん、月に1度の休日なんだし! あたしが宿直だから使わせてあげてるの、感謝しなさいよ、もうっ」 「よーし、んじゃそろそろ続きやるよー……んふふふ、20回を5セットって言ったでしょ? もちろん、冗談じゃなくてやって貰うって。水泳ってのは全身運動だからね、泳ぎ方の練習も大変だけど、全身の基礎体力もかーなーり、重要なんだよ? もちろん、脳筋って言われたから……じゃないよ?」 「えーい、うっさいうっさい! そもそも、花も恥じらう乙女を捕まえて脳筋だの言われれば怒るっての! うぐ……ま、まぁ、考えるのは得意じゃないけど……君、まだ学生のくせに生意気だぞ、もう」 「……そりゃ普通の女の人に比べれば筋肉あるし、体力もあるわよ? でも、それだって悪いことじゃないし、そもそもあたしは水泳のインストラクター! しかも選抜選手のね! だから、自分でもちゃんとそれなりのタイムを出す必要があるの!」 「そして、こういう休日でもするたゆまぬ鍛錬こそがそういう実力の土台に……う゛……そ、そりゃ、女の子にラブレター貰った事だってあるけど……うう、なんで今、そういう話するのよぉ……」 「ちょっとした仕返し、じゃなーーーい! そもそも、特訓しくれって言ったのは君でしょ! それに付き合ってるんだから、ちゃんと言うこと、聞きなさいっ!」 「(……ていうか、わざわざ休日に特訓に付き合ってるのに『お人好しの先生』くらいにしか考えてないのかなぁ……考えてないよねぇ……はぁ……せっかく今日はちょっとオシャレもしてきたのに……全然気づいてくれないし)」 「ああ、もう、言い訳無用! とにかく腹筋腕立てスクワット背筋20回をあと1回ずつ! やる気ないなら、あたしだって練習するし、そもそも本当は部外者は立ち入り禁止なんだから帰って貰うよ? ……そうそう、ちゃんと判ってれば良いの」 「それでも辛いって……そういう時の訓練こそが力になるんだから、素直に頑張る頑張る……って、ご褒美? ご褒美って……はぁ、もう良いわよ。それで、それが出来たら何をすれば良いの?」 「はいはい、んじゃキスしてあげる。だから、頑張って……って、ちょ、ちょっと!? な、なななな何言って……あ、こ、こらぁっ! 何張り切って……よ、余裕じゃない、今までのは嘘かぁっ!?」 「(っていうか、本当に張り切ってるし……って、え、えっと……本当にキス? 本当に? ……あわわわわ、ち、違う違う、どうせ今回のだっていつもみたいにあたしをからかう為の嘘なんだから、張り切ってるって言っても汗もすごいし、どうせ途中で音を上げるだろうし期待するだけ無駄っていうか、期待なんてしてないっていうか……歯磨きもしてあるから大丈夫だよね……?)」 ;3秒程度間 「ご、ごー……よーん……さーん……む、無理してない? ほら、無理してるならあんまり頑張らなくても……に、にー……いーち……ぜ……ぜろ……」 「……呆れた、本当に終わらせちゃった……しかもさっきより全然早いし……うう……ふ、ふん! どうせさっきのもあたしをからかう為の嘘なんでしょ? それくらいであたしが動揺したり、ビビったりするとでも思ってるの?」 「……な、なによ、真面目な顔して……うう……だ、騙されないわよ、どうせあたしが目を閉じたところで写メでも撮って後で笑いものにするつもりなんでしょ……だ、だって、いっつも変な冗談や悪ふざけばっかりだし、こういう時だけ信じろとか言われても……あ、ぅ……」 「……こ、こわ……こわくなんかないし! ふ、ふん……それなら良いわよ、むしろあたしからしてあげるんだから……な、なに驚いてるのよ、あたしだって、その……これくらい、出来るんだからねっ」 「(あ、あああ……どうするの、これ本当にキスするの、それともまたからかわれてる!? どっちかわかんないよ……わかんないけど、ここまで言っちゃったし……や、やるしかないよね……っ)」 ;次のシーンに繋がります