《ぎぃぃ……ぱたんっ、がちゃっ》 ただーいま……っと。 《どすっ、ごちゃ……》 まぁ、誰もいないんだけどね……。 はぁ、それにしても……今週は疲れたわ。 変なトラブルに巻き込まれるし、馴染みの店だった商人さんは相手することになっちゃうし。 ……あのクソチンピラリーダー、何時か絶対痛い目に合わせてやる……ちくしょうっ。 メイスは買えたから、明日から狩りは再開するとして……もうあの狩場は使わない方がいいわよね。 前の狩場を使いながら、また情報収集からやり直しかな……はぁ。 【愚痴を言いながら、冒険道具の点検でもしようかと思ったけれど……体の芯からずっしりとした疲れが湧いてきて体が重くて仕方ない。 アッチの仕事を増やして心配だった装備の買い直しが出来たから、力が抜けてしまったのだろうか……何だか、ひたすら眠い。】 ふわ……ぅー、着替えて、体ぐらい拭きたいけど……ふわぁぁっ……。 だめ、すごい眠い……ぅー、上着だけでも脱がなきゃ……。 《しゅる……とすっ、ずざっ》 【どうにか服だけ脱いだが、これ以上は眠気に勝てなくてそのままベッドに倒れこんでしまう。 この一週間忙しすぎて碌に掃除も出来ていなかったから、ベッドが少しだけ埃っぽくて口の中が苦くなる。】 ぅー……明日は、冒険の前に……掃除しなきゃ、ね。 あーもー、やることばっか増えていくんだから……ちくしょー……ねむ。 (※かなり眠くて、口調も投げやりになってる感じでお願いします) まぁ、いいんだけどさ……別に冒険者続けられるなら。 ……あぁ、でも私何時まで……何時まで、こんな生活続けるのかなぁ。 《ごろん……ぎゅっ》 こんな、冒険者なんて私が言ってるだけみたいな……。 同じ冒険者からは玩具にされて……そうじゃない人からも、どんどんエッチな目で見られていって……。 私、冒険者なんて……言えるの、かなぁ? 【眠気の中、朦朧としていると……今の自分への疑問が湧いてきてしまう。 違う、大丈夫、頑張れる限り……私は冒険者だ。 そう何度も言い聞かせるけれど、それを否定する冷めた目の自分が何処かでこっちを見ているような気がして……。】 【だけど、決まってこういう時最後に浮かぶのは……幼馴染の最後だ。 私が……私が原因で死んでしまったあの子との思い出が、冷めた目の私を掻き消していく。】 《ぎゅ……っ》 ……えぇ、そうよね。 分かってる、分かってるわ……大丈夫まだ私は頑張れる。 まだ私は冒険者にしがみ付ける……大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫……まだ成長出来るから、だから安心して……絶対、絶対無駄になんかしないから。 あなたが死んだのは無駄だったなんて……絶対、させない……か、ら………んん、ぅ……すぅ……すぅ。 【薄れていく意識の中、最後まで幼馴染の顔が浮かんでは消えていき……それもまたゆっくりと薄れていく。 疲れて何も考えられなくなった夢の中で、ほんの一瞬……顔も分からない誰かが自分の手を握ってくれた夢を見た気がした。 それは夢に過ぎなかったけれど、何故か少しだけ心が温かくしてくれた。 ……そんな気が、したのだ。】