◆タイトル『妄想の最中で緩やかに迎える週末』 ◆あらすじ 今日は金曜日。お互い忙しくてなかなか会えないけど、今夜は彼と、甘ーいお家デート。明日はお休みだし、自慢の手料理でお出迎えしてあげます! でも、約束の時間になっても彼が帰ってきません。連絡くらいしてくれれば良いのに。残業? 急な飲み会? まさか浮気……? いやいや、そんなまさか……。 という妄想の最中で、緩やかに迎える週末。 ◆登場人物 ・男:20代後半の男性。彼女のキミドリとは、いわゆる幼馴染。長らくお互い意識はしつつも、恋仲になったのはここ2年ほどの話。 最近は、仕事で上司からは信頼、部下にも懐かれ始めたが、責任も大きくなり困惑気味。  という設定の、キミドリちゃんの脳内彼氏。 ・喜緑(きみどり):25歳前後の女性。ここ5年ほど彼氏は居ない。だいたい、毎回デートに気合を入れすぎた結果、そのうち面倒くさくなって自然消滅してしまう。  髪はセミロング。ちょっとだけツリ目。若干、語尾を間延びさせる口調が目立つ。 ◆あらかじめストーリーで提示されないが、必要そうな部分 全部キミドリちゃんの妄想です。ノリノリです。大前提であり、唯一のコンセプトです。 ◆パート分け 1.おかえり 2.ごはん食べる? 3.おやすみ 4.True end…   ◆本編 1.おかえり おかえり~。 どうしたの? 遅かったね。 そっかー、飲み会なら仕方ないけど連絡はしてねー。 心配しちゃうからさー。 ごはんあるけど、どうする? あっ。 アナタぁ……ごはんにする? お風呂にする? それともぉ……わ、た、し? うんわかった~、あっためなおすねー。 あれ? でも食べてきたんじゃないの? え~、まぁ確かに作るって言ってたけど~、そんなこと覚えててくれたんだ~? んふふ、殊勝な心掛けだねー。 そんなに良い子になって、お姉さんに何を期待してるのかなぁ~? あっ、スーツ脱ぐ? 掛けとくよ? ん。はーい。 ほら、ネクタイと下も、お寄越しなさーい。 んもー恥ずかしがっちゃって……あ、でも脱ぐんだ。 んふっ……パンツと靴下だけってちょっと、なんて言うか間抜けだよね……んふふっ。 ぁ、やっぱり思うんだ? んー、すね毛かな。すね毛がダメなのかな。 ……うん、なるほど。 それはもう、いよいよ哲学の話になってきたねぇ。 ん? あぁータイツか~。 タイツ履く人は……すね毛は無いかー。 でもちょっと間抜けかもねー。 知らないと思うけど、あれ履くの大変なんだよねー。 そうなの。大変だけど間抜けになっちゃうの……くすん。 ぅんー? んふー……。 でも……好きでしょ? んふふ……じゃあ明日、履いたげるね? あっとそうだ、ごはん温めないと。 こんなところで誘惑してる暇は無いんですからねー。   2.ごはん食べる? はーい、ごはん出来たよー。 はーい、召し上がれ~。 ちょっとコーヒー淹れてくるね。 ほいしょっ。……ふぅ。 ……あれ? 寝てる? ……ホントに寝てる? おーい、起きろー。 ぺちぺちするぞー。もうしてるけど。 ぁ起きた。 ごはん食べる? どうする? あーんって……もー。 じゃあこれねー、あー……ん? 寝てる? ……まあいっか。 あむ。 うん、おいしー。 どうしたんだろ? 疲れてるのかな……。 お酒の匂いも……スーツもタバコの匂いしなかったし……ホントは飲み会じゃなかったのかな。 ふふ、昔っからカッコつけたがりだったからなぁ。 お仕事だったー、って言っておけば、言い訳も立つのに。 でも、今日は私が晩ご飯作るって言ってたの、覚えててくれて嬉しかったぞー。 んふふ。 なーんかあっても言わないし、 そのくせ、そんなに強くもないんだから。 でもまぁ、そういう所も、好きかな。 さて、食べてもらえなかった君たちは、冷蔵庫行きだなー。 うんしょっ。 ほい、ほい、ほい。 風邪ひくなよー。 ふぅ。 ……ん? ぁごめん、起きた? ちょっ、なになに危ないあぶない。コップ持ってるから。 ぁちょと待ってまって、くすぐったい……んふふ。 どうしたのー? そんなに酔ってる? えー? じゃあなんで急に甘えんぼー? えぇっ、あ、ちょっともー、やっぱり酔ってるでしょ。 いつもそんなこと言わないじゃん! えぇー、何、急に……。 もー、からかってる? へぇ~、半分は本気なんだ……。 ふぅーん。そっかー。 うん、まあ、珍しく素直だから、半分かーい、っていうのは見逃してあげましょう。 で、なになに? 素直になっちゃって、ホントは何して欲しいの? ほーら、素直になってごらーん? 素直になったらー、お姉さんがー、なーんでもしてあげなくもー、ないよー? へぇっ!? {息を吐いて、吸う音}もう、そういう言葉は、もっとロマンチックに伝えてよね。 今のは聞かなかったことにしてあげます。 ほら、ここで寝ると風邪ひいちゃうから、ベッドいこ。   3.おやすみ はい、到着ー。 私、ちょっと着替えるね。 {息を吐く音}よいしょっと。 起きてる? そだねー、寝てる人は皆そう答えるよねー。 明日はどっか行く? んー、じゃあ、お昼はどっか食べに行こうよ。 おっきいハンバーグとか良くない? 好きでしょ、ハンバーグ? ほぉ~、私の手作りをご所望? 今日はホント、なんか素直だね。 どうかした? なんか、変な感じだよ? ふふ、謝らなくてもいいよ。 でも、たまには、言いたいことは言っても良いし、言いたいことは、言ってほしいなー。 私たちって、そういう関係だと思うよ。 ……なにかあった? 今は、言いたくない? そっかー。 ほら、おいで。抱っこしたげるよ。 ほーらぁ、おいでってば。 私が来てほしいの……だから、ほら、おいで。 んふふ。 ……今日はこのまま寝よっか。 うん、いいよー。 あったかい? ふふ、そっかー。 私もね、あったかいよー。 明日は何しよっか。 朝は、ゆっくりしてー。 んー、遅く起きても良いし、ソファーでぐーったりしてても良いし。 で、お昼前には出かけてー。 あぁでも、混んじゃうの嫌だったよね。 ちょっとだけ早く出て、ごはん食べよっか。 いつだったかな……駅の近くに美味しいお店見つけたから、一緒に行きたいな。 それから、映画でも良いし、からだ動かしても良いし……。 あ、お家で映画も良いかも。ここテレビおっきいし。 ……なんであんなにおっきいの買ったの? ふふ。 そうだ、帰る前にスーパーに寄って、買い物しようね。 晩ご飯は、私が作ったげる。 楽しみにしててね。 さっきは、ロマンチックじゃないー、って言ったけど、 あの言葉……すごく、嬉しかったよ。 今度は、ちゃんとした時に、聞かせてほしいな。 ……よろしくね。 明日、楽しみだね。 明日は私が、すっごく楽しい一日にしてあげるから。 だから、今は良い夢を見てね……。 おやすみ。 また、明日ね。   4.True end… はぁ……。 みたいな彼氏欲しい……。 あーあ。ぬいぐるみ、増えちゃったなぁ。 はぁ、かわいい。 君たちのおかげで、私の人恋しさは紛れているのだ……。 ちゅちゅちゅ~。 あー。 うぅん……あぁー……。 猫ってどうやって飼うんだろ……。 あ……ここペット不可だった。 寝よ……はぁ。