あ。みーつけた!  心配だから迎えに来たの!  さっき電話した時。  何だか様子、変だったから。  それから! 今朝、傘持っていくの忘れてたでしょう?  フフフ。私の傘に入れてあげてもよくてよ。相合傘ね!  当然傘は私が持つわ。  フン。身長差? なんの! そんなものに屈する私じゃないわ。  さ! 帰りましょ。  とりゃっ! ほらね。問題ないでしょ?  このままっ、あ、な、た、を。おうちまでっ……エ、スコートしてっ。差し上げるっ。わ。  あ、あっ、あ……。やめて風ちょっと。  いや、負け、負けないわ……。  ああぁぁー!  だめだわこれ。  負けました。傘持って下さい。  ぐぬぬ……。『持ってきてくれただけで十分嬉しいよ』じゃないわよ!  ていうかあなた。もし私が迎えに来なかったらどうするつもりだったの?  どうせあなたの事だから。自分なら濡れても良いとか思って。 ずぶ濡れで帰ってくる気だったんじゃない?  私が同じ事したら、絶対怒る癖に。  でもね。私最近わかってきたの。  あなたは自分を大事にするのが下手だから。  辛くても、笑って誤魔化して。一人でボロボロになって。倒れたり、しちゃうから。  私。それがすごく嫌だったけど……。  それなら私があなたの分まで、あなたを大切にすればいいんだってわかったの!  だから来た訳よ。これからはずっとこうだからね! 観念なさい!  身体だってね? 今はこんなだけど。  まだまだ成長するわよ。そのうち百八十センチくらいになったらどうする?  あなたの事なんか。  おーひーめーさーまー抱っこで!  ヒョイって運べるようになっちゃうんだから!  あなたの体重が百キロ超えてたって余裕よ。  その頃には筋肉もムキムキになってるはずですもの!  え? 今のままでいい? 憧れるんだけど。筋肉。  ……とか言ってたら着いたわ。  今の家、駅近でいいわよね!  ふんふん♪  うん? どうしたの?  ……そうだったのね。  何よ。やっぱり辛い事があったんじゃない。迎えに行って正解だったわ。  わかるわよ。隠すだけ無駄よ。ばーか!  無理しない方がいいわよ。  人間も犬も、正直な方が生きてて楽しいに決まってるわ。  辛い時はね。バンバン泣いていいのよ。でないと泣き方忘れちゃうわよ!  そのために、私がいるんだから!  あ。着いた。  ほら! お風呂沸かしてあるの。  一緒に入りましょう?  ああ。あなたは立ってるだけでいいわよ。  服、脱がしてあげる♪  あのね。さっきの話だけど。  努力をしても、すぐに結果がついてこない事もあるわ。  本当はうまく行っていても……。成果が目に見えるまで、しばらく時間がかかる事もある。  ほら。お給料だって、働いた日からしばらくしてからまとめてもらえるお仕事が多くて。  すぐにいただけるお仕事は、ちょっと珍しいでしょう?  それと同じよ。  だけど、頭では理解できていてなお、それが苦しい。その気持ちもとてもわかる。  ……私もそうだから。  でも、いいじゃない、みんなみたいに上手くできなくても。  多数派からはみ出しちゃう、変わり者の人生でもいいじゃない。  あなたがこれからどんな事になっても、私はあなたの味方よ。  何があっても。絶対あなたのそばにいる……。  ちゅっ!  ほら。いらっしゃい! カモン!  モニカ様が慰めてあげるわ!