ハルピュイア:いつぞやのりょなけで出したものです。 食べられるパターンのいろんな模索でした。 せっかくなので原作小説も下に載せておきます。漫画とは視点が違うのがポイントです。 悪魔アムムトさん:こっそり描いては、Twitterの仲のいい人に 送りつけてました。人を食べそうな外見のキャラを描きたかったです。 どうにも発表しにくいのでお蔵入りとなってました。 -------------------------------------------------------------------------------- 以下原作小説ハルピュイア  作さるがそ ここにハルピュイアと呼ばれる魔物がいる。 自在に空を舞う半人半鳥であり、人間の腕に当たるところより鳥の翼が生え、 腰には尾羽根、膝から下に猛禽の鋭い足爪を揃える。 猛獣じみたパーツを備えながら、しかし人間である部分の容姿はなんとも可憐であった。 乱暴に短く切り揃えながら、粗野な色気のある銀の癖っ髪が、 その人間の基準としては幼く見える顔つきに、無邪気な魅力を醸し出していた。 一糸まとわぬ褐色のその体は、やはり人外故か、その顔に似合わず大変成熟したものを持っていた。 頭より大きく発達した胸は、直接的な表現だが、まさに蕩けるような柔らかい肉を 健康的な張りのある皮膚で包みこんだ果実であり、その頂点に一対、綺麗なピンク色の 花弁が彩っている。 腰回りもまた膝下に負けない筋肉を揃えているのか、大変肉付きがよく、 また羽毛で守られていない分、豊かな皮下脂肪に覆われており、 バランスが良く、過剰といえるほど女性的な形貌を備えていた。 猛獣のような屈強さを持つ手足先に、柔らかそうな女性の体、 そして無邪気な少女の顔という、不釣り合いな要素が絶妙なバランスで 均衡したそれは、まさに人ならざる存在であり、それ故に妖しい美しさを湛えていた。 だが、その容姿がいくら人類の基準で美しいとはいえ、 その本質は魔物という他無く、恋物語のように、心を通わそうなどというのは とても無理な存在であった。ハルピュイアは好んで人を食らうのだ。 人里から離れた、切り立った山の崖の中腹に、 大きな鳥のそれを思わせるハルピュイアの巣があった。 今、上空から住処に舞い降りたハルピュイアは、 無邪気な喜びを浮かべ、捕まえてきた獲物をぼとりと巣に落とす。 それは生きた人間の男の子であった。 少年も、近頃子供をさらう魔物が出るという噂は、ささやかに聞いていたが、 まさか自分が、家のすぐ前で攫われるとは思わなかった。 どちらにしろ狙われた時点で、空より舞い降りる脅威からは為す術もなかっただろう。 肩を掴まれては、いつ落とされるかもわからない空の旅を経て、 この巣に生きて落とされたときは、すでに疲労と恐怖で足も立たなかった。 鋭い爪に掴まれた肩からはいくらか出血があるも、 それ以外身体は無傷であった。 だがそれでも、この切り立った崖を、 魔物を振り切り降りるなんてことは出来そうもない。 絶望的な状況を目の当たりにして、次の行動を考える間もなく、 目の前に、自分をさらってきた魔物であるハルピュイアが舞い降りた。 人間と同じパーツは、女性のそれと変わらぬ大きさだが、 子供一人をさらい空を舞う強靭な翼を広げると、今まで見たどんな生き物よりも大きく見える。 恐ろしい姿に、可愛らしい少女の顔で、自分を見下す凶暴な魔物を目の当たりにして、 少年は妖しさと恐ろしさの混じった、独特な感情に襲われていた。 ハルピュイアが笑顔のまま、足をあげると、その爪を少年に向ける。 崖を背にして後ずさりも出来ないまま、今殺されるのかと、少年が顔を背けると、 ハルピュイアの鋭い爪は、器用に少年のシャツを引き裂き始めた。 魔物は、少年の服を脱がす気のようだった。 「ぴゃあっ♪」 少年の華奢な体と肌が顕になると、ハルピュイアは鳥とも、 人間とも付かない、可愛らしい声で喜ぶ。 呆然とした状態から、はっと一瞬自分を取り戻した少年は、未だ自由な両手で、 シャツを半分まで破いたハルピュイアの足を掴み、抵抗し引き剥がそうとした。 「や…やめてーっ!!」 ハルピュイアは、少しも困った表情も見せることもなく、 笑顔のまま、軽く羽ばたくと、少し浮いたもう片方の足で… 容赦なく少年の頭を蹴り飛ばした。 少年の頭に星が飛び、目の前が一瞬暗くなる。 猛禽の足の、見た目通りの威力は、 少年にとっては生まれて初めて受けるレベルの強烈な暴力だったが、 それでもまだ、大変手加減したものだということを、少年は察した。 本気になれば…いや、おそらくもう少し力を入れただけで、 簡単に自分の首は折れていたのだろう。 少し年上のお姉さんが見せるような優しい笑顔は、自分に向けられたものではなく、 純粋に獲物を得た喜びによるものなのだ。 抵抗さえしなければ今のところは殺されない。そう至った少年はもう、動くことは出来なかった。 大人しくなった獲物を、ハルピュイアはまるで介抱するような優しさで、 残りの衣類を脱がしにかかる。シャツを破り捨て、恐怖で失禁したズボンも崖の外に脱ぎ捨てられた。 すぐにも、少年は全裸になっていた。 晒された素肌に、崖に当たる暖かい風が触れる。 毛皮のない人間は裸になると、なんと無防備なものか。 「ぴゃあっ!ぴゃあっ♪」 衣服を剥いだ目的。 声を上げハルピュイアが興味を示したのは、 少年の縮こまった、それでいて年の割には大きめなペニスだった。 「ぴゃあ…♪」 顔を寄せると、蕩けるような顔で、くんくんとペニスの匂いを嗅ぐ。 「や、いやだぁ……」 そのまま食いつかれる恐怖に、少年は涙を浮かべた顔を逸らす。 しかし、精通が始まったばかりの、まだ色のくすまない少年のペニスの匂いに、 ハルピュイアが見せたのは雌の表情だった。 少年が足を閉じようとすると、翼を使い、その足をこじ開け、 より少年の恥ずかしいところに顔を寄せる。 「ぴゃあ…」 とろんとした目付きで、そのペニスに頬ずりして、その匂いを自分の顔に マーキングしようとする。 人間の少年の前に、ハルピュイアが見せたものは明らかに発情だった。 大きな乳房についた突起は明らかに固くなり、その未通である股間の割れ目からは、愛液が溢れていた。 少女のような顔に、不釣り合いな色欲がうかぶ。 今までハルピュイアには雄の姿が確認されてなく、 どのような方法で生殖するのかはわかっていない。 人間を攫い生殖相手にするという噂もあるが… 少なくとも、この若いハルピュイアが、少年を生きたままさらってきた理由は、 明らかに自分の性欲を満たす為なのは明らかであった。 そして、野生の存在であるハルピュイアがみせる発情は、人間のそれより、直接的であった。 蜜のあふれる股間をもじもじとこすり合わせると、 立派な肉付きの健康的な太ももが、扇情的にうごめく。 ハルピュイアがふと少年の目の前にその欲情した顔を近づけると、 突然唇に吸い付き、こじ開け、舐め回すような乱暴なキスを試みる。 「ふむん…ん!!」 獣臭がしそうな、その乱暴なキスは、少年にとってのファーストキスだった。 何が何だかわからなくなった頭に、酸欠と突然のキスが、少年の力を奪う。 体を寄せることにより、ハルピュイアのその柔らかな乳房が、 少年の胸の上で形を変え、潰れ、その重さとボリュームを主張する。 ハルピュイアはそのまま顔を下げると、少年の上半身に その長い舌を這いまわし、ゆっくりとしゃぶりつく。 ぴちゃ、ぴちゃ…ちゅっ 首の根本をなぞるように舌を這わせ、 肩をくすぐるように通ると、 脇に顔を埋め… 胸の中心の間を舌が走る。 そのまま下半身に到達すると思えば、 敏感な脇腹に触れる。 涎が乾いたところがひんやりとすると同時に、 新たに別の箇所に温かい舌を感じる。 音を立て、時間をかけ、 少年の体を涎まみれにしていく。 獲物の味と匂いを舌先に感じるたび、よりハルピュイアの興奮は高まるのだ。 後ろ、揺れる尻の間、その股間からは蜜が太ももを伝わる。 一方、発情したハルピュイアから発せられる雌のフェロモンと、 また、体を焦らすように這いまわるその舌の感触に、 少年の混乱と恐怖は、これ以上ないほどの性的興奮に変わりつつあった。 ハルピュイアの舌が少年の下腹部に届く頃には、 自然と、少年のペニスはびくびくと痛いほどに起立していた。 準備万端となったメインディッシュの、天を剥いてもなお皮の被った頭に、 ハルピュイアはその形の良い鼻をくっつけ、一番濃い匂いを嗅ぐ。 少年の応え発情した匂いに、ぶるっと体を震わせ、 オスを誘うように、そのボリュームの有る尾羽根付きの尻をくねらせる。 「ぴゃあ…」 熱のこもった鳴き声を上げると、ペニスの前で舌なめずりをして、 興奮で息を荒げ、見つめる少年の前で、 ゆっくりとスローモーションで口を開け、あーんというように… 少年のペニスの先を口に含んだ。 「あっ…!!」 思わず少年が声を上げる。 ハルピュイアの口の中で、ペニスの皮はその器用な舌の動きによってぺろりと剥かれる。 その皮の中に隠されたオスの匂いと味をより味わおうと、大量に涎が分泌され、舌で舐め吸われる。 ちゅっちゅっと、赤子が乳首に口を寄せるような音を立てて、 少年のペニスの味と、尿道からあふれた先走りの味が吸い取られるたびに、 その強い快感に少年はびくんびくんと体を震わせた。 ハルピュイアもまた、嬉しそうに腰をくねらせる。 だが… 少年の快楽はそこまでであった。 「うあああああっ!!いたっ痛い!やめてっ!」 つい今まで最高の快楽を与えていた蜜壺が、文字通り牙を生やし、 ゆっくりと少年のペニスを押しつぶしてきたのだ。 柔らかく敏感な肉に、万力が閉まるような緩慢な速度で牙の圧力が掛かっていく。 抵抗しようにも、いつの間にかその両手は翼に押さえつけられて動かなかった。 「ひぐうううううううううううっっ!」 口の中からぶちりとした小さな音が聞こえる。少年の亀頭は潰れた。 この幼いハルピュイアが少年をさらってきたのは、性欲を満たすためであったが、 やはり同時に食欲を満たすためでもあった。 近くに成熟した仲間もなく、知識もないまま育ったハルピュイアは、ペニスの 本来の使い方を理解はしてなかった。 結局ハルピュイアにとっての人間のペニスは、生殖器ではなく、 食欲と性欲という2つの本能を刺激される、美味しい肉の棒にすぎなかったのだ。 このハルピュイアにとっては、好物であるペニスを食べることそのものが、セックスの代わりだった。 雄の血と肉が口の中に広がるたびに、ハルピュイアは性的快楽を覚えていたのだ。 ハルピュイアは恍惚とした顔で、そのまま何度も口の中で、 繋がったままの少年のペニスを少しづつ咀嚼し、味わい、ミンチと変えていく。 じわりじわりとペニスが砕かれていく痛みに、 少年の身体が生命の危機に反応したのか、欠けたペニスの先から、大量に精液が漏れ出す。 口の中に広がる、少年の血と精液と、ペニスの肉の味に、 ハルピュイアもまた、腰を震わせ、びくびくと軽い絶頂に達した。 よく口の中で味わったその肉を、ハルピュイアはゴクリと飲み込む。 少年の股間には、あとは切り株と睾丸だけが残った。 「ああ、僕のおちんちん、なくなっちゃった…」 あまりに強烈な痛みが続き、とうとう麻痺し、少し冷静な思考も取り戻していた 少年の頭によぎったのは、同世代の仲間より少し大きめで自慢だった、 男としてのシンボルを失った喪失感であった。 「ひぎいいいいっっ!!!痛い!痛いいっ!!!」 だが、その喪失感も消える前に、少年には新たな痛みが襲いかかった。 ハルピュイアにとって、性欲を刺激される肉を失った今、目の前にあるのは もはやただの肉餌だった。食欲を満たすために、純粋な食事が始まる。 ハルピュイアが次に口に含んだのは少年の睾丸だった。 丈夫な皮に守られた中身を味わうために、皮の上から、 何度も2つの肉玉をごりごりと咀嚼する。中身が潰れその形がなくなり、 破れた皮からこぼれ出すまで噛み続けるのが、このハルピュイアの食べ方だった。 そのままとどめを刺されることもなく、ゆっくりと少年の体は咀嚼され食べられていった。 さきほど味見した時に、上半身はあまり美味しそうではなかったため、 ハルピュイアは結局、肉付きがよく柔らかい、 内腿や尻などの下半身を中心に少年を食い荒らした。 最後に、いつの間にか息を止めていた少年の、 栄養のあるいくつかの内蔵を食べ、満腹になったハルピュイアは、 まだ大分肉の残る少年の体を、崖の上に放り捨てた。 食欲と性欲を同時に満たしたハルピュイアに次に襲いかかった欲求は、 睡魔であった。 今回の獲物は、体の割に好物が大きく、なかなか満足ができた。 また目が覚めて、お腹が空いたら、あの美味しい肉をぶら下げた獲物を捕まえに行こう。 少年の返り血を浴びたままの姿で、ハルピュイアは眠りについた。 どれほどの時間が立ったか。 突然の衝撃が、食後の睡眠に浸る、ハルピュイアの意識を覚ます。 「ぴゃあっっ!!?」 切り立った崖の上に作った巣は、人間も立ち入れない、安全な住処のはずだった。 回りはいつの間にか霧が発生していた。 その中から現れたのは、ハルピュイアよりも二回りも大きな翼。 寝込みを襲った正体は、しばらくこの地域では見ることのなかった、 首の長い飛竜、緑色をしたワイバーンだったのだ。 巣とその回りに大量の人間の血の匂いを残していたことが、この更に強大な 捕食者を招く結果となってしまった。 一人で育ち、自分がこの空の王者であるとすら思っていた、 この若いハルピュイアには、まだ自分の種族より 強大な生き物がいるとは知らなかった。 経験豊かなハルピュイアであれば、この敵わぬ相手に対し、 逃げの一手という最善策を選ぶことが出来ただろう。 だが、生まれてこの方、恐ろしい目になど会ったことなく、 その爪と翼に大きな自身を持っていたこのハルピュイアは、寝込みを襲われた怒りのまま、 愚かにもワイバーンに対し鉤爪で反撃に繰り出してしまったのだ。 瞬きするほどの間にはるか宙に舞ったハルピュイアが、弾丸のようなスピードで 鉤爪を繰り出す。 人間の体など、簡単に引き裂ける尖い爪が、ワイバーンに突き刺さるも、 ハルピュイアよりさらに強靭な体を持つ、空の最強種族にとっては 些細な傷程度しかつかなかった。 その結果にハルピュイアが動揺する間もなく、 ワイバーンはカウンターでハルピュイアの急所である翼の根本を、その顎に捉えていた。 たったの一噛みで、ごきりと骨が砕ける音を立て、ハルピュイアの自慢の翼は 二度と使い物にならなくなった。 「ぴゃあっっ!!?」 ばさりと地面に落ちたハルピュイアの顔に、 初めて恐怖の表情が浮かぶ。 すでに勝負は決していた。 逃げ場のなくなったハルピュイアとワイバーンの間に、 幾らかの格闘はあったが、結果として、ハルピュイアの残った翼も砕かれ、 最大の武器であった猛禽の両足は踏み潰され、いびつな方向に曲がり、使い物にならなくなっていた。 「ぴゃあ…ぴゃあっ…」 ハルピュイアがもう許してと言わんばかりの顔で、弱々しい声をあげる。 涙を流しながら、この恐ろしい相手から、膝だけで体を引きずって遠ざかろうとする。 もちろんワイバーンに慈悲の心などはない。 その目に映るのは、自分の食欲を誘うように動く、餌の大きな2つの肉尻だった。 ワイバーンにとっては、ハルピュイアの固い鱗の生えた脚や、 毛ばかりで食べにくそうな翼などは、まったくどうでもいい部位だった。 それに対し、「人間」の部分は柔らかそうで、 それになかなか肉付きが良くて美味そうに感じるのだ。 牙の隙間から涎を垂らしながらのしのしと近づき、 ゆっくりと口を開くと、そのハルピュイアの、丸い大きな尻に齧りつく。 「びゃあああああああっ!!!!」 前足でハルピュイアの背中を押さえつけ、 顎と首の力でみりみりとその肉の塊を引きちぎる。 鋭い歯に丸い綺麗な形をしていた尻たぶは引き裂かれ、 ぶちぶちと音を立て、皮膚の繊維をまとわせながら、その柔らかくも張りのある肉は離れた。 扇情的だった2つの褐色の尻は、無残にも片方だけになり、 ピンク色の断面が覗く。そこから大量の血が溢れ出る。 一方、ワイバーンの口には、大きな肉が銜えられていた。 ワイバーンは、その丸みを帯びたステーキのような肉を、 ぐちゃぐちゃと美味そうに咀嚼する。 溢れた涎と血と脂がぼたぼたと巣の地面に溢れる。 つい先程まで、どんな人間の男も欲情させるような、扇情的な尻が、 今ではただの肉となって、爬虫類の餌になっていく。 肉食性の強いハルピュイアの肉は、ワイバーンのいつもの主食である 人間の娘と比べたら、臭みが強いものだったが、 たまにはいいだろう、と言えるほどのものであったし、 何しろ食べごたえもあり、脂がたっぷりと乗っていた。 美味しい肉をゆっくりと味わい、ごくんと肉の塊を飲み込むと、 ワイバーンは根本の肉を失し、ちぎれかかったハルピュイアの脚を前足で掴む。 そのまま力任せに引きぬくと、ハルピュイアがまた甲高い悲鳴を上げた。 引きぬかれた太ももは、まるで調理された鶏肉のようであった。 ワイバーンは器用にも、前足に持ったその太ももを口元に運び、食らいつく。 それもまるで人間がチキンを食べるかのような仕草に見えた。 張りのいい皮膚が破れ、脂の乗った赤身の肉がむしゃむしゃ、ぶちぶちと食いちぎられていく。 柔らかくも歯ごたえのある、そしてボリュームのある太ももの肉の、ワイバーンはなんとも満足そうな表情を浮かべる。 凄まじい食欲に、すぐに脚はただの血の着いた大腿骨となって、生ゴミと代わり巣の外に捨てられる運命となった。 もはや悲鳴を上げるほどの元気はなくなっていたが、自らの血の海に沈む状況にあっても、ハルピュイアはまだ意識もあった。 そんなハルピュイアの胸元に、ワイバーンがその長い首を寄せる。 ワイバーンが口を開けると、血と脂にまみれた大きな舌が、ハルピュイアの胸に実った、 柔らかい肉の塊に這いまわる。 舌先を這わせるたびに、ぷるぷるとその肉は形を変える。 ハルピュイアには理解できた。今から食べるご馳走の柔らかさを確かめているのだ。 蕩けそうなその肉に、ワイバーンは嬉しそうに目を細め、涎を溢れさせる。 つやつやと粘液にまみれ、長い舌に揉まれる乳房はなんともエロティックに見えるだろう。 さんざん、乳房の舌触りを楽しむと、ワイバーンはそのままぱくりと口に含み、 ゆっくりと牙を立てた。その大きな口からあふれるほどのボリュームの有る、張りのある肉球を、 食いちぎることなく、体についたまま咀嚼していく。 ハルピュイアはただ見るしかなかった。それは皮肉にも、自分が先ほどやった行為だった。 蕩けるような柔らかい肉と、たっぷりと乗った脂が、甘みとなってワイバーンの口の中に広がる。 肉食生物にとってまさに最高のごちそうであった。 ワイバーンは、食べやすく美味しいその部位は、自分たち竜に食べられる為に生まれたのではなどと考えていた。 肉片と変えられた乳房が少しずつワイバーンの喉を通り、減っていく。 もう片方の乳房は、乳首ごと頂点を口に含むと、ゆっくりと首の力で食いちぎろうとする。 丸い乳房が引っ張られ、洋なしのように形を変え、最後に耐え切れなくなって引きちぎれると、 その欠けた果実は弾力でぷるりと戻る。食材の柔らかさを楽しんでいるのだ。 ワイバーンはそれを奥歯で咀嚼し飲み込むと、再度また林檎をかじるように、 口先で乳房を食いちぎっていく。 大部分の自分の体が減っていく状況にあっても、なかなか死ぬことの出来ない 魔物の生命力を、ハルピュイアは呪うしか無かった。 食事は続き、もう空には夕闇が迫っていた。 結局、ワイバーンの食欲は凄まじく、ハルピュイアの体の肉はほとんど食べ尽くされ、 あとに残ったのは頭と、骨と脚先と翼だけだった。 満腹になったワイバーンは、まだ肉のこびりついた骨をしゃぶりながら、、 布団代わりに出来そうなので残しておいた翼を体に敷くと、新しい住処と決めたそこで眠りだした。