……!  あ……。  あ……。  あは、はやーい。もう見つかっちゃいました……。  どーしました! まだ何かご用ですっ?  さっきの❤ グロくて不気味ーなトワ、見たでしょう?  こっちに来ない方がいいですよ。  でないとまた、怖い目に遭……。  あ……。離してください……。  やめて!  見せましたよね。見てましたよね!  これまでアナタの前で。明るくヘラヘラ振舞ってた『柊 十和子』は全部偽物!  あの、おっきくて気持ちの悪い、ぐちゃぐちゃした姿が本当のトワなんです!  アナタはそれを知らずに、人間の女の子だと思ってよくしてくれた。  ずっと……ずっと騙されてたのに……。  だから、怒ったって……怒っていいのに……。  なんで。なんで優しくするの。なんで一緒にいてくれなんて言うの……。  そんなこと……されたらっ……。  ううっ……。  はぁ、はぁ、はぁ……。  ごめんなさい❤ 取、り乱しちゃい……。ううっ……うわぁぁっ……。  はぁ、はぁ、はぁ……。  ありがとう……。少し、落ち着きました……。  あは。もう逃げたりしませんよ……。  でも。アナタの手。  あったかい……。  えへ。嬉しくて泣けちゃう。怖くないの?  そっか。  ごめんなさい……トワが間違ってました。もう急にいなくなったり、しません。  それから、お話します。アナタには、すべてを知る権利がある。  もう、わかり切ったことだけれど、トワは人間じゃありません。  ずっと遠くの星からやってきた、アナタ達とはまるで違う身体と力を持つ、知的生命体です。  十三年前の冬。トワはこの星にたどり着きました。  トワの生まれた星はもう限界だったから。  トワはお父さんやお母さん、従者達と一緒に、違う星に移住する計画を立てたんです。  だけど、その旅は長く、想像以上に厳しいものだった。  蓄えは次第になくなり、最後まで生き残ったのは、従者とトワの二人だけ。  でも、その人も、トワを残して死んでしまった……。  そしてトワは、この公園に一人取り残されました。  だけど、まったく知らないこの星で、自分一人だけ生きてたってしょうがないですよね。  だから、もう死んじゃってもいいかな❤ って思いました。  でも。そう思って眠ろうとしたトワを、すくいあげた手があったんです。  それが、アナタだった。  アナタは衰弱したトワに気づくと、トワの見た目なんて少しも気にせず、急いで家に連れて帰りました。  それから、あったかくしてくれて、綺麗にしてくれて。すごく優しくしてくれて……。  言葉の通じないトワに毎日話しかけて。やがて『トワ』という名前を付けてくれました。  それから。トワがアナタの話す意味を理解できるようになっていたある日。  アナタは『ずっとここにいていいんだよ』って言ってくれました。  トワはその言葉が本当に嬉しくて。  この星で一人ぼっちの生き物になっても、アナタがいてくれるなら、きっと頑張れると思いました。  その頃には、アナタのことが大好きになっていたから。  でも、そんな暮らしは、長くは続かなかった。  ある日、アナタがさとりと、もう一人のお友達と。三人で遊ぶ約束をしたある日。  アナタは学校のお掃除当番で、遅くなりそうだったから、サトリとお友達は、アナタには言わずに、先にアナタの家に行って待つことにしたんです。  アナタのご家族は、サトリ達を知っていたから。  当然、アナタのお部屋に、二人を通しました。  でもそこに、トワが居たらビックリしますよね?  トワ達の暮らしは、そこでおしまい。  アナタに迷惑をかけられないと判断したトワは、アナタとお友達の記憶を消して。  どうやらトワみたいな、人間じゃないものに詳しいらしい。  サトリのところに。アメリカの研究機関に身を寄せることにしたんです。  その時、サトリはトワに言いました。自分達の研究に協力してくれるなら、この星で問題なく生きて行けるだけの、知恵と身分を授けてくれると。  トワを、一人の人間の女の子にしてくれると。  トワはその条件を飲みました。トワとサトリがなんでか長い付き合いで……トワがつい最近までアメリカにいたのは、そういうことです。  あは❤ 長くなっちゃいましたね!  そして十三年後っ❤ トワは無事にこの街に戻り!   アナタは今どうしてるのかなー❤ って思ってつい近所に引っ越しちゃったんです❤  でも、自分の記憶を奪ったやつとなんか、仲良くしたくないでしょぉ?  だから、何とか距離、保とうとしたん、ですけど……。  アナタ、やっぱり優しいから。またすぐ好きになっちゃった。  友達になら、なっても許されるかなって、思っちゃった。  アナタのこと、騙してでも。またそばにいたいって、思っちゃった……。  本当にごめんなさい。いつか言わなきゃって思ってたのにできなかった。  結果的にアナタの方から、質問させるようなことをした。  本当に……あっ……!  うん……うん……。ありがとう……。  ……はい。あれはトワです。火災の日、危なかったアナタを外へ誘導したのはトワ。  あっちの姿の方が煙にも強くて、頑丈なので。  あは。なんか人間にしてはでっかいから、おかしいなってわかっちゃいましたよね。  だって、自分がどうなってもいいからアナタ達を助けたかったんだもん。  でも本当は、アナタなら気づいてくれるかもって思ってたのかもしれない。  ワタシも、アナタが大好き。  十三年前。初めて出会って、助けてくれた日からずっと好き。大好き!  いいの? こんなトワでも。  アナタのそばにいていいの……?  嬉しい……!  あぁ! ずっとこうしたかった……。  アナタに触れて。アナタにいっぱい、好きって言うの。  アナタに、トワができること、全部するの!  ねえ、してもいいですか? これからも、アナタのそばで。アナタが大好きって。言い続けていいですか?  嬉しい……。ずっと……ずっと一緒です!  ところであの。今後についてなんですけど❤  十三年越しの恋が実って嬉しいので。  まずはお引越ししませんっ?  トワがアナタのおうちに行くのでもぉ、アナタがトワのおうちに行くのでもぉ。  新しいところに住むのでもいいんですけど。  もう一秒も離れたくないです。  ね❤   前に話したみたいに……。  ずーっと❤ 一緒に暮らしましょう❤