【前編・賽銭ドロ編】 私の名前は小那須あけみ(こなすあけみ)。この小さな神社で巫女をやってるんだ。 ほとんどの人は気付いてないけど、この世界にはたくさんの妖怪やら悪霊やらがはびこっていて、 時にそいつらは、私たちの暮らしに入り込んでは悪さを働いたり不幸を生み出したり…と、なかなか厄介な存在だったりもするの。 そこで!私たちみたいな巫女が、そーゆー悪い妖怪たちを打ち払ったり懲らしめたりして、この世の平穏と幸福を人知れず守ってるんだよね。 この間も、スケベな妖狐に取り憑かれたおにーさんを救け出してあげたばかり。 危うく妖狐に心も体も乗っ取られちゃうところだったんだから、ほんと私には感謝してほしいな。 …まぁ、いろんな事情もあって、お祓いしてあげたことは綺麗サッパリ忘れてもらっちゃったんだけどね。えへへ♪ それはさておき。 最近何だか、うちの神社のお賽銭が少なくてさー… どーも怪しいと思って監視カメラを仕掛けてみたら、やっぱり賽銭ドロボーに遭ってたみたいなの! で、賽銭箱の横にこっそり落とし穴を掘っておいたら、これが大当たり!見事にドロボーさんを捕まえることができたんだ。 えっ?それからどうしたかって?それはね…… - - - 「遂に捕まえましたよ、ドロボーさん。 みんなの願いのこもったお賽銭をこっそり盗もうだなんて、恥ずかしくはないんですか?? …なんです?その不貞腐(ふてくさ)れた態度は! 手も足も縛られた上に柱にくくりつけられてもう逃げられっこないんですから、そろそろ観念して、ちゃーんと『ごめんなさい』しなさい!」 「あー。そーやって無視ですか。 そのまま黙ってたって、許してなんかあげませんからね。 …だんまり決めこんじゃってますね…わかりました。 警察に突き出す前に、絶対ごめんなさいって言わせてみせます!」 「ん?どうしたんです? あ、いきなりパンツ見せちゃったから驚いちゃいました?ふふふっ♪ でもそうやってニヤけた顔してられるのも、今のうちだけですよぉ♪ うちの神社の巫女に代々伝わる邪気祓いの秘術、賽銭ドロボーさんにも味わってもらいます♪」 「え?どういうことかって?それはね、こういうことですよぉ!」 「ふふふっ♪お分かりになりました?賽銭ドロボーさん?」 「もぉー、そんなにクサかったですかぁ?ふふーん♪ これ、私の必殺技なんですぅ♪ どんな妖怪も悪霊も、これを一発お見舞いしちゃえば、たちまち目を回して倒れちゃうんですよぉ♪ フツーの人間の賽銭ドロボーさんには、ちょーっとキツすぎたかなぁ?」 「このまま意地張ってると、もっともっとひっかけちゃいますよぉ? ……って、ふぎゃふぎゃわめいててもダメですよ♪ちゃーんとごめんなさい、って謝らないとぉ♪」 「な、何食べたら……って、普通のご飯ですよぉ! あ、でも、昨日の夜はニラ玉とかギョーザとか食べたかも……いつもよりちょっと臭いが濃かったかもしれません…」 「って、そんなことより、ごめんなさいはどうしたんです!? 一発だけじゃわかりませんでしたか? じゃぁ…もう一発ですっ!」 「ほらほら、早くごめんなさいしないと、お鼻が壊れちゃいますよ? もぉ…そんな言葉にならないよーな悲鳴上げたってダメですよぉ♪ ちゃーんと、ご、め、ん、な、さ、い、って言葉にするまでは、やめてあげないんですから」 「…ちょっと…、そんな大声で叫んだら、近所迷惑じゃないですか。 仕方ないですね… ………よしっ♪ 粘着テープでお口を塞いじゃいました♪これで静かになりましたねー♪ じゃ、ちゃーんとごめんなさいって言えるまで、私のくっっっさーいオナラ、たっくさん浴びせてあげます♪ …んっ♪」 「ねぇ、賽銭ドロボーさん、どうして神社のお賽銭を盗もうなんて思ったんですか? いい大人が、恥ずかしくありませんか? そんなことやってるとぉ、おっかなーい天罰が下っちゃうんですよぉー♪ こんな風に…ねっ!」 「どうですか?天に代わって巫女ちゃんからの、くさーい天罰ですよぉ♪ はやくごめんなさいって謝ってくれないと、もっと悲惨なことになっちゃいますよぉ?」 「んー……お返事なし…?ほんと、強情なドロボーさんですねぇ。 じゃ、もっともっとお尻を密着させちゃいますから♪ んしょ、んしょ…ほぉら♪ドロボーさんのお鼻と私のお尻の穴がこんにちはですね♪」 「えっ?なんですぅ?そんなモゴモゴ言ったって、何しゃべってるのかわかりませんよぉ? ちゃーんとごめんなさいができないのならもう、くさいのをお鼻の穴に直接注入して、その強情さをボッキボキにへし折ってあげるしかありませんね♪ ほぉら、いきますよぉー…んっ!」 「ふふふっ♪すっごい強烈でしょー、私のガス♪ いいかげん謝らないとお鼻だけじゃなくて、脳みそまで臭いでおかしくなっちゃいますよぉ? ねー、賽銭ドロボーさーんー」 「って、ドロボーさん、白目剥いてピクピクしちゃってぇ。 そんなになっても謝りたくないってことですかぁ?どんだけ強情なんですかぁ〜?」 「わかりました。じゃ、私も本気出しちゃいますよぉ? まずは縄を解いて、ここをこうしてぇ……手を持って……お顔はお尻に………よしっ♪」 「じゃーん♪巫女ちゃんのとっておきー♪桃尻密封固めですぅ♪ ふふふ♪ドロボーさん、全然抵抗しないままあっさりお尻の下敷きになっちゃいましたね♪ 私のオナラでやられちゃって、もう力が入らなくなっちゃったのかなぁ?それとも失神寸前なだけかな?」 「賽銭ドロボーさん、わかりますかぁ?ドロボーさんのお顔が、私のお尻で密封されちゃってますよぉ♪ このままオナラを連発したら、どうなっちゃうんでしょうねぇ? お鼻が二度と使い物にならなくなっちゃうかもしれないし、もしかしたら死んじゃうかもしれないですよね? だから、最後のチャンスです…ちゃんと反省してごめんなさいが言えたら、優しい私は許してあげちゃいますよ? ほら、お尻を少しだけ浮かせましたから、ごめんなさいしてください! ………意地でも言わないつもりですか。そうですか。わかりましたー。 じゃ、もう容赦しませんから!」 「んしょっ……っと、またまたお顔をお尻で密封して……と♪ いきますよぉ!ほぉら、悪人成敗! んっ!」 「まだまだぁ!」 「もっともっと!」 「この罰当たり!」 「鼻の髄までわからせてあげるっ!」 「ほぉら!私のガスで改心なさいっ!」 「…ふぅ……これだけ嗅がせてあげたら十分かな?ふふっ♪ どれどれ…うわ、くさっ!ほんとくっさぁぁぁ! うわぁ…いつものことだけど、ほんと私のオナラ、臭すぎ……。 こんなのを密着ゼロ距離でお見舞いされたら、そりゃたまらないよね……。 ねぇ、賽銭ドロボーさん、少しは反省しましたかぁ?って、聞こえてるわけないか…ピクリとも動かないもんね。 完全に気絶しちゃってる…。うわぁ、苦しそうな顔…、そんなに苦しいなら、さっさとごめんなさいしちゃえばよかったのに…… ………あっ!粘着テープ…口に粘着テープ、貼りっぱなしだったぁ…そっかぁ、そりゃごめんなさいって言えるわけないし… あちゃー、失敗失敗♪ だけど賽銭ドロボーするような悪い人は、酷い目にあっちゃうのも仕方ない…よね♪うん、仕方ない仕方ない♪ 私はちゃーんと悪人を成敗してあげたんだし、問題なし!だよねー……? ま、これだけオシオキしたことだし、警察に突き出すのは勘弁してあげよっかな……こんな滅茶苦茶オナラ臭い犯人を連れて行ったりしたら、お巡りさんだって困るだろうし…。 うーん、どうしよう、このドロボーさん……… あ、そうだ!確かまだ地下室に、妖魔封印用の壺が余ってたっけ……うふふっ♪」 - - - そんなこんなで、うちの神社を悩ませたお賽銭の盗難は、その日を境にパッタリと止んだのでした♪ え、あの賽銭ドロボーさんはどうなったのか…?さぁ〜…? 私、しーらないっ♪うふふっ♪ あ、わるーい悪霊や妖怪退治の方もちゃーんとやってるんだよ〜? この前だって、ずっと私をつけ狙ってた危険なオオカミ男さんをおびき出すのに成功してさー、きっちりみっちり懲らしめてあげちゃったんだ♪ え?どうやったのかって?それはね… --------------後編につづく