市民の皆様、幸福ですか? 毛ガニです。 本作をご購入、ご視聴頂き、誠にありがとうございます。 さて、皆様が音声作品に求めるものは何でしょうか? キャラクターやシチュエーションが好みである事、音が心地良い事、声優様等、様々な基準があるかと思います。 その中で僕の基準は少々特殊かと思います。僕の基準はシナリオが面白い事です。 面白いというのは曖昧な表現になってしまいますが、2つの要素から成ると思います。 1つは文章表現、構成が上手い事、もう1つはテーマ性や問題提起が興味深い事です。そして特に後者には、能動的な咀嚼に耐えうるだけの深みが作品に必要になってくるでしょうか。 本作には、僕の「面白い」を盛り込んでみたつもりですが、いかがでしたでしょうか? また、自分でもまさかのR18でした。R18を始めて書くので慣れませんでしたが、別に抵抗感があった訳ではありません。ストーリーテラーが限られた分量をエロに割いていたら、ストーリーを展開できず、作品に深みを出しにくいというジレンマがあるのが問題でした。 ただ、本作ではシチュエーションを詳細に描く事が、ディストピアのメインである世界観の掘り下げと、対であるユートピアの演出に最適でした。なかなか「面白い」試みができたのでは? と思っています。 また、音声作品の企画者が圧迫面接を受けたらされるであろう質問に「なぜVRではなく、音声作品なのか?」というものがあるかと思います。その質問に対し、「映像化すると叙述トリック(のようなもの)が使えないから」という積極的な回答ができる構成にできたのも「面白い」なと感じます。 声優のみもりあいの様には、その「面白い」を形にして頂けました。 可愛らしくも影のある世界観を想像させる演技は台本の読み込みが感じられて、とても嬉しかったです。繰り返し聴いて、この言葉、この演技の意図はと楽しんで貰えるとありがたいです。それだけの咀嚼に耐えうる、魅力的な声を頂いたと思います。 収録にあたっては、ねこの手スタジオ様にも大変お世話になりました。正直、スタジオ収録は思い切った選択でした。ですが、僕に無い視点で収録をチェックして頂き、また親切にアドバイスも頂き、そのおかげで作品のクオリティを上げる事ができました。良い選択だったと感じさせて貰いました。 イラストレーターのkoboshinn様にも、世界観を反映した「面白い」イラストを描いて頂きました。過剰な情報を与えないように、服や背景等の文化を示す物を排した思い切ったイラストです。しかし、影や表情、構図で上手く世界観が表現され、金髪碧眼、耳標など設定を読んだ上で見返すと意外な情報量に気づくかと思います。今一度じっくり見直して頂けると幸いです。 そして友人のS君、プロットを読んで「産経婦なのに授乳プレイは無いんですか(血涙)」とバブみの海の深さを語ってくれました。赤ちゃん言葉とか全部の語尾に「でちゅ」「まちゅ」って付ければいいだろ、程度に考えていたとんだベイビーな僕でしたが、赤ちゃんプレイを書き上げる事ができたのは彼のおかげです。凄いでちゅねー、赤ちゃんなのに大人だからエッチな事に精通していて偉いでちゅねー。 と、冗談はさておき「幸福市民性活」という煽り文句だけで、ディストピア作品と見抜く慧眼の持ち主で、参考になる意見を頂きました。 また、前作『やさしい吸血鬼の殺し方』をご購入、ご評価、サークルをお気に入り登録等々頂いた方々、大変ありがとうございます。 やり過ぎて理解にだいぶ咀嚼が必要な作品かと思います。それにも関わらず、レビューや応援コメント、トークを書いて頂けた方々には感謝しかありません。 そんな熱いコメントや、次回作を望む声に押されて本作を完成させる事ができました。 本作発売記念にご要望頂いていた、解説をアップデートで付けました。 よろしければ読んで頂ければ幸いです。より作品を楽しんで頂けるのではと思います。 今、前作の存在を知ったという方も、毛色はかなり違いますが『やさしい吸血鬼の殺し方』も相当作り込んだシナリオのつもりです。もし、本作を「面白い」と感じて頂けたようでしたら、試しに聴いて頂けると嬉しいです。 本作でも、レビュー等頂ければ大変喜びますが、後の方の「面白い」を奪わないよう、世界観に関するネタバレは避けて頂ければありがたいです。 長文、お読み頂きありがとうございました。僕の「面白い」が伝わったようでしたら幸いです。