;モノローグパートです ;軽めのエコーを ;試聴版ではここはカットして構いません 「夫が早くに亡くなる、そんなのは珍しくもなんともない話だろう。結婚して5年、息子が4歳の時に夫は交通事故で他界した」 「幸い……というと語弊があるけど、息子が生まれたこともあって保険は多めに入っていたし、慰謝料もあった。それもあって手がかかる内は仕事をしないで息子の面倒を見る事に集中して生活も出来ていた……とはいえ、もちろんそのお金はずっと続く訳じゃない。小学校も中学年になる頃にはまだなんとかなるが将来を見据えると少しは働いた方が、そういう経済状況になっていた」 「働くのは結婚する前以来というのもあったし、何より優先すべきは息子の事。だから仕事もいきなりガッツリではなく、徐々に増やしていく事にした……当初不安に思っていた生活も息子の理解と協力もあり、小学校を卒業する頃にはフルタイムに近い時間働くようになっていた……中学生にもなれば友達付き合いも増えるし、彼女も出来るだろう。そろそろ手もかからなくなるかな」 「……そんな風に思ってた。息子があまりにしっかりしていた事もあって、私は大事な事に気づけなかった……自分で言うのもなんだけど、私はそれなりに若く見られるし、何より息子に心配をかけないようにと健康にも気を使って体型も結婚前より少しだけふくよかになった程度だった……女として自分を磨いていたつもりはなかったけど、色々な結果がそうなるようになっていた」 「私から見れば息子は男以前に家族であり、大事な子供だ。自分がそうだから、相手も同じように思ってるとどこかで思って多のかもしれない……ある年の息子の誕生日に迫られ、告白された……最初は冗談かと思ったけど、真剣に、自分の持てる感情全てで求められた時にようやく……私は息子から母親ではなく、女として見られている事に気づいた。気づいてしまった」 「頷いてしまったのは何故だったのか、勢いに押されたか、自分もどこかで納得していたのか……その時の気持ちは今では判らない。それに後悔してないと言えばウソになる……でも、私は頷き、そして関係を持ってしまって……最初の頃はこんなのダメだ、親子でなんて、そう思っていても時間が経つにつれて絆(ほだ)され、受け入れ、そういう日々が日常となっていく」 「それに求められて気づいてしまった……私自身もきっと、どこかで求めていたのだろう……息子を育てる事に集中していた数年、考えないようにしていた事……女としての自分を求められる事、女としての悦び、抱きしめられる感触、そういった事全て……息子は十分、ううん、十二分にそれを満たしてくれた……気づけば私は息子からのおねだりを拒絶出来なくなっていた」 「……歪んでる自覚はある。いつかは終わらせなきゃいけないとも思う。でも、すぐには無理で……何かしらの言い訳をしながら……時には拒絶したら息子が悲しむから、なんて都合の良い理由を自分に言い聞かせ、抱かれ続け……いつか彼女が出来れば、私みたいな年増に興味も無くなるから……そんな風に言い訳を続け……普段は母として、そして求められた時は女として……」 「……そして、その関係でも……続いている」 ;5秒程度間