;//////// ;Track0 ヘッドホンかイヤホンつけて、楽しんでくれはったらうれしぃなぁ (ドラマパート) ;//////// 1/前 「『あやかし郷愁譚。縄のうれん 結。 トラックゼロ。この音源の楽しみ方』」 ;環境音 冬(2月頭)、田舎道。 ;*道端で休んでいるリスナーの前を ;右手から左手に通過していくイメージ ;目線は基本的にはマイクに向けず、進行方向むきで ;11/右遠(なるたけ遠く) 「草履〜 草履〜 稲藁草履はいかがおす〜? 軽くて丈夫、とってもお安いお草履ひとつ 買わしまへんかぁ〜?」 ;3/右 「草履〜 草履〜 稲藁草履はいかがおす〜? 軽くて丈夫、とってもお安いお草履ひとつ 買わしまへんかぁ〜?」 ;1/前 「草履〜 草履〜 稲藁草履はいかがおす〜? 軽ぅて丈夫で、とっーてもお安いお草履ひとつ、 いまならもそっとお安ぅしますえ〜〜」 ;6/左前 ちらっとマイク方向を見て 「(ため息)」 ;沈んで ;7/左 「草履〜 草履〜 稲藁草履はいかがおす…… 軽ぅて丈夫、と〜〜ってもお安いお草履ひとつ。 買ーてくれはる方、おらしまへんか……」 ;15/左遠 「草履〜草履〜 稲藁草履は――っ!!!」 ;SE 小走りに駆け戻ってくる ;15/左遠→;7/左→;1/前 ;1/前 「(荒い息)」 ;緊張 「あの……いま――(ゴクッ)―― なんや、その――えと」 「あ! やっぱり、呼んでくれはったん! わぁ、うれし――って、もしかしてこれ、夢とちがうやろか」 「ほっぺつまんで――――いひゃっ!? わ――夢やない、ほんまのことやぁ。 あ……(呼吸音)――あの、おにいはん――えと…… ほんに、おおきに」 「え――あ…… あんさん、旅人さんやんなぁ―― 前にちょこっとだけあって…… 結に、『藁の魅力を広めればええ』いうて教えてくれた」 「あ……覚えてない? そか――せやろね。あんときは一瞬だけのすれ違いやっったし。 ……時間も随分あいてしもたし」 「ほな、あらためて――って――ああ、これ? うふふっ、わらじおす」 「このわらじは……えへへ、うちの、結(ゆえ)の――縄のうれんの、手作り品」 「ああ。『縄のうれん』ゆーても、わからはらへんよねぇ。 結のおった京都でも、 もうだーれも覚えとらんよーになってもーた、あやかしやさかいに」 「縄のうれんは…… ん。縄を扱うのがとーっても得意なあやかしで…… そやさかいに、ね? 縄とおんなじ要領で編めるこのわらじも、身びいきなしでほんま上質の――(呼吸音)」 「……あ。 ……わらじは……あはは……履かはる機会があらしまへんか。 ま、そうよねぇ。そらそうや」 「アスファルトの上わらじやったら、こん季節にはつま先きぃんと凍えてまうし、あっついときには焼けてしまいはるやろしなぁ」 「……ほんま、堪忍ねぇ。 せっかく興味もってくれはったんに、 結、時代おくれで、気ぃも効かんで……」 「広めるゆーて、このくらいしか思いつけんで。 売れへんやろぉって、ほんまは自分でもわことったのに、草鞋くらいしか持ってこぉへんで」 ;うつむいて 「(ため息)」 ;はっと顔あげて 「あ!? あっ! うん! あんな、もって来てへんもんもな、 結のおうちには、おいてあるんよ」 「わらじの他でも、 稲わらをゆってつくるもんだったら、結はなぁんでも―― ゆーか、あんさん、あの……えと――」 ;3/右 接近囁き 「ひょっとして――結のつくるもんに興味もってくれたはるのん?」 ;1/前 「わ! わぁあ、うれし。うれしいなぁ。 そしたら、な? あの……この先に、結のおうちがあって、 そのおうちで結、縄ないのお教室開いとるんよ」 「そのお教室に、ね? もし、イヤでなかったら―― わぁ! えへへ。うん。 それじゃあ、結、楽しみにまっとるで……とと、そん前にな?」 「あんな? あんさんが結のおうちに来てくれはる時。 用意しといてほしいもんがあるんよ。 それはな? うふふっ」 ;7/左 接近囁き 「ヘッドホンか。イヤホン」 ;1/前 「ヘッドホンかイヤホンつけてきてくれはったらな?」 ;3/右 接近囁き 「こぉんな風にとか」 ;7/左 接近囁き 「こおんな感じに(ふーーーーーっ)こそばゆぅしたげたりとか。あとな?」 ;7/左→;1/前→;3/右 「こぉ、ぐるーーーーんて。あんさんのまわりをうごきまわったりして」 ;3/右 「縄をなう手の感触でだけでのぉて。 お耳でも、んふふっ! よーさんここちよぉしたげるさかいに」 ;1/前 「んふふっ。あんじょおおーきに。 ほんなら、な? 結、あんさんが来てくれはるの、楽しみに楽しみにまっとるさかいに」 ;7/左 接近囁き 「かならず、かならず来はってな? 結とあんさんの約束――あ! んふふっ! な? あんさん。赤ちゃん指、貸してくれはる?」 ;1/前 「♪ 指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます、指切った!」 「えへへ〜。あんさんに約束してもろて。 結、元気百万倍になってしもたぁ。 ほんなら、もーちょっときばらな、ね!」 ;冒頭とはうって変わってハキハキと ;7/左 「草履〜 草履〜 稲藁草履はいかがおす〜? 軽くて丈夫、とってもお安いお草履ひとつ 買わしまへんかぁ〜?」 ;15/左遠 「草履〜 草履〜 稲藁草履はいかがおす〜? 軽くて丈夫、とってもお安いお草履ひとつ 買わしまへんかぁ〜?」 ;マイクの方ふりかえって 「ほんならあんさん! また会いましょおなぁ!!」 ;15/左遠 (できるだけ遠く) 「草履〜 草履〜 稲藁草履はいかがおす〜? 軽くて丈夫、とってもお安いお草履ひとつ 買わしまへんかぁ〜?」 ↑をF.O. 同時、環境音もF.O. ;//////// ;Track1 結と縄ない(ASMRパート) ;//////// ;SE 足音(長め) 霜柱ざくざく。土の道。スニーカー ;環境音 真冬の田舎道 F.I. ;SE足音止まる。表札を確認する間。木のノッカーをコンコン ;ドア越し ;9/前遠 「はぁい……あの……けど――」 「電気代、ちょおど昨日に振り込んだとこ―― え? あ! あああ、あんさん、あんときの」 ;SE 横開きの木戸スパンとひらく ;環境音 真冬の田舎道 F.O. 「あらま、おっきな音。あはは、うち、はしたないなぁ」 「やのーて。ああ、ほんにあんときのあんさんやなぁ。 すぐに来てくれはるかと思とったのに、 間があいてしもうたさかい、すっぽかされて、もう来てくれへんのかと思うて」 「……あはは、電気屋さんと間違えてしもたんは、あんじょう堪忍しはってな?」 「ゆーか、ね? あがっとくれやす。 なぁんもあれへんあばら家おすけど、 囲炉裏くらいはありますさかいに」 ;SE 靴脱ぐ→畳の部屋にあがる ;環境音 和室内。囲炉裏 F.I. ;SE 囲炉裏に薪くべる ;6/左前 「……(呼吸音)」 「寒かったでしょお。 そこに――囲炉裏ばたの、そのおっきな板の前に腰掛けとくれやす。 藁座布団で、しょーびんな見た目してはるけどな? 座り心地は、なかなかよろしおすさかいに」 ;SE わら座布団に座る ;1/前 高いとこ 「うふふっ、ほんならうちは、おむかいはんに」 ;SE わら座布団に座る ;1/前 同じ高さ 「えへへ。よーおいらっしゃいました。 ほんなら――ん? あ。『しょーびん』いうんは、 ん……ああ! 貧相。 貧相とか、みずぼらしいう意味あいの、京ことば」 「言われてみたら……せやねぇ。 なぁんでしょーびんいわはるんやろか」 「しょーびん、しょーびん……一升瓶。 一升瓶から一を抜いたらしょーびんやさかい…… お酒をよーけ飲まはるだれかが、 かっらぽになった瓶を見てさみしうならはって、 しょーびん、いわはりはじめたんやろかねぇ――あら」 「うふふっ。座り心地はしょーびんやあらしまへんか。 それはそれは、よろしおしたなぁ」 「ほんまのとこ――<手でわら座布団撫ぜる>―― ふふっ、座り心地、綿やら……うれたん? やらとは まったく違ごて、独特の味わい、あらはりますやろ」 「しっかり硬ぉて、けぇどほのかにやわこぉて。 ざらざらでこぼこしとるのに、ふんわりはんなりぬくもって」 「稲わら使こぉて作ったもんは、みぃんなこんなふうなぬくもりをやどしたはるさかいに―― ああ、うん。 えへへ、そないよ」 「そこにあるザルも、むしろも、蓑も笠も、ホウキも、麦わら帽子も、みぃんな稲わらつこて、結がこさえたもんなんよ?」 「それだけやのーて、うふふ〜」 ;3/右 接近囁き 「こん部屋の畳もな? い草畳やのーて、稲わら畳」 ;1/前 「匂いばかりはい草の方がよろしおすけど―― ね? あんさん。畳表、指でぐりぐり、押してみておくれやす」 :SE 指で畳ぐりぐり 「な? 指がすこぉし沈み込みはるやろ。 こん柔らかさが、稲わらだたみの一番のええとこなんよ」 「ふふふっ、あんさんが稲わら製品に興味もってくれてうれしいわぁ。あんじょうおおきに」 「ゆーか、もとから興味、もってくれはってたんよねぇ? 結のおうちに、こん教室に――縄ない習いに来てくれはったんやさかいに」 「ん。うふふっ、うれしいなぁ。ほんま、うれしぃ」 「ほな、な? おとなりはん、失礼します」 ;SE 立ち上がる ;1/前→;7/左 ;7/左 「今からうちが、藁縄の綯い方教えますさかいに。 しっかりしっかり覚えはってな?」 参考) ;https://www.akihaku.jp/txt/0wara/01_nawa.pdf ;https://www.youtube.com/watch?v=1Io1si0v2s8 ;https://www.youtube.com/watch?v=CoHiZ-Dzu28 「藁縄綯えるよーにならはったら、草履も笠も麦わら帽子も、その応用でつくれてしまいますさかいに」 「ん! ほんなら、まずは このわら束を――んしょ。 板の上にしいて、広げて――」 ;SE 藁束をつまんでもちあげ、板の上にしき広げる ;"こないして"から密着 「そしたらあんさん、これ、熊手もって? 持ちはったらな? こないして」 ;SE 藁束を熊手ですく 「熊手で藁をしごいてくのが、わらしべ取り、シベ取り。 藁についとる余計な部分を熊手で漉いて取り去って。 わらの茎だけ残すんよ。 手ぇの動きは、こないにぎゅっぎゅて――な?」 ;SE シベ取り 「ん。ええ手付き。よろしおすなぁ。 ほんならあんさん、ひとりでシベ、取ってみはりますか?」 ;SE シベ取り。二分ほど。 「(見守る呼吸音)」 「うふふっ、ええ塩梅おすなぁ。 シベも――ん……(呼吸音)――うん! ええ感じにとれてはりますわ」 「そしたら、よっ―― <SE 藁束抱える>――っと。 シベを取ったわらたばを、別の一本のわらを紐にして―― ん――<藁束を藁で結ぶ>――ゆわえ、て」 「ゆわえたら今度は――」 :SE 藁束をかかえて立ち上がる ;SE 畳の足音 ;7/左→;;9/前遠→;11/右遠 ;11/右遠 「ここここ。この石のとこに来ておくれやす」 ;SE 畳の足音 ;1/前 「そしたら、うちの隣にこしかけて。 今からすること、よぉ見とってな?」 ;SE 座る ;3/右 「ゆわえた藁束を、こん木槌でもって――」 ;SE 藁を木槌で叩く 30秒ほど 「――こないにして叩くんは、やわこぉやわこぉするためやさかいに。 今くらいの音響かせる力加減で、やってみてもらえますやろか?」 「ほんなら、うちと座る場所いれかわって――ん」 ;SE 座る位置入れ替わる ;7/左 「木槌が抜けてしまわんようにしっかり握って。 けぇど手首には力を入れんと、やわこうつこぉて。 ああ、藁束抑えたはる方の手ぇはたたかんよーにだけ、きぃつけておくれやす」 ;7/左 接近囁き 「最初はゆるゆる。のんびりのんびり――」 ;SE 藁叩き 弱・遅 ;7/左 「ん。ええ感じおす。ほんなら、な? もそっともそっと、つよぉ、はよぉに」 ;SE 藁叩き 慎重気味 一分ほど 「……(呼吸音)――よろしおすなぁ。 あんさんはほんに、藁の神さんに気に入られてるのかもしれんなぁ。 はじめてとはとても思われへん叩きっぷりやもの」 ;SE 藁叩き。普通。二分ほど。 「(見守る呼吸音)」 「(満足げな呼吸音})――ん。もうよろしおす。 ―― はぁ……あ…… 縄目もよぉまぁ整って――このまま売り物にできそうやもの……」 「あんさん。まこと藁の神さんに愛されてるのかもしれまへんなぁ……(感嘆の息)――いやぁ、見事なお点前おす」 「……ここまで綯えるんやったら、どおしましょうねぇ。 ミゴ継ぎ足して、立派なミゴ縄綯うんでももちろんよろしおすけど……」 ;あたりぐるりと見回しながら 「こん部屋にある藁製品だったら―― あんさんの指ならきっと、どれでも作れはるでしょうから…… お好みのもん、一緒につくっても楽しそうやねぇ」 「(微笑)」 ;3/右 接近囁き 「ね? あんさん。どないにするのがよろしおす?」 ;SE お腹のなる音 ;1/前 「あらまぁ――うふふふっ。ええ声で、おなかがお返事してくれはりましたな」 「せやったら。いっとう先に作るのは、むしやしない。 お腹の虫をやしなうための、なんぞ、軽い食事にした方がよろしおすな」 ;SE お腹なる音(さっきより大きく) ;環境音 F.O. ;//////// ;Track2 藁箒。つくりましょおな(ASMRパート) ;//////// ;環境音 和室+囲炉裏 F.I, ;環境音 お鍋ぐつぐつ F.I. ;6/左前(囲炉裏囲んで斜めに座ってる) 「おなかの虫にあないな大声で催促されたら、うふふっ、 ちょっとはしっかりしたもんでやしなわんと、 叱られそうでかなわんさかいな〜――っと」 ;SE お鍋の木の蓋を外す 「(匂いをくんくん)――ん〜ええ塩梅やね。 ほんなら――ん……」 ;SE お鍋の中身をおたまでよそう 「万丸屋(まんまるや)さんの乾燥湯葉に、しめじに長ネギ…… かぶとかぶの葉、絹ごし豆腐」 「お出汁はんもたーんとよそってよそって…… ん。はぁい、あんさん。どーぞ、遠慮しいひんで召し上がれ」 「一人だと湯葉鍋もなかなかできひんさかいに。 うふふっ、あんさんが来てくれはって、ほんま、ええこと尽くめ」 ;SE 自分の分をよそう 「ほんなら。な? いただきますしよ。 『いただきます』――うふふ〜っ」 「あ、湯葉はあっつあつやさかいに、ふーふーして食べんといけんよ? (ふーーーっ、ふーーっ、ふーーっ) (はむっ) 〜〜〜〜っ! あふっ、おいひっ―― ん〜〜〜っ――(ごくっ)」 「ほぁー、ふーふーしてもあっつかったなぁ。 けど、ああ……喉をとおっておなかに湯葉が落ちていくのがわかる――ん〜〜っ……おいしいなぁ」 「あ、けどあんさんはあっついのニガテそうやなぁ。 そや、ほんならな? 結があんさんの湯葉、ふーふーしたげるな?」 ;7/左 接近囁き 「湯葉をつまんで……ん。そのまま、動かさんよーにしといてな?」 ;;7/左 密着(耳ではなく、口元あたりにふきかけ) 「(ふーーーっ)(ふーーーっ)(ふーーーーーーっ)」 ;6/左前 「ん。よさそ。 ほな、どーぞ」 「(見守る呼吸)」 「(あつがってるのをドキドキ見守る→美味しそうな笑顔になってほっとして、息を吐いてから微笑む)」 「んふふっ。あんさんのお口にもあったようで、なによりやわぁ。 万丸屋さんの湯葉、結も大の好物やさかいに」 「カブも、嫌いなことなかったら。な? 火がよぉ通って、きっとほろほろに――(はむっ――むしゃっ――こくっ)。 ん〜〜お出汁もしみしみで、よろしお味や」 「さ。さ。あんさんもどんどんどんどん食べはって? おかわりもありますさかいに、遠慮のー」 「うちは――うふふっ。湯豆腐はんを〜 (ちゅるっ)――〜〜っ!!! (はふっ、はふっ)―― ん。――(はむっ――はむっ――こくっ)」 「あっつい。おいしい。あー」 「長ネギ(はむっ)――ん〜〜! しめじも(ぱくっ)――はぁ、お味がしみて――」 「お出汁も残さず――(ずずず)――んっ。はぁっ――ふぁっ」 「あ、あんさん。湯葉、な? おかわりどーぞ」 ;SE 湯葉よそったげる 「で、うちも最後の湯葉を〜」 「(ほむっ――はむっ――)っ!!! んっ―― (はむっ、はむっ――こくっ)――はぁ〜〜。 おいしかったぁ。満腹満腹。ごちそうさま」 「あ、食器はうちがかたしますさかい。 あんさんい……男はんにおだいどこみられるの―― なんや、ちょこっと恥ずかしいし」 「……んー、どーしても手伝うてくれはるいうなら…… なら、ね? 囲炉裏のまわり、この藁箒でざっざと掃いてくれはったら助かりますわぁ」 「この藁箒? こんなん、簡単につくれますけど―― ああ! うふふっ、そうですやろ? 片手で持てて、身の回りとか机の上とか、ざっと掃くのにちょうどよろしい塩梅で。 なかなか便利でかわいいこやんなぁ」 「あんさんが興味もってくれはったなら、うん! 藁箒、机箒。ひとつ、一緒にこさえましょおな」 「ほな、ちょっとだけ待っとってくれはりますか。 片付けもんだけ、ちゃっちゃとすませてまいますさかいに」 ;SE 食器カチャカチャ ;環境音 F.O. ;1/前 「んっ!」 ;SE 藁束かかえる→下ろす ;3/右 「さて。藁箒づくりですなぁ。 これはある意味、ミゴ縄綯うより、 もっと簡単にできますさかいに、 うふふ、楽しみにしておくれやす」 ;環境音 室内 F.I. ;参考)https://youtu.be/po5Ex0Jb-kg 「まずはまた、藁をしごいてわらしべを取らんといけませんけど―― 今度は手ぇで。熊手つかわんでしごいてもらえますやろか?」 「こんな風にな? 片手一杯の藁をつかんで―― で、左手で真ん中掴んで、右手で右にざっざ、ざっざとしごいて――」 ;SE 藁しごく 「荒くしごけたら、今度は右手で真ん中つかんで。 左手つこぉて、反対にざっざ、ざっざ」 :SE 藁しごく 「ミゴ縄は、芯だけつこぉて丈夫に丈夫につくりますさかいに、丁寧にシベとりしてもらわはったけど。 藁箒なら、藁に太さがあった方がよろしおすさかい、 手ぇでざっざとシベ取りくらいが、ちょうどよろしい塩梅にしあがるんおす」 「よろしいおすか? ほんなら、な。 『このこを箒にしたいなー』いう藁束選んで、片手で握って。 ざっざとシベとり、しはってください」 ;SE 藁掴み取る ;SE 藁を手でしごく(30秒ほど) 「(見守る息)――んー。もうすっかり手慣れはったねぇ。 ほんなら今度は、いましごいた手で真ん中もって、 逆をしごいてもらえますやろか」 ;SE  藁を握り直して手でしごく (30秒ほど) 「(満足の息)ん。お見事お見事。 このくらいしごいてもらえば十分ですさかいに。 そしたらこんどは――ああ。せっかくやし、 さっきあんさんが綯ってくれはったミゴ縄、 つかわしてもろてもよろしおすか?」 「んふふっ。おおきに。 ほんなら、このミゴ縄で、今しごいた藁束の真ん中を、 親指でこーして輪をつくってからぐる、ぐる、まい、て――<藁束の真ん中を縄で何度も巻いていく>――」 「まけたら、最初につくった輪の中に縄をとおして、結び目作ってぎゅ、ぎゅと―― <藁束の真ん中を紐でゆわく> ――しっかりしっかり、つよぉ。結わえて―― んっ!!」 「結わえたら今度は、結び目の向こう側の藁をこう―― <藁を手前側に折って織り込んでいく> ――折って、もとからの穂とひとつにまとめて――」 「あんさん、やってみておくれやす? 単純なおしごとやけど、 ここで丁寧に折り込んめば折り込んだだけ、 上等の箒にしあがりますさかいに」 ;SE 藁箒渡す ;SE 丁寧に藁を織り込んでいく(一分ほど) 「(呼吸音)――んー、ええねぇ。 とっても丁寧で綺麗で。 な? あんさん、わかりますやろ? もうこの時点で、あらっぽいけど――うふふっ、藁箒」 「けどせっかくやし、ここからもっと綺麗綺麗にしあげまひょ? 折り込んだ根本の部分が、もちろんホウキの持ち柄になりますさかいに、ここもまた、ミゴ縄でぐるぐる巻いて――あ!」 ;3/右 接近囁き 「今度は、あんさんがやってみておくれやす?」 「んふふっ。さっき見てくれはったとおりに、 親指で、あとで縄とおす輪っか作っておいてから、 ぐるぐる、ぐるぐる」 :SE ホウキに縄巻いていく 一分ほど 「(呼吸)――巻いて巻いて。 巻けたら、ぎゅーーーっ。 閉めて、ゆわって」 ;SE 縄を閉めて、結び目つくって結ぶ 「んー! ええ手付き。 そしたら、 箒にするため折らはったときに出てきてしもうた藁屑を、 手ぇをつこぉて、しごいて取ってくれはりますか?」 ;SE 藁箒を手でしごく 一分ほど 「(呼吸音)――ん、綺麗やねぇ。 ここまで来たら最後の仕上げ。 ――あんさん、裁断機、つこーたことありますやろか?」 ;SE 立ち上がる ;3/右→;9/前→;15/左遠 ;15/左遠 「これこれ。この物騒なのが裁断機。 あんさん、ホウキもって来て来て?」 ;7/左 「そしたら裁断機の前に座って。 うちが手ぇ添えたげるさかいに、 まちごぉても指ツメだけはしいひんよぉにな?」 ;7/左(接近囁き) 「ホウキの穂先の仕上がりは、このくらいの長さで大丈夫?」 ;7/左 「ん。それでよろしなら、裁断機のここ、刃のおちるとこに、穂先の切りたいとこ置いて――」 ;7/左 密着 「裁断機の持ち柄をもって―― いちにぃのさんで下ろすさかいに、指、ぜーーったいに挟まんよぉに、気ぃつけてな?」 「ほな、いきますえ? 『いーち、にーの、さんっ!』」 ;SE 裁断機で藁箒の穂先剃り落とす 「ん。そうしたらまとめなおしてもう一回」 ;SE 手で箒まとめる ;SE 裁断機 「――ん、ええ塩梅おすなぁ。 あともーちょっと、最後の仕上げに、ここんとこだけ」 ;SE まとめる ;SE 裁断機 「ん。できたぁ!! うんうん、あんさんの手作り箒、ほんま上等にできはったねぇ!」 「な? 藁屑だけ手ではろおて。 そしたら、なんでも好きなもん、その箒で掃いて、 掃きごこち、試してもらえますやろか」 ;SE 箒の先を手ではらって、藁屑落とす 「もしもしっくりきぃひんよーなら、ウチが調整―― あらまぁ」 ;SE 腕にざーーーーって、箒をかける 「うふふっ、あんさん、いっとう最初に箒がけするんが、あんさん自身の腕なんて―― 随分と変わったご趣味ですなぁ」 「せっかくつくった、しかもはじめての箒やさかいに、汚したくない気持ちもわからないではあらしまへんけど…… ん?……なんや、えらい気持ちよさそうなお顔してはりますなぁ」 「あ……ん……(息はく)、 そないにここちよさそうなとこみせられたら、結も、興味でてきてしまいますけど……」 「……(呼吸音)――ん。ほんなら結の腕にも、ちょっと―― ちょこっとだけ、あんさんの箒、かけてみてもらえますやろか?」 ;SE 結の腕にゆっくり慎重に箒がけ 「ひえっ!? くふっ、ん――(心地よくて息詰める)」 ;SE 嬉しくなってより大胆に箒がけ 「ちょっ――これ――っ――(息詰め)―― や、ほんま、ここちえ――んっ!!!」 「ひあっっ、あっ――んんっ―― ふあっ! あかん! いけん! ストップストップ!!」 ;箒がけとめ 「(暫く荒い呼吸音)――(唾飲む)」 「も、もー! あんさんったら、てんごしたらあきまへんえ? お返しに〜――えいっ!」 ;SE 箒奪う ;1/前 「んふふ、あんさんに、うちが箒がけしてしまいますさかいに」 「犬でもネコでもあやかしでも、ここちええとこは一緒ですさかいに」 ;3/右 接近囁き 「人間のおとこはんもきっと―― 顎の下とか? ここちええんとちゃいますかねぇ――それっ」 ;SE 顎のあたりをぞわぞわ箒がけ 「んふー。やっぱり。 ここちよさそうなお顔やねぇ。 ほんなら、な? もーちょっとサービスしちゃいましょ」 ;SE ねっとり箒がけ、一分間ほど 「(呼吸音)――ふふっ、そうしたら今度は〜 うふふっ、つぎもやっぱり犬でもねこでもあやかしでもここちええとこ。 耳の裏とか、どないやろかねぇ?」 ;SE 右耳の裏、箒がけ (一分ほど) 「(呼吸音)――んふふっ、やっぱりええみたいやねぇ。 目ぇほそめはって、かいらしなぁ。 ほんなら、ん。左のお耳もしたらな、不公平になってまうし」 ;SE 左耳裏箒がけ 「(呼吸音)――んふふふふっ、とろけそーなお顔しはって。 よっぽどここちええんやろねぇ。 ほんなら今度は――ん?」 「あんさん、どないしはったん? 急にお耳に指いれはって――あ! あ、もしかして」 ;7/左  「お耳見せてもろーても……ん――――(呼吸音)―― あ〜……これ、藁屑はいってしもおたかもしれんねぇ」 ;しょんぼり→いいアイディアに持ち直す ;1/前 「……あんさん、ごめんな、かんにんしてな。 結。あんさんのここちよさそうなお顔がうれしぅて、 ついつい調子にのってしもうて……あ」 「そやそや。ほんならな? お耳掃除、結にさせてもらえませんやろか。 結、んふふっ――人間の兄さんにお耳掃除するの、 一度でええから、してみたかったし――な?」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track3 結の煤竹耳掃除(左耳/ASMRパート) ;//////// 参考) ;https://danro.asahi.com/article/11955353 ;https://www.youtube.com/watch?v=avkluT5G1oQ (1:40くらい) :https://www.youtube.com/watch?v=dL5ZzZOr1A4 ;このトラックから徐々に安眠誘導強める意識で ;メリハリ強弱等、声を張らない方向でつけて ;いただけますと幸いです。 ;環境音 囲炉裏の火強め F.I. ;SE ポンポンと頭を叩く ;7/左 「……ああ、ええもんやねぇ、膝枕。 噂にはきいとったけど――うふふっ」 「膝枕したげてるこっちの方も、 ここちよー重たくって、ぬくもって。 なんぞ、幸せな感じがよーさんするもんなんやねぇ」 「な? あんさんはどないな感じしてはるのん? 結のふともも、ここちええ枕になれてますやろか?」 「(呼吸音)――(嬉しい)」 「んふふっ、おおきに。ほんなら――ね?」 ;7/左 接近囁き 「ここちよろしーあんさんのこと。 耳かきで、もーっっとここちようしてあげますからな〜 (ふーーーーーっ)」 ;顔上げて耳の穴覗き込む ;7/左 「んふふっ――ん〜〜〜」 「ん。ひよちゃんのお耳よりも大きな穴やねぇ。 ほんなら……こんくらいの煤竹がよろしいやろか」 ;SE 竹ひごの束から竹ひきぬく 「あ……ひよちゃんのこと―― あんさん、そっか、旅人さんやもんね、知らへんよねぇ」 「あんな? ひよちゃんは送り雀いうあやかしで、 いまは幼稚園の先生やっとるんよ」 「最近は……うふふっ。 幼稚園一緒にやってくれはるええ人みつけはったみたいで、うちが面倒みることものーなってしもーたけど」 「けどな? いっとう最初のころ―― ものべのに越して来てばっかりのころは、 うちとひよちゃん、 京都と和歌山、出身がご近所はんのあやかしどおし、 毎日おはなししとったんよ」 「たわいもないはなしばかりやったけど、 ひよちゃんちんまくてかいらしからなぁ。 なんぞ、妹ができたみたいな気ぃして……うふふっ」 「耳かきもな? ひよちゃんにせがまれて教わったんよ。 結は縄のうれんやさかいに、 耳かきなんて、とーんと縁の無いことやったんやけど」 「ひよちゃんが、ものべのの神さんにもらわはったっていう耳かき棒、 お手本やいうて見せてくれはって。 『ひよも耳かきされてみたいのしー』いうて、甘えられてなぁ」 「せやさかいに、見様見真似で、細っこい煤竹の竹ひごをこうして、な? ――ん……(呼吸音)) ;SE 煤竹炙って曲げるの音出ないので、囲炉裏の火強調で 「……炙って曲げて、お耳の形にあうよーに、ええ形にして――」 ;炙った煤竹を吹いて冷やす 「(ふーーーっ)(ふーーーっ)(ふーーーーっ)」 「ん。こないな感じやろか? そしたらあんさん。浅いトコ、ちょこーっとお試しで耳かきさせてな?」 「ん……」 ;浅い耳かき 30秒ほど 「(呼吸音)」 「……あー、うん。曲げ具合はこれでよろしいなぁ。 あとちょっと、薄ぅ薄ぅにしあげれば――」 「あんさんはこのまま動かんでおって? 結、ちょこっとだけヤスリがけして、しあげてしまいますさかいに」 ;SE 煤竹にヤスリがけ 30秒ほど 「(呼吸音)」 「ん…… ん――」 ;SE ヤスリ 15秒 「ん――うん」 ;SE ティッシュ引き抜き耳かき拭く ;耳かきを吹く 「(ふーーーーーーっ)」 「これで、多分――」 ;SE 耳かき 深く 一分ほど 「(呼吸音)」 「うん! 上等に仕上がったなぁ。 んふふ、あんさんのお耳の形にぴったりやさかいに、 あんじょお耳掃除しやすくて」 ;7/左 接近囁き 「あんさんも。お耳、深いとこまで、ここちええやろ?」 ;7/左 「んふふっ。そんならなにより。 そしたら、こっちのお耳、綺麗綺麗にお掃除しよなぁ」 ;;7/左 接近囁き 「(ふーーーーーっ)」 ;7/左 「ん……(呼吸音)――もっかい、浅いところを丁寧に」 ;耳かき 浅。一分ほど。 「(呼吸音)……ん……藁屑も耳クズも、浅いとこにはもうない……かなぁ」 ;SE 耳つまみ 「ん。ないなぁ。ほんなら、もっかい深いとこ――(呼吸音)」 ;耳かき 一分 「(呼吸音)……ん――(呼吸音)――」 ;耳かき 一分 「そや、な? あんさん。もしもかゆいとことかあったら、言うてな? ……(呼吸音)」 ;耳かき 一分 ;7/左 接近囁き 「(ふーーーーーっっ) ――ん。あー、あっこにおっきなのがひとつ――ん……(呼吸音)」 ;耳かき 一分 ;7/左 「ん……っと――(呼吸音)――よし――ん…… っと――んふふ〜 とぉれた――うん!」 ;7/左 接近囁き 「(ふーーーーっ)――ん! 綺麗になったなぁ。 そしたら仕上げに、ちりがみこよって――」 ;SE ティッシュぬく→こよりつくる ;7/左 「細かいチリやらくっつけてまうから。 もーちょっとだけ、ええこにしててな?」 ;SE こよりで耳掃除 (一分ほど) 「うんっ! ん〜〜(呼吸音)――ん! ばっちりやねぇ。そおしたら、こっちのお耳掃除はおしまい」 ;7/左 接近囁き 「ほんならな? 反対側のお耳もお掃除するさかいに。 からだごろーんて、結の合図で、入れ替えてな?」 ;7/左 「そしたら、いくなぁ? いち、にぃ、のぉ」 ;7/左→;1/前→;3/右 「ごろーーーーーーーーーん」 ;//////// ;Track4 結の煤竹耳掃除(右/ASMRパート) ;//////// ;3/右 「んふふっ、このごろーんいうのもな? ひよちゃんがうちに教えてくれよったんよ」 「『あんな? ひよな? ごろーんするから、 結はんも一緒にごろーんてゆーてほしいのし』って」 「……ひよちゃんにええ人できはって。 そしたらもう、毎日きとったのが2日にいっぺんになって、 4日にいっぺんになって、週に一度になって…… なんやもう、世知辛いなー思うとったけど」 ; そっぽむいて。小声/独り言 「なんやうちも、あんさんとこないに過ごしとったら……うん。 ひよちゃんの気持ちも、わからんこともあれへんかなーって――っ!!?」 ;向き直って 「いやいや、なーんも、なーんもゆーてへん……ゆーか……えと――ああ、そう! お耳掃除、右のおみみもしっかりお掃除せなあかんなーゆーとっただけ。うん。決意表明」 「ゆーわけで。こほん。 右のお耳はん、こんにちわ〜。あら?」 「ん……(呼吸音)――ん〜――(呼吸音) あらまぁおやさて、なるほどなぁ」 ;3/右 接近囁き 「(ふーーーーーーっ)。 あんさんのお耳、左と右とで穴の形、 結構ちごーてはりますなぁ」 「こんなら……ん――」 ;束から竹ひご抜く 「右のお耳も専用みみかき、作ったほうがよろしおすな. ふふっ」 「囲炉裏の、火、ちぃと強めて――」 ;SE 囲炉裏に藁屑くべる ;SE 藁屑ぼっと燃える ;(煤竹炙って曲げる) 「ん……(呼吸音)――うん。 (ふーーーっ、ふーーーっ、ふーーーーっ)」 「……曲げ具合は、こないなもんでよろしおすな。 ほんなら――」 ;SE ティッシュ抜く→ティッシュで拭く 「またちょこっと浅いトコ掻いて、 具合、確かめさせてもらいますな?」 ;3/右 接近囁き 「(ふーーーーっ)(ふっ!)」 ;SE 浅いトコ耳かき 45秒ほど 「(呼吸音)……ん……あ。 こっちの方が、なんやお掃除しやすいなぁ……(呼吸音)」 「ん……。けど――あー…… もうちょこっとだけ、先細の方がよろしいなぁ」 ;SE ヤスリがけ 40秒ほど 「ん……(呼吸音)」 「ん〜――もーちょっと。気持ち、先細に――」 ;SE ヤスリ 15秒 「ん。こんなもんやろか。 ほな、あんさん」 ;3/右 接近囁き 「(ふーーーーーっ) ふふっ」 ;3/右 「こっちのお耳も、綺麗綺麗にしますさかいに。 ちからいれんと、ゆったりと、結にお体、まかせてな?」 ;SE 耳元指で撫でる 「ほな」 ;SE 耳かき 浅 一分ほど 「まずは……(呼吸音)――浅いとこ―― うすぅい耳かきでカリカリと――。 ん……(呼吸音)」 ;SE 耳かき 浅 一分ほど 「……(呼吸音)――あ、ここ――ん…… あんさん、ちょこっと耳たぶ、びっぱりますえ? ん――<耳たぶ引っ張る>――(呼吸音)」 ;SE 耳かき浅 30秒ほど 「これやったら……(呼吸音)――ん――うん!」 ;3/右 「ふっ」だけ口寄せて 「んふふっ! (ふっ!!) ん――浅いところはこれでよろしな。 ほんならこんどは」 ;3/右 接近囁き 「お耳の穴のふかぁいとこ。 結のじーっくり、ほじったげるな? んふふっ」 ;SE 耳かき 深 90秒ほど ;3/右 「ん……(呼吸音)」 ;SE 耳かき 深 90秒ほど 「……(集中してる呼吸音)」 ;SE 耳かき 深い 1分ほど 「あ――ん……っと――(息つめる)」 「そーっっと、そーーーっっと……(呼吸音)――ん。 とれた」 ;SE ティッシュで耳かき拭く 「そしたら……ん――」 ;SE 耳かき 深い 一分ほど 「(呼吸音)――ん――(呼吸音)」 ;SE 耳かき 深 90秒ほど 「あとは――仕上げ、に――(呼吸音)」 ;SE ティッシュこよる 「こよったティッシュで、細かいチリやらくっつけますさかいに。 もーちょっとだけ、じっと動かんと辛抱してな?」 ;SE こより耳かき 一分 「ん――(呼吸音)」 ;SE こより耳かき 一分 ;↓藁の衰退のことを思って、少し気持ちが沈んでいく 「ティッシュはほんと、大したもんやな……(呼吸音) やらこおて、なのにこよれば頑丈で――(呼吸音) わらくずみたいなもんも出んで――(呼吸音)」 ;SE こより耳かき 一分 「こないな便利なもんがあったら――(呼吸音) わらしべなんて、どうしても……(呼吸音) …………(呼吸音)――」 ;こより耳かき 30秒 ;あんさんに心配かけてはいけないと気持ち立て直す。 「んー……(呼吸音)―― うん。でけた。えへへっ。 あんさん、長いことおつかれはん。 じーっと動かんと我慢するのも、きっと逆に疲れはるよねぇ――あ」 「あー……んふふっ、おっきなあくび。 疲れるよりも眠たくなってくれたなら…… それはうちの耳かきが、それだけ心地よー、 あんさんに響いたっていうことやんなぁ、きっと」 「えへへっ、それならうれしいなぁ。 結、あんまり普段、ほめてもらうとかあれへんさかいに」 ;3/右 接近囁き 「――あんじょおおおきに。な? あんさん。んふふっ」 ;3/右 「あ……ぁ――ふぁ――あぁ――(抑えたあくび)」 「ありゃま。あんさんのおねむたはんが、 結のとこにも宿替いしてきはったたみたい」 ;はにかみ 「ゆーか……あんさん。 その――今夜のお宿は決まったはりますのん?」 ;はにかみまくり 「もしも……な? もしもまだ、お宿のあてがないようやったら……その――」 ;照れて超小声 「藁布団……あの……あんさんには珍しいかと思いますし、えと……結のおうちに、ここに泊まってもろうても――あ」 「……うん。――ん。うふふっ。 ほんなら、お布団――ふたぁつ、しかなあかんねぇ」 ;SE 立ち上がる 「お布団だけやのーて。枕も藁の枕やさかいに。 んふふっ」 ;3/右 接近囁き 「藁の匂いに包まれて―― 結といっしょに、ぐっすりすやすや、ねんねしよなぁ」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track5 結とふたりで藁布団(ウィスパーパート) ;//////// ;環境音 室内。(囲炉裏の火は消し) F.I. ;1/前 「お布団しけたし。囲炉裏の火も落としたし。 あとは明りを消して――っと」 「あらまぁぼんやり。 うちったら、髪も解かんと寝ようとしてもうて…… いややわぁ、はずかし」 「あんさん、その――うち、髪だけ解いて来ますさかいに、先にお布団、はいっといてくださいな。 右のでも左のでも、どっちでもあんさんの好みの方に」 「ほな、うちはちょっとだけ失礼して――」 ;畳足音 ;1/前→;3/右→;11/右遠(なるたけ遠く) ;SE ふすま開ける→隣の部屋入る→ふすま閉める ;11/右遠 「(呼吸音)」 ;SE 髪を解く 「……(抑えた呼吸音)」 ;SE 衣擦れ(着替え)→浴衣の寝間着に 「ん……(呼吸音)……っと――(呼吸音)――よっと」 ;SE 鏡の前でくるくる回る衣擦れ 「……(真剣な呼吸音)――うん!」 ;SE ふすまあく 「おまたせ、あんさん。 ああ、そっちの布団にしはったんやね?」 ;SE ふすま閉める→畳足音;11/右遠→;3/右→;1/前→;7/左 ;7/左  「ほんならうちも、失礼して――ん――」 ;SE 布団に入る ;以下、ずっとピロー/ウィスパーでお願いします 「ああ……(息吸う)――ええ香り…… 藁の香り……あんさんにも気に入ってもらえたらうれしいなぁ」 「ん。うふふっ。せやねぇ。 こうして静かに横になってめぇつむっとると。 起きとるときより、ずうっとずうっと、藁の香りが、高ぉなるような気ぃするねぇ」 「布団からももちろん、よーさん匂ーとるんとか思いますけど――あ、ゆーかあんさん、寝心地、どない? ちくちくしたりとか、寝苦しい感じとか、あれへん?」 「(呼吸音)――えへへ、せやろぉ。案外やわこぉて、肌触りもサラサラで、寝やすいでしょお」 「あんな? 藁ぶとんはな? 叩いて叩いて叩いて叩いて やわこぉやわこぉやわこぉやわこぉした稲わらを、 上等の麻ぬのでくるんで縫って、そーしてしたてたお布団なんよぉ」 「湿気も吸うし、夏は涼しいし冬は温いし、風通しもよろしおすさかいに、干せばすぐにぱりっとするしで、ほんま、上等のお布団なんやけど……」 「……綿やら、うれたんやらの方が、人間の好みに会うてしもたんやから……どんどん廃れてしもうてな」 「縄も、なぁ。さっきあんさん、その手で綯ってくれはったからわかりますやろ? ミゴ縄は、丈夫で軽ぅて、ほんま、扱いよくて持ち運びやすい縄なんよ」 「けどなぁ……(ためいき)。 ビニールいうもんがでてきよったと思ったら、もうあっという間やったもんなぁ。 みんながみんな、藁やら縄やらつかわんよーになってしもーて……」 「そしたら、しゃーなし。 縄のうれんも、追いやられるしかのーなってしまいますやんな」 「ん? ああ……(苦笑)。 ゆーたら、そないでしたねぇ。 あんさんには、縄のうれんがどないなあやかしか、 それも伝えとらへんで。 結はほんまに、うっかりであかんねぇ」 「んと……な? 今から縄のうれんのことわかってもらわはるために、あんさんのこと、ほんの少ぉしだけ脅かしますけど……」 「怖かったりイヤだったりしたら、 すぐにゆうてな? いや、怖がらしたりイヤがらしたりするんが結の、 縄のうれんの性(しょう)やけど……」 ;独り言/小声 「そんなんであんさんに嫌われてもーたら、 結、うれしよりもずーっとずーっと、 さみしゅうて悲しいことに、なりそうな気ぃするさかいに」 ;戻って 「あ、ううん。なんでも…… ただ、結――あんさんをどうやって脅かそうかと、 計画ねっとっただけいうか――」 「あ――(呼吸音)――ん。 せやったら、かるぅく、ホンマに一瞬だけ。 サっとササっと、脅かしますな?」 ;SE ダミーヘッドに縄のれんを優しくくぐらせる感じ ;*びっくりしちゃう音にしないようお願いします 「――(息詰)……どない、やった?」 「ふふっ、ぞくぞくってしたくらいやったら、よろしかったわ。 これが結の、なわのうれんの驚かしかた――」 ;ちょっと怪談風に 「くらあいよみちを一人とぼとぼ、あんさんが歩いておりますやんか。 そしたら不意に、首から上がざあっと一気にくすぐられる」 「縄のうれん――今の言葉では縄のれんをくぐったみたいに。 振り返ってもきょろきょろしても、だけどどこにも、そないなもんはあらしまへん」 「昔の人は、それで怯えてくれはったん。 怯えて、怖くて、怖い気持ちをどうにかしたくて、 周りの人らに話して伝えて――」 「”あやかしのしわざ”やいうて、縄のうれんがぽん、と生まれて―― にぎやかなころは、京都の暗い夜道のどこにも縄のうれんがおるくらい、恐れられて、語られとったもんやったけど――」 「(ため息)……ビニールが出てきてからはもう、 顔をざわってさせたところで、だぇれも縄のことなんて思うてもくれひんよーになってもーて……」 「そこから先はほんま……坂道をころげおちるゆーんは、あのことおしたなぁ」 「ゆえはな? それでも、人間に名前をもろとったから……消えずに、ほろびずにすみましたんよ」 「小さなこぉとか、お年寄りとか―― そういうのんを脅かしましたら、走り出したりぽっくりいったり、なにがあるかわかりまへんやんか。 せやさかいに、余裕のあるころは決して驚かせへんかったんおすけど……」 「だぁれも恐れてくれなくなって、ひもじうてさむぅて消えそうで……そこにぽっくりぽっくり、ぽっくり下駄をはいたちんまいおなごはんが夜道を一人で歩いてきはりましたんよ」 「ぽっくり下駄の音がなんとも、なつかしゅうて、胸がぎゅーってしめつけられるような気になってしもーて。 『ここで驚かさんかったらいけん』って、なんぞえらいこと強ぅ思うて」 「ざざざーって。ちんまいおなごはんの、ちんまい頭を脅かしましたら――おなごはん、驚いて駆け出してコケて、ぽっくり下駄の鼻緒をぷっつり、切らはってしまいましたんよ」 「いやもう、泣くの泣かないの、ほおっておいたらそこら全部の鶏が騒ぎだしそうな塩梅やったさかいに―― そのころはぜぇんぜんへたっぴだったひとばけをして、 うち、そのこの前に出ていきましたんよ」 「『痛かったなぁ』『怖かったなぁ』ゆーて慰めて。 鼻緒もな? すぐにゆい直してあげはったんよ」 「そうしたらまぁ、おなごはんの喜ぶの喜ばないの。 もうな? べったりべったりうちに甘えて―― ほんでな? うちのお名前おしえてほしいゆうてきて……困ってもーて」 「『お名前なんかあらしまへんえ』って正直にゆーたら、おなごはん、『そんならうちがつけたげるよし』ゆーて。 ほんて、『結』って。『鼻緒ゆわえてくれはったから結』て、素敵なお名前、くれはりましてな」 「そのおなごはんのことおうちまで送ってあげて―― それきり二度とはあわれへんかったんですけど…… きっとなぁ。事あるごとにうちのこと―― 結おねえさんのこと、思い出してくれたんやろねぇ」 「うちの他の縄のうれんが、消えてしもうておらなくなって……いつの間に、うちが最後の縄のうれんになってもーても……それでも、消えずに生き残れて」 「時代がどんどん進んでしもうて、 脅かしてももう、 『コンビニぶくろでも飛んできた?』なぁんて―― 縄のなの時もおもうてもらえへんよーになって」 「……あのおなごはんも、なくなってしもたんか、結のこと忘れてしもたんか…… いよいよ力がのーなってきて、もうあかんなぁってなったとき―― ここへ、茂伸への誘いをもらいましたんよ」 「『ああ、まだ縄のうれんのことを覚えとってくれはる人がおったんや』って――それがうれしうてありがとおてな。 それでものべのに宿代いしてきたんやけども―― ものべのでももう、藁やら縄やらは、そんなにはつかわれんようになっとって」 「……ここでもそのうち忘れられて、消えてしまうんやろなぁ思うて。 けど、それはやっぱりさみしい気もして。 できることをと思うて草履を売り歩いて、 縄ない教室もはじめてみて」 「だけどさっぱり……誰にも興味をもってもらえずじまいのままで―― たったひとりの仲良しだったひよちゃんも、ええ人できたら、うちとは少しずつ縁遠くなってしもうて、な」 「せやさかい…… うふふっ――うれしかったんよぉ」 「あんさんが結のこと気に留めてくれて。 いきすぎとったとこ戻ってきてくれて。 縄ないするって指切りげんまんしてくれて。 その約束を、律儀にきっちり守ってくれて」 「結の名前を覚えてくれて。 結の名前を呼んでくれて。 一緒になわないしてくれて。 一緒に湯葉鍋食べてもろうて」 「藁箒、にこにこしながら作ってくれて。 結に耳かきさせてくれて。 結と並んでねむってくれて。 こうしてお話。聞いてくれて。な」 ;3/右 接近囁き 「結な。ほんまに、うれしうてうれしうて」 ;3/右 「……このままぱぁって消えてもうても、 今やったらな、ほんの少しも悔いないなぁって思うんよ。 明日の朝がきてもーて、あんさんがまた旅にでて、 結のこと、忘れてもうたら、それでもう…………え?」 「忘れないって―― 縄の魅力も、藁の魅力も、もっと広くにつたえたてるって…… そんなん――だって――この村でさえ、もうほとんどが藁やら縄やら……」 「ぁ……(呼吸音)――ん――(呼吸音)――うん。 あ――」 「『フェイシャルマッサージ用』やら、 『パソコンのキーボード掃除用』やら…… そないな風に、用途を絞り込んでぴったり合うもんに仕立てたら…… ほんまに? 藁箒、きっといろんな人に買うて使こうてもらえますのん?」 「だけやのーて? ……ふん……ふん……(呼吸音)――耳かきも? 『オーダーメイドの職人手作り煤竹耳かき』いうて売ったら?―― はぁ、インターネットで、耳の穴の写真をおくってもろうて全国通販で」 「……(感心のため息)」 「なんや、夢のあるお話やとは思うけど…… けどなぁ、結、インターネットだなんてまるきりわからひんもん……あ」 「(驚きと喜びの入り交じる呼吸)」 「ほんまに? ほんまにあんさん―― 結と一緒に、結のあたらしいお仕事、お仕事つくってくれはるの?」 「――いやなことなんて、あるわけあれへん。 うち……いやじゃない――ほんま――うれしい。 すごくうれしゅうてれしゅうて、夢みてるんじゃないかって――あはっ」 「はじめてあんさんに会うたときにも、思うたなぁ。 夢じゃないかって――ほっぺつまんで―― ――んふふっ、痛いなぁ、嬉しいなぁ。 ……夢じゃないなぁ」 「ふぁ……あ――あ……(大あくび)」 「ふぁあ――なんや――結―― 安心したら、ほーってしたら、急に眠気がきてしもーて……ふぁ――」 「……(呼吸音)――せやなぁ。うん。 明日から一緒におれるんやったら――えへへ―― あわてることも、無理することも、少しもないなぁ」 「ほんなら、結、もう寝るな? 藁の匂いと、あんさんの匂いにつつまれて……ふぁ――」 「あ、けどな? あんさん。 夢になったらいややから、明日の朝も一緒におるって、 指切りげんまん、またしてくれひん?」 「ん。――えへへっ。 『ゆーびきーりげーんまん うーそついたらはーりせんぼんのーます ゆびきっ――っ!!? (ちゅっ)」 「ふぁ……あ……あの――その――いまの……えと」 「(呼吸音)――(呼吸音)――あ、うん。せやねぇ。 おはなしには聞いたことある―― 指切りよりも、ずうっと強い……約束……誓い」 「ほんなら、えへへ、いっそう絶対安心やねぇ。 明日も朝から、一緒にお仕事――あ」 「……(はにかみ)あんな、あんさん? いっとう最初のお仕事、な? なにしてもらうか、 結、おねだりをしたいんやけど……」 「(呼吸音)――ええのん? ほんなら」 ;3/右 接近囁き 「明日の朝の一番に。 あんさんの指で結の髪。 ゆってくれくはったら、うれしいなぁ」 ;3/右 「んふふっ! おーきに、あんさん」 ;キスのことを思い出して、照れて言い換える 「そんならそろそろ、くちび――はぅっ―― その――おめめをとじて、おやすみしよなぁ」 「……(呼吸音)――藁の匂いと――あんさんには、な? 結の匂いに、たっぷりしっかり、包まれてもろて」 「……(深く長い息)――おやすみ、あんさん。 明日の朝も……結と……一緒に…………ん……」 「……おやすみなさい…… 素敵な夢を……ん……(浅い寝息)」 「……(浅い寝息)――(浅い寝息)」 「ん……ふ――(浅い寝息)……(浅い寝息)」 ;ニュアンス入れつつ一分間ほど 「(浅い寝息)→(安眠の寝息)」 ;//////// ;Track6 結の寝息(おまけパート。ループトラック) ;//////// ;1セット一分程度でお願いできると幸いです 「(寝息・熟睡)」 「(寝息・熟睡)」 「(寝息・熟睡)」 ;おしまい