『気になるキミとの初デート』 ≪トラック1≫『お姉さんとのヤ・ク・ソ・ク』 「いらっしゃい、また来てくれたんだね!」 「君、最近よく来てくれるから」 「ひそかに楽しみにしてたんだよ?」 「はい、いつもの」 「カフェオレ、だったよね?」 「君好みのミルクたっぷりめ」 「それと……はい、これも」 「お店の新メニュー」 「えっ? 頼んでないって?」 「あはは……律儀だなあ、君は」 「実はね、このメニュー」 「私が考案したんだー」 「まだ試験段階だから、販売はしてないんだけど」 「できれば、その……お客さんに食べてもらいたいって、店長が……」 「もう、言わせないでよ。君に食べてもらいたいの!」 「キ・ミ・に~」 「大学生、だよね?」 「昼過ぎに中高生は来れないもんね」 「私も大学生だよ」 「宇宙物理学専攻。いわゆる、リケジョってやつ?」 「こう見えても結構、頭は良いつも、り?」 「君は……一年生か!」 「じゃあ、私の方がお姉さんだね!」 「今年、3年になったの」 「レポートの量も増えてきてね……」 「少しずつ忙しくなってきたんだー」 「ふふっ。どうしたの、そんなに慌てて……」 「もしかして……私にもう会えないんじゃないかって、心配した?」 「あは、今さら首を振っても無駄だよ~?」 「分かりやすいな~」 「すっごく不安そうな顔、してたゾ?」 「君には悪いけど、さっきの顔……と~っても可愛かった」 「小動物みたいに震えてて、キュンときちゃった!」 「もう、拗ねないでよー!」 「よしよし、してあげるから~」 「え? 子ども扱いはイヤ?」 「そっか、ごめん」 「でも君、ほんと、面白いね」 「表情コロコロ変わって~退屈しないなー?」 「ねえ、今週末ヒマ?」 「よかったら、お姉さんとデート、しない?」 「く、食いつくのはやすぎ~~!」 「断られるとは思ってなかったけど、即答するから、びっくりしちゃった」 「でも、嬉しいな」 「君も私のこと、気になってたってことでしょ?」 「どうしてわかったのって………」 「気づいてないとでも思ったの……!?」 「もう、私は君ほど、鈍くないよーだ」 「べえっ!」 「わざわざ、私がいる昼過ぎにきて~」 「店員がよく見える、カウンターに座って〜」 「私のこ・と、じぃ〜と見てたら、そりゃあ誰だって気づくぞー?」 ふふ。 あはは~。 「視線、感じてたんだからねー!」 「もう……」 「嫌じゃなかったけど……」 「ううん、なんでもない」 「はい、これ!」 「私の連絡先、夕方には上がるから、連絡してね!」 「内緒、だからね?」 「じゃあ、また後で!」 ≪トラック2≫『おうちでイチャイチャ』 「おーい! 聞こえてるの!?」 「き~~~み~~~?」 「ちょっと! どうしたの寝癖だらけじゃない!」 「なんでいるのって……」 「むう、昨日電話したのに、覚えてないの?」 「明日迎えに行くって私、言ったよ〜?」 「私とのデートが楽しみで、中々寝付けなかった?」 「〜〜っ!!」 「ふ、不意打ちでそんなこと言わないでよっ」 「そんな、ぽわぽわした目で見られたら、照れるでしょ?」 「まったく、君は油断できないなあ」 「ほーら! 顔……洗ってきて!」 「朝ごはん、私が作ってあげるから」 「ふーん」 「一人暮らしの割には片付いてるのね……」 「えっちな本も……見当たらない」 「お姉さん系があるのを、期待してたんだけど……」 「もしかして、そういうのに興味がないのかな?」 「特殊な性癖が、ないだけマシだけど」 「くんくん……」 「クンカ、クンカ……」 すーはーすーはー。 「これがあの子の匂いか~」 「好きかもっ?」 「ひゃうっ!」 「な、なにもも、見てないわよ!?」 「脱ぎ捨ててあった、服の匂い嗅いで……」 「いい匂い~とか、そんなこと全然思ってないんだから!」 「ほんとよ、ほんと!」 「ソファにでも座ってて。すぐ作るから!」 「♪♪〜♪♪~」 「はい、どうぞ」 「君の冷蔵庫、最低限のものしか入ってなかったから、作るの難しかったよー?」 「男の子なんだから、たくさん食べないとダメだぞ~?」 「ふふっ。ほら、こーこ! ほっぺにケチャップついてる」 「あはは、紅くなってる!」 「やっぱり、かわいいなぁ、もう〜」 「君の反応見てると、楽しくなっちゃう!」 「君、彼女いたことないって、言ってたけど……本当は嘘でしょ?」 「だって、かわいいもん」 「女の子みたいに肌白いし、ちょっと反則級?」 「少し嫉妬しちゃうかも?」 「って! 冗談、冗談!」 「変なものを見るような目はやめて……」 「私が、変態みたいじゃないっ?」 「んんっ!」 「気づいてないようだから、忠告しといてあげるけど」 「きーみ」 「街中歩いてたら、歳下好きなお姉さんに連れていかれそうなくらい――」 「可愛いんだよ?」 「自覚しておいてよね?」 「じゃないと、私が食べる前に――じゃなかった」 「何でもない、何でもない」 「と・に・か・く!」 「君は可愛いの。それも、すっごく、ね?」 「あ、その顔もかわいい……」 「あはっ」 「また、紅くなったぁっ!」 「かわいいって言われると、照れちゃうのかな?」 「かわいいなあ〜」 「かわいいよー」 「食べちゃいたい」 「君はほんと、すごくかわいい」 「ぎゅ〜〜って、抱きしめたくなっちゃう」 「抱きしめてもいいって?」 「改めて言われると、その少し恥ずかしい、かも……?」 「でも君が、いいって言うなら……」 「私たち以外誰もいないし」 「ふふ。して、みよっかな?」 「人前じゃ、恥ずかしくてできないもんね……」 「よし」 「おいで、お姉さんが抱きしめてあげるっ!」 「ぎゅうーーーーっ!」 「ぎゅ〜〜〜〜っ!」 「ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ〜〜〜〜っ!」 「いい子、いい子〜」 「よしよ〜し」 「いい子だねー」 「可愛いぞ~?」 「そのとろんとした目、猫ちゃんみたい」 「ぎゅうーーーーっ!」 「ぎゅ〜〜〜〜っ!」 「ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ〜〜〜〜っ!」 「ふふっ、どう?」 「気持ちいい?」 「癒されたかな?」 「んーなあに?」 「お姉さん、じゃなくて、お姉ちゃんがいい?」 「も〜う、君は甘えん坊だなあ」 「いいよ」 「お姉ちゃんが~。い~~っぱい、い〜〜っぱい、甘やかしてあげる!」 「ぎゅうーーーーっ!」 「ぎゅ〜〜〜〜っ!」 「ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ〜〜〜〜っ!」 すーすーすー。 「すんすん」 「すんすんすん」 「ふふっ……いい匂い」 「クセになっちゃうかも」 「ん〜〜」 「どう?」 「んしょっと……」 「落ち着いた?」 「はい、終わり」 「このままずっとイチャイチャしてたい気もするけど、今日の目的はデート、だからね?」 「名残惜しいけど、そろそろ行こっか?」 ≪トラック3≫『お外でイチャイチャ』 「へえ~君、やるね~!」 「初デートで水族館かー!」 「私はそういう、君の配慮……好きだな~」 「映画はあまりにもベタだし……」 「遊園地は、ねえ……? 最初に行くにはハードル高いし」 「え? そこまで考えてなかった?」 「ただ、魚が好きだから来ただけ?」 「ふふ」 「あははは~!」 「やっぱ君、面白いよ!」 「お姉さんの好感度上げたかったら、そこは嘘でも頷いとかないと……!」 「まあ、正直に本当のこと言っちゃうあたり、君らしくて好感持てるけど」 「安心して? 君に対する私の好感度は、そう簡単に落ちたりしないからっ」 「君の一つ一つの行動が、面白くて、可愛くて……」 「全部上がる方にしか行かないのは、何でだろうね?」 「私たち、お似合いなのかな? なんてねっ!」 「あ! ほら見てあれ!」 「おっきい~。ジンベエザメだってー。初めてみた……」 「私、小さい頃サメの背中に乗るのが、夢だったな~」 「え~? 私だって女の子だもん!」 「やだな~!」 「それくらいのことは想像するよ~?」 「ん~、その魚は? チンアナゴ?」 「なんか、君に似てるね!」 「穴に出たり、入ったりして」 「喫茶店でビクビクしながら、あたしを見てた~君に似てるよ!」 「ふふ~!」 「私、今目の前がすごいキラキラしてるよ~」 「楽しそうで何より……?」 「そりゃあ、君と一緒にいるんだもん! 楽しくないわけがないよ~」 「あ! あれ見て! あれ、あれ!」 「うわ~クラゲがいっぱい。綺麗……」 「幻想的……。心が洗われていく気がする……」 「ねえ……手、繋いでもいいかな?」 「んっ、あったかい」 「君~、ほんとに男の子? 手、ちっちゃいし、柔らかいって……」 「何それ? もう、女の子じゃん!」 「うっ……どっちとして接して良いのか分からなくなってきた、かも……?」 「女の子にそういう感情、抱(いだ)いたことはなかったんだけど……」 「やばい、なにかに目覚めそう……」 「私、女の子が好きだったのかな?」 「でも、目の前にいるのは男の子だし……」 「むう~っ!」 「君、私をあんまり変な方に導かないでよね?」 「うん、変な目で見るのも、やめてね~?」 「あ、見てよあれ! かわいい~」 「アザラシだって! ふふ、なんだか君に似てない?」 「あの寝顔、さっき寝癖ぼさぼさで、ぽわぽわしてた君に、そっくりだよー?」 「もう、拗ねないでよ~!」 「くすっ。アザラシと比べられてぇ~、ふて腐れちゃったのかなー?」 「むすっとした、そ・の・カ・オ・も! す~っごく、可愛いぞ~?」 「抱きしめたく、なっちゃう」 「え? みんなに見られてる?」 「いいじゃない。カップルも多いし、見せつけちゃう?」 「ぷっ。そこで頷いちゃうんだもんな~君は!」 「でも、だーめ。おうちじゃないと、お姉さんは甘やかしてあげませんっ」 「そんなしょんぼりしないで?」 「君から、抱きしめてくれるなら、お姉さんは大歓迎だぞ?」 「ひゃあ!?」 「~~っ! か、可愛いっていうな~っ!」 「ばか……」 「わ、私の方が、お姉さんなんだからね?」 「むう、なんだか調子狂うな~」 「君の行動一つ一つに、ドキドキしたり、デレデレしちゃう――私がいるみたい……」 「ねえ、今度は私が甘えても、良いかな?」 「うん、ありがと……」 「君もやっぱり男の子、なんだね」 「家で甘えてきたときは、可愛くてしょうがなかったけど」 「こうやって抱きしめられて、分かっちゃた」 「背は私より大きいし、ゴツゴツしてて安心する……」 すんすん……。 すーはー、すーはー。 「ふふ、男の子の匂いがする」 「臭くないかって?」  「ぜんぜん、そんなことないよ」 「ちょっとえっちで、でも……良い匂い。私は好きだな」 「髪の毛もさらさらして、良い匂い……」 「女の子みたいに甘ったるくないけど、優しくて、安心するような」 「お日様みたいな香り」 すーはー、すーはー。 「うん、やっぱり良い匂い」 「ん? これ以上はやばい……?」 「ふふ、同じだよ。私も可笑しくなりそう」 「うん。君成分、補給完了!」 「でーも!」 「まだ、いっぱい甘えさせてもらうんだからね?」 「覚悟しておいてよね?」 「さあ、他の場所もまわろ!」 「お~ペンギンかー!」 「こうやって間近で見たことなかったけど、結構、迫力あるねー」 「ねえ、餌やり。体験できるんだって!」 「ちょうどお昼ご飯の時間みたい。運がよかったね?」 「それとも、君が見計らって連れてきてくれたのかな?」 「あは、すごーい! 魚丸呑みしたよ?」 「ほら、君もあげてみて?」 「わ、君のそばにペンギンがたくさん……」 「ふふ、突つかれてる、突つかれてる!」 「君、動物に好かれやすいんだねー!」 「助けて欲しい? ふふ~。どうしようかなあ~?」 「あー面白かった」 「あのあとずっと、突つかれてるんだもん!」 「あたしが助けなかったら、きっと大変だったよー?」 「そろそろ私たちもお昼ご飯にしよっか?」 「君は何が食べたい?」 「え? 寿司が食べたくなってきた?」 「魚を見てると……食べたくなる?」 「ぷっ、何それ~? 君の魚が好きって、そっちの意味だったの~!」 「あはは、あははは~!」 「ほんと面白い」 「初のデートスポットを、自分の食べたいもので決めちゃうなんて……」 「聞いたことないよ~!」 「でもさすがに、この辺にはお寿司屋さんは、ないかな~?」 「諦めて、館内のフードコートでお昼にしよ?」 「ふーむ、君はホットドッグにアイスコーヒーか」 「私のお店でカフェオレしか飲んだところ見たことないけど……」 「飲めるの? 私と一緒だからって、無理してない?」 「じぃーー」 「じぃーー」 「ぷっ! 苦いって感情が顔に出てるぞー?」 「ほーら、無理しないの。私が飲んであげるから」 「んっ、んっ……。ぷはっ。美味し……」 「え、何? 間接……キス?」 「~~っ! ば、そういうこと言わないでよっ!?」 「意識、しちゃうじゃない?」 「~~むう~っ! はい、仕返し!」 「君も、あたしのこれ、飲みなさいよね?」 「おあいこよ、おあいこ!」 「これで、チャラにしてあげるんだから」 「って、赤くならないでよ! こっちも恥ずかしくなってくるじゃない?」 「どお? 美味しい?」 「甘い味がした……?」 「そりゃあ、カフェオレだし……」 「蜂蜜っぽい甘さ?」 「おかしいな……蜂蜜なんて入ってないはずだけど……」 「あ、じゃあこのハニートーストのせい、か……も?」 「う、うわあああああぁぁぁぁ~~っ!」 「わ、忘れて! 今のは忘れて!」 「お願いだからっ!」 「ちょ、確かめなくて良いから!」 「わ、分かったから。私の負けでいいから!」 「おねがい、もう飲まないで……」 「うっ、ひっく、ぐすっ……。もうお嫁に行けない……」 「む? そんな勝ち誇った顔しないでよ……イジワル」 「直接したくなった?」 「わーだめだめ~~っ! それはまた今度!」 「あ、いや、違うの!」 「キスしたいとか、そういうことじゃなくて~!」 「うわあああぁぁあ! なに言ってるんだろ、私!?」 「いや、キスしたくないわけでもないけど……」 「って、それもなし! 全部なし!」 「忘れてえええ!」 「はあ、はあ、すごい疲れた……」 「君といるとなんだか、素の自分が全部見られてるような気がするよ」 「さらけ出してるのは、私の方なのにね……?」 「べつに嫌なわけじゃないけど、こんなこと初めてだから……」 「どうやって対処していいのか、分かんないや」 「君も私と同じように、内心焦ったりしてくれてると、嬉しいんだけど……」 ≪トラック4≫『お別れとヤ・ク・ソ・ク♡』 「はあ~今日はすっごい楽しかった~!」 「控えめに言って、最高、だったよ?」 「また君と、デートしてみたいなあ~なんて……」 「ダメかな?」 「ふふ、言わなくてもいいゾ? 顔に出てるから!」 「君も~。お姉さんと、デート……したいんだよね~?」 「ねえ、今度、女装デートしてみない?」 「女の子としての君も。見てみたい、かも?」 「きっと似合うと思うな~」 「コーデは私がするから……!」 「ね、いいでしょ?」 「してくれたら~、ご褒美」 「さっきの続き、とか~」 「なんでもしちゃうんだけどな~?」 「ね? お・ね・が・い!」 「ふふ、ありがと」 「君なら、即答してくれると思ってたよ?」 「お店で~あつーい視線。送ってくれるほど……私のこと」 「だーいすき、だもんね?」 「ふふ、可愛いぞ~」 「本当にかわいい」 「かぁいい~な~」 「かぁいい~。かぁいい~」 「食べちゃいたい」 「けど、それはまた今度っ!」 「君が女装してくれたら、だね!」 「それじゃあ、今日はお別れだね! 楽しかったよ?」 「また遊ぼうね? じゃあねー!」 終