1章 縁側での出会い  部活の合宿で古民家然とした合宿場に訪れた貴方。練習が終わり汗を流した貴方は風に当たりに縁側へと吸い込まれます。誰もいないと思われたそこには、1人の先客がいました。夕飯まで時間はあります。気さくなマネージャーとの暫しの語らい、その始まり。 (ここから下がセリフです) あっ、練習お疲れ様。 君もこの縁側に、休憩しにきたの? うん……私もそうだよ。 『マネージャー用の部屋もあるけど、なんだか1人になりたいって、思ってさ』 それに、お風呂に入った後で少し風に当たりたかった、というのもあるね。 君は…………そう。部屋に戻っても落ち着かないんだ。 何それ、大丈夫? いじめられてたりしない? そう……それは……ええっと…………うん、良かった。 ノリが合わないって……あるよね。 あっ、風に当たりたかったというのは本当なんだ。 えへへ、奇遇かも。 そういえばここ……合宿場。 最初は先生から合宿場が古民家って聞いて、マネージャーながら耳を疑ったんだけど……利用してみたらかなりいい雰囲気だよね。 『…………って、他のマネージャーも言ってたよ』 規模が小さいからうちの部活だけで貸し切りだし、こうやって落ち着いた雰囲気の縁側まで用意されてて……何だかちょっとお婆ちゃんの家ってイメージだー、ってさ。 ううん、別に私のお婆ちゃんちはこんな古民家じゃないよ。 というか私んち二世帯住宅でさ、お婆ちゃん普通に一緒に住んでる。 最近引っ越したばかりだからすごく綺麗で、こことは真逆の環境だよ。 えへへ……全然雰囲気なくて笑っちゃうよね。 あっ、見て庭に花が咲いてる。 あれは……百合だね。 きちんと手入れされてるからか、綺麗に咲いてるよ。 こういう細かいところにまで気が配られてるのを見ると、本当に当たりの宿を引いたんだろうね。 ……そうだ。せっかく同じ縁側に迷い込んだ同士、一緒に休もうよ。 本当はマネージャーと部員が親密な間柄になって話し込むのはあんまり良くない…………って誰かが言ってたのを聞いたことがあるけど、夕ご飯までは時間があるから、それまで。 ……1人になりたかったんじゃないかって? それはそれ、これはこれ。 部員のメンタルケアーもマネージャーの仕事でしょ? 部活熱心なマネージャーをもっと褒め称えてもいいんじゃない? それじゃあ、君には夕ご飯までの間の話し相手になってもらうから、よろしくね