3章 疲れた身体を癒しちゃうよ  睡魔に襲われた貴方に、彼女は膝枕をしてくれるようです。子どもを寝かしつけるような優しい声に、貴方は安眠へと誘われます。 (ここから下がセリフです) それじゃあ、膝枕しちゃうよ。 私の太ももに……頭を乗せて、ね。 ……うん。いい子だね。 なんだか子ども扱いされてるって……? それはそうだよ。 膝枕されるなんて、子ども以外の何者でもないでしょう? うふふっ…… 君は今、そうだな……小学4年生。 近所の美人なお姉さんにお膝を借りて、お昼寝をしようとしているの。 美人じゃないとか言わないの。 私はそれなりに美人だよ。それこそ、学校一のモテ男に告白されるくらいには。 さて、どうだろうね。 私の何が本当で、何が嘘かなんて……君にはもう分かっているんじゃない? ほらほら、さっさと寝る寝る。 君がリラックスして眠れるように、安眠誘導してあげるよ。 ……子守唄歌って欲しいの? それは嫌だよ。歌ったら逆に寝れないでしょ? 駄々こねないで……歌よりもっといいこと、してあげるからさ。 あっ、赤くなった。 私で、変な想像したでしょ。変態。 ほらほら、興奮しない、興奮しない。 興奮してたら寝れないよ。 ……それじゃあ、まずは深呼吸して。 大きく吸って……大きく吐き出すの。 呼吸を整えると、心が落ち着いてくるよ。 心が落ち着けば……私のことを、もっと近く、鮮明に、感じることができるから。 吸って……吐いて………… 吸って……吐いて………… 吸って……吐いて………… 吸って……吐いて………… 段々、落ち着いてきたね。 ……頭、撫でてあげる。 ヨーシヨシ。ナーデナデ…… ナデナデ、気持ちいい? えへへ……よかった。 君が気持ちよくなってくれると、してあげてる私も嬉しいよ。 あー、顔が赤くなってる。 もしかして、これから何されるかって、期待しちゃった? えへへ……えっち。 何もしないよ。君の想像しているようなことは、何も。 そういうのは…………恋人にしてもらって。 私はまだ……恋人じゃないでしょ? それは……言葉の綾ってやつだよ。 うん、そうそう。 あんまり無駄口叩いてないで、さっさと寝るよ。 よし次は……腕と足をリラックスさせていくよ。 今日は疲れたでしょ? ストレッチ代わりにもなるし、筋肉がほぐれるとそれだけで快眠効果があるんだよ。 まずは、腕から行こうか。 手をぎゅーって握って……5秒くらいキープするよ。 せーの……5、4、3、2、1 そして、一気に力を抜くの。 一気に力を抜くと、ジワーって血が通って気持ちがいいよね。 このまま続けていくよ。 ぎゅーって握って……3、2、1、はい、力を抜く。 ジワーッとした感覚が広がるよ。 ぎゅーって握って……3、2、1、はい、力を抜く。 うんうん、その調子。 その調子で続けてみて。 5秒は数えなくていいよ。 自分が思うようでいいの。 とにかく、ながーく握って、一気に力を抜く。 そこら辺は感覚。 結局、リラックスできるようにするのが一番だから。 うん、君が気持ちよくなってるところ、見ててあげるね。 えへへ……見てるこっちまで気分がいいよ。 何度も続けていると、どんどん、どんどん力が抜けていってるのが分かる? 力が抜けて、段々ぎゅーって握れなくなるよ。 ……そろそろ頃合いかな。 次は、足をリラックスさせていくよ。 やり方は手のときと似てるから、簡単だよ。 まずは、かかとを突き出すようにして足に力を込めて、そのままキープ。 そうそう……つま先がピンと立つようにね。 そして、足の力を一気に抜く。 足に一気に血が通って、何だか温かく感じるよ。 足に力を入れていたはずなのに、全身にも気持ちいい波が広がってるね。 それはリラックスしている証拠。 さ、どんどんやっていこう。 ぎゅーって力を込めて、そのままキープ…………はい、力を抜く。 全身の筋肉がほぐされていくよ。 ぎゅーって力を込めて、そのままキープ…………はい、力を抜く。 じわーっとした感覚が広がって、緊張が解けていくの。 そのまま続けてみて。 ながーく力を入れて、一気に力を抜く。 ながーく力を入れて、一気に力を抜く。 これだけで、君の身体は……意識は、どんどん深いところに落ちていく。 意識が薄れてくると、もう半分寝ているようなもの。 そしたらもう、手足のストレッチはしなくていいの。 あとはゆっくり、意識を閉じていくだけ。 心と身体は落ち着いて、もう何も考えない。 全身の力を抜いて、ただそこにいる。 ただそこにいるだけで……いいんだよ。 うん、いい子、いい子……私はいい子が好き。 真面目で素直で……そんないい子が大好きなの。 そうこうしている内に、段々と……君はもう私の言葉が聞き取れなくなってくる。 聞き取れても、意味が理解できない。 こんなに近くで話しているのに、どこか私を遠くに感じる。 それでいい。それでいいんだよ。 それは君が、ちゃんとリラックスできている証拠だから。 意識が、深いところに落ちていっている証拠だから。 ゆらりゆらりと……意識が揺れているよ。 まるで、雲の上にいるような浮遊感。 透明なゆりかごに揺られながら、君の意識はどんどん深く沈んでいく。 ゆらーり……ゆらーり……………… ゆらーり……ゆらーり……………… …………もう大丈夫だね。 ふわあ……私も、眠くなってきちゃった…… それじゃあ……おやすみなさい。