また、あの部屋に戻ってきました あなたは机に向かい椅子に座っています レースとリボンで装飾されたワンピースを着て本を読んでいるところです 足が床につかなくて、机の高さも椅子に座ると胸の高さくらいあります 机とイスには貝柄や花柄の彫刻がふんだんに施され、手作りで時間をかけて作られたものであることがわかります そこへ、コンコンと軽くノックをして私と同じくらいの背丈の女の子が入ってきました 「グレース入るよー」 入ってきた女の子を一目見て、なんて可愛らしい女の子だろう!と感動します 今まで出会ったどの女の子よりも飛び抜けて可愛いかったからです 黒髪のロングヘアーに大きくて吸い込まれそうな瞳 顎がスーッと綺麗な逆三角形を描き、ピンク色の唇はきゅっと引き締まりつつもプルプルしています 思わず吸い付きたくなる唇です ほんと、今までこんな可愛い女の子を見たことがありません 瑞々(みずみず)しくてツヤツヤのデコルテがワンピースの下に隠れた完璧な裸体を想像させます そして、細くてしなやかな首筋から耳のラインが、まだ未熟で初々しい感じを醸し出しています 見惚れるように眺めていると女の子が話しかけてきました 不思議そうな顔をして、じっとこちらの目を覗き込んできます じーっと見つめられると、まるで催眠にかかったように視線を外せません そう、瞳の中心に吸い込まれそうです キラキラと輝いて、銀河のように美しい瞳 漆黒の黒目の奥深くに燦燦と輝く銀河があり、その中心にあるブラックホールに飲み込まれそうです 女の子に視線を合わされると何かに吸い寄せられるように体が固まり動けなくなります 「何ぼーっとしてるのよ、今日は私ビーナスとハイキングに行く日でしょ?グレースって時々名前を忘れちゃうことあるよね 今、私の名前思いだせなかったでしょ?」 私と同じくらいの背丈だけど随分大人びてるなあ 考える暇もなく女の子は畳かけるように話しかけてきます 「この前なんか、自分の名前の由来を友達に聞かれて、答えられなかったよね? だから、私が代わりにグレースの由来はギャラクシー、銀河って答えて上げたの覚えてる? 本当はカリスが由来なんだけど、グレースのお母さんが勘違いして名付けたみたいってこともね 私?私は名前の通りよ、女神のように美しくて全知全能な女性って意味」 あなたは、まさにこの女の子はビーナスのように美しくて賢い子だと思いました そして、私が小さい頃に母から、あなたは銀河のように美しくて、 その中心に秘めたモノをもつ女性になって欲しいからグレースと名付けたのよと教えてもらったことを思い出しました そんなことを思い出していると、ビーナスが 「グレース、あなた少しだけ女の色気が出てきたんじゃない?」 とこちらをジーっと覗き込んできます じっと目を見つめられながら言われると、そうなのかもしれないと自分でも思ってしまいます 「ほら、ウエストがくびれてきているし、何よりも胸がだいぶ膨らんできたわよね、それにお肌の色も白くなっているし、柔らかくてプニプニとしているわ」 ビーナスはまるで自らを触るように、こちらの二の腕や太ももを摘まんできます 確かに、以前に比べたら腕も足もふっくらとしてきているし、柔らかくなっているのがわかります 「ふふーん、そろそろ私が教えてあげる時がきたみたいね、ハイキングから帰ったら今晩試してみましょうか?」 何を教えてくれるのでしょう? 「さ!準備は出来たの?早くいくわよ」 あなたは腕を掴まれ、外に出るように急かされます 腕を掴まれたまま部屋を出て玄関に向かうあなた エントランスの大きくて重厚なドアを開き、外に出た所で先ほどのメイドとスラリと美しい女戦士が見送りにきていました 「お嬢様!ティータイムセットをお忘れなく!」(ターシャのセリフ) ターシャが籐で出来た可愛いボックスを渡してくれました 「ターシャさん、グレイスさんご心配なく!今日は遠くまで行きませんから!」 ビーナスが手を振りながらバイバイをして、私と手をつないだまま館を後にします それにしても後ろから見るビーナスも、なんて可愛いくて綺麗なんだろうと思います キラキラと輝く髪、華奢な肩、純白の花柄のワンピースにすらりと伸びた脚 そして、ほんのり漂ってくる甘い香り 忘れていた初恋のような気持ちがあなたの中に込み上げてきます そうです、あなたはビーナスを一目見た時から好きになっていたのです ずっと昔に忘れていた、胸がキュンとなる瞬間 あなたはビーナスの後ろ姿を見ながら、自分が恋に落ちたことを自覚しました 「何?グレース、そんなに私のことが気になるの?」 ビーナスがあなたの心を見透かしたように聞いてきます 「グレース、あなたひょっとして私のこと好き?」 あまりに唐突だけど、完璧に心を読まれて驚きます 「ほんと分かりやすいわね、まあ私も1年前は別の女の子に夢中になっていたんだけどね、今日から私がその子に教えてもらったことをあなたに教えて上げる」 「何を教えてもらえるか、だいたいわかるよね?」 あなたは小さく『うん』と頷きます 「じゃあ、その前にあの場所に行かないとね」 ビーナスはそういうと小悪魔な微笑みを浮かべて、あなたの手をぐいっと引っ張り、早く行こうよと促します 急に引っ張られたので、あなたはバランスを崩し前のめりに倒れてゆきます あ、また倒れちゃう そう思いながら、すーっと意識が遠のいてゆくのでした