;//////// ;Track1 プロローグ・レイルロオドサミットの終わった次の日(すずしろの自己紹介) ;//////// ;プロローグタイトルコール ;1/前 【すずしろ】「蓄音(ちくおん)レヱル 〜万岡(もおか)鉄道C12 67(しーじゅうに ろくじゅうなな)専用レイルロオド すずしろ〜。 すずしろの自己紹介」 ;状況:すずしろとマスター。喫茶店内のカウンターに並んで座って、だべっている ;店員の目があるので、すずしろは女優モード(ファンにも人当たりのいい明るい人気女優なイメージ) ;SE ドリンクの氷、カラン ;7/左(マイクに顔を向けて) 【すずしろ】「マスター、御一夜(おひとよ)まいてつ祭(さい)、本当にお疲れ様でした。 すずしろたちのレイルロオドサミットも――ふふっ、いろいろあったけど、なんとか無事に終わったし」 【すずしろ】「ね、乾杯。いいでしょう、マスター。 お互いおつかれさまなんだし――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん!」 【すずしろ】「それじゃあ。イベントの大成功を祝って! かんぱーーーい!」 ;SE 乾杯 【すずしろ】「(コップいっぱいの真水をごくごく一気に飲み干す)――ぷはあっ!」 【すずしろ】「ああ……御一夜の、クマ川のお水って、本当に美味しい」 ;環境音 F.I. 喫茶・亜麻色店内(空調+ポットの音+有線イメージの著作権大丈夫なBGM的な環境音) 【すずしろ】「(ほっと、気が抜けたような、安心したような息)…… 理想をいえば、昨日、みんなが帰っちゃう前に、 ちょっとでも打ち上げみたいなことできたらよかったんだけど――」 【すずしろ】「仕方ないよね、みんなそれぞれ自分の会社を背負ってるような機関士とレイルロオドなんだもん。 むしろあれだけ集まってのイベントが大成功したってだけでも、すごすぎることなんだし」 【すずしろ】「マスターとすずしろだって、ロケ隊の入りが今日になってたらマネージャーと女優になってるもんね、休みなしで。 けど、うふふっ! 会社の方のお仕事おわって、撮影まで一日あいて。 今日は完全なオフなんだから」 ;7/左(耳打ち) ;$=SE ドアベル ;ドアベルのタイミングで離れして→;7/左(通常) 【すずしろ】「今のすずしろは女優じゃなくて、マスターのレイルロオドだから $ あっ――(呼吸音)(呼吸音)」 ;SE 革靴の靴音、すずしろ&マスターの背中側でストップ ;7/左 (マイクと逆側に首捻って) 【すずしろ】「あ……はい。そうです、すずしろです。 ファンの方ですか? ふふっ、今はオフなんですけどサインくらいでしたら――え?」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)……新聞記者さん――名刺、ありがとうございます。 すずしろは名刺もってないんですけど、マネジャーが……(呼吸音)(呼吸音)。 そうなんですね、ここにいることを御一夜鉄道のみなさんから聞いて」 【すずしろ】「わざわざすずしろを訪ねてきてくださってありがとうございます。 あ、どうぞ、座ってください――っていうか三人になるなら―― あの! すみません。席、テーブルに移っても………… (呼吸音)(呼吸音)――はい、ありがとうございます。じゃ、そうします」 ;SE 席移動 ;マスターとすずしろが並んで座り、テーブルの向こうに記者という配置。 ;3/右 (マイクと同じ視線) 【すずしろ】「っと……。ばたばたしちゃいましたけど、あらためて自己紹介させてください。 すずしろです。万岡鉄道C12 67専用レイルロオドで、副業として会社公認で女優業をしています。 出演作は――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― あ! 見てくださってたんですね、ありがとうございます」 【すずしろ】「そうです。THK。帝営(ていえい)放送協会の朝の連続ドラマ小説――『すずしろ』」 【すずしろ】「あのドラマの主役レイルロオドのイメージモデルが、すずしろだったんです。 最初は人間の女優さんがすずしろ役を演じてくださってたんですけど、いろいろあって急遽ご降板されて――(呼吸音)――」 【すずしろ】「はい、抜擢していただいたんです。監督に。 本人代役として――すずしろ役に」 ;3/右(マイクと同じ視線) “こちらが”から →;3/右(マイク向き 【すずしろ】「それがご縁のきっかけで、いろいろな役をいただけるようになって―― もちろん本業はレイルロオドなんですけど、おかげさまで副業も随分忙しく―― あ! ご紹介が遅れちゃいました。 こちらが、すずしろのマスター兼マネージャーです」 ;3/右(マイクと同じ視線) 【すずしろ】「もしもお仕事のお話だったら、すずしろにじゃなくマネージャーに……(呼吸音)(呼吸音)―― え? 『マスターにもすずしろにも』のお話なんですか? ……(呼吸音)(呼吸音)――マネージャーと女優にじゃなく、機関士とレイルロオドの、コンビに」 ;っ、は、ほんの一瞬のためらい。すぐ切り替えて『面白そう』 【すずしろ】「(呼吸音)……はい……(呼吸音)――うん――(呼吸音)――っ。 面白そう!!! マスターとふたりで音を探す旅をするだなんて!!」 【すずしろ】「万岡鉄道の沿線の素敵な音を聞けるスポットを見つけ出して、 それを記者さんにつたえて、全国紙の新聞で紹介してもらう―― 『蓄音レヱル』――なんて素敵な企画なのかしら!」 【すずしろ】「ね、どう? マスター。この企画――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― あ、そか、スケジュール。……半年後まで結構みっちりなのよね、確か。 ……なら、当分は――あ!? ううん!!」 ;3/右(マイク向き) “あ”から →;3/右(マイクと同じ視線) 【すずしろ】「あのね、マスター。いいアイディアを思いついたの。 記者さんも聞いてください。 マスターとすずしろ、今日一日だけはオフなんです」 【すずしろ】「だから、今日を使って、御一夜の―― 御一夜鉄道沿線の素敵なすずしろたちで探して、記者さんに記事にして紹介してもらって。 で、その代わりに――」 ;3/右 (マイク向き) 【すずしろ】「うん! そう! 御一夜鉄道のレイルロオド――ハチロクさんなりれいなさんなりに、 すずしろたちの代わりに万岡鉄道沿線に来てもらって、音風景を紹介してもらうの」 【すずしろ】「これって素敵なアイディアだと――(呼吸音)―― うふふっ! ありがとうございます。 記者さんもそう思ってくださるなら、あとは御一夜鉄道さんとうちの会社がオーケーしてくれれば――!」 ;SE 電話かける(ピポパ→コール音) 【すずしろ】「(マスターの電話をじっと聞く呼吸音。だんだん嬉しくテンションあがってくる)」 ;SE 電話切る 【すずしろ】「! ね、いまのって――(呼吸音)――決まり!? オーケー! やったあ!! すずしろ、御一夜観光を他のこたちが楽しんでるの、本当はうらやましくてうらやましくて――あ! (芝居がかった咳払い)――ええと、うん」 【すずしろ】「そういうわけですので、『蓄音レヱル』、御一夜鉄道沿線紹介のお話、喜んでお引き受けさせていただきます。 なにか、注意することとかは――(呼吸音)――ああ、そうですね。なるほどです」 【すずしろ】「ヘッドホンかイヤホン……マスター、もってます? あ、ならすずしろつけてあげますね」 ;SE 左右の耳ガサゴソ 【すずしろ】「ん……(呼吸音)(呼吸音)――っと。 よし――じゃないか、チェックしないと。 マスター、ちょっとくすぐったいかもだけど」 ;3/右  【すずしろ】「どうかな……右耳。ちゃんと聞こえてますか?」 ;7/左 (耳打ち) 【すずしろ】「左耳は……ふふっ、いい感じそう。 そうしたら〜」 ;7/左→;1/前→;3/右 ;右耳に吹きかけ 【すずしろ】「ぐるーーーーーってまわりこんで―― (ふーーーーーーーーーっ)」 ;3/右 【すずしろ】「あははっ! 感度良好みたいね! これで音探し、ばっちりいけそう――っとと」 ;3/右(マイクと同じ視線) 【すずしろ】「そういうわけですので、マスターとすずしろは、早速音探しにお出かけしますね。 取材が終わったら、マスターの方から記者さんにご連絡をさしあげる形で……(呼吸音)(呼吸音)―― はい、かしこまりです!」 ;SE 立ち上がる 【すずしろ】「それじゃあマスター、お出かけしましょう。 記者さん、面白いご依頼をありがとうございます! うふふっ!」 【すずしろ】「観光客ならではの音探し、きっとマスターとすずしろで、上手にやってみせますね!!」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track2 投炭練習/音探しの始まり ;//////// ;環境音 投炭練習室内(空調。比較的近くの壁越しに8620走行待機音) ;SE 投炭練習音(継続) ;15/左遠 【すずしろ】「……御一夜観光客の人気スポットのひとつがこんなとこだなんて、 最初は耳を疑ったけど――ふふっ」 【すずしろ】「(熟練の投炭練習を見守る満足げな呼吸。一分ほど)」 【すずしろ】「投炭(とうたん)練習機での投炭練習体験。石炭の投げ込み。 万岡鉄道C12 67――蒸気機関車のレイルロオドのすずしろには、日常すぎて面白くもない光景かなーって気もして……でも――」 ;$=SE 窓の外、短い8620の汽笛 【すずしろ】「(30秒ほど、投炭を見守る呼吸音)―― $ あ!」 【すずしろ】「マスター、気を散らさないで。 プロなんだから、投炭100杯。100kgきっちり最後まで、かっこいいとこ見せて――ね」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん。 いい音。いいリズム。 投炭なんて、もう普段は機関助士さんに任せっぱなしだけど、やっぱり……」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)――マスターの投炭、本当に綺麗。 ざ、ざ、ざって、スコップの中でほとんど石炭踊らないもの。 おんなじ音で、おんなじリズムで、石炭を――機関車の息吹のもとを、投げ込んでくれる」 【すずしろ】「頼もしくって、心強くて。 それだけじゃなく…… 意識して……改めて見てみると……(うっとりした吐息)」 ;ひとりごと(小声) 【すずしろ】「かっこよかったっけ。こんなに」 【すずしろ】「えっ!? あ、ううん。別に、ただ―― かっこいいなって――あ!? マスターがじゃなくて、投炭が、ね。 熟練のプロの技だなぁって。ん……(見惚れる呼吸。30秒ほど)」 【すずしろ】「うん、今更だけ思ったの。 めちゃくちゃ絵になるんだなぁって――あ!」 ;SE 投炭、最後の一杯 ;SE stop 【すずしろ】「100杯くらいだとあっという間。 さすがマスター!」 ;SE すずしろ足音。近づいてきて真正面で止まる ;1/前 【すずしろ】「はい、タオル――って、汗もかいてないんだ。 現役機関士ってダテじゃないね――けど!」 ;SE タオルでわしゃわしゃ 【すずしろ】「一応、ふいといたげる。 だってこれから、ふたりで音探ししつつ観光するんだし。 やっぱりこざっぱりしててくれた方が、一緒にいてうれしいもの―― (タオルで拭いてあげてる呼吸音。しばらく) ……っと。こんな感じかな。ふふっ」 ;SE stop 【すずしろ】「お疲れ様でした! あ、ほっぺ、ちょっと血色よくなってる。 投炭で体を動かしたの、いい気分転換にはなったみたいね」 【すずしろ】「まいてつ祭の間は、ずっと会議会議だったんでしょ? (呼吸音)(呼吸音)――あ〜。やっぱり。それじゃあ体もなまっちゃうわよね」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん。すずしろも似たようなもの。 レイルロオドのみんなと一緒に、グッズ開発のための会議――レイルロオド・サミットしてた。 突発にしてはなかなか実りある会議になったかなぁって思うんだけど――(ため息)」 【すずしろ】「すずしろ、司会役を振られちゃって。 もちろん役はありがたいから、うれしいから、全身全霊で演じて――そしたら…… 他のレイルロオドのこたちはアイディア出しがおわったらね? 交代交代で観光にでかけて御一夜の町を楽しんで帰ってきたのに……」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――そうなの、あはは。 すずしろ一人だけ、ずーーーっと働きづめになっちゃって。 観光したいなぁ、うらやましいなぁって、正直かーなーりーおもってたんだ」 ;1/前→ “だから”のあと、クルッとターンして隣に並んで腕からめるイメージで →;3/右 【すずしろ】「だから、ふふっ! 新聞記事の話――『蓄音レヱル』って記事で紹介してもらうため、 マネージャーとすずしろで、御一夜の音探しをしていいってことになったの―― 地味にね、すっごく嬉しいの、実は」 【すずしろ】「いま聞かせてもらった投炭の音も、あらためて聞くといい音だし、 普通の人にはとっても珍しい音だと思うし――ふふっ! さっそく紹介の一個目がきまっちゃったのも、幸先いいなぁって!」 【すずしろ】「だからこの調子で――うん。 誰も喜んでくれるような素敵な音を、もっともっと見つけたい。 音のこと、マスターもすずしろも素人だけど、それでも――それでも」 【すずしろ】「『蓄音レヱル』って企画。……全国紙の大新聞で、シリーズでやるってことはさ。 各地の沿線の音を探して紹介するレイルロオドも、きっと全国各地から選出されるってことじゃない」 【すずしろ】「そうすると、御一夜鉄道のハチロクさんとか、高嵜鉄道のランさんとか―― あの辺の大人気レイルロオドも絶対選出されるに決まってるから…… 紹介する記事の内容ではね? 記事を楽しみに訪ねてくれる人たちを、どれだけ楽しませられるかっていう点だけは――絶対、すずしろ負けたくないの」 【すずしろ】「だって、レイルロオドとしては確実に、あのふたりの方が上だから。 すずしろは――すずしろのC12 67は、どうがんばっても長距離なんて走れないし、引っ張れる重さだってたかがしれてる」 【すずしろ】「安全性。定時性。速達性。C12 67とすずしろだって全部をきっちり満たしてるけど…… 同じレベルで満たせるなら、スペックが許す牽引力の強い方が、牽引距離の長い方が、鉄道輸送っていう舞台の上では、活躍できるにきまってる」 【すずしろ】「だから、女優として、エンターテイナーとして。 それが新聞記事用の取材であっても―― 『表現を受け取ってくれる人が、それだけ楽しんでくださるか』 ――その舞台の上でだけは、すずしろは、ナンバーワンレイルロオドでありたい」 【すずしろ】「マスターが――マネージャーが力を貸してくれるなら、絶対に叶えられるってすずしろは―― (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――っ!! うふふっ! ありがとう! そうこなくっちゃ!!」 【すずしろ】「じゃ、いこっ! 次の音もね、工業系。 汽子(きこ)さんと紅(べに)ちゃんの体験談聞かせてもらって、 すずしろ絶対、マスターといきたいなって思ってたの!」 【すずしろ】「予約もさっきすませてあるから、一緒にいこう!」 ;SE すずしろ足音 大きく一歩 【すずしろ】「レッツゴー♪」 ;SE 環境音 F.O. ;//////// ;Track3 包丁づくり体験/(包丁づくりASMR) ;//////// ;環境音 屋外・町(うっすら) ;SE 金属を金槌でガンガン叩く音 (継続) ドア越し ;3/右 【すずしろ】「わ!」 ;3/右  【すずしろ】「(数秒間、耳を澄ます呼吸)……工房の扉越しにも聞こえてくるね―― これ……カンカンカンって、きっとハンマーで焼けた鋼を叩いてるとか、そういう音だよね、きっと」 【すずしろ】「この音だけでも、“音風景”って感じがするし―― 自分の手で包丁作らせてもらえる場所なんて、日ノ本全部を探したって何箇所もないでしょ? なら“御一夜鉄道沿線ならでは”ってところもクリアー!」 【すずしろ】「それに――えへへっ! 万が一音がハズレだったとしても、ふたりでつくる包丁が手元に残るんだから、 どう転んでも損はしないし――うん。はいろっ! ね、マスター」 【すずしろ】「『ごめんください。さきほどお電話したすずしろです! 包丁づくり体験、お願いします!』」 ;SE stop ;SE ドア空き ;環境音 F.O. ;参考動画 https://youtu.be/lvGd1NFvNxI ;環境音 包丁づくり工房 F.I. ;1/前(マイクに背中向き) 【すずしろ】「わ――わぁ! 工房って感じ…… これ、写真撮っても大丈夫ですか? (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――! ありがとうございます! なら、マネージャ、撮って! 撮って!!」 ;SE 数秒ごとにシャッター、5回 ;9/前遠 ;*ポーズとって→シャッター切られて→ポーズ変更の繰り返し 【すずしろ】「こう? (呼吸音)―― で、次は――(呼吸音)―― あ、ここでも――(呼吸音)―― っと、ちょっと大人っぽい表情に――(呼吸音)―― ん、ラストは、元気に――『いぇいっ!』――(呼吸音)―― うふふっ!!」 ;3/右(寄り添い) 【すずしろ】「撮れ高どーお? (呼吸音)――あ、いい。さっすがマネージャー! これ、あとでミンスタにあげといてほしい――って」 ;SE すずしろ足音一歩 ;1/前(マイクに背中向けてあたりをきょきょろ) ;話しかけてる相手は鍛冶屋さん 【すずしろ】「(感心の息) ――ここ……工房って、単純に綺麗な場所なんですね。 最初『素敵』って思った瞬間、よくみないで動いちゃいましたけど……」 【すずしろ】「窯の中でごうごう燃えてる炎は格好いいし――(呼吸音)―― ベルトのついた大きな機械は……ヤスリかなんかですか? すごく素朴な力強さを感じるし―― (呼吸音)――」 ;SE すずしろ足音数歩→止まる 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)――って!? びっくりした! このバケツの中、これ―― めちゃくちゃたくさん刃物が砂に突き立てられてのって……(考える呼吸)――あ! つくりかけとかなんですか?」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ああ、なるほどです。 (呼吸音)(呼吸音)――って、そうですね。 体験の時間、おしゃべりで減らしちゃったらもったいない。 ごめんなさい。すずしろ、嬉しくてはしゃぎすぎちゃっ――!?」 ;1/前 (マイク向き) 【すずしろ】「マネージャー! 見て! ここ、穴!!。 なに使うんだろう、まるで機関庫のピットみたい…………って」 ;SE すずしろ足音素早く一歩 ;3/右(マイクと同じ視線) 【すずしろ】「やだ、本当にごめんなさい。すずしろ、はじめての体験だとついついテンションあがりがちになっちゃって――(芝居がかった咳払い) ――あらためまして、本日は包丁づくり体験のご指導。どうぞよろしくお願いします」 【すずしろ】「それで――(呼吸音)――あ、はい。 まずはこちらの大きな機械の前に座ればいいんですね――失礼しまーす」 ;SE 椅子に座る ;1/前 【すずしろ】「……(呼吸音)――はい。わかりました。何もいじらないで待ってます。 危ないですもんね。うん。 <;SE 鍛冶屋足音遠ざかる、鉄の音、かちゃかちゃ> ……(呼吸音)――ぁ」 ;SE 金属をガンガン叩く音 ;1/前 (小声) 【すずしろ】「……ね、マネージャー、外で聞こえてた音って、アレだったんだ。 炉に金属を差し込んで、ひっぱりだしてガンガンたたいて――また差し込んで――」 【すずしろ】「ってか、ふふっ。『危ないからなにもいじらず少し待っててください』なんて。 すずしろ、そんないたずらっこに見えちゃったのかな。 盛り上げなくちゃ、ってだけじゃなく……素でうれしくて、はしゃぎすぎちゃったのかも」 ;SE 金属をガンガン叩く音(継続) 【すずしろ】「(じっと見惚れる呼吸。一分ほど)――あ!」 ;SE 鍛冶屋足音近づいてくる。 【すずしろ】「あの、鍛冶屋さん。教えてもらってもいいですか? 今叩いてた真っ赤に焼けたのって一体――(呼吸音)(呼吸音)――」 【すずしろ】「ふんふん。二枚のステンレス板の間に鋼を挟んだもの――(呼吸音)(呼吸音)―― ああ! それが包丁の胴体の部分……腹と、それから刃(やいば)になるんですね。なるほど〜」 ;SE 鍛冶屋が、やっとこでつまんだ焼けた包丁をベルトハンマーの上に乗せる 【すずしろ】「(感心の息)……あー、近くで見せてもらうと、わかります。 もう包丁っていうかナイフっていうか――刃物の形してますね。強そう」 【すずしろ】「で、これを……(呼吸音)(呼吸音)――ん。 この機械のペダルを、つま先でかるぅく踏み込む。 ええと――まずは慎重に……」 ;1/前 (マイクに背中向) ;$=;SE 機械のハンマーが落ち、金属板を叩く 【すずしろ】「そーっとそーっと $ ひゃっ!?」 【すずしろ】「なるほど。ペダル踏むとハンマーが落ちてきて…… (呼吸音)――はい――(呼吸音)――はい――(呼吸音)」 【すずしろ】「強く踏み込めばハンバーが落ちるスピードがあがる。 ……ってことは、踏み込む強さでハンマーの速度をコントロールできるわけですね」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)――なるほど、了解です。 鍛冶屋さんが刃を動かしてくれるのに合わせて、すずしろがペダルを踏み込む。 そうして刃を叩いて薄ーく伸ばしていく」 【すずしろ】「あ――(呼吸音)(呼吸音)――単純に薄くすればいいってもんじゃなくって、 腹が厚くて、刃先が細いのが、包丁の形として理想的」 ;1/前(マイクに背中向き) “ね”→から体そのままで首だけ振り返る 【すずしろ】「難しそう――(ごくりっ)――けど、うふふっ、楽しみ! ね、マネージャー、やってみるから、ちゃんと見ててね!」 ;SE 断続的にハンマーが落ち、金属板を叩く(継続) ;1/前(マイクに背中向き) 【すずしろ】「ん……(呼吸音)――っ――(呼吸音)――(呼吸音)――(呼吸音)――」 【すずしろ】「あ、はい。もう少し強く―― んっ――(呼吸音)(呼吸音)―― あっ――(呼吸音)(呼吸音)――」 【すずしろ】「わかってきた、かも―― (呼吸音)――叩く速度で――(呼吸音)―― 伸び方が――(呼吸音)―― 目に見えて――(呼吸音)――」 【すずしろ】「ってことは、もっと――(呼吸音)―― この、くらいで――(呼吸音)―― うん――(呼吸音)――っ――(呼吸音)」 【すずしろ】「(集中した呼吸音、30秒ほど)――うん!!」 ;1/前 (マイク向き) 【すずしろ】「ね、マネージャー! 見ててくれたよね! すずしろ――あははっ! はじめてにしてはイケてるよね? かなり上手にできたかなーってすずしろ的には思んだけど――(呼吸音)――わ!」 ;SE 鍛冶屋がやっとこで包丁つまみあげる ;1/前(マイクに背) 【すずしろ】「(嬉しさを抑える呼吸)――すごい、すずしろが叩いたことで――(呼吸音)(呼吸音)―― ね、マネージャー! さっきよりずうっと包丁らしくなってるよね、これ! ――あ」 ;SE 鍛冶屋足音遠ざかる ;SE 火にくべ→鉄床+ハンマーでガンガンを繰り返し (継続) ;1/前 (マイク向き) 【すずしろ】「……また火にくべてガンガン――(呼吸音)(呼吸音)――なるほど、そか、 機械で叩いたままのボコボコ、ああして均(なら)してくれてるのか――(呼吸音)」 ;SE stop ;SE 鍛冶屋足音 ;15/左遠方向に ;1/前 (体マイク向きのまま、首を左に向けて) 【すずしろ】「次は――(呼吸音)(呼吸音)――グラインダー! やった、普段から馴染みのある機械! (呼吸音)(呼吸音)――あ、はい。そうなんです。えへへ。 レイルロオドは鉄道車両の整備の手伝いもしますから」 【すずしろ】「すごくおっきいところだと、また話は別かもしれないんですけど、 小さな鉄道事業者の蒸気機関車レイルロオドなら、 グラインダー扱えるこ、結構多いと思いますよ」 【すずしろ】「(呼吸音)――はい、いまそっちにいきます。 ね、いこ! マネージャー」 ;SE すずしろ足音、数歩 ;7/左 【すずしろ】「……(呼吸音)――グラインダーで、包丁の背の形を整える。 これは普通に、グラインダーに包丁をあててやれば―― (呼吸音)(呼吸音)――うん。多分、さっきのよりは上手にできそうな気がします」 ;7/左 (耳打ち/囁き) 【すずしろ】「マネージャー、ここは多分、絵になると思うから撮っといて? 普段からしてることの延長だし……うん。やれるはず」 ;SE ベルトグラインダーかける ;7/左(マイクと同じ視線) 【すずしろ】「ん……(集中した呼吸音と、作業ニュアンス。一分ほど)」 【すずしろ】「っと――もう少し……(呼吸音)(呼吸音)―― ん――(呼吸音)――うん!」 ;7/左(マイク向き) “なかなか”から ;7/左(マイクと同じ視線) 【すずしろ】「どう!? マネージャー、鍛冶屋さん。 なかなかものものだと思いません?」 ;7/左(マイクと同じ視線) 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)――うふふっ、ありがとうございます! 普段のディスクグラインダーじゃなくてベルトのヤツだったからちょっとドキドキしたけど、 綺麗にできてるんならよかったです」 【すずしろ】「そうしたら次は……(呼吸音)(呼吸音)―― 回転砥石でおおまかに研いで、今削った部分をなめらかにしていく…… って、それ――仕上がりに直結する部分ですよね。見た目だけじゃなく、切れ味のとこにも」 【すずしろ】「……(呼吸音)(呼吸音)――なら、すずしろ―― せっかく作るんだし、ずっと使えるものになったらいいなーって思うから―― だから、もしもそうしてもオーケーなら、鍛冶屋さんにお願いしたいんですけど……(呼吸音)」 【すずしろ】「あ! オーケーですか。うれしい! じゃあすずしろ、マネージャーと一緒に見学してます」 ;SE 回転水ヤスリ 【すずしろ】「(感心して見惚れる呼吸とニュアンス30秒ほど)…… <;SE stop> あ」 ;SE 棒やすり 【すずしろ】「そしたら――ああ、次もヤスリなんですね。 棒ヤスリで……あー、包丁の取っ手になる部分削るんだ――(呼吸音)―― 角度を出して……(呼吸音)―― あー、すごい……(呼吸音)――鮮やか――(呼吸音)―― プロの技って、やっぱ見てるだけで楽しい……」 ;SE stop ;SE 鍛冶屋足音 一歩 【すずしろ】「(感動の息)――わあ! こんなになめらかになるって――。 すごい、感動――(呼吸音)――ここまで綺麗になったなら、 きっとあとは刃をしあげるだけ――(呼吸音)――あ、まだですか。その前に……はい」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)――焼入れと、焼き戻し。 ん……なんか聞いたことはある気がするんですけど…… えと、具体的にどんなことやるのか、教えてもらえたらうれしいです」 【すずしろ】「……(呼吸音)(呼吸音)―― ステンレスの間に挟まれている刃を火に焚べて、780度から800度に熱して、そこから冷まして、固くする――それが、焼入れ」 【すずしろ】「これもそれなら見学ですね――(呼吸音)―― ですよね! めちゃくちゃ難しそうですもんね」 ;SE 足音数歩 ;SE 焼入れ 【すずしろ】「いま形を整えた包丁を――やっとこで掴んで――(呼吸音)――火の中に……(見惚れる呼吸)……」 【すずしろ】「……あれ?  780度から800度って――温度計いったいどこに――(呼吸音)(呼吸音)――えっ!!? そんなのない――眼でみた、焼けた鋼の赤みで判断するって――(呼吸音)」 【すずしろ】「熟した柿の色が目安、ですか……(呼吸音)…… それって――(呼吸音)(呼吸音)――めちゃくちゃ――(呼吸音)―― プロのわざとしか――(呼吸音)――あ!」 ;SE やっとこでつまんだ鋼を火からだし、180度の油につける 【すずしろ】「っ! (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― あれ!? じゅわっていわない――こぽこぽって―― 水につけたのになんで……(呼吸音)(呼吸音) って、油!?」 【すずしろ】「油につけて鋼を冷ます――(呼吸音)――!!? 180度! って、熱湯とりも熱い温度で――あ、だから油つかうのか」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)……なるほど、ですよね。 800度まで熱したんだから、180度でもかなり冷ましてることになる……(呼吸音)―― あ……(呼吸音)――へぇ。むしろ冷たい水に一気につけたらもろくなっちゃうんですか」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――。 急激すぎる変化は脆さなって、 ゆるやかな変化は粘りを生む。 なんか……それってすごく深いですね」 ;7/左 ちらっとマスターの方を気にしながら 【すずしろ】「人間関係とかも、そうなのかなって気が……お話きいてたらしました。 すずしろはレイルロオドだからそういう経験ないですけど―― 一目惚れとか、急に熱して急に冷めちゃうみたいなのは壊れやすくて」 【すずしろ】「それで、なんとなくずっと一緒にいるみたいな関係の方が――って、あはは! ドラマとか映画の影響うけすぎですね、すずしろ。 ってか、ええと――焼入れおわったそのあとはどうするんですか? ――あ」 :SE もう一回やっとこ刃物を火の中に 【すずしろ】「また焼く!? ――(呼吸音)(呼吸音)―― あーー! これがさっきいってた“焼戻し”――(呼吸音)―― 今度はもっと低い――包丁が赤みを帯びない温度まで。 けど、それだと見た目から温度がわからないから? ――あっ!」 ;SE 手で水をすくい、焼けてる包丁の上にじゅわじゅわさせる 【すずしろ】「――かけた水の水音や水玉の出来具合で、温度をみるって―― またまためちゃくちゃプロですね! すごい――っ!!!」 ;SE やっとこ包丁を一気に水につける。じゅわーーー! 【すずしろ】「じゅわって言ってる! 今度はお水――あ、やっぱり!! これで一気に鋼が固まる――(呼吸音)(呼吸音)――ああ……」 ;7/左 “メモ”から下(手元)むいてひとりごと 【すずしろ】「『包丁に魂が宿った瞬間』……(呼吸音)―― 綺麗な言葉……――! メモっとかなきゃ なんか、どこかでアドリブでつかえるかもしれないし」 ;SE メモを取る、とりおわる ;7/左(マイクと同じ視線) “でしたら”で →;1/前 【すずしろ】「で、今宿った魂――刃(やいば)をあとは削り出す…… (呼吸音)(呼吸音)―― あ! 最後の仕上げの砥石をかけていくのは――それなら」 ;1/前 (近い) 【すずしろ】「マネージャー……っていうか、マスター。 仕上げの砥石がけは、すずしろ、マスターにお願いしたい」 【すずしろ】「この包丁も、すずしろと同じに…… マスターにとって一番使いやすい――そんな道具になってほしいって思うから」 ;1/前 (密着。手を重ねるイメージ) 【すずしろ】「だからその手で――磨いてほしいの」 ;SE 環境音 F.O. ;//////// ;Track4 クマ川くだり/(川下り環境音ASMR) ;//////// :SE 手を流れる川の水につける ;3/右 【すずしろ】「ああ……(うっとりとした呼吸)」 ;環境音 クマ川下り中、川下り船内 【すずしろ】「これ……気持ちいい―― 船って、不安定そうで怖くって、いままでずーっと避けてきたけど……」 【すずしろ】「御一夜名物、クマ川くだり。 名物になるだけのことはあるなぁ。わかる! ゆらゆらするの、列車ともちょっと似ていて落ち着くし……」 【すずしろ】「天気もいいし―― 季節も、もしかしたら今が最高なんじゃないかって気がする―― 落ち葉がひらひら……舞台でもらう紙吹雪より、もっと、ずうっと――」 【すずしろ】「(ゆったりとした呼吸で、一分ほど川の流れの音を楽しむ)」 【すずしろ】「……落ち葉も川も、鳥たちも船も、まるで歌っているみたい…… すごく綺麗。綺麗でゆたかで――ああ、本当に気持ちいいなぁ……」 【すずしろ】「…………(呼吸音)――こうしていると、思い出しちゃう。 あのときは、落ち葉でも紙吹雪でもなく、粉雪で――」 【すずしろ】「すずしろ役をしてくれてた女優さんが、急に倒れて、すごい熱で。 ……病院から連絡があって、撮影に復帰するのが無理だって――なって」 【すずしろ】「……(深い息)。 すずしろ、お芝居のお手伝いをするだけのはずだったのに…… レイルロオドのお仕事のこととか、動きとか、そういうのを女優さんに教えてあげるだけの約束だったのに」 【すずしろ】「……代役だとか突然言われて……(呼吸音)―― うん。あのときは、、完全にパニックになっちゃったよね。 監督が『できる』っていってくれても、そんなの信じられるわけがないし」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……きゅっ、って」 【すずしろ】「すずしろ、怖くなって逃げたくなって――だけど、マスターがきゅって、すずしろの手を掴んでくれて。 ――“できなくってあたりまえ、むしろ、できないって証明した方が早く次を探してもらえる”って」 【すずしろ】「言ってもらえて、支えてもらえて。それもそうって、なんだかすっごく気楽になって。 “さっさと試して失敗しよう”って――やってみたら、できちゃって――演じるの、すごく楽しくて!」 【すずしろ】「どこにでもいる平凡なレイルロオドのすずしろが、 ドラマの中では、演じることで! 全然違うすずしろになれる」 【すずしろ】「もうひとりのすずしろになるだけじゃなく。 女王様にだって、奴隷にだって、殺人鬼にだって、刑事にだって―― 初めての恋に戸惑う、平凡な女の子にだってなれる」 【すずしろ】「役をいただく、役を演じる。その楽しさを、喜びを―― マスターがマネージャーになって与えてくれた。 たくさんの役をとってきてくれて、たくさんのすずしろを教えてくれた」 ;SE すずしろ身じろぎ ;3/右(少し身を寄せる) 【すずしろ】「あの、ね。だけどね。マスター」 ;3/右 (耳打ち) 【すずしろ】「本当はすずしろ、なんにも、少しも変わってないの」 ;3/右 【すずしろ】「マスターといるときだけは、ただのレイルロオドに戻れる。 C12 67の罐水清浄機(かんすいせいじょうき)――どうにか安定しないかなぁって、 何年も何年もおんなじことに悩まされて。 これだ! って思って修理して。やった! なおった! って喜んで」 【すずしろ】「なのに、二週間もすると――(呼吸音)―― ねー、あはは――また別のこと故障しちゃって」 【すずしろ】「油と水にまみれてもくもくと整備して。 マスターに声をかけてもらえるまで、終業時刻になってることにも気づかない…… そんなどこにでもいるごく平凡なレイルロオドに……マスターといると、戻れるの」 【すずしろ】「それが……ものすごく安心するんだぁ。 役を演じて、役を演じて、役を演じて、役を演じて…… 役を離れたときだって、他の人が誰かいるだけでやっぱり―― 『女優のすずしろ』を演じなくっちゃいけなくなるから」 【すずしろ】「マスターが、マネージャーまでしていつでも側にいてくれるから……きっと、素顔のすずしろを、見失わないで済んでるの。 どんなに役に入り込んでても、『おつかれ』っていってもらえるそれだけで――すずしろは、すずしろに戻れるの」 【すずしろ】「だから……ええっと……(言葉を探す呼吸。数秒)」 【すずしろ】「……ありがとう。マスター。マネージャー。 って……ううっ――素顔でいうの、恥ずかしい、これ――」 ;$=SE水棹がそっと水に潜る音。ちゃぷん 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― $ !!? あ、そう。そうだった。うん。 音探し、『いい音』で終わっちゃ、紹介にならないもんね。 ちゃんと――もっとじっくり聞かないと」 ;SE すずしろ身じろぎ ;3/右 (少しマスターと離れる) 【すずしろ】「(一分ほど、傾聴しているので抑えめの呼吸)」 【すずしろ】「……川のせせらぎ。鳥たちの声。落ち葉を散らす風の音。 どれもとっても素敵だけど――うん。クマ川くだりじゃなくても聞けるよね。 だから、ここでのイチオシとして、きっと紹介するべきなのは――」 ;SE 水棹が水を割り、トン、と岩を突く 【すずしろ】「今の音! えと、水棹(みざお)であってるっけ? お船の舳先の船頭さんが川の水を割って、船を流れへ乗せる音…… それと――」 ;SE 櫓の音強調 【すずしろ】「櫓(ろ)の音……船の後ろのともはりさんが、川面をかき分け、船を先へ先へと進めてくれる音」 ;環境音、櫓と水棹の音を強調 ;3/右 →自然と寄り添っていく 【すずしろ】「(静かに聞き入る呼吸。90秒ほど)」 ;3/右(寄り添い) 【すずしろ】「(満足の吐息)」 【すずしろ】「これも、プロの音だよね。 人間の技術の粋の音が、自然の音と溶け合って…… ほんと、ものすごくここちいい――」 【すずしろ】「もしかして、だけど―― 御一夜鉄道のハチロクさんとかって、 こんな素敵な音に囲まれて毎日を過ごしてるから、 気品……身についたのかなぁ」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)…… あ――うん。確かに。 すずしろたちのまわりにも、万岡鐡道沿線にも、この音にだって負けないような素敵な音があって。 けど、すずしろたちには日常の音すぎるから、聞き逃しちゃってるだけなのかも」 【すずしろ】「『音を探す』って意識してるから、クマ川くだりの音の素敵さにだって気づけたんだろうし…… 例えば――例えばそう! すずしろたちには、『鳥たちの鳴き声』にしか聞こえないこれだって」 ;環境音、鳥の鳴き声強調 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……うふふっ」 【すずしろ】「マスターにもすずしろにも、C12(しーじゅうに)とD51(デゴイチ)の汽笛の音を聞き分けることは簡単なのとおんなじように、 鳥が大好きな人には、鳴き声のひとつひとつが、鳥の名前とつながってで聞こえてくるんだろうねー、きっと」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――っていうかさ、マスター。 名前って、綺麗なものには綺麗な名前がついてるのが多い気がしない?」 【すずしろ】「『水棹の音』。『櫓の音』。 名前だけでも、かなり気持ちいい響きだなってすずしろは思うの。 他には例えば、『虹』『五月雨』『ホウセンカ』『お星さま』『すりガラス』 ……うん。やっぱり、きれいなものは名前も綺麗」 【すずしろ】「え……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――あ、えへへ。 『すずしろ』も綺麗な名前だったら、うれしい。 でも、すずしろって大根のことだから――女優としてはどうなのって気も―― ――あ。はい、なんですか、ともはりさん」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――えっ!? ともはり体験……って、すずしろが!? わ! おもしろそう! ともはり役! いままで一度も演じたことない―― (呼吸音)――はい――(呼吸音)――うん。(だんだんと集中していく呼吸音)。 はい! やらせてもらいます。よろこんで」 ;SE すずしろ立ち上がる 【すずしろ】「聞いてて、マネジャー。 すずしろが奏でる櫓の音が、ちゃんと、『ともやり役』を、ものにできるのかどうか」 ;SE 木の船の上、はだしのすずしろの足音 ;3/右→;1/前→;7/左→;15/左遠 【すずしろ】「(大きく息を吸う)――それっ!!!!」 ;SE 軽快でひときわ高い、櫓の立てる水音 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track5 赤井阿蘇神社で耳かきを/(右耳みみかき) ;//////// ;環境音 神社境内 ;縁側に、ふたり並んでひなたぼっこをしている   ;3/右 【すずしろ】「(長い安堵の息)」   【すずしろ】「あーーーー! 楽しかった!! ともはり体験――えへへ、マネジャーにも認めてもらえるお芝居ができて、よかったー」 【すずしろ】「ずーっと前に時代劇やったときの経験が活きたような気がする。 馬にのったときと、こう―― 腰から足の使い方の感覚、すずしろ的にはわりと似てた気がして」 【すずしろ】「けど――あはは、それに気づくまでには結構ざっぶんざっぶんやっちゃったよね。 ともはりさんにも、『ここまで大胆にやれるだけでも才能だ』って苦笑されちゃったし。 マスターにも、ちょっと怖い思いさせちゃったかもって――あれ?」 ;3/右 (少し顔を離して様子を伺う) 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――耳、どうかしたの――って!」 【すずしろ】「水!? 川の水もしかして、すずしろがざぶざぶやったときにマスターの耳にはいっちゃったの? あああ、ごめんなさい。すずしろ、役に入るとほんとにまわり見えなくて――」 【すずしろ】「けど、ここ――御一夜鉄道のニイロクちゃんが紹介してくれた神社――赤井阿蘇神社。 この境内でなら、『落ち着くまでいくらでも休んでいっていい』と言ってもらえてるから……」 【すずしろ】「(呼吸音)――うん。マスター。ちり紙をこよりにして耳の奥に入れて。 それで、お水をつうっと、すいあげちゃうのがいいと思うの」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――あ! うん。じゃあそうしよう。 マスターの耳をええっと……あ、膝枕がいい気がする」 【すずしろ】「はい、どうぞ。 <;SE ひざぽんぽん> すずしろの膝、マスターの枕にして」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――えへへっ」 ;3/右 (以降、膝枕状態) 【すずしろ】「じゃ、ちり紙をこよっちゃうから。 ちょっとだけ待ってて――んっ――」 ;SE ティッシュをちぎってこよりに 【すずしろ】「……こんなもんかな。じゃあ、耳にいれていくね。 ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり――」 ;SE こよりを耳入れ 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 ;SE こより、耳にざわざわあたり続ける(継続) 【すずしろ】「……あ、奥にあたったっぽい。 どう? マスター。こより、ちゃんと水吸ってる?」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)……あー。じゃ、少し、こよりを動かしてみる」 ;SE こよりをもぞもぞ 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――あ、よさそう? ならこのままじっと――こよりが水を吸いきっちゃうまで」 :SE こより静止(継続) 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【すずしろ】「どう、かなぁ……もうちょっと(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん」 【すずしろ】「よさそうなら、こよりを抜いてくね。 <;SE こより抜き> そっと、そおっと――――」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――はい、マスター。お疲れ様。耳の中、どう? (呼吸音)(呼吸音)――あ、さっぱりしたならよかったぁ。 じゃ、ついでに耳の中を乾かしちゃおう」 ;3/右 (息吹きかけ) 【すずしろ】「(ふーーーーーーーーーーーーーっ)(ふっ!)(ふっ!)(ふっ!)」 ;3/右 【すずしろ】「これで少しは…… って……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ああ」 【すずしろ】「これ、耳掃除も一緒にしてしまったほうがよさそうかも。 (呼吸音)(呼吸音)……うん。ってか、むしろしたい。すごく久しぶりだし」 【すずしろ】「けど、耳かき―― <;SE ポーチごそごそ>――あ! はいってた!! そか、こないだのとき…… ん……(ふー)(ふーっ)。 大丈夫、ばっちり使える。 それじゃ、耳かきはじめるけど――」 ;3/右(耳打ち)  【すずしろ】「眠くなったら、寝ちゃっていいから。 マスターとしても、マネージャーとしても、働き詰めでがんばってくれてるんだし」 ;3/右 【すずしろ】「それじゃあ、いくね。 まずは、浅いところから……」 ;SE 耳かき(浅・継続) 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【すずしろ】「ん……(呼吸音)(呼吸音)―― ってか、今日――(呼吸音)――ふふっ! いいオフに、なったね――(呼吸音)―― すごく……(呼吸音)……ものすごく」 【すずしろ】「音を、探すとか――(呼吸音)―― そんなの、全然――(呼吸音)―― 経験、なくて――(呼吸音)(呼吸音)―― すずしろ――(呼吸音)――最初、は――(呼吸音)」 【すずしろ】「一瞬だけ――(呼吸音)――とまどって――(呼吸音)―― へへっ、けど――(呼吸音)―― 失敗、しても――(呼吸音)――次いくだけって――(呼吸音) 昔、マスターが――(呼吸音)――いってくれた――」 【すずしろ】「あれ、思い出して――(呼吸音)―― だから、前向きに引き受けられて――(呼吸音)―― 引き受けたら、また――(呼吸音)―― 世界――(呼吸音)――すずしろの、世界――(呼吸音)――」 【すずしろ】「音、から――(呼吸音)――ぶわって――(呼吸音)―― ひろがって――(呼吸音)―― 知らなかったこと――(呼吸音)――また、知れて――(呼吸音)―― マスターが、となりに、いつでも――(呼吸音)――あ」 ;SE stop 【すずしろ】「ここ、耳のふちのとこ、裏側がよく見たら汚れちゃってる。 ちょっと重点的にやっちゃう……(呼吸音)――ん――」 ;SE 耳のフチの裏かりかり耳かき(継続) 【すずしろ】「カリカリ……(呼吸音)―― コリコリ……(呼吸音)―― カリカリ……(呼吸音)―― コリコリ――(呼吸音)」 【すずしろ】「指で――(呼吸音)―― 耳のふち――(呼吸音)―― くるんて――(呼吸音)―― めく、って――(呼吸音)――」 【すずしろ】「カリカリ――(呼吸音)―― コリコリ――(呼吸音)―― カリ――あ……(呼吸音)―― これ、ちょっと――(呼吸音)――はりつい、て――(呼吸音)」 【すずしろ】「ん……(集中した呼吸音)*4 ――ぁ―― もうちょっと――ん……」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――あ <;SE stop> オーケー、とーれた」 ;SE ちり紙ぬいて耳かき拭き ;3/右 (ふきかけ) 【すずしろ】「(ふーーーーーーーーーーーっっ)」 【すずしろ】「ん〜……ん……――ん〜〜? ――ん…… うん。よし! これで浅いところは綺麗にしあがったかな」 【すずしろ】「そしたら次は深いとこだねー。 さっきもいったけど、眠くなったら寝ちゃってね? すずしろも、そしたらおっかけて寝ちゃうから――ふふっ!」 【すずしろ】「じゃ、いくねー。 ん……(呼吸音)」 ;SE 耳かき(深・継続) 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【すずしろ】「って、いうか――(呼吸音)―― 今日、さ――(呼吸音)―― 音探し、とか(呼吸音)―― したせい――(呼吸音)――なのかな――」 【すずしろ】「すずしろ、レイルロオドだし……(呼吸音)―― ミミカス、でないし――(呼吸音)―― みみかき、なんて――(呼吸音)―― 必要なくて……(呼吸音)(呼吸音)」 【すずしろ】「される側、には――(呼吸音)―― 一度も、まわったこと――(呼吸音)―― もちろん、なくて――(呼吸音)―― なかったんだけど――(呼吸音)(呼吸音)――」 【すずしろ】「こうして、耳かきが――(呼吸音)(呼吸音)―― ちょこ、ちょこ――(呼吸音)―― かり、かり――(呼吸音)―― 耳の中を、さ――(呼吸音)――」 【すずしろ】「動いてる、とき――(呼吸音)―― マスターの――(呼吸音)――耳の、中では―― どんな、音が――(呼吸音)―― いったい、響いて、いるのか、と、か――」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ふふっ」 【すずしろ】「少し、だけ――(呼吸音)―― 気になってきて――(呼吸音)―― 録音、だとか――(呼吸音)―― できたら――(呼吸音)――、面白そうかな、とか――(呼吸音)――ん!」 ;SE stop ;3/右 (吹きかけ) 【すずしろ】「(ふーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ)(ふっ!)」 【すずしろ】「ん……っと――(呼吸音)(呼吸音)――ん…… ぁ、とりのがしみーっけ」 ;SE 耳かき(深・継続) 【すずしろ】「これだけ……(呼吸音)(呼吸音)―― んんっ――(呼吸音)――この、取り逃しの――(呼吸音)―― かたまりの――(呼吸音)―― だけ――(呼吸音)――」 【すずしろ】「んっ……(集中した呼吸音x3)――っと――よしっ」 【すずしろ】「(息を詰め、慎重な呼吸音x4)」 【すずしろ】「ん――(呼吸音)――うん。 <;SE stop> (安堵の息)――今度こそ仕上がったかなー」 ;SE 耳かき拭き 【すずしろ】「これで、きっと―― (ふーーーーーーっ)(ふっ!)(ふっ!)」 【すずしろ】「(無言でじっくり耳の中を伺う呼吸。数度)――うん」 【すずしろ】「結構プロのしあがりっぽい感じする。 なーんてすずしろ、調子に乗りすぎかもだけど。 でも、えへへっ」 ;3/右 【すずしろ】「マスターも気持ちよさそうにしてくれてたから。うれしくて」 【すずしろ】「あははっ! じゃ、左の耳も耳かきしちゃおう。 すずしろが『ぐるーーーん』っていったらら、 身体をぐるんていれかえて、今度は反対、左の耳を上に向けてね」 【すずしろ】「いーい? いくよ。それじゃあ、せーので!」 ;3/右→;1/前→;7/左 【すずしろ】「『ぐるーーーーーーーーーーーーん!』」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track6 赤井阿蘇神社で左耳みみかき/(左耳みみかき) ;//////// ;7/左(吹きかけ) 【すずしろ】「(ふーーーーーーーーーーーーーーっ)」 ;環境音 神社境内 F.I. ;7/左 【すずしろ】「左の耳には、水が入らなかったんだよね。 けど――うん、念の為。 こっちにもこよりを入れて、濡れてる部分がもしもあったら、乾かしちゃおう」 【すずしろ】「ん……」 ;SE ちりがみちぎってこより作成 【すずしろ】「力まないで、そのままゆるーって、リラックスしててね……」 ;SE こより入れ 【すずしろ】「ん……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……っと」 ;SE こより静止 【すずしろ】「耳の奥、どんな感じ? へんな感じするとことこだとか、もしもあったら教えてね」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん。そうしたらくるくる動かして、 お耳の奥の小さなちりだけ、こよりにくっつけて取っちゃおう。 ん、と――」 ;SE こよりくるくる (継続) 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――あ、えへへ、気持ちよさそうだねー―― あと……(呼吸音)――んとさ、、どんな音が聞こえてる? 耳の中」 【すずしろ】「だって、さ――(呼吸音)―― こういうふうに、してるとき――(呼吸音)―― マスター、すごく――(呼吸音)―― 気持ちよさそうな――(呼吸音)――顔に、なるから――(呼吸音)――」 【すずしろ】「感触、だけじゃ――(呼吸音)―― なくって、さ――(呼吸音)―― 音も、気持ちいい感じのが――(呼吸音)―― 聞こえてたりとか――(呼吸音)――するのかなー、って」 ;SE stop 【すずしろ】「そこが少し、気になっただけ。 すずしろレイルロドだから――この先もずっと知ることないから。 だからかえって気になっちゃったみたいな感じなのかも。 って、そんな話はどうでもいいから、左の耳も掃除しちゃおう」 【すずしろ】「浅いとこからいくよー。ん……」 ;SE 耳かき(浅・継続) 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……ぁ……」 【すずしろ】「すずしろ、の――(呼吸音)―― 耳の、中、なら……(呼吸音)(呼吸音)―― センサ類……聴覚センサとか――(呼吸音)―― あとバランサーとか――(呼吸音)――はいってる、から――(呼吸音)――」 【すずしろ】「もし、耳かきを――(呼吸音)―― マスターが、すずしろに――(呼吸音)―― してくれる、気に――(呼吸音)―― なったと、しても――(呼吸音)――」 【すずしろ】「故障リスクが――(呼吸音)―― どうしても――(呼吸音)―― 避けられないって――(呼吸音)―― ことになっちゃう――(呼吸音)…………ぇ?」 ;SE stop 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――イヤースコープ……カメラ付きの耳かき! (感心の息)……そんな便利なものあるんだ、すごい! すずしろ使ってみたい」 【すずしろ】「あ!? そか――それ使ったら逆も―― めちゃくちゃ小さなレンズとLEDライトが耳かきの先についているから―― 耳の内側を確認しながら、安全に耳かきできるから」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……うん!! してほしい! イヤースコープ注文したら、とどいたら! すずしろ、マスターに耳かきしてもらって―― えへへ! どんな音が聞こえるか、どんな感触かすごく知りたい!」 【すずしろ】「えへへっ! やったー! あああ、楽しみ、待ち遠しい! あっ、てか!」 【すずしろ】「そのときのお手本にしてもらえるように、 ここから先の耳かきは、もーっと丁寧に行っちゃおっかな。ふふふっ!」 ;7/左(ふきかけ) 【すずしろ】「(ふーーーーーーーっ!)(ふーっ!)(ふっ!)」 ;SE 耳かきふき ;7/左 接近囁き 【すずしろ】「ふかいところいくけど、ゆるーってしてていいからね。 なーんにも考えないでゆるーって。全部すずしろに任せて」 ;SE 耳かき(深・継続) 【すずしろ】「ん……(呼吸音x4)」 【すずしろ】「こっちは――(呼吸音)―― ん……――(呼吸音)―― 右耳、より――(呼吸音)―― なんで、かな――(呼吸音)……」 【すずしろ】「結構、汚れが――(呼吸音)―― めだつ、感じで――(呼吸音)―― ん……これ――――(呼吸音)―― もうちょっと、こう……(呼吸音)(呼吸音)――って、あ」 【すずしろ】「考えてみたら――(呼吸音)―― マスターの耳の、奥の――(呼吸音)―― 鼓膜、こそ――(呼吸音)―― めちゃくちゃ、繊細な――(呼吸音)―――センサー、なんだし(呼吸音)――」 【すずしろ】「焦っちゃ、だめ、だね――(呼吸音)―― 絶対ムリとか――(呼吸音)―― しない、よう――(呼吸音)―― ん……(呼吸音)――(呼吸音)――」 【すずしろ】「とにかく、慎重に――(呼吸音)―― 丁寧に、に――(呼吸音)―― そうっと、そうっと――(呼吸音)―― 大事に、大事――に――(呼吸音)(呼吸音)――」 【すずしろ】「(集中した呼吸音x4)」 【すずしろ】「っと、大きい、の――(呼吸音)―― これ――(呼吸音)(呼吸音)――」 【すずしろ】「こぼさないよう――(呼吸音)―― 慎重に――っ――慎重、に――(呼吸音)――」 【すずしろ】「(息をつめた呼吸音x3)――っ、〜〜〜〜〜っ!」 ;se stop 【すずしろ】「(安堵の息)――とれた。よかったぁ」 ;SE 耳かきふき 【すずしろ】「あとは―― (ふーーーーーーーーっ)」 【すずしろ】「ん〜……っと――(呼吸音)―― ん――(呼吸音)――あー、はしっこか」 ;SE 耳かき(深・継続) 【すずしろ】「お手本に――(呼吸音)―― してもらうって――(呼吸音)―― さっき、いったし――(呼吸音)―― 見逃す、だとか――(呼吸音)――」 【すずしろ】「ありえない――けど――(呼吸音)―― これ――ひっついて――(呼吸音)―― ん……(呼吸音)―― ぁ――(呼吸音)(呼吸音)――」 【すずしろ】「ちょっと、ずつ――(呼吸音)―― ちょこっと、ずつ――(呼吸音)―― ん……(呼吸音)――(呼吸音)―― 耳かき、の――(呼吸音)――薄いとこ、つかって――(呼吸音)――」 【すずしろ】「(集中した呼吸音x4)――んっ!……(大きく安堵の息を吐く)」 ;SE stop ;SE 耳かきふき 【すずしろ】「よかった。取れた。 えへへ――やったぁ」 【すずしろ】「っと―― (ふーーーーーっ!)(ふっ!)(ふっ!)」 【すずしろ】「ん〜〜〜―― ん〜〜――うん! こっちもこれで仕上がったねー。 マスターおつかれさま――って、ぁ―― (でそうででないマスターのアクビを見守る呼吸→無事でた)」 【すずしろ】「あはは、おっきなおくびだったねー。 マスター、もう結構ねむいんだ」 ;SE 頭をそっと撫でる 【すずしろ】「お疲れてるもんね。わかる。すずしろもおなじだし。 だから、さ。このままちょっと―― いいよね、ゆるんで、やすんじゃっても」 【すずしろ】「役を離れて、仮面をはずして…… マスターとふたりっきりだし……ゆるんじゃっても、かまわないよね」 ;環境音 F,O. ;//////// ;Track7 ゆうやけ、うたたね/(うたたねウィスパー) ;//////// ;以降、ずーっと安眠導入のためのウィスパーで御願いいたします。 ;SE 頭なで(継続) ;7/左(膝枕まま) 【すずしろ】「いいこ。いいこ。いいこ。いいこ。 いいこ。いいこ。いいこ。いいこ」 ;環境音 神社境内(F.I.) 【すずしろ】「……えへへ、普段はすずしろ、マスターに、マネージャーにおんぶにだっこだから。 こういうふうに見守るみたいの……めずらしくって、すごくうれしい」 【すずしろ】「……うん。うれしい。 くっついてるとこあったかいし。 そのあったかさの何倍も―― こころが、きもちが、安心しててぽかぽかするし」 【すずしろ】「(満ちたりきった呼吸x4)」 【すずしろ】「日が暮れちゃうと、寒くなるよね…… だけど、それまでの短い間は―― このまま一緒に…… マスターと、すずしろ、うたたねしたいかなぁって」 ;SE stop 【すずしろ】「……音探し、すごくたのしかった。 役の中でも経験の無いことだったから、 耳をつかって、こころをつかって、 いまふりかえると……あはは、結構つかれちゃったけど」 【すずしろ】「それでも――うん。 またしたいくらいたのしかった。 っていうか、マスターとすずしろの町で…… 万岡でも、音探しまた、してみたいかな」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――そっか、そうだね。すればいいんだ。 新聞記事は、『蓄音レヱル』の万岡鉄道沿線編は、 今回の御一夜と交換で、 御一夜鉄道の誰かに任せちゃえるんだから……」 【すずしろ】「今日みたく、“ここちいい音”“紹介したら喜んで貰えそうな音”とかに縛られないで―― マスターとすずしろの暮らしてる町にきっとある、 聞きのがしちゃってるけどよく聞いたらちょっといい、みたいな――うふふっ、 そんな地味ーな音探しとかも、とってもとっても楽しそう」 【すずしろ】「っていうか――楽しいに決まってる。 マスター一緒なんだから。 なんのお芝居もしなくてもいい、なんにも考えなくていい。 いい音も、つまらない音も、なんにも見つからなくてもいい」 【すずしろ】「場所だって、万岡じゃなくても、他のとこでも―― (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― あ……うん。 どこでもいいなら――もしもどこでも、すずしろが好きなとこに音探しの旅できるんだったら」 【すずしろ】「(しばらく考え込む呼吸音)――そう、だね。それならすずしろは――」 【すずしろ】「北開道(ほっかいどう)に――あのドラマの、ドラマ『すずしろ』のロケ地に…… 明日吠(あしぼえ)駅に……いきたいなぁ」 【すずしろ】「マスターとすずしろが、マスターとレイルロオドじゃなくて、 マネージャーと女優になった、あの駅で……」 【すずしろ】「どこまでもまっすぐ伸びる、あの線路の音を聞いてみたい。 線路沿いに小さく揺れる、すずらんの音を聞いてみたい」 【すずしろ】「ああ――そうして。 もう聞けっこない、遠い昔の音だけど」 【すずしろ】「緊張で全然耳に入らなかった―― すずしろがはじめて『すずしろ』役を演じたシーンの…… ファーストシーンのカットを告げるカチンコの音が…… どんなだったか――すっごく、聞いてみたいなぁ」 【すずしろ】「(微笑の混じるため息)――そう考えると、 そんな夢をみちゃうと、なんだか…… なんだかすごく、もったいなかったみたいな気がする」 【すずしろ】「素敵な音も、楽しい音も、反対に悲しく寂しい音も…… ちゃんと聞いたら、ずっと鼓膜に残り続けたみたいな音を―― たくさんたくさん、きっとすずしろはぼんやり聞いて…… 本当には聞き損なってきちゃったんだろうなぁって」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――! ああ、うん。そっか。そうだね。本当にそう」 【すずしろ】「いまからたくさん聞けばいいんだ。 すずしろとしても、役の中でも。 マスターと、マネージャーと一緒に、 たくさん、たくさん、素敵な音を――ぁ――ぁ――(抑えようとして抑えきれず、あくびをしてしまう)」 【すずしろ】「あはは、そうすればいいんだなーって思ったら。 なんだか急にほっとして、あくびでちゃった」 【すずしろ】「……マスターもだよね。えへへ、気が合う。うれしいなぁ。 それじゃあ、このまま眠っちゃおう。 日が暮れたなら、ニイロクちゃんがきっとお越しにきてくれるし――ふぁ」 ;どんどん眠くなっていく 【すずしろ】「もし来てくれなくったって…… このまま、ふたり――ねむっちゃっても………… ん……くっついてれば……あったか……だし……ぁ――」 【すずしろ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【すずしろ】「……聞こえる、マスターの心臓の音。 鼓動の、ひびき……(呼吸音)(呼吸音)―― ずっと前から――なんども……きいてる、はず、なのに――」 【すずしろ】「聞こえて……なかった――ん…… きづいて……なかった……(眠い息)―― こんなに、あったかで――安心、できる…… (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【すずしろ】「マスターの、みみにも、こころ、にも―― すずしろの、音……あったかに――ん…… 安心、に……きこえて……いたら…… すごく……うれしい……(呼吸音)(呼吸音)」 【すずしろ】「おやすみなさい―― すずしろのマスター――マネージャー……」 【すずしろ】「夢の、中でも……すずしろ……どんな、役だって…… マスターが……のぞんで、くれる……役…………」 【すずしろ】「ふぁ、ぁ――(大あくび)……」 【すずしろ】「ん……(浅い寝息x4)」 【すずしろ】「(浅い寝息x4)」 【すずしろ】「(寝入りつつある寝息x4)」 【すずしろ】「(寝入りつつある寝息x4)」 【すずしろ】「(穏やかな寝息x4)」 【すずしろ】「(穏やかな寝息x4)」 【すずしろ】「(熟睡寝息x4)」 【すずしろ】「(熟睡寝息x4)」 ;//////// ;Track8 Q&Aコーナー/(おまけ) ;//////// ■以下のセリフは"演者様のもの"でお願いいたします。 アドリブ大歓迎――というか、質問と回答いただけたら、どう構成していただくのも大歓迎です! 【演者】「蓄音レヱル。万岡鉄道C12 67専用レイルロオド、すずしろ、おまけコーナー!」 【演者】「こんばんわ。レヱルロマネスク、すずしろのCVを担当しててる、声優のXXです。 よろしくお願いします」 【演者】「このコーナーはQ&A形式で、わたしXXがみなさんからのご質問にお答えするコーナーとなっているんだそうです。ご質問ありがとうございます」 【演者】「ではではお答えしていきましょう。 最初のご質問は、こちらですね」 【演者】「Q:XXさんこんばんわ。XXさんのバイノーラルボイスドラマ、とっても楽しみにしていました。 バイノーラルボイスドラマと普通のボイスドラマだと、演じている側として、どんな違いがありますか? 教えてもらえたらうれしいです」 【演者】「(自由に回答をお願いします)」 【演者】「――です。 ご質門ありがとうございました。 続いてのご質問は――こちらにしましょう」 【演者】「Q:XXさんから見たすずしろのチャームポイントを教えてください。また、そこを表現するために気をつけたこととかあったら教えてください」 【演者】「(自由に回答をお願いします)」 【演者】「――です。 次が……っと、もうお時間みたいですね。 これが最後のご質問になります。 おたよりをくださったのは、ゆらゆらさんです。 ゆらゆらさん、ありがとうございます」 【演者】「読みます。 『レヱルロマネスクでいろんなレイルロオドにであったと思いますが、もしXXさんがマスターになるなら、どのこのマスターになりたいですか?』」 【演者】「(自由に回答をお願いします)」 【演者】「です。と、ここでちょうどお時間ですね。 最後まで聞いてくださってありがとうございました」 【演者】「そういうわけで、すずしろちゃんが御一夜の各所をめぐりました 『蓄音レヱル 万岡鉄道C12 67専用レイルロオド、すずしろ』 どうぞ、おくつろぎやお休みのおともになさってください」 【演者】「それでは、また。 次の駅でもお会いしましょう」 【演者】「レイルロオド・すずしろ役、XXでした! 明日の朝へ――『出発! 進行!!』」 ///