;//////// ;Track1 プロローグ。汽子の自己紹介 ;//////// ;1/前 【汽子】「蓄音(ちくおん)レヱル 〜名護耶鉄路樺郡線(なごやてつろかばごおりせん) ホジ6016(ほじろくせんじゅうろく)専用レイルロオド 汽子(きこ)。汽子の自己紹介〜」 /// :使用環境音 ☆竹島_朝_200126_0720.wav ;環境音 FI  ;汽子はロングブーツ。足元はアスファルト ;場所は竹島の海岸沿い。 ;SE 汽子足音 ;16/左前遠→;8/左前→;7/左→;1/前 ;1/前 【汽子】 「あ――マスタア。うふふっ、おはようございます。 こちらにいらっしゃったのですね。 少し探してしまいましたわ」 ;3/右 【汽子】 「まさか武島(たけしま)にいらっしゃるだなんて。 神社にご参拝……それとも朝のお散歩でございましょうか」 【汽子】 「どちらにしても、すぐお合いできてよかったですわ。 もちろん、あと二時間もすれば乗務でご一緒できますけれど……それでも、少しでも早くお知らせしたくて」 ;3/右 ”さきほど”から →;3/右(接近囁き) 【汽子】「あの、ですねマスタア。 さきほど、思いもかけぬご連絡をいただきましたの。 なんと、新聞社の記者さまから――(呼吸音)」 ;3/右(通常) 【汽子】「いえいえ! 事故や事件などは発生しておりません。 そうではなくて……記者さま、汽子とマスタアに会いたい、と」 【汽子】「どのようなご用件かは、まだくわしくは聞いておりませんですけれど、汽子、興味がございますの。 ですから、マスタアがよろしければ、と――(呼吸音)」 【汽子】「確かに、マスコミのみなさまと鉄道事業者は…… 基本的には、なかなか折り合いがよろしいとはいいがたいものですわよね」 【汽子】「けれども汽子は、お会いして、お話だけでも聞いてみたいって思いますの。 樺郡線(かばごおりせん)を往復して過ごす日々は平和で、満ち足りたものではありますけれど――」 ;3/右 接近囁き 【汽子】「ほんのときどきは違った線路の上を……(呼吸音)―― うふふっ、はい。走ってみたい気持ち、ほんの少しはありますの。この臆病な汽子の胸にも」 【汽子】「こんなにも老朽化した、量産型の、しかも蒸気動車のレイルロオドのこの身でも。 マスタアが一緒にいてくださるのならば、勇気が湧いてまいりますので――(呼吸音)――あ!」 【汽子】「ふふっ! うふふっ! うふふふふふふっ!」 【汽子】「もちろんでございます。マスタアが新聞記者さまとお会いになるとお決めでしたら、 汽子は誰より――ハチロクさんよりランさんより、すずしろさんより、優雅に振る舞ってみせますわ」 ;SE 汽子、立つ ;1/前 【汽子】 「『汽子は、名護耶鉄路樺郡線(なごやてつろかばごおりせん) ホジ6016(ほじろくせんじゅうろく)専用レイルロオド 汽子(きこ)でございます』 胸をはって、堂々とそう自己紹介を――あ、でも」 【汽子】 「新聞記者さんのお話を、万が一にも聞き逃したら怖いですから…… ね、マスタア。お願いです。ヘッドホンかイヤホンをつけていただいて、お話、絶対に聞き逃さないよう……(呼吸音)(呼吸音)―― ああ、ありがとうございます」 【汽子】 「それでは、試させていただきますわね」 ;3/右 【汽子】「まずは、右耳」 ;7/左 【汽子】「そうして今度は、左耳」 ;3/左 接近囁き 【汽子】「左のお耳に囁きかけて―― (ふーーーーーーーーーー) そうして、ね」 ;7/左→;1/前→;3/右 【汽子】「ぐるーーーーーーーーーんって。 どうです マスタア、聞こえ方の具合は―― (呼吸音)(呼吸音)―― うふふっ、でしたらよかったです! あ!!」 ;1/前 【汽子】「いけない、もうこんな時間ですね。 マスタアとお話してると、本当に時間があっという間に過ぎてしまって――」 【汽子】「汽子、先にもどって始業準備をしておりますね。 マスタアはどうぞゆっくりと、波の音でもご参拝でも、楽しんでからお戻りくださいな」 ;Se 汽子足音 小走り ;1/前→;9/前遠 ;9/前遠 【汽子】「それではマスタア、またあとで! 今日も無事故で、ご安全にと参りましょうね!!」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track2 かぼちゃ寺参拝と音探しの始まり ;//////// ;1/前 【汽子】「蓄音(ちくおん)レヱル 〜名護耶鉄路樺郡線(なごやてつろかばごおりせん) ホジ6016(ほじろくせんじゅうろく)専用レイルロオド 汽子(きこ)〜」 ;環境音(F.I.) ;使用環境音:☆雨のかぼちゃ寺_200126_0840.wav ;足元は濡れた砂利 ;汽子は革のロングブーツ ;汽子小走りの足音 ;9/前遠→;1/前  ;1/前 【汽子】「マスタア、お待たせいたしました。 まだ待ち合わせの5分前ですのに―― うふふっ、マスタアの姿が見えましたから、小走りになってしまいました」 【汽子】「新聞記者の方は (呼吸)(呼吸音)―― ああ、まだいらしてませんのね」 【汽子】「でしたらよかった。 汽子たち鉄道にかかわるものが遅刻をしては面目がまるつぶれですものね。 早めについて、なによりでした」 【汽子】「(呼吸音)―― うふふっ。実は汽子、もっと早くから来ておりましたの。 せっかくですし、あたりをお散歩してくって」 【汽子】「見てまいりいましたのは、港――漁港です。 『夕方になったらここからお船に乗り込むのですね』って、楽しみで。 汽子、ウキウキしすぎて、じっとしてると熱暴走をしてしまいそうで――うふふっ!」 【汽子】 「それでお散歩せずにはいられませんでしたの――あら」 ;SE 記者の足音 ;9/前遠→;1/前 ;記者がマスタアの前にくるので、汽子はマスタアのとなりに移動 ;3/右 小声でひとりごと→マスタアに接近囁き 【汽子】「いらっしゃいましたわね。 きっとこの方が、新聞記者さん」 ;マスタアと記者の会話を、じっと控えて聞く→自分の話題になり、少し意気込む 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)―― ! ――(呼吸音)(呼吸音)――はい」 【汽子】「はじめまして、記者さま。 汽子は、名護耶鉄路樺郡線ホジ6016専用レイルロオド、 汽子ですわ。よろしくお見知りおきくださいましね」 【汽子】「記者さまは……うふふっ、というと、機関車のようでもございますわね。 『貴社の記者が今朝の汽車で帰社した』――でしたかしら。 懐かしい冗句を思い出してしまいます」 【汽子】「改めまして―― 記者さまは、蒸気機関車をご利用になられたことが……(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】 「そうなのですね。 汽子は、その蒸気機関車のボイラア……前方のまぁるい筒でございますね。それと火室――石炭を焚くところと、運転台」 【汽子】「それらの動力機構を木造客車の前半分に埋め込んで――残りはそのまま客車として使用しているような、一風変わった鉄道車両―― 『蒸気動車』の、レイルロオドです」 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)―― 左様ですわ。 蒸気動車は、保守、点検、運用すべてに大変な手間がかかる車両ですので、広くは普及いたしませんでしたの」 【汽子】「輸入されてきたものを含めても、日ノ本全土に50両存在したかどうか…… 最後期型にあたる汽子の姉妹、ホジ6000形(けい)の蒸気動車も、全18両の生産にとどまりました」 【汽子】「汽子のホジ6016は、最初は旧帝鉄(きゅうていてつ)の神邊(こうべ)でお仕事をしておりましたの。 それから門次(もじ)に転属されて北九洲を走り回って」 【汽子】「帝鉄でのお役目を解かれたあとには、名護耶鉄路に譲渡され。 今はこうして、この樺郡線で。 ――うふふっ、なかなかの流転ぶりではございませんこと」 【汽子】「流転のうちに、汽子、姉妹たちとも次々に引き剥がされましたわ。 いまもお客様を乗せて営業運転をしておりますのは、日ノ本(ひのもと)ではもう汽子のホジ6016一両だけ……(呼吸音)。 ――さみしくない、と申しましたら、嘘になってしまいますわね」 【汽子】「けれど。で、あるからこそ。 流転に流転を重ねました汽子とマスタアとを引き受けてくださいました那児鉄(なごてつ)には、そしてこの樺郡線には、本当に感謝しておりますの」 【汽子】「その樺郡線沿線の魅力を伝える――。 なんと素敵なお仕事でしょう! 汽子、マスタアのおともとして、喜んでお引き受けさせていただきますわ」 【汽子】「それで、汽子たちはどのように、新聞読者のみなさまへと、『蒲郡線沿線の魅力』をお伝えすれば……(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】 「――なるほど。『音』をご紹介する―― それは、大変に興味深い着眼点でございますわね」 【汽子】「あ、いいえ。音なのですから――うふふっ、眼ではなく、耳。着耳点(ちゃくみみてん)……ちゃくじてん、とでも申しましょうか」 【汽子】「『蓄音レヱル 〜レイルロオドと訪ねる日ノ本全国(ひのもとぜんこく)、音100景〜』」 【汽子】「タイトルもとても素敵ですわね。 汽子、大変に気に入りました」 【汽子】「汽子の場合は、汽子のホジ6016が走る、名護鉄(なごてつ)蒲郡線沿線」 【汽子】「その各所に点在するおすすめの音風景を、マスタアとともに訪ね歩いて、感じたことを記録して―― ご報告したら、記者さんがそれを記事にまとめてくださる」 【汽子】「……汽子はそれでまったく問題ないように感じますが――(呼吸音)(呼吸音)―― かしこまりました。ではそのようにいたしましょう」 【汽子】「それでは、よりよい音探しのためにマスタア。ヘッドホンかイヤホンを、どうぞお耳におつけくださいまし」 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)―― よろしいようでしたら、少し、試験をしてみましょうね」 ;3/右 【汽子】「右のお耳」 ;7/左 接近囁き 【汽子】「左のお耳」 ;7/左→;1/前→;3/右 接近囁き・吹きかけ 【汽子】「ぐるうりとまわりこみまして。右のお耳にやさしく (ふーーーーーーーーーーーっ)」 ;3/右 【汽子】「うふふっ。よぉく聞こえてらっしゃいますようですね。 でしたら、これで準備は万端ですわね」 ;3/右(マイクと同じ視線=記者の方を向き) 【汽子】「記者さん。とても興味深いお話をまことにありがとうございます。 汽子ひとりでは難しいご依頼かと思いますけれど、マスタアと一緒ですもの。 きっと果たしてみせますね。どうぞ、ご期待くださいまし」 ;3/右(マイク向き) 「それではマスタア、参りましょう! 蒲郡線沿線の素敵な音を探し求める、小さな旅へ!!」 ;SE 足音、大きく強く :環境音 F.O. ;//////// ;Track3 わらべ汽車(観光汽車車内走行音ASMR) ;//////// ;使用環境音:  :☆こども汽車車内走行音_車内放送なし_200126_1106.wav ;走行パートを伸ばしていただき、尺をあわせていただけますと幸いです ;*車内放送ありの音源をそのまま使えないので、車内放送なしの音源に、車内放送ナレーションをいただいて使う形を想定しております。 ;その車内放送ありで一周、車内放送なしで一周を行います。 ;車内放送ありのパートは 【放送】【汽子】で書きますので、二役でお願いいたします。(録り方はどのようにでも大丈夫です) ;SE 発車ベル→ブザー→笛→汽笛 ;7/左 【汽子】「あ!」 ;SE 発車 ;9/前遠 【放送】 「名護鉄(なごてつ)わらべの国。わらべ汽車をご利用くださいまして、ありがとうございます」 【放送】 「進行中は危険ですからデッキにはでないようお願いいたします。 なお、窓を開けられましても結構ですが、手や顔を出したり、物を投げないようお願いいたします」 【汽子】「ああ……車内放送――案内放送があるのですね。 汽子といたしましては……と、いいますか、音探しの第一歩としては――(ため息)」 【放送】 「この汽車は正和(しょうわ)29年8月につくられた、石炭を炊いては走る蒸気機関車です。 左手に見える山々は国定公園のヨンガネサンです」 【放送】 「まもなく踏切にさしかかりますが、この踏切を左下に下がっていきますと、中央広場へとつづいております」 【汽子】「(呼吸音)――ああ、そういたしましょう! 蒸気機関車の音そのものを楽しむのは、車内放送を切っていただて、二周目に。 うふふっ、そう決まりましたら、車内放送もしっかり楽しまなくてはもったいないですわね」 【放送】「このわらべ汽車の一周は約1000メートルありまして、左に右にとカーブをしながら、森を、トンネルを抜けていきます」 【放送】「蒸気機関車の運転整備重量は8.3t。蒸気圧は最高13気圧で、約40tのものを牽く力をもっております」 【放送】「運転整備重量とは、蒸気機関車に、水・石炭をいっぱいに積んだときの重さです」 【放送】「蒸気機関車の後ろの黒い箱型の車両は電源車といいまして、ディーゼル発電機により、車内の放送、照明などができるよう装置がしてあります」 【汽子】「……今日のわらべ汽車の牽引蒸機(けんいんじょうき)。 『B13』のレイルロオド――『しおじ』」 【汽子】「姉であるB12レイルロオド『まつの』とふたり、汽子たちの一番の後輩にあたる存在です。きっと、このくらいのお願いは聞いてくれることと思いますし……」 ;あら、は窓の外の景色が開けたことへのリアクション 【汽子】「もしも諸事情で無理といわれてしまったら、ね マスタア。 2周めは窓を思い切りあけはなちましょう。 そうすれば、蒸機(じょうき)の音を、今よりはよく聞けましょうもの――あらっ」 【放送】「左下に広がりますのが、おへその広場。 この広場には管理棟をはじめ、園内エアクラバス乗り場もあります。 広場に続いて連なる山をあさひの岡といいまして、芝生エリア、遊具エリア、キャンプ広場、湧き水の池などがあります。こちらもあわせてご利用ください」 【放送】「このカーブを曲がりますと、国定公園の美河(ミカワ)湾が見えてまります」 【放送】「近くにみえる半島は、二四浦(ニシウラ)半島です。 その左手、二四浦の町並み越しに見える島は、樺郡の、美河大島と、美河小島。 また、すぐ下に見える駅が、名護鉄(なごてつ)わらべの国駅で、ここから一番近い駅となっています」 【汽子】「あ――駅に列車が! うふふっ! (わくわくとした呼吸音)*4」 【放送】「遠くに細長く見える半島は、お花畑や"日いづる石門(せきもん)"などで親しまれております、常春の里、厚美(アツミ)半島です」 【放送】「この先のカーブをおおきく曲がりますと、左手近くには興ノ島(オキノシマ)がみえてまおります。遠くには日間家島(ヒマカシマ)、志野島(シノジマ)などがみえてまいります」 【汽子】「! オキノシマって、今日汽子たちが行く島ですわよね! ここから見える――どれ、どの島でしょう マスタア、おわかりに――ああっ」 【放送】「汽車はトンネルに入りました。 このトンネルはくらやみトンネルといいまして、長さが約40mあります」 【放送】「ご乗車くださいましてありがとうございました。 まもなく駅に到着いたします。 車内にお忘れ物のないよう、お支度を願います」 【汽子】「……なのですね。 あっという間の一周ですわね」 【放送】 「なお、汽車がとまってから席をお立ち下さい。 お出口は乗られました反対側のホームです」 【放送】「ありがとうございました。またのお越しをお待ちいたしております」 ;SE 列車停止 ;SE ドア空き ;環境音。蒸機の走行待機音 ;以降、ふたたびセリフはすべて汽子 【汽子】「マスタア。少し待っていてくださいましね。 汽子はしおじと――この機関車のレイルロオドと少しお話して、車内放送を切ってもらえるか確認してまいります」 ;7/左→;1/前→;3/右 【汽子】「ん……ちょっと前、失礼しますね。 よ……っと――」 ;SE 汽子足音 ;3/右→;10/右前遠 ;10/右前遠 ;騒音うずまく運転台の中にいるのを呼び出すので、声張る 【汽子】「しおじ! しおじ! おひさしぶりね。 少しだけ、お話いいかしら」 ;近くに来たので、普通に話しかけて、そのあとは耳打ち(ので、リスナーにはもう声として聞こえない) 【汽子】「あの、ね ………………。…………。」 【汽子】「…………。うふふっ! オッケーならよかったわ。 ありがとうね、しおじ。お礼は今度、必ずするから。 まつのにもよろしくね!」 ;小走りに汽子もどってくる ;10/右前遠→;3/右 ;3/右 【汽子】「おまたせいたしました、マスタア。 また前を失礼いたしますね――んっ」 ;SE客車内にもどってきて 足音 ;3/右→;1/前→;7/左 でもとの座席に座る ;7/左 【汽子】「ふうっ。うふふっ。しおじ、がんばってくれました。 しおじから機関士さんに、機関士さんから園の方にとお問い合わせいただいたうえで、無放送での走行、許諾いただけました」 【汽子】 「うふふっ、ご安心くださいませ。 先輩風なんて少しもふかせてませんわ。 むしろ、ね。しおじからは感謝の言葉を――」 ;SE 発車ベル→ブザー→笛→汽笛 【汽子】「あっ」 ;SE 発車 【汽子】「……うん。やっぱり上手な機関士さん。 2回連続、完全無衝動(かんぜんむしょうどう)での引き出し―― おわかい方に見えましたが、なかなかの技量ですわね」 ;しばらく無言で、列車の音に耳を楽しませる 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音) (呼吸音)(呼吸音)……んふふっ」 【汽子】「とても素敵な響きですわね。 蒸機と客車が奏でる音は……」 【汽子】「(呼吸音)*4」 【汽子】「シュッシュッシュッシュとシリンダアから蒸気を吐き出すブラスト音。 ガタンゴトンとレエルの継ぎ目を車輪が叩くジョイント音」 【汽子】「ボッボッボッと、煙突が煙をあげるドラフト音は……(呼吸音)――このこではほとんど聞こえませんのね。 小さなボイラアだからでしょうか、それは少しだけ残念ですけれど。それでも、うふふっ」 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)」 ;SE 汽笛 【汽子】「ああ! ねぇほら! 汽笛の音まで重なれば、もうこれはひとつの小さなオオケストラです」 【汽子】「(呼吸音)*4」 【汽子】「……あるいは、うふふふっ――マスタアの呼吸のようにも聞こえますわね。 のんびりとしているときには気にもなりませんのに――」 ;編集で可能ならここで04:06秒あたりからの走行音 【汽子】「――坂道をのぼるときなどにはとても早くなりぜぇぜぇあえいで」 【汽子】「(呼吸音)――蒸機は、あるいは。 汽子たちのようなレイルロオドより、よほど生き物に近いのかもしれませんね――ああ、そう」 【汽子】「レイルロオドで思い出しました。 話の途中でしたわよね しおじに先輩風を吹かせなかったか――っていうお話の」 【汽子】「先輩風どころかね しおじ。 『そっかぁ。いわれたらそうじゃんねー。 音を楽しめる列車もいいじゃん』って!」 【汽子】「『一日一便は走らすように、上とかけあってみますねー 素敵な提案をありがとね〜! センパイ!』って ――うふふっ!」 【汽子】「……若い子……といってももう50近くですけれど。 それでも若い子はいいものですわね。 自由で、闊達で、新しいことをどんどんとりいれて。 あら」 【汽子】「二周目は一周目より、ずうっと早く感じましたね。 ……マスタアと一緒に音風景をめぐる旅。 楽しくなりそうと直感いたしましたけど――」 【汽子】「うふふっ! 予想の何倍も楽しいですわ!」 ;SE 列車駅へ到着 【汽子】「っと、到着いたしましたわね。 一周ぐるり、同じ駅ではございますけど。 乗りこむまえと、乗ったあととで――」 ;7/左→(くすっ)で顔をよせて ;7/左接近囁き 【汽子】「(くすっ)――きっと少ぉし、なにかが変わりましたわね」 ;//////// ;Track4 製塩体験(塩煮詰めての塩作りASMR) ;//////// ;参考音源 ;☆製塩体験_1600からが解説なしの音〜1550まで解説付き_200126_0917.wav  ;環境音は普通の室内空調です。エアコン。 ;床はリノリウム。 ;9/前遠 【汽子】「すっかりが準備、整ってますのね。 製塩(せいえん)体験。塩づくり。 これも初めての経験ですので、楽しみですわ」 【汽子】「西生(にしお)市塩田体験館、綺羅(きら)塩作りの里。 うふふ、教えてくれたしおじに感謝ですわね」 【汽子】「もちろん、マスタアと汽子の耳に心地よく響く音がするのか。 そればかりは、実際に聞いてみないとわかりませんけれど。――ふふっ」 ;SE 足音 ;9/前遠→;2/右前→;3/右 ;3/右 【汽子】「よいしょ――。 この道具たちでお塩をつくりますのね。 机の上がとってもにぎやか、楽しそう!」 【汽子】「ガスコンロに、土鍋に、木べらに…… 土鍋の中に入っているのは……。 茶色がかった……ダシ汁のように見えますけれど――」 ;鹹水は"か"んすい/ 罐水は かんすい(平板)。です。 【汽子】「(呼吸音)――"カ"ンスイ――"カ"ンスイって――罐水のことでございますか? ボイラーの中で焚いて蒸気へと変える、あの」 【汽子】「(呼吸音)――まぁ、違うのですわね。 罐水ではなく、鹹水。それは一体……あ、係員さん」 【汽子】「……(呼吸音)――ふぅん 海の水を天日で干して、塩分濃度を高めたもの、なのですか」 【汽子】「(呼吸音)――海水の濃度の塩分は3%。 それを……(呼吸音)――塩田を使って……(呼吸音)……ええ」 【汽子】「砂に海水をまいて――結晶になるまで干して―― (呼吸音)―― それを集めて上から海水をかけて……ああ、わかりましたわ。そうすると潮の結晶が溶けるから、砂が残って、結晶の分の塩もまじった濃い海水ができあがりますのね それが、”鹹水”」 【汽子】「まぁ! 鹹水の塩分濃度は20%もあるのですか。 もともとの3%がそこまで濃くなるまでには、さぞかし何日も……(呼吸音)――えっ!」 【汽子】「真夏で天候に恵まれれば、たった一日でその濃度まで 真夏の陽射しって……汽子たちも乗務の度に焼かれ続けてきておりますけど―― そこまで強いものなのですわね。びっくりです」 【汽子】「ではマスタアの塩作り。汽子はお見守り……(呼吸音)―― ええ! 汽子がお塩をつくるのですか。 マスタアに見守っていただいて」 【汽子】「それは楽しそう……ですけれど。 汽子は量産型の、しかも老朽化したレイルロオドです。 塩作りだなんて、まったくはじめてのことですし――きっと失敗してしまいますわ」 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)――あ。 うふふっ、ですね。もともとは海のお水。 あんなにたくさん、無限にだってありそうな海のお水、なのですものね」 【汽子】「失敗してもやりなおせばいい―― ただそれだけのことなのですわね、本当に」 【汽子】「……ありがとうございます、マスタア。 それでは汽子、失敗を恐れずチャレンジしてみますわね!」 【汽子】「でも、ね、汽子。少しだけ心細く思いますから…… もしもマスタアがおいやでなければ、もっと近くから見守っていただけたら、と――あ」 ;1/前(近い距離。マイクに背中向き。ダミーヘッドが後ろから見守っててくれる感じ) 【汽子】「うふふ、ありがとうございます。 これならきっと失敗しそうになったとき、すぐにマスタアに助けていただけますわよね」 【汽子】「では、まずは――(呼吸音)――はい。コンロに着火―― <;SE コンロ着火カチカチ→つく> ん……よ……、あ、――着きましたわ」 【汽子】「そうしたら……(呼吸音)――このまま少しまっていればいいんですのね ん……(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】「あ……(呼吸音)――ふつふつしてきましたわ。 えと あ、コンロの火を弱火にすればいいんですのね」 ;コンロの火覗き込む感じで少し頭下げて 【汽子】「ん……(呼吸音)――こんな感じでしょうか? もうちょっと弱く……と…………あ、よろしいですのね。うふふっ、蒸気機関の火とはまるで違う。コンロは火力調整が簡単で素敵ですわね」 【汽子】「弱火にしたら……(呼吸音)――ああ、ええ。このふつふつが収まるのをまって――あ! あ! ああ!」 ;1/前 (マイクに振り返って) 【汽子】 「ね、見て、マスタア!」 ;1/前 体の向き戻して 【汽子】「土鍋のふちに白い粉! これが、お塩なんですわよね……(呼吸音)――塩の、粒……。 ああ、たしかに――乗務の後ナッパ服に白く残る、マスタアの汗が乾いたあとと、うふふっ、おんなじですわね」 ;視線を正面に 【汽子】「これを うん……木べらを使って―― <;SE 木べらで塩粒を掻き落としていく> (呼吸音)(呼吸音)…… うふふっ、上手にできているのなら嬉しいですわ」 :SE 木べらで掻き落とし(継続) 【汽子】「どんどん……水分が――(呼吸音)―― 減っていく――なか、に――(呼吸音)―― 塩を、こうして――ん――(呼吸音)―― 掻き落として……掻き、落とし、て……(呼吸音)」 【汽子】「(呼吸音)……(呼吸音)……(呼吸音)―― え (呼吸音)――あ――うふふっ。 汽子も、レイルロオド、ですから――(呼吸音) ――単純……精密――作業が――もちろん、大得意――(呼吸音)――」 【汽子】「ですけど――それ、でも――(呼吸音)―― うふふっ――褒めて、いただけますことは――(呼吸音)―― とてもうれしく――(呼吸音)―― 素敵な気持ちに――なりますわね」 【汽子】 「(呼吸音)――汽子、がんばって――(呼吸音) このまま、ぜぇんぶ――(呼吸音)―― この、鹹水を――(呼吸音)――お塩、に……(呼吸音) ――え」 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)――汽子も、なんとなく、知っていますわ――(呼吸音)――海水の、中には――塩だけじゃなく――(呼吸音)―― いろんなミネラル分が――含まれて――いる――(呼吸音)」 【汽子】「(呼吸音)――よいしょっ――(呼吸音)――。 ……ああ! なるほどですわ! 完全に、火で、水分を、飛ばして、しまうと――(呼吸音)」 【汽子】 「(呼吸音)――ミネラル、分も―― にがり分も――塩にまじって――(呼吸音)―― 雑味と――なって――しまう……(呼吸音)――あら!」 :SE stop ;1/前 (マイクに振り返り) 【汽子】「(呼吸音)――マスタア、これ―― 中心に、模様のような、泡のような……(呼吸音)――」 ;1/前 (向き戻す) 【汽子】「“塩の花”あるいは“カニ泡”……うふふっ、どちらにも見えますね。この泡を……はい、ああ、木べらをスプウンに持ち替えて――」 :SE 木べらをスプーンに持ち帰る 【汽子】「塩の花を――中心に、寄せて―― <;SE スプーンで塩の花を中心に寄せる> こう、でしょうか……(呼吸音)―― ああ、どんどんと――(呼吸音)―― 塩の花が濃くなって――(呼吸音)―― うふふっ、白い炒り卵みたいに――(呼吸音)――」 【汽子】「そろそろ――でしょうか…… <;SE stop> ここまで来たら火を止めて―― <;SE コンロオフ> あとは……(呼吸音)――はい。 なるほど。スプーンでしっとりした状態の塩をかき寄せる……」 ;SE 塩かきよせ 【汽子】「ええと……(呼吸音)――ああ、簡単に集まりますね。 それで……(呼吸音)――しっとりとした小山になったら、スプーンですくって、コオヒイフィルタアの上に……」 ;SE 塩をすくってコーヒールフィルターに 【汽子】「んしょ……(呼吸音)―― っと――(呼吸音)―― 残さないよう――(呼吸音)―― 丁寧、に――(呼吸音)――うん」 【汽子】「わ! ね マスタア、これ、すごい! コオヒイフィルタアが、あっという間に水気をすって――」 【汽子】「これを (呼吸音)(呼吸音)―― あ、わかりました。ん……新聞紙を小さく畳んで―― <;SE 新聞紙を小さくたたむ> (呼吸音)――んしょ――その上に (呼吸音)―― ああ、これはキッチンぺエパアですね、なるほど」 【汽子】「汽子、わかりましたわよ。 コオヒイフィルタアの中のお塩を、キッチンぺエパアの上にのっけて――(呼吸音)――くるんで! <;SE コーヒーフィルターの中の濡れた塩をキッチンペーパーの上に載せ替え、包む> それで――ああ、小さなビニイルパックにいれるのですね」 ;SE ジップロックの口閉める 【汽子】「きゅっ、きゅっ、と。(呼吸音)――うふふっ! これで完成! (呼吸音)――ではないのですか まだ……―(呼吸音)――」 【汽子】「なるほど。帰宅したらすぐ、下に敷く新聞紙を取り替えて―― (呼吸音)―― それが濡れたらまた取り替えてで、一週間」 【汽子】「そうすると余分なにがり分が抜け、ほどよいミネラルだけが残った、あまぁいお塩ができあがる」 【汽子】「なんて面白いことでしょう! とっても楽しみですわ! 本物の天然ものの、汽子てづくりのあまぁいお塩を、マスタアに味わっていただけますこと」 ;SE 汽子たちあがり、振り返る ;1/前 【汽子】「だって、ね。汽子は旧式のレイルロオド。 人間の方の食べ物のお味だなんて、ぼんやりとしかわからないのですから――」 【汽子】「マスタアがおいしく食べてくださることが。 汽子にも、きっとお塩にも、一番うれしいことですわ!」 ;環境音 F.O ;//////// ;Track5 モーターボートとテント設営と右耳耳かき(ASMR+耳かきパート) ;//////// ;環境音 ☆漁船走行音_200126_1524 F.I ;↑爆音で走行中のとこからでお願いします ;5/後 【汽子】「マスタア! マスタア! ああ、もう、聞こえていないのかしら」 【汽子】「マスタア!! マスタア!!!!」 ;5/後 (近い) 【汽子】「あのね、マスタア―― ……ああ、この近さでも声がかき消されてしまいそう。 お耳を貸してくださいな」 ;7/左 (耳打ち/囁きではなく声張る感じで) 【汽子】「あのね、マスタア。 モオタアボオト、揺れるしとっても風が強いしで。 大迫力で、とっても楽しいものですのね」 【汽子】「けれど、ね、マスタア。 列車よりもっと揺れます上に、漁船、手すりがほとんどないんですもの――汽子、心配で心配で」 【汽子】「マスタアが海に落っこちてしまう前に、興島(おきのしま)でしたかしら―― 目的の島に、早くついてくれるといいのですけれど――あ!」 ;7/左(ダミヘと同じ視線) 【汽子】「(目的地の島が見えてきて、見惚れる、どんどんわくわくが膨らんでいく呼吸音)*4」 【汽子】「ああ! あれが興島ですのね。 マスタアと汽子が今日キャンプする、無人島!」 【汽子】「あああ、とても楽しみですわ! ね、ね マスタア、ついたら最初は、何をして楽しみましょう!」 ;環境音 F.O もしくは 着船 ;環境音 F.I ☆沖島_200126_1450 or ;☆沖島_200126_1403 ;足音は砂浜 ;SE ふたり並んで歩いている足音(継続) ;7/左 【汽子】「ああ……(うっとり見惚れる呼吸音)*3」 【汽子】「これが興島――これが無人島ですのね…… 汽子、この年になって初めての無人島体験ですわ」 【汽子】「……島、といっても本当に港からすぐですのね。 漁船にのっておりました時間、20分もなかったのではないかしら」 【汽子】「たったそれだけ――樺郡(かばごおり)から綺羅吉田(きらよした)ほども離れていない海を渡っただけなのに」 【汽子】「(数秒、息をつめて耳を澄ませる)」 【汽子】「……この波の音。まるで足元まで全部が海につつまれてるよう…… これほどまでに空気が、世界が……。 音が、変わるのですわね」 ;SE わらべ汽車汽笛(沖島_200126_1450 の2:23から等) 【汽子】「あ! マスタア! 汽笛です! わらべ汽車の汽笛! うふふっ、なんだか不思議ですわね、汽子たち、午前中には海の向こうで汽車にのっておりましたのに」 【汽子】「いまはこうして―― (呼吸音)―― うふふっ、明日になって、お迎えの漁船がくるまで、 この無人島でふたりきりだなんて―― ね、マスタア。このままのーんびり――(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】 「あ、そうですわね。 のんびりする前。日が沈んでしまうより先に――」 ;SE STOP ;SEどさっと砂の上に荷物をおろす 【汽子】「テントを張って、キャンプの準備をいたしましょう!」 ;テント貼り参考 ;https://youtu.be/zoHRKDDPdWA ;1/前 【汽子】「まずは――(呼吸音)――はい。 袋から中身を全部引きずり出すのですね」 ;1/前→;9/前遠 【汽子】「汽子、こちらからひっぱりますね。 ん! (呼吸音)」 ;SE テント袋から中身を引き出す ;9/前遠 【汽子】「ん……っしょ――よい、――っしょ――(呼吸音)――んしょ! ふうっ」 【汽子】「そうしたら (呼吸音)――ふんふん、グランドシイトというのを広げる。 地面からの湿気や冷気を防ぐ―― まぁ! とても大事な役割をもっておりますのね」 【汽子】「これもそうしたら――広げましょう――ん…… <;SE グランドシート広げる> よい、しょっ――(呼吸音)――んっ!! はい、敷けました」 【汽子】「そうしたら……次は……(呼吸音)――このインナアシイトというものを、 グランドシイトの真ん中に――よっと―― <SE シンナーシート広げる> (呼吸音)(呼吸音)――うふふっ、広げましたわ」 ;1/前 ポール接続後→;3/右 【汽子】「次は ……(呼吸音)ふむふむ、このポオルをつなげて <SE ポール接続> ……(呼吸音)――ん。で、ここに通していく―― <SE ポールを通す> よ、っと――」 ;3/右 【汽子】「それで――(呼吸音)(呼吸音) わ――わ――わ!! <;SE ポールを立てる> 簡単にポオルが立ちました!! うふふっ、汽子、わかりましたわ! これがテントの柱になるのですね!」 【汽子】「そうしたら……ん……(呼吸音)(呼吸音) <;SE ポールにテントをフックしていく> カチ、カチと、インナアシイトをフックでポオルにかけて――ふふっ! なんだか楽しいですわね」 ;3/右 →;9/前遠→;7/左 ;SE 断続的にポールにフックかけていく 【汽子】「ん……(呼吸音)――っと―― (呼吸音)――(呼吸音)――う、ん―― ――あとはこっちを――(呼吸音)――よしっ!」 ;7/左 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)――!!! わああ! 素敵! もう完全にテントですわね すごいすごい! すばらしいです! いまどきは、こんなに簡単にテントが立ち上がるのですね」 【汽子】「汽子がロオルアウトしたばかりのころのテントは―― 実際、汽子が張った経験はないのでただの印象なのですけれど――もっと……こう……」 【汽子】「紐をギシギシ張ったり、柱を立てたり、金釘を打ち込んだりとか――(呼吸音)――ああ、ペグ。そういうお名前なのですね あの金釘」 【汽子】「(呼吸音)――うふふっ! 汽子、打ち込んでみたく思いますけれど――(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】 「わかりましたわ。 これにペグを打って固定してしまえば、テントは完成。 うふふっ! 楽しみ。 ええと――(呼吸音)――角度は45度で……(呼吸音)――ん……(呼吸音)」 【汽子】 「汽子、できそうな気がします。 試しに少し、打ってみますわね?」 ;SE 軽く度ほどペグ打ち 【汽子】「どうでしょう、グラグラしたり――(呼吸音)――ああ、よかった! これでしたら、汽子、正確に繰り返せますわよ。おまかせあれ!」 ;SE ペグ打ち(継続) ;場所 ;15/左遠→;9/前遠→;;11/右遠 と移動する ;15/左遠→;9/前遠→;11/右遠 【汽子】「よいしょ――(呼吸音)(呼吸音)――っと 次はここ――(呼吸音)(呼吸音)――で、 ん……(呼吸音)(呼吸音)―― <;SE STOP> ふうっ」 ;3/右 【汽子】「マスタア――これで―― (呼吸音)――うふふっ! やったぁ! 汽子にもテント、貼れました! なんて素敵で楽しいのでしょう――あら」 ;1/前 【汽子】「……(呼吸音)(呼吸音)…… あらら、マスタアのお耳、すこぉし赤く見えますね」 【汽子】「モオタアボオトの爆音に少し疲れてしまっているか―― ああ、もしかしたら小さな虫が、お耳の中に入ってしまったのかもしれませんわね」 【汽子】「どうしましょうか……(呼吸音)――ああ、そうですわ。 ね せっかくテントを張ったんですし――うふふっ、まずはブウツを脱ぎまして……」 ;SE しゃがんでブーツを脱ぐ 【汽子】「ん……っしょ――(呼吸音)――うん、これでよろしいですわね」 ;SE ;3/右→;11/右遠(低いとこ) 【汽子】「よい、しょ――……ん。 あら、中に入ると思っていたよりくらいのですね。 ランタン、つけてしまいましょう――ん……カバンの中に――」 ;SE がまぐちのカバン開ける→ランタン取り出す 【汽子】「っと……あとはマッチで――」 ;SE マッチする→ランタン着火→ランタン吊るす 【汽子】「――よしっ、と。これで明るくなりました! マスタア、ね。そうしましたら……(呼吸音)(呼吸音)」 ;環境音変化 (同じ環境音だが、テント内エフェクト) ;1/前 【汽子】「いらっしゃいませ――ああ、違うわね。 ここは、マスタアと汽子のテントですものね、ふふっ」 【汽子】「おかえりなさいませ、マスタア」 【汽子】「ふふっ! ご飯にします? お風呂にします? なぁんて尋ねてみたくなってしまいますけれど。 でも」 ;SE 膝ぽんぽん 【汽子】「まずは、ね。膝枕。 耳かきをして、お耳のムズムズをとってしまって。 それからゆるりと、キャンプを楽しみなおしましょう――(呼吸音)(呼吸音)」 ;3/右 【汽子】「それでは少し失礼して――お耳の中を、のぞきますね」 ;3/右 接近囁き 【汽子】「(ふーーーーーーーーっ)(ふっ!)(ふっ!)」 ;3/右 【汽子】「ん…………(呼吸音)―― 虫、とかではないみたいですね。 耳かき、持ってきておいてよかったですわ」 【汽子】「なんにもないとは思いますけれど…… とにかく一度綺麗にして、もっとじっくり見てみましょう」 ;3/右 接近囁き 【汽子】「そうするためにも…… (ふーーーーーーーーーっ) 汽子がしっかり、お耳掃除をしてさしあげますわね」 ;3/右 【汽子】「それでは、浅いところから……」 ;SE 耳かき(浅・継続) 【汽子】「そっと、そうっと……(呼吸音)(呼吸音)――」 【汽子】「ふふっ――(呼吸音)―― テントの中で――(呼吸音)―― こうして、耳かき――(呼吸音)―― しております――っと」 ;SE stop 【汽子】「少しだけまっていただけるかしら ちり紙で耳かきを拭いてしまいますから」 ;SE ちりがみ取り出す→耳かき拭く 【汽子】「(呼吸音)――うん。 おまたせしました。続けますわね……」 ;SE 耳かき(浅・継続) 【汽子】「汽子、ね。こんなところでも――(呼吸音)―― いつもみたいに、耳かき、してて――(呼吸音)―― なんだか、とっても――(呼吸音)―― しあわせ、で――(呼吸音)――」 【汽子】 「マスタアの、お耳が――(呼吸音)―― とっても大事に――(呼吸音)―― ますます、思えて――(呼吸音)―― こういう、ふう、に――(呼吸音)――よいしょっ」 ;SE 耳めくり 【汽子】「このような――(呼吸音)―― お耳のふちの、裏側だとか……(呼吸音)―― そうした、ところも――(呼吸音)―― 徹底、的、に――(呼吸音)――やりたく、て」 【汽子】「ですので、どうか――(呼吸音)―― こんなささいなことくらいは、ね ――(呼吸音)―― ぜぇんぶ、まるごと――(呼吸音)―― 汽子に――おまかせ――ください、まし、な――(呼吸音)」 【汽子】「他は、いつでも……(呼吸音)―― 汽子の、方が――(呼吸音)―― マスタアに、甘えっぱなし――(呼吸音) なの、です――から……っと――(呼吸音) ――うん」 ;SE stop ;3/右 接近囁き 【汽子】「(ふーーーーーーーっ)」 ;3/右 【汽子】「浅いところはたいへん綺麗になりました それでは、お耳の穴の奥。ふかいところも、 そろおりそろりと参りますわね ……(呼吸音)」 ;SE 耳かき(深・継続) 【汽子】「……(呼吸音)…… ああ……(呼吸音)…… 深いところは――(呼吸音)―― 少し、汚れが……(呼吸音)――あ」 【汽子】「いきなり、結構……(呼吸音)―― おおきめの、こが――(呼吸音)―― これは、簡単に……(呼吸音)―― とれ、そう……(呼吸音)――で、しょう、か……(呼吸音)――あ、いけそう――(呼吸音)――うん」 ;SE stop →耳かき拭き ;3/右 接近囁き →;3/右 【汽子】「(ふっ)――っと、 では、続けますわね」 ;SE 耳かき(深・継続) 【汽子】「今度は、こちら…………(呼吸音)―― ああ……(呼吸音)―― これ――は……(呼吸音)―― 少し、しっとり――(呼吸音)――くっつい、て――(呼吸音)」 【汽子】「……(集中して詰め気味の呼吸音)*2 ……すくえそう――もうちょっと――(呼吸音)―― ここ……うまく――(呼吸音)―― そうっと――のせて……(呼吸音)(呼吸音)――!――うん!」 ;SE stop ;SE 耳かきふき ;3/右 (接近囁き) 【汽子】「(ふーーーーーーーーーーーーーっ)(ふっ)」 ;3/右 :耳の中を覗き込んでる 【汽子】「さて、仕上がりはどうでしょう……(呼吸音)―― んん〜〜(呼吸音)――うん! 右のお耳は、すっかりきれいになりました」 ;3/右 接近囁き 【汽子】「そうしたら反対側も、汽子におまかせくださいましね」 【汽子】「汽子が『ごろおん』って言いますから。 その声にあわせて、どうぞ、お体をぐるりと転がしてくださいませ」 【汽子】「参りますよ せーの」 ;3/右 →;1/前 → ;7/左 【汽子】「『ごろーーーーーーーーーーーーーーーーん』」 ;環境音  F.O ;//////// ;Track6 島のテントで左耳耳かき(耳かきパート) ;//////// ;** このトラックから安眠誘導を意識いただき、大きな声をださない方向でのメリハリいただけますと幸いです ;環境音 Tr4と同じ。F.I ;7/左 【汽子】「うふふっ、それではこんどは左のお耳の耳かきですわね」 ;7/左 接近囁き 【汽子】「(ふーーーーーーーーーーっ)」 ;7/左 【汽子】「さて、どうでしょうか……(呼吸音)―― うん。こっちも虫とかそういうの、 かわったことは、特段なさそうに見えますね」 【汽子】「ですけれど……うふふっ、油断は禁物。 丁寧にたっぷりと、お掃除をして安全確認をして。 そのうえで磨きをかけてさしあげますから、どうぞご期待くださいましね」 【汽子】「では、まいります。 最初はあさぁいところから」 ;SE 耳かき音(浅・継) 【汽子】「参りますよぉ……(呼吸音)(呼吸音)――」 【汽子】「こりこり……(呼吸音)――かりかり――(呼吸音)―― 小さく小さく――(呼吸音)――ひっかく、ように――(呼吸音)――」 【汽子】「ああ、ここは……(呼吸音)――んっ。少ぉしお耳のフチを引っ張りますね。 <;SE 耳接触> ああ、やっぱり――(呼吸音)――小さな汚れが――(呼吸音)―― これ、で……(呼吸音)(呼吸音)――ああ」 ;SE stop ;SE ティッシュで耳かき拭き 【汽子】「耳かきですくうには細かすぎるものもちらほらあります。 ですので、――うん。 ちり紙を指にまきまして、それでそおっと、 お耳の中の浅いところを、直接拭いてさしあげるおがよろしいかなぁ、と――(呼吸音)」 【汽子】「かしこまりました。それでは、そのようにいたしますわね」 ;7/左 接近囁き 【汽子】「大丈夫。どうぞ、ご安心くださいましね。 決して痛くはいたしませんから」 ;7/左 【汽子】「では、ちり紙を小指に巻いて―― <;SE ちり紙引き抜き→指に巻き付け> こんな感じ、で……(呼吸音)――っと。よし。 では、まいります」 ;SE ちり紙で耳掃除(継続・浅) 【汽子】「お耳のフチを――(呼吸音)――ごしごし、ごしごし――(呼吸音)―― くぼんだところを――(呼吸音)――ごしごし、ごしごし――(呼吸音)――」 ;SE stop 【汽子】「わあ、うふふっ! これ――(呼吸音)――うん。 予想以上に綺麗にできますね。 そうしたらこのまますこぉしだけ、 お耳の穴の入り口のところだけでも、お掃除させてくださいましね」 【汽子】「ゆるり、ゆるりと進めますから……」 ;SE ちり紙掃除(深・継) 【汽子】「あれ?……(呼吸音)――これ―― マスタアの、お耳の――(呼吸音)―― 少しなんだか、いつもより――(呼吸音)―― あったかい、みたいな――(呼吸音)――感じ、して――(呼吸音)――」 【汽子】「ちり紙を、まいているせい――(呼吸音) なのでしょうか――(呼吸音) 指先、ぽかぽか――(呼吸音) 汽子の方も――(呼吸音)――心地よいですわ――うふふっ」 ;SE stop ;7/左 接近囁き 【汽子】「(ふーーーーーーーーーーっ)」 ;7/左 【汽子】「……(呼吸音)――ああ、予想以上に良いですね、これ。 細かなチリみたいなのがいっぺんにとれただけでなく、 ほら、ね 少し大きなものまでも」 【汽子】「これでしたらあとは耳かきで、深いところを丁寧にお掃除したら、こちらのお耳も、すっかり綺麗になりますわね」 【汽子】「ですから、このままもう少し。 もう少しだけ、どうぞ、ゆるりとなさっていてくださいな」 【汽子】「それでは。も少しだけ、じっと、じいっと――」 ;SE 耳かき音(深・継) 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】「……こちらも、奥は――(呼吸音)―― おおきめの、こが――(呼吸音)―― かなり、しっとり――(呼吸音) くっついて――(呼吸音)――いて――(呼吸音)」 【汽子】「ん……(呼吸音)――っと―― これ、は――(呼吸音)―― もうすこ、し――ん……ねもとの、とこ、から――(呼吸音)」 【汽子】「てこ、みたいにして……(呼吸音)―― ゆっくり、ゆっくり――(呼吸音)―― あ、うん――このまま――(呼吸音)―― ていねい、に――(呼吸音)―― うんっ」 ;SE stop ;SE 耳かきふき 【汽子】「あら……(呼吸音)(呼吸音)――ああいえ、なんでもない――と申しますか、こどもみたいで恥ずかしいのですけれど」 ;7/左 接近囁き 「今取れたの、ね――なんだか少し、チュウリップのお花の形みたいだなぁって」 ;7/左 【汽子】「ああ、はずかしい。 いやですわ、汽子。どうしてこんなこどもみたいなこと、急に――(呼吸音)(呼吸音)――ああ」 ;7/左 接近囁き 【汽子】「キャンプの、テントの、魔法なのかもしれませんわね。 人のこころを、レイルロオドのこころさえ――少し、こどもに戻してしまう……(呼吸音)」 ;7/左 【汽子】「ふふっ。いけないいけない。汽子、悪い子になってしまいそう。 そうなる前に、さ、お耳掃除を、きちんとしあげてしまいましょう んしょ……」 ;SE 耳かき音(深・継) 【汽子】「(呼吸音)――あとは、うん――(呼吸音)―― あんまり、深くは――(呼吸音)―― 無理を、しない、で――(呼吸音)――」 【汽子】「とれそうなの、だけ――(呼吸音)―― 丁寧、に――(呼吸音)―― ゆっくり、あせらず……(呼吸音)―― これ……んしょっ――(呼吸音)ああ……もう、少し――(呼吸音)」 【汽子】「これ、だけ――とったら――(呼吸音)―― おしまい、です、から――(呼吸音)―― あとちょっと、だけ――(呼吸音)―― このまま、で――(呼吸音)――」 【汽子】「角度を、変え、て……(集中呼吸)*3…… っと――(集中呼吸)*2―― あ――うん――(呼吸音)―― よぉし――(呼吸音)――うん――よろしいです、わ――(呼吸音)」 【汽子】「あとは、そうっと――(呼吸音)―― そうっと、そうっと――(呼吸音)―― もう、ちょっ、っと――(呼吸音)(呼吸音)――っ! うん」 ;SE stop 【汽子】「ふぁ〜〜〜〜〜 とれました。おっきいの」 ;SE 耳かき拭き ;7/左→;7/左 接近囁き 【汽子】「これで、たぶん―― (ふーーーーーーーーーーっ)(ふっ!)(ふっ!)」 ;7/左 【汽子】「ん……(呼吸音)―― <;SE 指先で耳のふちめくり> ――(呼吸音)――。 うん!」 【汽子】「すっかりきれいになりました! って――ぁ――ふ――ぁ――(抑えたあくび)」 【汽子】「あらあらいやですわ、汽子ったら。 集中がとけて、安心しちゃって、ついついあくびが――(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】「……今日は予定より早くから、いろんなところをふたり一緒におでかけして――ふふっ。 いつもより、ずうっとはしゃいでしまいましたから」 【汽子】「そのうえこうしてテントの中で、あったかくって、安心で。 ずうっと聞こえる潮騒は―― (呼吸音)(呼吸音)―― 寄せては返して、ゆりかごみたいで、優しくて」 【汽子】「これで眠たくならなかったら――ふふっ、あんまり元気すぎますわよね――(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】 「迎えのお船がくるまでは、マスタアと汽子ふたりじめの時間ものね。 ですからいまは、このままふたり、一緒にならんで。うふふっ」 ;7/左 接近囁き 【汽子】「目が覚めるまで、ぐっすりおひるね――してしまいましょう」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track7 汽子とお昼寝(お昼寝/ウィスパーパート) ;//////// ;完全に安眠誘導。基本、小声かウィスパーかでお願いいたします ;環境音 同じ F.i. ;SE 寝袋のジッパーしめる ;11/右遠 【汽子】「うふふっ」 ;SE 寝転がる 【汽子】「寝袋って、とてもあったかなのですね、それに――うふふっ」 ;SE もぞぞ寝袋ごと動く 【汽子】「芋虫さんみたいになれば、もぞもぞ動けもするのですね。 うふふっ、マスタアの寝袋さんと、もう少しだけご近所に…… <;SE もぞもぞ> ん」 ;3/右 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】「……ね、マスタア。覚えてますか それとも忘れてしまいましたか こんな波音、昔、一緒に聞きましたよね」 【汽子】「あの日は、汽子……(呼吸音)(呼吸音)――泣いてしまっておりました。 東波豆(ひがしはず)の駅の海側…… 優しくて、少しさみしい――波音の聞こえる物陰で」 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】「あの、ね、マスタア。……あのときは……。 汽子、とてもこころぼそかったんです。 名護鉄(なごてつ)にうつってきたばかりで―― いいえ、本当は、名護鉄にうつるそのまえから、ずうっと」 【汽子】「思ってましたの。ずっと、ずうっと。 ……蒸気動車はコウモリだなって」 【汽子】 「蒸気機関車の仲間にもはいれず、 気動車たちともたわむれられず―― どちらの組からも、『あっちがわ』っていわれてしまう、そんなコウモリだなぁ、って」 【汽子】「それでも昔は、姉妹がたくさんおりましたから。 その分、結束が強かったから―― へいちゃらでしたわ。 おねえさまたち、いもうとたち……みんなでわいわい笑って、はしゃいで」 【汽子】「ああ、けれど……(呼吸音)―― ええ、マスタアもご存知のとおり……」 【汽子】 「(寂しい吐息)……。 汽子の妹はいつか製造されなくなって―― お姉さまたちも妹たちも、ひとり、またひとりと走れなくなって……」 【汽子】「ひとりぼっち、って。 ですから、あのときは思ってしまいましたの」 【汽子】 「汽子、ひとりぼっちで名護鉄に飛ばされたんだって。 こんなに潮風の強いところに配備されて、 きっといつか、サビだらけになって動けなくなってしまうんだわって」 【汽子】「……(呼吸音)――そう考えたら、さみしくてさみしくて、こころぼそくて。 こんな機能がレイルロオドにあるなんて、それまでまったく知りませんでしたのに――涙が、ぼろぼろこぼれてきちゃって、とまらなくなって」 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】「……寄り添ってくださいましたよね。マスタア。 なにひとつさえおっしゃらず、頭をなでてくれたりもせず。 汽子の隣に、肩口だけをくっつけて―― ただ、寄り添っていただけて……」 【汽子】 「――あのとき、ね 汽子、『ああ、一人ぼっちじゃなかったんだ』って。気が付きましたの、本当に、本当の意味で。回路の、いいえ――タブレットの一番ふかいところから」 【汽子】「ほんのわずかに触れ合う肩の、とてもささやかなぬくもりが――汽子にとっては、どんな火室で燃える火よりも、強くて、暖かかったんです」 【汽子】「……『ひとりじゃない』『そばにいる』って――。 言葉ではなくぬくもりで、じんわり伝えていただけたから……」 【汽子】「それまでは、ね 蒸気動車のレイルロオドのマスタアになんて、きっとなりたくなかったんだと。 汽子、勝手に思い込んでしまておりましたの。 だって……だって――」 【汽子】「蒸気機関車の機関士だったら、甲組(こうぐみ)に入れる。本線の特急列車の乗務だってできる。 気動車にだって、特急はある。 けれど――けれども、蒸気動車は……普通列車でしか、走らない」 【汽子】「だから、汽子――本当はなりたくないのに、嫌々汽子のマスタアにきっとなられたんだろうなぁって。 そんな気持ちを、ううん、ひがみを―― こころのどこかに、いつか巣食わせてしまっていたんです」 【汽子】「だけど――あのとき―― マスタアのくだるぬくもりが……沈黙が……そうして、気持ちが――汽子に、まっすぐしみてきて……」 【汽子】「……うふふっ、汽子が泣き止んで立ち上がったとき―― 『顔が汚れているみたい』って、涙のあとを、そっとぬぐっていただいて。そうしたら、ぽん、とわかったんです」 【汽子】「たんぽぽの綿毛がはじけるみたいに、ほんとに、ぽん、って」 【汽子】「『この方が汽子のマスタアなんだ』って『もしも潮風に錆びさせられても、この指が、必ずきれいに戻してくださるって』……汽子ね、いちばん底からわかって」 【汽子】「そうたら、すごく安心できて……ぽかぽかしてきて…… ふぁ――ぁ―― 蒸気動車でいることに、誇りを、灯してもらえましたの」 【汽子】「だって――うふふっ――こんなに素敵なマスタアが、汽子のマスタアなんですもの。 汽子だってきっとおんなじくらい、素敵にきまってますでしょう」 【汽子】「そうしてあの日から、汽子はね 蒸気機関車のレイルレイロオドとも、気動車のレイルロオドとも、かまえることなく、見くびることなく。 おねえさまたちと、妹たちとしていたように、お話、できるようになりましたの」 【汽子】「いまでは、ですから――うふふふっ。 蒸気機関車や気動車だけにとどまらず、電気機関車、電車――それから、ええと、なんでしたっけ――(呼吸音)」 【汽子】「ああそう! 電気式ディーゼル機関車のレイルロオドとさえ、お友達になれて、にぎやかで――毎日、とても楽しくて」 【汽子】「ですから、マスタア―― どうかこの先も汽子とずうっと…… (呼吸音)―― ああ、いえ、言葉だなんて、なんのたよりにもなりませんわね」 【汽子】「(呼吸音)(呼吸音)」 【汽子】「このぬくもりが、きっとなによりの証ですもの。 このぬくもりとよりそい続けて―― マスタアが望んでくださるその限り、きっと、汽子はいつまででも走れます――ふ……ぁ……(大あくび)」 【汽子】「……(呼吸音)――はい、そうですね。 すこし、おしゃべりがすぎましたわね。 お迎えの舟がくるまで……時間……のんびり……ございます、のに」 【汽子】「……(呼吸音)――ええ、そうします。 いまはひととき、瞳をとじて、言葉をとじて」 【汽子】「(安堵の吐息)それ……じゃあ、ふぁ―― マスタア……おやすみなさい」 【汽子】「起きたら……きっと……おさんぽ……して……ふぁ―― おさんぽ、したら……きゃんぷ……ふぁいあ……ん……」 【汽子】「汽子……マスタアに……お料理……おりょう、り……ふぁ……(大あくび)」 【汽子】「このひの……ため……に…………ふぁ…… たくさ……れんしゅ…………ぅ…………ん…… (寝入りばなの寝息)*2」 【汽子】「(寝入りばなの寝息)*4」 【汽子】「(浅い寝息)*4」 【汽子】「(浅い寝息)*4」 【汽子】「(すやすや寝息)*4」 【汽子】「(すやすや寝息)*4」 【汽子】「(熟睡寝息)*4」 【汽子】「(熟睡寝息)*4」