「…さて、次は左耳かー。耳かき、入れるよー」 --------------- 「…痛くないー?つっても、まー右耳で慣れたから大丈夫かな」 「…しっかし、あれだねー。ここ最近ほんと平和だね~。ここ一週間くらい訓練以外で撃ってないから、腕が錆びつきそう」 「あたしの勘だけどね、こういう日が続いた後は反動がドカンと来るよ。同じ部署で死人が出るときは、だいたいそう」 「んまぁ、こんな仕事してりゃね~。いきなりポックリなんて珍しくないけどさ。気を付けたいよねぇ」 「キミは意外と長生きしそうだけどね。初日見た感じ動きも良いし」 「あたし?あたしはまあ、どーだろ。別に考えたことなかったなぁ。明日死ぬならそれはそれでって感じ」 「…いや、別に自殺志願って訳じゃないけどさ。今日楽しく生きられたんなら別にいいかなあって。それにほら、あたし書類上死人だし」 「うへぇ…そんな怒んないでよ~。分かった分かった、この話はナシ」 「まぁ…なんて言うかな。深刻に考えてもどうしようもないことってわりとあるしさ。多かれ、少なかれ」 「そういうことにあんま振り回されてその日のうまい酒もうまいメシも楽しめなかったら、すごいもったいないなって。そう思わない?」 「ま、そこは人それぞれだけどねー。個人的にはお固い相方より、適度にゆるい相方のがやりやすくて助かるかなー」 「ふわ…。そうだ。明日メシ行かない?レーションも嫌いじゃないんだけどさ、飽きてきたっていうか」 「よしよし、ノリいいね。決まりー。車使っていいか聞いとこっと」 「何食おうかなー。中央通りは瓦礫の山になっちゃったけど、南の方は意外と平和らしいしなー」 「まー、そのへんはついてから決めればいっかー。良い店が残ってますよーにっと。」 「んー、耳かきはこんなもんでいいかな。ふわふわ、入れるよー 「よしっと、終わりだよー。さーて、買ってきてもらったビールで一杯やろうかねー」