【トラック1】久しぶりの再開  久しぶり、お兄ちゃん。あは、びっくりさせちゃったかな? ごめんね、突然。  私のこと、わかるよね? ひなただよ。宮本ひなた。  ふふふ。私、大きくなったでしょ? たった二年会ってなかっただけなのにね。でも、私だって成長期なんだから。  え? 何しに来たって……もちろん、お兄ちゃんに会いに、だよ。学校、連休だから。  お兄ちゃんが一人暮らし始めてから、私……ずっとさびしかったんだから。たまにメールしても、あんまり返してくれないし、返ってきてもなんだか素っ気ない感じで……。  だから、会いに来ちゃった。ふふふ。  中、あがっていい?……ん、ありがとう、お兄ちゃん。  どう? 一人暮らし。やっぱり大変? お料理とか、お洗濯とか、全部自分でやらないと行けないんだもんね。  ……って、あぁ~っ。お兄ちゃん、あれ、洗濯物、溜めちゃってるじゃないっ。ダメだよ~、きちんとお洗濯しないと~。  う~ん……心配してたの、当たっちゃったかな~。  まさか、ご飯もインスタントとかばっかりだったり、してないよね?  ダメだよ、そういう偏った食事は。お総菜でもいいから、きちんとバランス良く食べないと。もう。  ふふ……。でも、変わってないね、お兄ちゃん……。  あ、そうそう。それでね、私、お兄ちゃんにどうしてもしてあげたいことがあって……。  ふふ、何かわかるかな?  それはね……。耳かき。昔よくしてあげた、耳掃除。久しぶりにしてあげようと思って。  ね、いいでしょ? こればっかりは、一人でするの難しいもんね。お兄ちゃんのことだから、しばらく耳掃除、してなかったんでしょ?  ふふ、やっぱり。じゃあ、早速始めよっか。  お兄ちゃんのお耳、しっかりキレイにしてあげるからね。ふふふふふ。 【トラック2】耳かきしながら癒やし・甘やかしボイス  はい、どうぞ。お膝に頭、乗っけて。  ふふ……。ホント、久しぶりだなぁ。この感じ……。昔はよく耳かき、してあげたもんね。  さてさて、数年ぶりのお兄ちゃんのお耳は~……うわ、やっぱり。だいぶ垢、溜まっちゃってる。  一人だと耳かきって大変そうだもんね。  だけど、私が来たからにはもう大丈夫。これ、全部取ってあげるからね。  じゃ、始めるね。ん……。  どう? お兄ちゃん。久しぶりだけど、くすぐったくない?  ……平気? ん、ありがとう。じゃ、このまま続けるね。  そうだ……。ねえ、お兄ちゃん。耳かきしてる間に、ちょっとお話しさせて。いろいろ聞きたいこととかあるんだ。  ん~、そうだなぁ……。まずは……生活全般かな。何か、悩みとかない? 苦労してることとか……大変だってこととか……。  聞いたからって、私に何ができるか、わからないけど……話すだけでも、スッキリすると思うから。  ……うん。……うん、うん……。そう、そうなんだ……。そっか……。  やっぱり、一人で生きていくのって難しいんだね。一人暮らしって、自由みたいなイメージ強いけど……大変なこともいっぱいあるよね。  ふふ……。すごいね、お兄ちゃんって。そんな大変なこと、今まで黙って全部、やってきたんだもんね。  嫌なこととか、苦しいこととか、いろいろとあったんだろうけど……そういうこと全部隠して、全然連絡してこないで……。  さびしいって思ってたけど……お兄ちゃんなりに、考えてくれてたのかな。ごめんね。ありがとう、お兄ちゃん。  だけど……でもね。私、やっぱり……お兄ちゃんの力になりたいな。  どんな些細なことでもいいから。こうやって、私一人で行き来ぐらいできるから。だから……私のこと、もう少し頼って欲しいな。  私の方も忙しくて、何もできなかったりするかもしれないけど……それでも、お話しして励ますことぐらい、出来ると思うから。  だから、次からはお願いね。お兄ちゃん。ふふふ……。  ん……。なんて、お話ししてる間に、全部取れたみたいだよ。あ、待って、まだ動かないで。  最後はふわふわの梵天で、細かいの取っちゃうから。ほら……。  ん……。はい、これでおしまい。じゃ、今度こそ頭、反対側向けてくれる?  はい、ありがとう。じゃ、始めるね。  ん~……こっちもいっぱいあるね~。ふふ、だけど逆にやる気出てきた。ふふふ。  じゃあ、次のお話は……さっきのはちょっと、重たい感じの話だったから、ちょっと明るい話しよっか。  ねえねえ、お兄ちゃん。こっちに来て、彼女とかできた? 誰かに告白されちゃったりとか、あったんじゃないの?  え?……ないの? 彼女、いないんだ……。あー……それは、その……なんか、ごめんね。  いやいや、でも、落ち込む必要なんかないよ? ああいうのって、運とかもあるしね。  じゃあ逆に、気になる人とか、いないの?  へぇ……いないんだ……。うーん……そういえばお兄ちゃん、昔っから、告白したとかされたとか、そういう話、あんまりなかったよね。  なんでかな……。お兄ちゃん、けっこうかっこいいし、モテないってことはないと思うんだけど。 性格に問題あるわけじゃないし……なんでだろうね。ふふふ。  ……ん? 私? 彼氏? あは、いないよ、そんなの。というか、必要ないかなぁ。  なんでって……。それは、だって……私には……。  っと、ちょっと待って、お兄ちゃん。ここ、でっかいのがある。ちょっと集中させて。ん~……。  んっ、く、く、くぅ……はい、取れた。うわぁ、おっきい~。あは、こういうの取れると、達成感あるよね~。ふふふ。  ん、これでちょうど最後だったみたい。じゃ、またまた梵天で、ふわふわ~。  はい、これでこっちもばっちりキレイ。ふふ、どうだった、久しぶりの耳かき。すっきりした?  ふふふ、それならよかった。それじゃあ……ねえ、お兄ちゃん。耳かきのお礼……っていうわけじゃあないんだけど……一個、お願いがあるんだけど、いいかな?  あのね。その……添い寝とか、してくれないかな、って……。  ほ、ほら、昔……よくいっしょに、隣り合って寝たりしてたでしょ? その、それ、この間思い出しちゃって……そしたら、また、してほしくなっちゃって……。  どう、かな……?  ……いい? いいの? あは、ありがとう、お兄ちゃん。  じゃあ……ベッド、行こっか。ふふふ……。 【トラック3】あなたの隣であまあま添い寝ボイス  ふふふ……。ごめんね、変なわがまま、聞いてもらっちゃって。  でも……なんだか懐かしいや、この感じ。  昔は本当に、よくこうやっていっしょに寝たよね。毎日、毎日……私がお兄ちゃんのとこ行ったり……お兄ちゃんが私のとこ、来たりしてさ。  遊び疲れて、そのままだったり……宿題終わって、頭使って眠くなったって言って、お布団潜ったり……。  あと、私が落ち込んだりしたときも、添い寝してくれたりしたよね。あ、逆もあったかな?  お兄ちゃんが誰かとケンカして……負けて帰ってきたんだったかな? その時お兄ちゃん、一日機嫌悪そうだったんだけど……夜になって急に、私のベッド、潜り込んできて……。  覚えてないって? ふぅん、そっか。私はよぉく覚えてるけどなぁ。ふふふ……。  ふぅ……。うん……。そう、そうだ……。この感じ……。この、あったかくて、ぽかぽかしてて……隣にお兄ちゃんがいると、安心する感じ……。これだ……。  ずっと……こうしたかった……。お兄ちゃんがいなくなって……さびしくて……。  別に、一人で寝るのが怖いとか、そういうわけじゃないのに……。訳もなく、眠れなくなったりして……。  ふふふ……。ありがとう、お兄ちゃん。  ね、お兄ちゃん。もっとそっち……近付いてもいい?  ん。ありがとう。じゃあ、ん、しょ……。ふふ……。  ……ねえ、お兄ちゃん。実は私も、悩んでることがあってね。  進路のことなんだけど……えっと……早い話、お兄ちゃんといっしょのところはどうかな、って思ってて。  あ、別に、いっしょにいたいとか、離れたくないとか、そういうのじゃなくって……ああいや、それも、少しはあるんだけど……。  お兄ちゃんが今いるところ、調べてみたら……ちょうど、私が興味あることもやってるみたいで……それで、お兄ちゃんに聞いてみたくって。  実は一応、ここに来たのはそれが本題。ふふ、耳かきとか、添い寝とか、関係ないことばっかりしてたけど。  お兄ちゃんにもすぐにはわからないと思うから、私がいる間に、調べてほしくって。大丈夫……かな?  ……平気なの? ふふ、ありがとう、お兄ちゃん。やっぱり頼りになるなぁ。ふふふ。  さすがだよね。なんだかんだ、年上の人って頼りがいあるよね。  まあ、一部分、放っておけないなぁってところはあるけど……ま、それはそれ、これはこれ、だよね。  ……人間、そういうものだよね、たぶん。  だからさ、お兄ちゃん。もしも、さっき言ったこと以外にも、何か悩んでることとかあったら、いつでも言ってね。  人は一人じゃ生きていけないものなんだって、何かで聞いたこと、あるし……。  昔みたいに協力していこうよ。なんでも。  難しさは、宿題どころじゃないないんだろうけど……でも、私たちだって大きくなったんだから。きっと大丈夫。  そうだよね、お兄ちゃん。ふふふ……。  ん……。ちょっと、喋り過ぎちゃったかな……。なんだか、本当に眠くなってきちゃった……。  ふふ……。実は……昨日から、緊張してあんまり眠れなかったんだよね……。  久しぶりにお兄ちゃんと会うんだって思ったら……。ふふふ……。  でも……お兄ちゃんは、お兄ちゃんだった。なんて、当たり前だけど。こんなんなら、緊張なんてする必要、全然なかったね。ふふふ。  ね、お兄ちゃん……。このまま、本当に眠っちゃおうか。時間、大丈夫?  ……ん、そっか……。それなら、いい……よね? このまま、寝ちゃっても……。  久しぶりに……お兄ちゃんといっしょに、眠りたいな……。ふふふ……。  ん……。お兄ちゃん……。手、繋ご。前も、よくしてたよね。ほら、こうやって……ぎゅ、って。  ふふ……。お兄ちゃんの手、おっきいなぁ……。それに、あったかい……。  はぁ……。ぽかぽかする……。手も……身体も……。それに、心も……。  う、ん……。あ、ダメだ……。本当に、眠い……。  それじゃあ……おやすみなさい。起きたら、また……いろんなお話、しようね。ふふふ……。  ん、ふぅ……。 お兄ちゃん……。好き……。