『性行為、指導します ~見下しながら事務的にエッチなことをしてくれるお姉さん~』 おまけ小説  『性指導報告書』 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- 今回担当させて頂いた男性は年齢に比べ性体験が非常に希薄で、女性に対する免疫が乏しいお客様でした。 性行為をしたくてもできないいわゆる性的弱者であり、童貞であることに強いコンプレックスを持っている様子でした。 体型やファッションなども魅力的とはいえず、童貞特有の自信のなさやしぐさも目立っており、 性体験に恵まれない原因の一つだと思われます。 また、髪型や眉、顔などの手入れもほとんどされておらず、全体的に清潔感のない典型的な性的弱者の風貌であり、 臭いも少々しており、女性からは相手にされづらい傾向があるように見受けられました。 こちらではそこまでの指導はできませんので、交際指導課のほうで指導をお願いいたします。 お客様自身の性体験が乏しい一方で、女性に対しての性欲は人一倍強いものを感じました。 私が入室した時から、顔や体を嘗め回すようにみていました。 特に胸や太ももには並々ならぬ視線を注がれ、興奮が高まっている様子でした。 期待もあってか男性器は既に勃起されているようでした。 普段からこのような行為をされていると犯罪やセクハラ等の迷惑行為につながる可能性がありますので、 婉曲的にではありますが指摘・指導いたしました。 また、女性に見下され罵倒されることによって性的興奮を得るという倒錯した性癖もお持ちになっているようでした。 性体験が希薄な方は女性に見下されがちになり、防衛本能からそれすら興奮材料にかえてしまうことは有名でありますが、 典型的なマゾヒスト気質の性的弱者であると言えるでしょう。 カウンセリングでは貴重な情報を得ることができました。 音声作品なるものを自慰行為の際に使用しているというのです。 調べたところ、女性が男性に対し性的興奮を覚えるような言葉を収録した作品のようです。 多種多様なジャンルがありますが、お客様がよく聞いておられたのはおそらくマゾヒスト性癖がある 男性向けの音声作品だと思われます。 音声だけで自慰行為を行うというのは、かなり珍しい例であり、今後の指導の参考になるかもしれません。 しかし、驚いたのはその音声作品市場というのは私が考えているよりもずっと大きいものだということです。 性体験に恵まれない男性の倒錯した欲望の発散は歪んでいく傾向にあり、常人には考えられないものになっています。 性指導の必要性を改めて強く認識いたしました。 当初の予定は1回でありましたが、お客様が早漏傾向にあったため、4回にわたる指導となりました。 ◆ふれあい指導 マニュアルに沿ってふれあい行為を行いました。 乳房を熱心に揉んでいた姿が印象的でした。 キスの技術は初めてということを考慮に入れても拙いものでしたが、 事前にネットで調べてきたのか、必死に舌を入れてくるのは微笑ましくもありました。 ズボン越しに少し撫でると射精。 想定よりも刺激に弱く、童貞の方への性指導の難しさを感じます。 ◆手淫指導 本来は素手で行うべき指導ですが、不衛生なお客様だったため手袋着用、課長の承認済みです。 刺激に弱いことはわかっていたため、ゆっくりとかなりの手加減を加えましたが、 平均を大幅に上回る早さで射精されてしまいました。 ◆オナホール指導 本来であれば女性器について学び、挿入する指導の予定でありましたが、 お客様の経験値、衛生面、危険度などから総合的に判断し、オナホール指導に切り替えました。 加減を加えましたが、やはり平均を上回る速度で射精されました。 ◆ビデオ指導 余りに刺激に弱く、また直接指導するには指導員の精神的負担、衛生面での不安も考慮し、 ビデオ指導にて指導を完了という運びにさせていただきました。 自慰行為をされ射精。 ビデオも教材として購入していただきました。 ・改善希望点 お客様の口臭がかなりきつかったため、事前の歯磨きに使用する製品に、 より強力な消臭効果のあるものを希望します。 やはり、風俗店か何かと勘違いされているお客様が目立ちます。 広告の仕方など、今一度検討していただければと思います。 今回指導したお客様は典型的な性体験に乏しい性的弱者であり、犯罪者予備軍でもあります。 要注意人物として公安に報告することを現在検討中です。 彼らのような恵まれない方に性指導することの重要性は以前から専門家に指摘されているとおりです。 今後も性犯罪を防ぎ、また女性を彼らの魔の手から守るためにも継続的な指導が必要だと思います。 性的な刺激を想起させるだけで彼らは発情期の獣のように盛ってしまいます。 指導に対するインセンティブは大切ですが過剰すぎてもまた指導員に対する危険度が上がってしまうので 考えものですが。 ところで、次回の新・指導用ビデオに関してですが私もぜひ参加させていただきたいです。 経験を活かしきっといいものにしてみせます。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「ふぅ……」 報告書を書き終えると、美波楓はデスクで軽く息を漏らした。 「 「あっお疲れ様です、先輩」 向かいに座っている喜多有希(きたゆき)がねぎらいの言葉をかけてくる。 彼女は今年入ったばかりの新人指導員で、楓がいろいろと教育を担当している。 まだまだ学生気分が抜けず、指導員になったのも面白そうだと思ったからと軽いノリだったのだそうだ。 新人は人気になりやすく、中でも有希はセンスがあり、客からの評判も良かった。 楓が初めて一緒に教育に入った時から場慣れしており、感もよく、男性を喜ばせる術を多く知っていた。 ただ、少し雑なところがあったり、客によって態度を変えたりすることも多く、まれにクレームも発生していた。 テクニックに頼りすぎるところがあり、相手によって指導内容を臨機応変に変えるというところが今後の課題である。 しかし、総合的には優秀な新人指導員であった。 「お疲れ様」と返す間もなく有希は、 「先輩、大変でしたね~。今日の相手」 と今まさに報告書を書いたお客様の話題をきりだしてきた。 指導員の間では顧客のうわさ話は当然行われる。 本来はよいことではないが、指導員も人間。まして女性の口に戸は立てられようがない。 「どうして?」 「どうしてもなにも、めっちゃくちゃキモかったじゃないですか!いっくら童貞でもあれはww」 嘲笑するような声色で彼女は続ける。 「めっちゃきょどってましたし、私の体はチラチラみてくるし、いかにも女性経験なしって感じでした」 彼女の感想も無理はない。男性の風貌はみるからにもてないし、恋人どころか友達としても遠慮したいタイプの人間であった。 生理的に無理、とはかの男性のためにあるような言葉であった。 「喜多さん、そういうものではありませんよ。彼みたいな人のために私たち指導員はいるんです」 指導員は立派な仕事だ。中には汚らわしい仕事だと偏見から差別をしてくる女性や、 セクハラまがいの言葉をかけてくる男性も珍しくはない。 高給ではあったが、それでも様々な面からやりたがる女性は少なかった。 指導員、特に良質な指導員は常に人員不足に悩まされていた。 有希のように童貞の醜悪さに耐えかねて退職する者も後を絶たない。 一部の支部では悪質な指導員の雑な対応で男性の尊厳を傷つけてしまうという例も報告されている。 また、指導員不足でビデオをみせて自慰をしてもらうだけというようなところもあるらしい。 そのようなことになってはいけない。 楓は有希に立派な指導員に成長してもらいたかった。 「人は見た目じゃありませんし、彼もそういった自分を変えようと今回指導を受けに来てくださったんですよ」 指導を受けた後の多くの男性は幸福度があがり、自己肯定感が向上する。 指導を機に前向きになれ、人生が変わる男性も多くいるのだ。 「……先輩ってキモい男好きですよね。ああいうの相手にしてる時の先輩が一番イキイキしてます」 「……そ、そう?」 キモセン、なんてことはないはずだ。 正直に言ってしまえばあんな男たちとは話したくも近寄りたくも同じ空気を吸いたくもないというのが本音である。 だが、仕事だ。プライベートで女性と関わることができない哀れな性的弱者。 彼らを救うのが指導員の仕事なのだ。 だが、ほんの少し。ほんの少しだけ楽しんでいる節もあった。 男性が自分に対し性的な目を向け発情しきっているさまを眺めるのは快感であった。 力では絶対にかなわない男を、自らの性的魅力だけで屈服させているのは他では味わえない格別の快感だ。 こちらが指示をすると、必死にズボンを下ろし矮小な男性器を扱くさまは哀れなもので、 自分が性的な面において完全に上位であることを強く認識させてくれる。 軽く性器に手を添え、少しさすっただけであっけなく精を漏らしてしまう男性。 快感と興奮でめちゃくちゃになった情けない顔をさらしながらの射精。 どれをとっても日常では味わえない、指導員をしていなければ味わえなかったものなのである。 自分はM性癖だと思っていたが、ひょっとするとそっち方面の素質もあるかもしれないとふとそう思った。 『美波さん、お客様が参りましたので性体験指導のご準備をお願いいたします』 事務所にアナウンスが入る。指導の時間だ。 「それじゃ、いってくるわね。ちゃんと報告書書きなさいよ?昨日みたいなのだとだせないから」 「……は~い。じゃ、頑張ってくださいね~」 不満げにパソコンに向かう有希を尻目に、楓は指導室へと向かった。 この時間が楓は好きだった。緊張と興奮が入り混じった不思議な感覚。 一体どんな指導をしようかと考えながら歩く。 次はどうやって責めてやろうか、と。 指導室の前で深呼吸すると、ゆっくりと扉を開いた。 「大変お待たせ致しました。少子化対策課性指導部、担当の美波楓と申します」 終.