1. うふふっ♪ こんばんは、小鬼さん。今日は月が綺麗ですね。 わぁ。すごいですね。体の小ささを利用して、建物の隙間を移動できるなんて…。 どうしたんです? そんなに驚いた表情をして。まさかバレていないと思っていましたか?  ここ数日、貴方に尾行をつけていたんですよ。 なぜかって? それはこの世から鬼を一掃するためですよ。 何も難しく考える必要はありません。鬼は人間を脅かす存在。消えてもらう他ありません。 …おや? どうして死ぬ直前なのに、股間が大きく膨れあがっているのですか? 私の恰好を見て勃起してしまった…と。 では私のせいなのですね。すみません。この恰好には訳がありまして…。 理由、ですか? 教えてあげてもいいですけど、一つ交換条件です。このあたりを牛耳(ぎゅうじ)っている鬼の所在を教えてくれたら、理由を教えてあげてもいいですよ?  …あら、そんな簡単に教えていいのですか? そんなにこの服の理由が知りたいだなんて…貴方も物好きですね♪  いいですよ。この馬鹿みたいに下品な服装について説明してあげます。 私たち「悪鬼滅殺隊」といって、先ほど申したようにこの世から鬼を一掃するための組織です。 元々隊服が存在していたのですが、所詮は服。耐久力は紙切れ同然です。そこで我が隊の研究部門が編み出した新素材で隊服を作った結果、鬼の攻撃にも耐えうる隊服が完成したのです。 各部露出が多そうに見えますが、そこには貴方たち鬼が嫌いな“藤の花”の毒を散布した特殊な膜で覆われているのです。 またこの服には欠点もあり、着用したまま活動を続けると熱がこもってしまうため、心臓部は常に全開で放熱を促しているんです。また手足のつけ根部分も心臓に近いため、放熱効果があり…って、さっきから私の解説を聞いてるフリして、自分の陰茎をしごいているのはどういう理屈ですか?  はっきり言って貴方、死んだほうがいいですよ?  え? 冥土の土産に見抜きさせてほしいって…。貴方本当に馬鹿ですね。死んでください。今回はそういう目的ではないので。 私としたことが余計なことをペラペラと話してしまいました。ふぅ。早くこの世から鬼を一匹残らず消し去りたいです。 そのためには、私はどんな手段だってとりますよ。悪鬼滅殺隊、薬学・研究部門の柱として、この世に生ける人たちのために頑張ります。 だから見ていてください、姉さん…。