;1 ;お祭り会場にて 「思ったよりも人少ないね。もっと押しくらまんじゅうみたいになるかと思ってたけど……そうだね、むしろありがたいかな? 浴衣、着崩れたら直すの大変だしね……ただ、それでもそれなりに人はいるみたいだけど……と、ごめん。前の人を避けようとしたらぶつかって……腕組み……確かに、その、その方が場所も取らないけど……ぁ……強引だなぁ、そういうの困るよ? ふふ」 「……まぁ、恥ずかしいよ。恥ずかしいけど、手を繋いでたし、腕組んだりするのは良いんだけど……自分が相手でもしたかったの? こういうのって、やっぱりその……胸の感触があった方が良いのかな、って思うんだけど……い、いや、別に貧乳の女性を貶(おとし)めてるつもりじゃ……ひぅ……こ、こら、腰……変な触り方、したら……別の楽しみ方って、まったく……困るよ」 「……ん、どうしたの? ……くす……そうだね、確かに意外だったかも? 自分だって、男同士でデートするなんて、って思ってたし……でも、アレもダメ、コレもダメなんて言いたくないし、実際君が提案してきたプランは……うん、有りかも、って思ったからさ……くすくす……そうだね、君と泊まりの旅行に行くって言ったら両親はちょっとビックリした顔してたけどね?」 「でも、泊まりだから着替えも旅館で出来たし、地元から離れて自分たちを知る人は当然居ないだろうし……お祭りだから、こういう格好してても変に注目もされないし……割と完璧なプランだな、って感心したんだけど? ……くすくす……アレもダメ、コレもダメなんて言わないよ。ちゃんとプラン出してくれたら、その……君とデート、しても良いかなって思ってたんだけど?」 「まぁ、浴衣に着替えたら拝まれてどうしようかと思ったけどね、ふふ……ん……正直、今でも恥ずかしいよ。浴衣なら男も着るから、なんて言い訳出来ても……こんな柄と髪飾りしてたらそんな言い訳も出来ない訳だし……でも、うん……良いかな、って……君にかわいいって言われて嬉しかったのは……ウソだなんて、言いたくないし……だ、だからって今言う必要はないよ、もう」 「……別に女の子になったつもりとかじゃないけど……君が喜んでくれたら、その……自分も嬉しいし……顔赤いとか、かわいいとか言わないで欲しい……判ってて言ってるんだから、その……困るよ……ふぇ、あ、んぅ……ちゅぅ……こ、こら、外でなんて事……まったく、そういう事ばっかりだと怒って旅館に戻るよ? ……くす……そうそう、ちゃんとお祭りデート、しよう?」 「……されてばっかり、流されてばっかりだといつまで経っても君に弄られるだけだし、少しはやりかえせるようにならないとね、ふふ……ほら、夕飯は無いプランなんだし、ちゃんとご飯も食べないとね? ……んー、そうだね。箸巻きとか食べたいかな……いや、あれってお祭りくらいでしかみないから……くす……そうだね、じゃあ一緒に探そっか……もちろん、腕組んだまま、ね」 ;3秒程度間