あれから半年。 今日はあの子が上京してくる日。 別に家で待っててもいいはずなのに、なんとなく駅まできちゃった。 到着時刻よりずっと早い時間なのに、 目の前を男の人が通り過ぎていくたびになんとなくそわそわしてしまう。 早くこないかなぁ。 スマホを開いて通知を確認する。 実は予定より早く着いちゃいました、なんて。 きてるわけなかった。落ち着け、私。 スマホのカメラを何度も開いて髪型を直してみたり。 カメラの向こうにいる立っている人と目があって、 思わず気恥ずかしくなって慌ててスマホを閉まったり。 前に会ったときはこんなことなかったのに。 いつの間にか、ずっとあの子のことばかり考えてしまうようになっていた。 あのとき。 ホテルでのえっちのとき。 きみが、キスしたいって言ってくれて。 お姉ちゃんだから、いいって言ってくれて。 そのときからずっとこうなんだ。 びっくりしちゃって、その言葉が頭からずーっと離れなくて。 他の誰でもなく、私がいいって言ってくれたのはきみがはじめてだったから。 だからその気持ちに応えたくなって、どうすればいいのか色々考えてたの。 私、誰彼構わずえっちするのやめたよ。 きみとするのが一番気持ちよかったし、幸せだったの。 これが、きみがくれた言葉に応えることかなって思ったから。 お姉ちゃん的にはすごいことですからね、これ。 そしたらね? だんだん、えっちしたいって気持ちより、きみの顔がみたい、 きみと話したいって気持ちばっかり大きくなってきた。 もちろんえっちなことしたくなっちゃうときもあったけど……でも、ちゃんと待ってたよ。 もう、上手く会話が続かなくても、なんかぎこちなくなっちゃっても別に全然気にしないから。 あのとき、お姉ちゃんはきみに一つうそをついてしまいました。 「えっちなことと同じくらい、きみがすき」なんて言ったけど、 今ではもう、えっちなことよりもずっと、きみがすきです。 合格おめでとう。これから、よろしくね。