あー。もう駐車場着いちゃった。  何かあっという間だったね。一か月。  なんかまだ信じられないね。変な人捕まったって。    わかる。  私もすごい困らされた分、警戒解けないっていうか。  『本当に捕まったの?』みたいに思っちゃってる所ある。  でも、昨日学校から聞いた話だと、間違いなく、私についてきてた人だよね。  服装とか、やってる事とか、完全一致だったし。  けど、私だけじゃなくて、この辺で気に入った女の子見つけたら、誰でも付け回してるような人だったんだね。  うちだけじゃなくて、他の学校でも変質者情報みたいなの出てたっていうのは、びっくりしたなぁ。    ……でも、とりあえずは安心していいのかな。  これで、お迎えももう大丈夫だね。  先生仕事で疲れてるのに、いつも来てもらうの、悪いなぁって思ってたから。    あー。でもなんか降りたくないなぁ。  私、先生の車大好きだったの。    うん。  だってかっこいいじゃん、この車。  おしゃれな感じで、いい匂いして。  ……先生っぽくて。  あのね。バイト終わって、近くにこの車が停まってる時。  ほんとはめっちゃ自慢したかった。  『私、先生が迎えに来てくれてるんだよ。私が一人暮らしな事心配して、先生が一緒にいてくれるんだよ』って。  ほら、昨日言ったじゃん。私、学校の先生とうまくいった事ないから。  やっと気持ちが通じた気がしたっていうか。  なんか舞い上がって、調子乗ってたなぁ……。    とか言っててもしょうがないか。行こっか。  先生、明日も早く行かなきゃいけない日だもんね。  早く帰って、寝ないとね。      うわ、寒。もう冬だね。  先生は……  ちゃんと冬用の服とか、布団とか出した?  風邪引かないように気をつけてね。  ご飯もさ、簡単な奴教えたじゃん。ちゃんと自分で作って、食べるんだよ。    うん。応援してるよ。  そうだ。お弁当箱は……ああ、今日月曜だから、先生の使う日だったね。  ゲームも、昨日持って帰ってたし。  じゃあ、返す物とかもないね」  はは。じゃあ、本当に今日で……。    え?    ……あ、言われてみれば。何か声、するかも……。  ドア、ちょっとだけ開けて、覗いてみよっか。  わ。ラウンジのとこ、誰かいるっぽいね。    ……あ。  ……先生。あの子だよ。  昨日話した、うちのマンションに住んでる、うちの学校の子。  二人いるうちの、ちっちゃい方の子。  こっからじゃ見えづらいけど。あのジャージ、三年の色でしょ?      ……なるほど。  もう一人の子。  理沙さん? が来るまで、あそこのソファで待ってるみたいだね。  一緒に通っても、別に大丈夫だと思うけど……。  説明するの面倒だよね。  時間差で行こっか。  先生は一回車戻って、しばらく隠れてて。ここに居たら寒いでしょ。  じゃあ、無事に家入れたら連絡するから。  先生、今日までありがとう。  ほんとに楽しかった。  ……行って。    先生?    あの。先生。車戻っていいよ?  ここ、寒くない?      ……え?  ここで待ってるの?  私の事、お見送りしてくれるの?  だ。ダメだよ。それは私がやる。  私、先生がちゃんと隠れられたか確認してから、行こうと思ってたんだから。  ほら、行きなよ。    あ……。    ……じゃあ、私もここに居よっかな。  通り道って言ってたし、多分あの二人、正面玄関から入ってきてるから。  駐車場側には、来なさそうだし。  一緒に、待ってよっか。    あ……❤  へへ。そっか。……私も。まだ、バイバイしたくない。  でも、いいの? これ。先生として。  堂々と出ていくならまだしもさ。  二人で隠れてるの見つかったら、ヤバくない?    ほら。ダメじゃん。やっぱり戻ってなよ。  先生は……先生なんだからさ。  ちゃんと。先生らしく、してないと……。  え……?  あ……❤  ……!  先生……❤  やだなの? ダメでも離れたくないの?  私と一緒に居たいの?  もう。困った先生だな。      ……。  私も、離れたくない……❤  ふふ。ありがとう。ここに居るって言ってくれて。  ほんとはね。先生が居なくなっちゃってたら、私きっと淋しくて泣いてた。  きっと家帰った後も、泣きながら寝てたよ。    あ……❤  うん。そうだよね。ここでさよならなんて、おかしかったよね。  ごめんね。一人で勝手に決めようとして。  『それがいい』って思いそうになったけど、間違ってた。      あのね。知ってると思うけど。私も先生の事大好き。  先生の時の先生も、先生じゃない時の先生も、どっちも大好き。  ほんとはずっと、こんな風に先生にハグしてほしかったの。    本当? ゆったな? これからほんとに、毎日してもらうんだから。  あのね。  そしたらね。  私からはハグ、絶対解かないから。  ……離れるなら、先生からにしてね?    先生もずっと離さないの?  困ったな。じゃあ、ずっとこのままじゃん……❤  あはは。そうだね。  ぐすっ。じゃあ、抱き合ったままマンション入って、抱き合ったままうち帰って、そのまま寝ちゃおうか。  あのね。私、ちゃんと頑張るから。  私達の事誰にも言わないし、先生に迷惑かけないようにするから。  これまで通りに一緒に居られたら、他は何にもなくていいから。  わた……。    え?  ん……❤  ん……!  ん。う。んっ……❤  はぁ、はぁ、はぁ……❤  もう。他にはなくていいって、言ったのに。  こんな事されたら、私、もっと一杯ほしくなっちゃうよ。    あ……❤  ん❤  欲しがっていいの?  だったらね、さっきのは嘘。  本当は思いつく事、全部したい……❤  ん……ちゅ、ちゅ❤ちゅっ❤  はぁ……❤  あのね。嬉しい。私、誰にも言えない事してるのに、嬉しいよ。  ごめんね。ダメな生徒で。  先生の事、もっと欲しい……❤    ん……❤  うん。私ももっとしたい。  もっとする……❤  ん❤ ん❤ んんぅ……❤  はぁ、はぁ、はぁ……❤  ふふふ。もう、何回キスしたかわかんなくなっちゃった。  ちゅ❤  ……先生。大好き。私と居てくれてありがとう。  これからも。ずっとそばにいてね……。  ちゅ❤