おぉ。起きた。    無理しなくていいよ。まだ横になってて。    あ。  わかんないか。私の事。  私。    ……!      わ。  そう。二年の広末。広末 イヴ。  わかるんだ。すごいね。  私、ほとんど保健室行った事ないのに。    でも、それはこっちのセリフ。  先生、何でこんなとこに居るの?  ラウンジで寝てる人なんて初めて見たよ。  具合、悪いの。救急車呼ぼうか。      そっか。    んー。  私が来た時にはもう居たから、少なくとも十分位かな。  そうだ。どこか打ってたり、ケガしてたりはしない?  おうちの人、居るなら連絡しようか。  うん。  ふーん。先生達の飲みだったんだ。  えっ……お酒、飲まされたの。  へ。  …………。  あは。  先生、飲めないのに、今日は我慢できなかったんだ。  つい『一杯なら平気』って思っちゃったんだ。  なんだ。  良かった。    よし、よし。    いいんじゃない。たまには。    うん。無事に帰ってこられたみたいだし。  ……まぁ、私が見つけたから、セーフ?  そう。セーフ。  あぁ。これね。  さっき、私が傍まで来たら、先生がこう……こてん。って倒れてきて。  だから膝枕。    座ったまま寝たら首痛くするし。  別に重くないから、このままこうしてていいよ。  そお。  ていうか、先生って何かいい匂いするね。  香水……。  じゃないよね。    あ。柔軟剤。  こだわりの? ふふ。  うん。私もこれ、好き。    うん?    あ。私?  私はバイト帰り。  月水金は、十時までピザ屋。  で、この位の時間に帰ってくる。  そお。帰る。  あ。  そっか。知らなかったか。  私も。ここ住んでるんだよ。    そう。ここ。『ガーデン逢瀬』。    おぉ。起きた。    だろうね。  同じマンションってだけじゃ、別に会わないもんね。  でも私は、先生が住んでる事知ってたけど。  ふふ。  さて。そろそろ行こうか。  ここ、あんまあったかくないし。ずっと居ると身体冷やすかも。  部屋まで送るね。    え?  だって。またここで寝ちゃったら困るし?  気にしないで。  困った時は助け合いでしょ。  立てる?  はい、手。  ううん。私はもう帰って寝るだけだし。  家帰っても、誰も居ないし。    あ。  そうだ。何階?  ん?  ごめん、聞こえなかった。もう一回いい?  え?    同じ階だ。