;//////// ;Track1 プロローグ。ランの自己紹介 ;//////// ;プロローグタイトルコール 【ラン】「蓄音(ちくおん)レヱル ~高嵜鉄道(たかさきてつどう)横河線(よこかわせん)D51 840(でぃーごじゅういち はっぴゃくよんじゅう)専用レイルロオド ラン~。ランの自己紹介~」 ;環境音 ;町なみ、雑踏 ;3/右(近い) ふたり並んで歩いてる 【ラン】「――なるほど。ありがとうマイロード。 ということは、そのインタビューをポスター撮りのロケハン…… 撮影地探しの前に入れるしかない感じなんだね」 【ラン】「一ヶ月半ぶりに貴方と一緒におでかけできるというのに、ね。 (芝居がかったため息)。 忘れていたよ。運命の女神の趣味ってヤツを」 【ラン】「けれどもしかし、だ。 障害こそがドラマをつくる。 そう考えれば悪くもないかな」 【ラン】「インタビューは、西瓜にかける塩の粒。 お汁粉に添えるおしんこ。 あるいは、バニラアイスクリームに垂らす、ほんのひとしずくの醤油」 【ラン】「(苦笑)――しかし、まぁ。おでかけもデザートほどには甘くなりそうもないのかな。 ふたりっきりの時間とはいえど……ロケハンは結局、お仕事だしね――あ」 ;SE 小さな女の子(モブ)の駆け足 【ラン】「あの子、ちょっと危なっかしいね。 急ぎすぎて、まわりが全然見えてな――っと!!!」 ;SE ラン、数歩駆け足 ;SE 対人衝突 ;1/前 (しゃがみ) 【ラン】「……危なかったね。お嬢ちゃん。 転ばなかった? (呼吸音)(呼吸音)―― そう。ならよかった」 【ラン】「え? ……(呼吸音)(呼吸音)―― あははっ! 王子様に見えるんだ、ランのことが。 けれど、ごめんね? ランは、王子様じゃないんだ。 ただのレイルロオド――鉄道車両の運行を助けるための存在なのさ」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)――うん、そう。鉄道。 お嬢ちゃんは、この町の……高嵜(たかさき)の子かな。 もしもそうなら、見たことがないかな。 真っ黒な鋼鉄の塊が、真っ白な煙をモクモク吐きながら走っているのを」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ふふっ! 格好よかったなら嬉しいよ。ありがとう。 ランは、あの蒸気機関車――D51 840(でぃーごじゅういち はっぴゃくよんじゅうごうき)の、専用レイルロオドなんだ――っと」 【ラン】「時間は大丈夫? お嬢ちゃん。 随分と急いでる様子に見えたけど―― あ! やっぱりそうだよね――(呼吸音)」 【ラン】「うん。いってらっしゃい。気をつけて。 あははっ、いいよ、お礼なんて。 もし気が向いたら、高嵜鉄道にご乗車いただき、お楽しみいただければ、それが一番嬉しいかな」 【ラン】「今度はちゃんと周りをみてね。 ――うん、それじゃあ!」 ;SE 子供足音駆け去っていく →F.O ;1/前(しゃがみ)→;1/前 立ち上がり 【ラン】「……こどもっていうのはかわいいものだね。 ふふっ、王子様だって、ランのこと。 とても光栄なことだけれども――ね、マイロード」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「貴方と並んでいるときくらいは。 お姫様って呼ばれたいかな。少しだけ」 ;3/右 【ラン】「あははっ! で、何の話をしてたっけ。 うーんと……(呼吸音)(呼吸音)―― ああ、そうだ、出かける前にインタビューを受ける、って話だったね」 【ラン】「音がどうのこうの……っていう内容のインタビューだっていうことだから――(呼吸音)(呼吸音)―― ああ、うん。ある程度は準備しておいたほうがよさそうだ」 【ラン】「例えば音がよく聞こえるように、ヘッドホンかイヤホンを用意しておく、とか。 うん。いま試しにつけてみるのも悪くない」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 ;1/前 【ラン】「じゃあ実際、聞こえ方が変わるかどうか、試してみよう」 ;7/左 (密着) 【ラン】「左耳」 ;7/左→;1/前→;3/右 【ラン】「ぐるーーーっとまわりこんで」 ;3/右(密着) 【ラン】「み・ぎ・み・み。 (ふーーーーーーーーーっ)」 ;1/前 【ラン】「ふふっ、よく聞こえてるみたいだね。 なんだかランまで嬉しいよ」 【ラン】「さて、そうしたらインタビューの手配を済ませてしまおう。 インタビューがすんだらそのあとは、ポスター撮りのロケハンだ」 【ラン】「ランが一番綺麗に見えるシーンを、マイロード。 その瞳でどうか、見つけ出してほしい――ふふっ!」 ;1/前 【ラン】「もちろん! 今ここで見つけ出してくれてもかまわないよ!!」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track2 雨水川、音探しの始まり(ドラマパート) ;//////// ;タイトルコール 【ラン】「蓄音(ちくおん)レヱル。 高嵜鉄道(たかさきてつどう)横河線(よこかわせん)D51 840(でぃーごじゅういち はっぴゃくよんじゅう)専用レイルロオド、ラン!」 :使用環境音/碓氷川 ;SE ラン、足音、川砂利。数歩 ;1/前 【ラン】「雨水川(うすいがわ)――いつも乗務で、橋梁(きょうりょう)の上からなら渡っている川だけれども」 ;あたりをぐるーりと見渡しながら 【ラン】「知らなかった。これほど駅の近くだというのに、なかなか綺麗な景色じゃないか。 ……すぐそばに道路が走っているのが気になるけれど、アングル次第では、ここも撮影スポットの候補にあげられるかもしれないね」 【ラン】「そうして――(呼吸音)(呼吸音)――ああ、あそこが入り口か。 撮影スポット候補のひとつ、麻織(あさお)の滝へと続く道への」 ;1/前 “麻の糸が“から→;7/左 【ラン】「ふふっ。楽しみ。 麻織の滝は、横河でも有数の観光名所だものね。 ――麻の糸が織りなされるように水が振り散るから、麻織」 ;7/左 【ラン】「名前からしてとても雅(みやび)だし、 高嵜鉄道横河線――高嵜・横河間(たかさき・よこかわかん)の乗務についてからずっと、興味を抱いていた場所ではあったんだ」 【ラン】「けど――ふふっ、中途半端に近所にある観光名所ってさ。 ある意味、一番訪ねていきづらい場所だよね」 【ラン】「その意味でも、今回のポスター撮りのロケハンは、とても素晴らしい機会になったと思う。 正直ね『モデルをやる本人がロケハンを?』って、話を聞いた瞬間には、思わないこともなかったんだけど――(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「まぁ、うちの会社――高鉄(たかてつ)のお財布に余分なお金が一切ないことはランにだって容易に想像がつくことだし ――それに」 ;7/左 (接近囁き) 【ラン】「マイロード、貴方が一緒にいてくれるなら。どんな時間も、ランには極上の楽しみになるんだ」 ;7/左 (通常) 【ラン】「だから一刻も早くインタビューを済ませてしまって、麻織の滝を目指したい…… なんていったら、ちょっと失礼がすぎてしまうね。いけないいけない」 【ラン】「なにせこちらのわがままを受け入れて、ここまで運んでくれる新聞記者さんだもの。 そのご厚意には、ランとしてももちろん、誠意をもってお応えするつもり……っと――(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「……こんな川原にスーツ姿。革靴。 かの御仁(ごじん)が、ウワサの新聞記者さんで間違いないだろうね――(咳払い)」 ;7/左 (ダミーヘッドと同じ方向に視線) 【ラン】「おはようございます、ミスター。 今回、マイロードとランに取材依頼をくださったのは…… (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― やはりそうでしたか。では、改めましてご挨拶を」 【ラン】「高嵜鉄道横河線、D51 840号機専用レイルロオドの、ランです。 そしてこちらが、マイロード。ランのマスターです」 【ラン】「いまは横河線の観光列車『SL よこかわ』の牽引を主たる務めとしています――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「ああ、ご乗車くださり、記事を書いていただいたこともあるのですね。 実に光栄なことです。ありがとうございます」 【ラン】「では今回の取材依頼も、SLよこかわについての……――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― ふぅむ、そうでない。そうではなくて…… (呼吸音)(呼吸音)―― 音集めですか! ――ほほう!」 【ラン】「ランがマイロードとともに、横河線沿線の素敵な音を探し集めて。 それを記者さんに報告して、記事化いただいて全国広くにご紹介いただく!」 【ラン】「エクセレント! 素晴らしいご提案です!! その記事はきっと、高嵜線の魅力をお伝えすることへ、ひいては高嵜線の定期外客数(ていきがいきゃくすう)を増やすことへと繋がりましょう」 【ラン】「地域そのものの魅力を高め、伝えること。 そしてグッズ販売等を絡め、地域の魅力を収益化していくこと」 【ラン】「それこそが鉄道存続、復権にむけて大変大きな力になると、偶然にもランは、遠く御一夜(おひとよ)の地で学んできたばかりなのです!」 【ラン】「なんと運命的なことか! わくわくします。具体的にお話を詰めましょうとも」 【ラン】「実務として、ランとマイロードは何をどのように……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― ほう、モニタリング――音をより正確に聞き取るために、ですか」 【ラン】「というお話ですので、マイマスター。どうぞヘッドホンかイヤホンを――(呼吸音)(呼吸音)―― ふつつかながら、ランがお手伝いいたしましょう」 【ラン】「ん……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「うん。――ああ、とてもお似合いですよ。素敵だ。 では、モニタリングがうまくできているものかどうか、少しテストを」 ;3/右 【ラン】「右耳」 ;7/左 【ラン】「左耳」 ;7/左→;1/前→;3/右 【ラン】「ぐるーーーーーーりと回り込んでからの」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「(ふーーーーーーーーーーーーーーっ) 吹きかけだとか。どうでしょう」 ;3/右(マイク向き) →;3/右 (マイクと同じ視線) 【ラン】「ふふ、聞こえは上々のご様子ですね、マイロード。 それでは――記者さん、早速、ご依頼の案件にとりかからせていただきます (呼吸音)―― ええ、早速。このお話が終わり次第に」 【ラン】「極めてタイミングがいいことに、マイロードとランは、これから自然の中にわけいっていく予定なのですよ。 高嵜鉄道横河線沿線の自然の魅力を伝える新しいポスター。 その背景に最も適した場所を探すための、ロケハンに」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ええ! 極めて光栄なことに、みなさんがそうおっしゃってくださいます。 『ランは、高嵜鉄道の看板レイルロオドだ』と」 【ラン】「ですから、そのポスターのモデルも務めさせていただくことになっています。 そうしていつでも――ふふっ、ランがもっとも美しく輝く瞬間を見つけてくれるのは、必ず、マイロードなんですよ」 【ラン】「だからきっと、横河の美しい自然景とともに。 その自然にふさわしい、豊かな音も見つけ出せるかと」 【ラン】「ご期待ください。 それでは記者さん、ご機嫌よう。 そうして、マスター」 【ラン】「麗しい景色と音を探しに、ランとともに踏み出しましょう! 大きく一歩――麻織の滝に続く道へと!」 ;SE ラン、足音、大きく一歩 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track3 落ち葉の絨毯(麻織の滝への道) ;//////// ;SE 環境音/麻苧の滝(滝遠い) ;SE 鎖が鳴る。じゃら ;1/前 【ラン】「(登山中の、身体をフルに使っているときの、荒い呼吸音 ×8呼吸)」 【ラン】「ぶはっ!!」 ;SE 鎖、じゃらり 【ラン】「ぁ……ふぁ――ふああっ」 ;SE うず高く折重なった落ち葉の上にどさっとしゃがみ込む ;3/右(二人並んでしゃがみこんでる) 【ラン】「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ――(ごくっ) はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………」 ;呼吸荒いのがだんだん落ち着いていく 【ラン】「あの、さ――マイ、ロード。 ラン、は……線路の上のこと、以外は、なにも知らないような…… 世間知らずの……レイル、ロオド――だけれ、ども」 【ラン】「(呼吸を落ち着けようとする呼吸) *4」 【ラン】「それでも……。それでも明確に断言できる。 これは――これは登山だ! 完全に!!」 【ラン】「あははははっ! まさかランが、レイルロオドが登山にチャレンジするなんて! 想像したこともなかったよ」 【ラン】「観光ルートとして紹介されてる、誰でも安全、簡単に麻織の滝へたどり着ける道をいくつもりだったのに…… (いま自分が登ってきた岸壁を見下ろして、数度呼吸)」 【ラン】「よもや鎖を伝って垂直な岩壁を這い登ることになるだなんて!! マイロード、貴方と一緒じゃなかったら、絶対にランは引き返してた。こんなチャレンジ、できてなかった」 【ラン】「――とても楽しい、爽快だ! けどマイロード。小さなお子さんやお年寄りに、この道はとても辿れない。 だから――つまりは」 ;3/右 (うつむいて) 【ラン】「……まことに申し訳ない。 ランは、間違った入り口を選んでしまっていたんだね」 ;3/右 (向きもどして) 【ラン】「『登山届提出箱』っていうのがあった時点で、少し違和感を覚えてはいた。 けれど――『麻織の滝』と書かれてる朽ち果てた看板もあったから……」 【ラン】「道がいきなり険しくなれば、きっと引き返していたのだけれど……ロープがあって、はしごが続いて、最後に、鎖―― (呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「――ステップアップ。チュートリアルみたいな経路になっているんだもの。 これは遊覧歩道ではなく、どう考えても登山道だと―― 確信するのに、今の今までかかってしまって……」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ああ! うん。 登山道だからこそ、見える景色も聞こえる音もあるね、確かに」 【ラン】「お尻の下の、これほど分厚い落ち葉のクッションひとつをとっても―― <;SE 身じろぎで落ち葉がさがさ> いままで一度も腰をおろしたことがないレベルだし―― よっ!」 ;SE 立ち上がる ;1/前 【ラン】「んーーー……(行く先に目を凝らす呼吸)…… ここからしばらくは平坦な道が続きそうだね。 道の向こうに、滝の姿が見えてくれるといいのだけれど――」 ;SE 落ち葉踏み、一歩。 【ラン】「ん、これは…… ふふっ、なかなか愉快な感触だね。 これほど深くたくさん積み重なると、ただの落ち葉が――」 ;SE 落ち葉ふみ、数歩 【ラン】「ふふっ! うふふっ! あははははっ! ふわりと沈むのにカサカサ崩れて―― いいね、とても風情があるし、贅沢だ」 ;SE 落ち葉足音(継続) 【ラン】「……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― ああ、本当に! なんて楽しく軽やかで、豊かで複雑な音だろう!! この登山道、何ヶ月も人がまったく来ていないのかな。 それとも2~3日もあれば、ここまでうず高く落ち葉が積み上がるものなのだろうか」 【ラン】「いずれにしてもマイロード! 今この瞬間、この落ち葉の山を支配するのは、貴方とランのふたりだけ! ならばこのラン、落ち葉の王にどこでだって従いましょうぞ! うふふふふっ!」 【ラン】「(呼吸音。夢中になって落ち葉を踏んで歩き続ける。一分ほど)――ふふっ! ――っと <;SE stop>」 【ラン】「いけないいけない。音探しもいいけど、ロケハンもしっかりしないとだ。 落ち葉の道は音はいいけど……(呼吸音)(呼吸音)――あたりは切り立った岩だらけ。 観光ポスターには、残念ながら不向きであるとしか思えない」 【ラン】「……(呼吸音)――結局、この先がどうなっているのか、だよね。 さすがに、麻織の滝に続いているの間違いないのだろうけど……」 ;SE 落ち葉を踏み分け歩く足音(継続) ;9/前遠(マイクに背中向き) 【ラン】「……(足場の悪い道を慎重に歩く呼吸音。ニュアンス入れながら1分ほどねがいます)――っと――ん……」 【ラン】「ふふっ、ドキドキするね、マイロード。 ……線路なら、先になにがあるかを熟知している…… というか、そもそもからして、習熟しなければ走り出せないものじゃないか」 【ラン】「目をつぶってても停止位置ぴたりに止められる。 毎日走って、情報を常に更新して、自分の部屋の中よりよほど細やかに、関連する全ての位置関係を把握している」 【ラン】「だけど道路は、先がさっぱりわからない。 ましてやこんな細い山道、何がおきてもおかしくはない」 【ラン】「だからドキドキしているし…… そのドキドキとおんなじくらい、ワクワクしてる」 【ラン】「一人だったらワクワクどころか、怖くて動けないかもしれない。 けど、マイロード。貴方が一緒にいてくれるから…… 貴方に背中を預けて一歩を、踏み出せるから――」 ;独り言 →”ああいや”から顔をあげて対話(マイクに背中向きのまま) 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― いつまでだってこの道が続いてほしいと、そんな願いさえ抱いてしまうほど…… ああ、いや――ふふっ。なんでもないよ」 【ラン】「……現実的なところを見れば、あの岩を回りこんだところに、麻織の滝がひろがっていてほしいと願うばかりさ。 落ち葉歩きは楽しいけれど、この先さらに登山となると時間的にも――あっ」 ;SE stop ;環境音 麻苧の滝 ;滝を発見して安堵→思ったより迫力なくてがっかり→それがおかしくなってくる 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――っ! あはっ! あはははははっ!!」 【ラン】「滝だ! ちっちゃい!!! 崖の向こうだ! ああああ――これは――あははっ! そうか、このみちは、登山道は―― 麻織の滝を目的地にしているのではなくて――」 【ラン】「もっと上、頂上を目指している道なんだ! そうだよね、だから登山道なんだもの……ああ――」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― なるほど、遊覧歩道は崖の向こう側にあったのか。 ここから遊覧歩道側には……(呼吸音)――つながってはいないみたいだ。 ……どうやら来た道を戻るしかないね、これは」 【ラン】「(ため息)……さすがにちょっと力が抜けるな。 ああ―― <;SE 落ち葉の上に腰を下ろす> けど……あははっ! 気持ちのいい脱力感だ」 ;失望が徐々に抜け、冷静に戻る 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 ;7/左 【ラン】「……その岩棚を下りていけば滝に近づけそうだけど…… (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― ギリギリ下りられたとしても、二度とは登ってこれないだろうね」 【ラン】「岩そのものも滑りそうだし、その上に重なる落ち葉は、さらに足元を不安定にする」 【ラン】「……滝をバックに撮影はあきらめるしかない。 けど、音は……」 【ラン】「(潜めた呼吸音。環境音に耳を澄ませてる。一分ほど)」 【ラン】「……滝の音に混じる落ち葉の音…… 風がふくたび、くるくる回って、巻き上がっては転がり落ちて……」 【ラン】「ダンスを踊っているようだ。 軽やかで、ささやかで…… ささやかなのに、深く、豊かで…… (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「とれも綺麗な自然のワルツと感じるけれど―― 残念ながら、広く紹介するには向かないね。 たくさんの人が踏み入ったなら、落ち葉の絨毯はあっという間に押しつぶされて、すぐに歌えなくなってしまうだろうし……」 【ラン】「季節も極めて限られてしまうし――うん。 音の方でも、広くに紹介するためにより相応しい場所は、いくらでも他にありそうか」 ;7/左 (マスターに身を寄せる) 【ラン】「けど……ふふっ。そう考えると―― (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 ;7/左 接近囁き 【ラン】「とても贅沢な貸し切り席だね。 今は、マイロードとランだけの……」 【ラン】「(一分ほど、静かな呼吸)」 ;;7/左(近い) “ふふっ”言い終わったら離れて→;7/左 通常 【ラン】「ふふっ! さぁて、それじゃあ他の場所に行こうか。 次の目的地は野鳥の森―― 雨水(うすいの)の鉄道文化むらのすぐ近くに看板がある―― けれどもランは、まだ一度も足を踏み入れたことがない森だ」 ;SE ラン、立ち上がる。落ち葉がさっ 【ラン】「軽衣沢(かるいざわ)へと抜ける国道沿いに広がっているっていう話だから…… マイロード。安心してくれて大丈夫」 ;SE ラン、大きく一歩足音 ;1/前 【ラン】「今度は登山をしなくてすむさ! ――たぶん、だけれどね!!」 ;//////// ;Track4 尾根山(おねやま)野鳥の森 ;//////// ;SE 野鳥の森 ;3/右 (マイクと同じ方向に視線) 並んで立ってる 【ラン】「ああ……(リラックスした呼吸音)*4」 【ラン】「いいね。うん。実にいい。 国道からほんの数分 遊歩道を進んだだけでこれほどまでに…… (呼吸音)―― 音が、世界が変わるんだね……」 【ラン】「(目を閉じ、森林浴する呼吸音。一分ほど)」 ;自然と声が囁きになる 【ラン】「……深く静かに眠る森。 風のざわめきはゆりかごで。 小鳥の歌は子守唄」 【ラン】「……穏やかに調和し合った、ここちよい音。 とても安らぐ。このまま居眠りでもしたい気分だ」 ;普通に戻る 【ラン】「……けど、少しだけもったいないことしちゃったかなって気もしてる。 鳥の名前を、一つでも多く教わっておけばよかったかなって」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― 比較的ご近所だけれ、一度もお話をしたことがなかった大先輩――。 頭部鉄路三勢崎線(とうぶてつろみせさきせん)の、5号(ごごう)機関車専用レイルロオド――りいこさん」 【ラン】「あの方がね、異様に詳しかったんだ。 虫とか鳥とか花とか草木とかの名前に。 ……レイルロオドがどうしてそんな、乗務に関係しない知識を、と―― そのときには少し、正直思ったのだけれど」 【ラン】「……知っているなら、違うんだろうなと――いまね、ふっと感じてしまた。 目の前に広がる景色も、耳に飛び込んでくる音も。 名前をもしも知っていたなら、きっと、さらに豊かに味わえるんだろうなぁ、って」 【ラン】「……名前は、単なる識別コードじゃないって、 りいこさんと話したときに、ランは、教えて貰えた気がした」 【ラン】「虫や、鳥や、花の名前を――ほんの少しだけ教わって。 知ってみたなら、毎日の暮らしの中に、ぽっとあたたかな色が灯った」 【ラン】「ただの小鳥のさえずりが、『シジュウカラの歌声』になる。 道端に咲いている雑草が、『オオイヌノフグリ』の花だって気づく」 【ラン】「……りいこさんが教えてくれた虫の名前は――ふふっ、 『全部同じじゃないですか』って感じで、 すごく似たのがたくさんすぎて、結局わからなくなっちゃったけど――(呼吸音)」 【ラン】「でも、うん。余剰メモリの片隅に、鳥の名前がさえずっているのは、とても悪くはないものだ。 そう気づいたら、ね。ランは、自分の名前のことも――(呼吸音)」 【ラン】「ランっていう この名前のことも、前よりずっと、好きに、誇らしくなったんだ。 D51 840(でぃーごじゅういち はっぴゃくよんじゅう)。 デゴイチハシレ――走れだから、ラン」 【ラン】「他にいくらも命名の候補はあったと思う。 ランのひとつしたの妹が841(はちよんいち)の『はやい』で、いっこ上の姉が83(はちさんきゅう)9の『闇雲』だから……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「そう、だね。『はや』とか『やよまる』とか……そういう名前をもらった可能性だって、きっとあった――っていうか、むしろ高かったんじゃないかと思う」 【ラン】「けれどもランは、他の姉妹の命名規則とはかけ離れている名前をもらった。ランという名を。 ――走れという願いをきっと、込めてもらえた」 【ラン】「だから、ランは――"はやい"や"闇雲"や…… D51姉妹のほとんどが鉄路から去ってしまった今でも走り続けていられるのかも……って―― 少しね。少し――いま思った」 【ラン】「はやいにも闇雲にも、きっとたくさんの願いが込められていたと思うんだ。 彼女たちが、実際に大切に使わて、それぞれがそれぞれに活躍していたことも、ランは知ってる」 【ラン】「でも、たくさんの願いは広いから。 ランにこめられた願いはたった一つで狭いから―― その分長く、ランを守って……守りつづけてくれてるのかな、って」 【ラン】「なぁんて、あはは! レイルロオドがこんなオカルトな話だなんて、おかしいね―― あ……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 ;1/前 【ラン】「……(幸せな吐息)。 ――マイロード。貴方の耳におかしなことと聞こえないなら、すごく嬉しい。 ランの名前にこめられている願いの強さを、貴方にも感じてもらえるのなら、すごく嬉しい」 ;1/前 (うつむいてはにかんで) 【ラン】「……マイロード。ランはね。あなたの名前も大好きなんだ」 【ラン】。 名前にこめられた願いも意味も、全てをいつか教えてほしいと、そう願わずにいられないほど…… (呼吸音)」 ;1/前 (顔位置もとに戻して) 【ラン】「(じっと傾聴する呼吸。1分間ほど)」 【ラン】「……(幸せで満足な長い吐息)。 来て、よかった。 尾根山(おねやま)野鳥の森…… 鳥のさえずりをたくさん聞けるって、それは予想していたけれど――ふふっ」 【ラン】「まるで予想もしていなかった素敵にも、鼓膜を、こころを揺すってもらえた。 ランは――ああ、マイロード。 貴方とともに過ごす時間に、いつでもたくさんの素晴らしいなにかを与えてもらえる」 【ラン】「(満ち足りた気持ちを噛み締め直す呼吸)…… ……嬉しいな。うん。とても嬉しい」 【ラン】「……だから、っていうわけじゃないんだけれど―― マイロード。貴方ともっと長い時間を過ごしたい、その願うからけだけで言うんじゃないのだけれど」 【ラン】「この森は――ええと……(呼吸音)―― 『蓄音レヱル』っていう名前だったっけ。 あの記事で紹介してもらうには、実に適した場所だと思う」 【ラン】「こうして話している今も……」 【ラン】「(じっと小鳥のさえずりを聞く呼吸音。30秒ほど)」 【ラン】「……これほどにここちよい音を聞けるし、少し歩けばそれだけで、また別の鳥のさえずりを耳にもできる」 【ラン】「どの季節にどんな天気で来たとしても、聞こえてくる音はきっと快適だろうし、アクセスもいい。 遊歩道をほんの数分進んだだけでもう、余計な雑音の全てを、森と風と鳥の音とが、かき消してくれる」 【ラン】「ただ……ん――(呼吸音)―― 季節と天気……この曇天のせいもあるのかもしれないけれど―― ポスター撮影にむいてる場所では……(呼吸音)―― 残念ながら、無いよね、やっぱり」 【ラン】「横河線沿線ならでは! 群真(ぐんま)ならでは! ――そういう感じがあまりに少ない。 極端な話、ラン程度の植物の知識ではだと…… 『蒼森(あおもり)の森』っていわれても、『鹿兒島(かごしま)の森』っていわれても。 『なるほどね』って、きっと納得してしまうもの」 【ラン】「だから……(呼吸音)(呼吸音)――ああ、うん。 やはり、他の場所を探そう。 今度は意識をロケハン中心に切り替えて…… いい景色を探すついでに、いい音も見つけることができればラッキー! 的に」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― うん。ではそうしよう! といっても、次にどこにいくかどうかを…… (きょろきょろとあたりを見回す呼吸音)――ん?」 【ラン】「ん? んんん? マイロード! こんなところに案内板があるよ。 (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「ああ……(呼吸音)――なるほど……(呼吸音)―― この尾根山野鳥の森近辺の地図なのか――おや」 【ラン】「『仙芽滝(せんがたき)』……滝が近くにあるんだね。 麻織の滝では思わぬ登山をすることになってしまったけれど―― ……(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「この地図で見るかぎり、むしろここより低いところにあるみたいだし……場所も国道を外れてすぐみたいだし…… いって見ても悪くはなさそう、な感じかな」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― うん。いってみよう。 そんなに時間もかからなそうだし――ふふっ」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「いってみてもしも外れだったら……ロケハン継続。 さらに長い時間をマイロード、貴方と過ごせることになる」 ;SE ぱっと離れて大きく一歩 ;9/前遠 【ラン】「どちらにしても、ランには嬉しい結果だからね!!」 ;//////// ;Track5 マイナスイオンの仙芽滝 ;//////// :使用想定環境音 :仙芽滝 ;9/前遠 (マイクに背中向き) 【ラン】「ああ――ああ! ああ!!!」 ;9/前遠 (マイク向き) 【ラン】「マイロード! ここはいい!! 仙芽滝! なんて雄大な滝だろう!!」 ;;9/前遠 (マイクに背中) 【ラン】「まるで絵に描いたような見事な滝だ。 半円形の劇場のような岩棚のぴたり中心に、鮮やかで雄大な滝が雪崩れ(なだれ)落ちている」 【ラン】「岩棚のくぼみにはたくさんの――お地蔵様かな、羅漢(らかん)さまかな――石仏(せきぶつ)のようなものが並んでいる」 【ラン】「石仏は……遠目だけれど、よく手入れされているように見えるね。滝のしぶきがひっきりなしに飛んでくるだろうに、コケのひとつもついてはいない」 ;SE ラン、ゆっくり近づく足音 ;1/前 (マイク向き) 【ラン】「ここは……行政が管理してるのかな? それとも近隣の人たちか――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音) ああそうか、神社とか、信仰の対象っていう可能性もあるのか」 【ラン】「どちらにしても、撮影前には許可をとることが必要になりそうだね。 あの辺の枯れ枝とかは、もし可能なら掃除できると、構図の選択肢もさらに広がりそうだし」 ;3/右 (マイクと同じ視線) 【ラン】「で、だ。マイロード。 貴方のまなざしは、この滝をどう捉えて―― (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ああ……(感嘆の息)」 ;1/前 (マイク向き) 【ラン】「貴方の視線を追いかけるだけで、見ていた景色が、もっとあざやかに輝き始める。 とても不思議で――魔法みたいで―― マイロード。貴方と一緒にいるだけで、ランはどこまででも楽しくなれる」 【ラン】「……その補正がかかってしまっているのかもしれないけれど――ここは、うん。 観光地として紹介できれば、高嵜鉄道の定期外客の増加に…………(呼吸音)(呼吸音)―― うん。きっと役立つ」 【ラン】「横河駅からだと、野鳥の森を抜けてここまで……歩いて90分くらいか。ハイキングコースとして案内できるね」 【ラン】「……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― ああ、そうか。森を抜けて、旧円山(まるやま)変電所跡や、関所跡(せきしょあと)を含めた大きな周回コースだって組めるし――うん!」 【ラン】「ポスター撮りの撮影地、そうだね、ここに決めてしまおう。 会社にも、第一候補はここってことで報告しよう」 【ラン】「もしも何かの不都合で撮影不可になってしまうようなら―― ふふっ! 今度はいっそ横河を離れて、沿線の別のところでロケハンをするのも悪くないよね」 【ラン】「大事な仕事をひとつきっちり終わらせられる。 継続となって、またマイロードとおでかけをする。 どっちになってもランは嬉しい。 ああ! 本当に今日は素敵なことばかりだ」 【ラン】「(安堵の長い息)……ホっとして、少し気が抜けてしまった。 戻りも結構歩くことになるし―― ここで小休止をいれたほうがいいよね。うん」 ;3/右 (マイクと同じ視線) 【ラン】「ふぅ……。 (30秒ほど、もたれかかってリラックスする呼吸)」 【ラン】「……しかし……ああ……(呼吸音)(呼吸音)―― ここは実際、穴場だよね」 【ラン】「ランはこれほど見事な滝を、こんなに近くで眺めるなんて――初めてだ」 【ラン】「カタマリみたいな水がどんどん無限に流れて落ちて、飛沫をあげて。 景色があまりに雄大で、いつまでだって眺めていられそうな上に……音も――」 【ラン】「(滝の音をじっと聞く呼吸。1分ほど)」 【ラン】「……麻織の滝、遠くから聞いた滝の音と全然違うね。爆音だ。 他の全ての音を滝が、飲み込んで落としていってるみたいなざわめきで……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「――マイロード。貴方から伝わってくる音。鼓動の音と、血液が流れる音」 【ラン】「貴方の音と滝の音が、どこか似ている…… そう感じるのは、ランがレイルロオドだからなのかな」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)…… この滝の音を聞いているとね……憧れに近い何かを感じる……。 『還るべき場所』……そんな言葉が、どうしてか浮かんでくるようで―――― (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――いや」 ;3/右 (少し身を離す) 【ラン】「……ちょっとぼーっとしすぎてしまったみたいだ。 この轟音にさらされることは、細かなしぶきを浴びることは……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)。 ……ああ、シャワーを浴びているときと、似ている効果を生じさせるのかもしれないね」 【ラン】「なんだか――ふふふっ。普段なら口にしないことまで、つぶやいてしまったような気がするよ。 他の誰かに聞かれたのなら、恥ずかしくって逃げ出したくなる、独り言じみた、そんな言葉を」 【ラン】「けど、ね? マイロード。 ランは、貴方にだけならば――」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「貴方にだけは、何を聞かれても構わない。 どんなに気恥ずかしいことだって――」 ;SE お腹がなる音 ;3/右密着 →;1/前 (ぱっと離れる) 【ラン】「っ!!!?」 ;1/前 【ラン】「い、いや、違うよ。違う。 ランはレイルロオドだもの、おなかなんて鳴るわけないよ。 本当に」 【ラン】「だから、今の音は……(考え込む呼吸音)――あっ! ふふふっ。そうだね。そうしておこう」 【ラン】「それなら次はご飯にしよう! ね、お腹をすかせたマイロード!」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track6 峠の飯屋と右耳耳かき ;//////// ;1/前 (こたつテーブル越しに向き合って座る距離感) 【ラン】「(リラックスした吐息)」 ;使用環境音:峠の茶屋_座敷から聞こえる台所の音 F.I 【ラン】「『峠の飯屋(めしや)』……か。 こんなお店があるだなんて、ランは少しも知らなかったよ」 【ラン】「たまにはゆっくり歩いてみるものだね。 列車の速度では見落とすものを、見つけ出すのは素敵なことだ」 【ラン】「……こうしてゆっくり畳の上に座っていると、感じるよ。 今日のランは、かなり気を張っていたんだなぁ、って。 音探し、音に意識を配ること…… 慣れないことに集中するのは、やっぱり負荷がかかるものだね」 【ラン】「個室があるお料理屋さんでよかった。 障子一枚だけでもあると――ぐっとくつろげる感じがする。 今は、うん……(ほおっとした息) ――お店の人とのおしゃべりとかより、こんな時間の方がいい」 【ラン】「……疲れたなぁ。けど――(安堵の息)――楽しかった。 いや、過去形じゃなく、現在進行形でランは、とても楽しい」 【ラン】「……おっきりこみっていったっけ。ここのおすすめ。横河の郷土料理。 ランは石炭でのお相伴になってしまうけど――ふふっ、どんな料理か、目にするものとても楽しみだし――」 【ラン】「(相手の顔をにこにこ眺める感じ、ゆったりとした呼吸音。一分ほど)」 【ラン】「……音探しをしていたせいかな。座敷の向こう、お料理をつくってくれている音も、ここちよいものと感じるよ。 マイロード。貴方のために、誰かがこころをこめてくれてる―― その音だもの、ランにも、とても幸せに響く」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……お料理、か。 お料理をできるレイルロオドは、たぶん、ほとんどいないんだよね。 御一夜の、レイルロオド・サミットのときにそういう話になったんだけど……」 【ラン】「お料理が得意って明言してたのは、常州電鉄(じょうしゅうでんてつ)のかかあさんと、みかん鉄道の紅(べに)くらいなものだった」 【ラン】「まぁ、紅は一時期……列籍を抹消されていた時期に、車体を『ガタンゴトン亭』っていう食堂として運用されて、そこで働いていたそうだから――仕事として覚えたんだろうけど……」 【ラン】「かかあさんは、純粋に趣味……楽しみ、として作ってるていうな話だった。 でね、料理を人から教わってるってレイルロオドの話も聞いた。 ハチロクさん――あの有名な8620形(はちろくにいまるけい)トップナンバーレイルロオド」 【ラン】「それで、ランは思ったんだ。少しね。 ハチロクさん――ランよりもずうっと古いレイルロオドが、練習をして、お料理をもしも覚えられるなら」 【ラン】「ランも――お料理を覚えられるのかもしれないなぁって。 お料理を覚えられたら、マイロード、貴方にふるまうことができたら…… 『おいしい』って、もしも言ってもらえるのなら――あっ」 ;SE 環境音 F.O ;座敷のふすまがひらく ;SE 料理が届く。トレー+食器+汁ものがテーブルにおかける ;環境音 F.I, 室内環境音(空調のみ) 【ラン】「(感心の息)これが『おっきりこみ』か。 ほうとうと似てるね……かぼちゃが入っているかいないかの違い、かな」 【ラン】「って、これは冷めたらおいしくない料理だよね。絶対。 いただきますしよう、マイロード。 ランも、石炭を用意するから。ん――」 :SE ごそごそ。ポーチから石炭を出す。 【ラン】「……おまたせ、マイロード。 それじゃあ、食べよう。 『いただきます』」 ;環境音 F.O. 【ラン】「……(ばりっ、ぼりっ、がりっ)――ごくんっ」 ;環境音  F.I. 【ラン】「ふうっ。ごちそうさま。おいしかったー―― (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ふふっ」 【ラン】「『おいしかった?』って聞くまでもないね。 マイロードのお顔、言葉よりもずうっと雄弁だ」 【ラン】「しかし、ここは本当にいいお店だね―― 食事はおいしい、配膳も片付けも早くて綺麗。 おまけに……ふふっ、マスターが眠たそうに見えたのかな」 【ラン】「他にお客もいないから、のんびり休んでくださいね、って―― サービスのドリンクまで出してくれて」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― 美味しいもので満腹できて。その上こんなにゆっくりできて――(満足の吐息)―― ――満たされるって、こういう感じのことをいうのかな」 【ラン】「……ね、マイロード。 ラン、少しだけ――ん……」 ;SE 畳の上にじり移動;1/前→;2/右前→;3/右 ;////***このあたりから安眠導入を意識して、基本的におさえぎみ。声の強弱ではない方向でメリハリいただけますと幸いです。***//// ;3/右(寄り添い) 【ラン】「……レイルロオドのランでもだから。 貴方のお耳が疲れてないか、心配なんだ…… (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「ひざまくら――とか、どうだろう。 お耳が疲れているのなら、もちろんいやしてあげたいし…… それに、耳かきもしてあげたいんだ。 ここのところバタバタしてて、しばらくできてなかったから」 ;三呼吸目くらいでひざまくら状態になって、うれしい 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 ;3/右 (密着) 【ラン】「ふふっ、それじゃあ、まずはお耳のマッサージからだね。 眠くなったら、眠ってしまっていいからね」 【ラン】「軽ぅく引っ張ってパッと離す。 あのマッサージでいくからね? まずは耳たぶから。 ん……」 ;SE 耳引張りマッサージ 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「……耳、いっつもよりも少し冷たい。 やっぱり疲れているんだね。 マッサージで、血行しっかり戻さないと。ん――」 ;SE 耳引張りマッサージ 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)――ん…… (呼吸音)(呼吸音)――フチも、結構冷えてる感じ…… (呼吸音)(呼吸音)――これ……うん――」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「(ほーーーっって、手をあっためる感じの息で吹きかけ) *3」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「これで少しはあったまるよね。 で――」 :SE 耳マッサージ(継続) ;3/右 【ラン】「こうして、指で――(呼吸音)(呼吸音) 揉み込む感じで――(呼吸音)(呼吸音)―― マッサージ、して――(呼吸音)(呼吸音)―― 血行、を――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「ん……(集中してる呼吸音)*4」 【ラン】「っと―― <;SE stop> ああ、うん。お耳に赤みが戻ってきた。 指先にもぽかぽかが伝わってくるようになってたし。 これで右耳は大丈夫そうだね」 ;3/右 (接近囁き) 【ラン】「じゃあ、耳かきをはじめるからね。 まずは、あさぁいところから……(呼吸音)――」 ;SE 耳かき(浅・継続) 【ラン】「下から、じわじわ――(呼吸音)(呼吸音)―― ひっかい、て――(呼吸音)(呼吸音)―― だんだん、中へ――(呼吸音)(呼吸音)―― 中の方に、で……(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「めくれ、てるとこ――(呼吸音)(呼吸音)―― 慎重に、して――(呼吸音)(呼吸音)―― 上の、フチまで――(呼吸音)(呼吸音)―― ゆっくり、と――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「ん……(集中してる呼吸音)*4―― っ――」 ;SE stop ;3/右 接近囁き 【ラン】「これでどうかな――失礼するよ。 (ふーーーーーーーーーーーーーーーっ)」 ;3/右 密着 ”よし”で→;3/右(通常 【ラン】「ん……(耳の中を覗き込んでる慎重な呼吸音) ん――(同上)―― ん……っと――うん! よし」 ;3/右 【ラン】「なかなか素敵な仕上がりにできたと思う。 耳かき綺麗にするから、少しだけ待って。 んっ……(呼吸音)」 ;SE ちり紙引き抜き→耳かきふき 【ラン】「よし、っと―― それじゃあ深いところに行こう」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「ランのこと信じて、全部任せて。 身体もこころも、ゆるめられるだけ、ゆるめてくれたらうれしいな」 ;SE 耳を優しく5回撫でる 【ラン】「(呼吸音)*5」 ;3/右 【ラン】「じゃ、はじめるよ。 ん……(呼吸音)」 ;SE 耳かき(深・継続) 【ラン】「ん……っと――(呼吸音)(呼吸音)―― これ、ちょっと――(呼吸音)(呼吸音)―― 拍子抜け、しちゃうほど――(呼吸音)(呼吸音)―― 綺麗、だね――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「あ、けど――(呼吸音)(呼吸音)―― ん……(呼吸音)――っと――(呼吸音)―― ああ、うん――(呼吸音)(呼吸音)―― いっこ、ごろって――(呼吸音)――大きい、の――(呼吸音)」 【ラン】「ん……(集中した息)*3―― で……(集中した息)*3――」 【ラン】「すくって――(呼吸音)(呼吸音)―― 乗った、うん――(呼吸音)(呼吸音)―― あとは、ひたすら――(呼吸音)(呼吸音)―― こぼさないよう……(呼吸音)――慎重、に――(呼吸音)――」 【ラン】「(息をつめておっきなのを耳の穴から運び出す) ――~~~……っ――うん」 ;SE stop ;SE 耳かきをちり紙でふく ;3/右 接近囁き 【ラン】「あとは―― (ふーーーーーーーーーっ) ん~~……おっきいのはなさそう、かな――けど」 ;SE<耳かき(深・継続) 【ラン】「もうちょっとだけ――(呼吸音)(呼吸音)―― ほじりすぎないよう――(呼吸音)――気をつけ、て――(呼吸音)―― こまかい、やつも――(呼吸音)(呼吸音)―― とっちゃいたい、かな――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)……っ―― (呼吸音)(呼吸音)――っと―― (呼吸音)(呼吸音)――ふふっ―― (呼吸音)(呼吸音)――ん……」 【ラン】「(呼吸音)――あと――(呼吸音)――もう―― (呼吸音)――ちょっと――(呼吸音)――だ、け――」 【ラン】「んっ―― (集中した呼吸音)*4―― っと……(呼吸音)――ん……」 ;SE stop ;耳かきふき ;3/右 (接近囁き) 【ラン】「(ふーーーーーーーーーーーーっ)」 ;3/右 【ラン】「ん~~……(呼吸音)―― んっ――(呼吸音)―― どう、かな――(呼吸音)(呼吸音)―― ああ――(呼吸音)――うん――(呼吸音)――うんっ」 【ラン】「お疲れ様、マイロード。ふふっ。 右のお耳はすっかり綺麗で、血色ももどって―― うふふ、まるで新品のお耳みたいだ」 ;3/右 (接近囁き) ”ふふ”で→;3/右 【ラン】「そしたら今度は、左のお耳も新品のお耳にしてあげなきゃだね―― ふふっ」 ;3/右 【ラン】「ランが『ぐるーん』っていったらさ。 身体ぐるんて入れ替えて、左のお耳、上にむけてね」 【ラン】「それじゃ、いくから。 せーの、 『ぐるーーーーーーーーーん』」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track7 左耳みみかきと、寄り添いあってのうたたねと ;//////// ;7/左 (接近囁き) 【ラン】「(ふーーーーーーーーーーーっ)」 ;環境音 F.I, 室内環境音(空調のみ) ;7/左 【ラン】「……人間の身体って不思議だね。 右のお耳の血行がよくなっても、左のお耳はやっぱりまだちょっと冷たいままなんだ。けど――ふふふっ」 ;7/左 接近囁き 【ラン】「その方がマッサージしがいがあって、うれしいかも」 ;7/左 【ラン】「じゃ、始めるよ。 また、お耳をかるぅく引っ張るやつから――ん。」 ;SE 耳引張りマッサージ(継続) 【ラン】「耳たぶ……(呼吸音)(呼吸音)―― 下の半分……(呼吸音)(呼吸音)―― 上の半分……(呼吸音)(呼吸音)―― 上のふち……(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「今度は上から――(呼吸音)(呼吸音)―― ゆっくり、ゆっくり――(呼吸音)(呼吸音)―― 戻って、戻って――(呼吸音)(呼吸音)―― 耳たぶ、まで――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「ん……(呼吸音)(呼吸音)―― っと……(呼吸音)(呼吸音)―― ふふふっ、じわじわ――(呼吸音)(呼吸音)―― ぽかぽか――(呼吸音)――して、きた――(呼吸音)――ん」 ;SE stop ;7/左 接近囁き 【ラン】「(温める、ほーーーーーーーーーー)*3」 ;7/左 【ラン】「うん。いい感じ。 そしたら、揉み込むマッサージ。するね」 ;SE 耳マッサージ (継続) 【ラン】「よい、しょ――(呼吸音)(呼吸音)―― ん……まだ――(呼吸音)(呼吸音)―― うちがわの、方――(呼吸音)(呼吸音)―― つめたい、とこ――(呼吸音)――ある――(呼吸音)――っ……」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)――んっ―― (呼吸音)(呼吸音)――ぁ………… (呼吸音)(呼吸音)――こっちの、お耳も―― (呼吸音)(呼吸音)――だんだん、あかぁく――」 【ラン】「ふふっ――血色――(呼吸音)(呼吸音)―― ちゃんと――(呼吸音)(呼吸音)―― もどって、きて――(呼吸音)(呼吸音)―― ん……新品の――お耳――(呼吸音)―― みたいな、色――に――(呼吸音)(呼吸音)――うん」 ;SE stop ;7/左 接近囁き 【ラン】「(ふーーーーーーーーーーーーーっ)」 ;7/左 【ラン】「……よさそう。うふふっ。 そうしたら、耳かきも――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音) ――ああ」 :SE 耳かき (浅・継続) 【ラン】「新品……ピカピカ――(呼吸音)(呼吸音)―― いまは、もう――(呼吸音)(呼吸音)―― 鉄道車両も、レイルロオドも――(呼吸音)(呼吸音)―― 新品、なんて――(呼吸音)――つくられない、けど――(呼吸音)――」 【ラン】「こないだ、御一夜、いったとき――(呼吸音)(呼吸音)―― 見たんだ、改装の、車両だけれど――(呼吸音)(呼吸音)―― まったく新しい、設計の――(呼吸音)(呼吸音)―― 冷蔵車……厳密には、冷蔵・電源車――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「その説明も……きかせてもらって――(呼吸音)(呼吸音)―― 関係者が、ね?――(呼吸音)(呼吸音)―― みんな、笑顔で――誇らしそうで――(呼吸音)(呼吸音)―― ランまで、なんか――うれしく、なって――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「大廃線から、少しだけ――(呼吸音)(呼吸音)―― 少し、ずつでも……(呼吸音)(呼吸音)―― 立ち直っていく、鉄道が――(呼吸音)(呼吸音)―― でてきたんだなぁって――(呼吸音)――しみじみ、思って……」 【ラン】「ランも、なんだか――(呼吸音)(呼吸音)―― そう感じたら――(呼吸音)(呼吸音)―― 新しいこと――なんでもいいから――(呼吸音)(呼吸音)―― チャレンジしたい――(呼吸音)――気持ちに、なって――」 【ラン】「っと――ここんとこ――ん――(呼吸音)(呼吸音)―― ちょっと、はりついた、みたいに――(呼吸音)(呼吸音)―― ひらぺったいの――(呼吸音)(呼吸音)―― かさぶた、的に――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「(集中した呼吸音) *4 ――っと――あ――(呼吸音)――」 ;SE stop :SE 耳かきふき 【ラン】「んふふ。とーれた。 っと――」 ;7/左 接近囁き 【ラン】「(ふーーーーーーーーーーーーーっ)」 ;7/左 【ラン】「浅いところは……(呼吸音)――ん―― (呼吸音)――っと――(呼吸音)―― こーれーでー……(呼吸音)―― うん。よさそう。――よし」 ;SE 軽く耳撫でる 【ラン】「(満足そうな呼吸音)」 【ラン】「それじゃあ今度は、深いところを―― そうっと静かにいくからね……(呼吸音)――ん……」 ;SE 耳かき(深・継続) 【ラン】「……(集中した呼吸音)*4」 【ラン】「っと――(呼吸音)(呼吸音)―― ん――(呼吸音)(呼吸音)――ああ。 新しい、こと――(呼吸音)(呼吸音)―― 具体的には――(呼吸音)――なんにも、だけど……(呼吸音)――」 【ラン】「さっき、ちょこっとだけ――(呼吸音)(呼吸音)―― お話に、でた――(呼吸音)(呼吸音)―― お料理、だとか――(呼吸音)(呼吸音)―― よさそうかもって、それは、思って――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「だから……うん――(呼吸音)(呼吸音)―― もしか、いつの日か――(呼吸音)(呼吸音)―― チャンスが、あれば――(呼吸音)(呼吸音)―― お料理の、こと――(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「お料理の、こと――(呼吸音)(呼吸音)―― ちょっとでも、勉強――(呼吸音)(呼吸音)―― してみたいかな――(呼吸音)(呼吸音)―― だって、さ――(呼吸音)――だって――(呼吸音)――ん……」 【ラン】「花の名前を知れば、お花が――(呼吸音)(呼吸音)―― もっと綺麗に、なるように――(呼吸音)(呼吸音)―― 鳥の名前を、知ったなら――(呼吸音)(呼吸音)―― その歌声が――(呼吸音)――混じらず、しっかり――(呼吸音)聞こえる、ように――」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)――お料理の、ことも、知ったなら――(呼吸音)(呼吸音)―― 人間のこと、もう少し――(呼吸音)(呼吸音)―― わかる、ように――(呼吸音)――なるのかもって―― 少しは、思う……(呼吸音)……し……(呼吸音)……ん…………」 【ラン】「(考え事をしつつ、耳かきにはちゃんと意識を注いでる呼吸音)*4。 っと――」 ;SE stop ;Se 耳かきふき 【ラン】「けど――(呼吸音)―― うん。だけど――」 ;SE 耳かき(深・継続) 【ラン】「本当は、お料理の、こと――(呼吸音)(呼吸音)―― 勉強とかの、ためじゃ、なくって――(呼吸音)(呼吸音)―― ただ、単純に――(呼吸音)(呼吸音)―― おいしい、お料理――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「(呼吸音)*4」 【ラン】「マイロードに、食べてもらって――(呼吸音)(呼吸音)―― おいしいって、笑って、褒めてもらえたら――(呼吸音)(呼吸音)―― それは、きっと、ものすごく――(呼吸音)(呼吸音)―― しあわせなことって、気持ちが、するから――(呼吸音)(呼吸音)――」 ;SE stop 【ラン】「……だから、いつの日かマイロード。 もしも将来、ランがお料理を覚えたら…………ん?」 ;7/左 【ラン】「…………………………(力の抜けた微笑)」 ;以降、ずーっっとウィスパー 【ラン】「寝ちゃってる、かな……気持ちよさそう。 ……(見守る呼吸音)――仕方無いよね。 きょうはたくさん、歩いて、聞いて―― 一番最初は、ふふふふっ、登山までしたんだし」 ;SE 耳かき拭き→耳かきをテーブルの上におく 【ラン】「すやすやされると……ふぁ――ランまで眠たくなっちゃそうで――ふ……ぁ――(小あくび)―― っていうか――ああ……(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「眠いんだ、ランも……ん…… くっついているところぽかぽかしてるし―― マイロードの、寝息……ん―― 耳にも、こころにも、優しい、し……」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……それ。に――」 【ラン】「このまんま、ランも……ねむっちゃったら…… きっと、ものすごくしあわせだろうって気がするし―― ふ、ぁ――(小あくび)」 ;SE 身じろぎ(横になる) 【ラン】「ん……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「(リラックスしきった、長い安心の息)」 【ラン】「……もっといろんな話、を、ね。マイロード。 本当は、ラン。御一夜で、みんなから聞いてるの……」 【ラン】「……レイルロオドも恋をするって。できるって…… 仲国(ちゅうごく)のこ……西瓜(すいか)は、ランに……聞かせて、くれて――ふ、ぁ――」 【ラン】「ランにも……恋とか……できるの、かな……(呼吸音)(呼吸音) けど……ラン……(呼吸音)(呼吸音)―― ほんとは不器用、で――ふ、ぁ――(呼吸音)(呼吸音)―― とろい、から――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「恋とか、しても……(眠い息)*2。 気がつか、ないで――(眠い息)*2 ……いつもどおりに――ふぁ――(小あくび)―― いつもの……まま――で――ん……(一瞬寝落ちる)――ぁ――」 【ラン】「ん……ぁ――あの、ね――マイロード……(眠い息) 貴方の前では……ランは――(眠い息) お姫、様で――いたいん、だけど……(眠い息) ん……(眠い息)」 【ラン】「だけど、貴方の、眠りを、守る――(眠い息)*2 騎士にも……ランは……ふ、ぁ―― きっと……(呼吸音)――なる――から……(眠い息)*2」 【ラン】「……おやすみなさい、マイロード――(眠い息) ――叶う、ことなら――(眠い息) 夢の、なか……でも――ん……(眠い息)―― 貴方の……となり、で――(眠い息)」 【ラン】「ん……ぁ――(大あくび)――ん……」 【ラン】「(浅い寝息)*4」 【ラン】「(浅い寝息)*4」 【ラン】「(寝入りつつある寝息)*4」 【ラン】「(寝入りつつある寝息)*4」 【ラン】「(穏やかな寝息)*4」 【ラン】「(穏やかな寝息)*4」 【ラン】「(熟睡寝息)*4」 【ラン】「(熟睡寝息)*4」